俺の彼女がまさかの魔法少女   作:愛板将軍

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更新遅くなってスマソ

これもそれも花粉のせいです。モニターを見れなくなってキーボードにくしゃみが飛び散るので何にもできなくなるんですよね...


魔法少女39

虚勢はって堂々としろ

 

 

...なんなのそれは?相も変わらず亘一君と食事を食べているときにちらりと彼の手首に見えた文字である。ホントになにかしら?ものすごく小さな文字で手首におそらく油性ペンで書かれたそれは私を困惑させるのに十分なモノであった。

 

しかも彼は少しソワソワした時、何かをしゃべりだそうとする時に絶対にそれを見るのだ。しかも小さく「あぁわかっている先生」とほんとに魔力によって強化された聴力でぎりぎり聞こえる声でつぶやくのだ。本当になんなのかしら?

 

「ところで学生生活は順調だろうか?」

 

「ーーあ、うん順調よ?」

 

意味の分からない文字のせいで考え込んでいたので彼の問いかけに遅れた。というかさっきから話しかけてくる内容が思春期の娘に頑張って話しかける父親のそれなんですけど...

 

「…」

 

「…」

 

しまった会話が終わってしまったわ!?考え込んでいたせいであんまり考えずに返事をしてしまったせいで会話のキャッチボールをうまくできなかった。取り合えずここは私から話しかけて何とかしないと...ただ、その...彼とは子供のころからの付き合いなのだけど全く会話をしてこなかったので趣味とか何も知らないのよね...というか話しかけようとしても険しい顔をしてどこかに行くことが多くてね...

 

「亘一君はどうかしら?学校生活」

 

「...いつも通りだ」

 

「そう...」

 

「あぁ...」

 

会話が難しいわよ!?なによこれ!!必死でポーカーフェイスを貫いているけれど正直泣きそうよ!?

亘一君はどうなんだ?と思いちらりと見てみると...なんだか満足げな表情をしているわ!?なんで!?どこでどう満足したの!?わからない!!わからないわ!!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「しょ、小学生...?」

 

「あっ!?すみません!!思わず本音が!?ってちがくて!」

 

やばいやばいやばい!ガチの本音が出てしまった!

 

「いや...いいんだ...そうか小学生か...僕はそのレベルか...」

 

やばい、めちゃくちゃ落ち込んでいる!な、なんとかしなければ!

 

「いえその、あーーっと...」

 

なんにもうかんでこねぇよ!そりゃそうだ、全部出ちゃってるもん!

 

「いや、気にしないでいい。むしろもっと言ってほしい。出なければ僕は前に進めないと思うんだ」

 

「いや、でも...」

 

さすがに年上の人にズバズバというわけには...そんなことをしたって朱音にばれたら怒られるし...年上をちゃんと敬いなさい!って

 

「本当に気にしなくていいんだ。どうか協力してほしい、僕は本気なんだ」

 

そう言って亘一さんは俺に向かって頭を下げてきた。

 

「待って、待ってください!頭を上げてください!もちろん協力しますから!」

 

「ーーーそうか!よかった...」

 

亘一さんはそう言ってほっとしたように胸をなでおろした。こうなっては仕方がない。不肖ながらこの三月優が全力で力を貸そうではないか!

 

「とりあえず。話をまとめましょうか?」

 

「そう...だな少し長々と話してしまったからな」

 

「ではまず第一の目標は緊張せずにプレゼントを渡す。でいいですか?」

 

「もちろんだ」

 

「では、この目標を達成するためにどうするべきか考えましょう」

 

亘一さんはこくりとうなづいてくれたので俺は話を続ける。

 

「一つお聞きしたいのですが普段はどんな感じで接しているんですか?」

 

「...緊張していて何も話すことなく彼女がたまに話してくれる内容に相槌を打っている」

 

「...まじすか」

 

「まじだ」

 

思ったより重症だぞ...そのレベルかよ...

 

「ということは彼女さんの好みだとか趣味も知らないんですか?」

 

「...不甲斐ないがそうだ」

 

「...答えづらかったら大丈夫なんですが、今回は何をプレゼントするつもりなんですか?」

 

「指輪だ」

 

「アウトぉぉおおおお!!!!」

 

アウトだよ!だめだよ!なんで指輪!?ほんとに!絶対ダメでしょ!確かに婚約者件彼女に渡すプレゼントなら全然いいと思うけど今の亘一さんの関係で渡したら普通に次の日にフリマサイトに売りに出されるぞ!?いやだよ俺知り合いの渡したプレゼントがフリマサイトで流れてくるのを見るの!

 

というか見てよ亘一さん!バーのマスターもピアノ演奏してるお姉さんもめちゃくちゃ絶望顔してるよ!特にお姉さんの方はドン引きしてるよ!?さっきまでは亘一さんのことをかなり憧れるような熱い視線で見つめていたのに今はもうやばい人を見る目で見ているよ!?

 

「アウト?そうなのか?一応ネットでは婚約者に送るなら指輪がいいと書かれていたのだが...」

 

「ッスゥーー、ヘイお姉さん!同じ女性としてこれは!」

 

すまんがお姉さんに声をかけさせてもらうぜ!ここは女性が答えた方が絶対に良いはずだ!

俺が急に声をかけたものだからびっくりしてピアノの演奏が止まっちゃったけどごめんね!

 

「あ、えとその...論外かと...」

 

「ろ、論外...」

 

思ったよりキッツいこと言うなこのお姉さん!?亘一さんにクリティカルダメージが入ったぞ

だがここは心を鬼にしないといけないところだ。いやホントにマジでじゃないと色々終わる気がする。というかなんでお金持ちでイケメンで家柄がいい人がここまで恋愛音痴なんだよ!おかしいだろ!

 

「そう、論外です。もちろん一般的な婚約者に渡すなら構わないですが正直言って亘一さんと彼女さんの関係は一般的な関係ではありません」

 

「そうか...そのとおりだな...では僕は何をプレゼントしたら...」

 

「それは自分で考えてください。というかそこには俺は絶対に口を出しません。」

 

「な、なぜだ」

 

「彼女にプレゼントするものを知り合いに言われたからそれにするとか正直許せません。俺はプレゼントってのはその人のことを考える時間もプレゼントの一部だと思ってます。」

 

「...詳しく聞かせてくれ」

 

「要するにあれです。彼女がそのプレゼントをもらってどう思うかってことです。俺が彼女側ならいっぱい自分のことを考えて悩んで決めてくれたプレゼントってのはどんなものであってもうれしいはずですから」

 

ただし好きな人にもらう場合に限るだけどな!!(それとイケメン)亘一さんはイケメン側なので大丈夫だろたぶん

 

「なるほど...そうなのか...わかったしっかりと考えて選ぶことにする」

 

「ぜひそうしてください」

 

ほら、バーのマスターもピアノのお姉さんも俺に拍手してくれてるよ。どうもどうも。

 

「さて、次に聞きたいんですがそんな関係でデートとかはしているんですか?」

 

さすがにここは気になる。全く連絡を取っていないとかなら普通にやばい。プレゼントを渡す難易度が高くなる。

 

「あぁ月に一度は食事会をしている」

 

「二人だけで?」

 

「二人だけだ」

 

「おぉ...いいじゃないっすか。」

 

「あぁ、ただ僕は緊張しすぎて食事の味すらわからないけどな」

 

「...まぁそれは理解できます」

 

俺も朱音と付き合う前はそうだったし。

 

「そうかわかってくれるか」

 

「はい、ただ付き合っている関係でそれはだめです。終わってます」

 

「お、終わってる!?」

 

「えぇ、終わってます。では次に緊張する理由をお聞きしてもいいですか?可愛すぎる以外で」

 

「ーーふむ、考えたことがなかった。すまない少し考えさせてくれ」

 

亘一さんはそう言って少し目を閉じ考え始めた。そうして3分ほど時間がたった後亘一さんがなぜか苦しそうな顔で話し始めた。

 

「...おそらく、でいいか?」

 

「もちろん」

 

「怖いんだと思う」

 

「ーーなるほど」

 

「あぁ、そうだ。怖いんだ。先生に考えろと言われてやっと気が付いた。かわいいから緊張しているのが6割残り4割は恐怖だ。」

 

「なんとなく理由もわかりますが一応理由を聞いても?」

 

まぁ予想はついてたよ。亘一さんと彼女さんの関係を聞いた段階で。俺が亘一さんにそう聞くと亘一さんは大きく息を吸ってからゆっくりと話し始めた。

 

「...僕は彼女に嫌われているんじゃないかとおびえているんだ、おそらくな。」

 

亘一さんはそう言って自嘲気味に笑った。

 

「僕みたいなやつのせいで人生を生き方を縛られ恨んでいるんではないかということに、だから彼女の前で何もできなくなるんだ。僕が何かした時の彼女の様子を見てそれを確信することが嫌で何もできなくなっている。」

 

「でしょうね。」

 

「はは、さすがにわかるか...」

 

「えぇ、俺と似てます。多分ですけどそれに加えて彼女さんと一緒に外を歩くの苦手でしょう?」

 

「ーーあぁ、よくわかるな。そうだよ、だから移動は基本車だ。そちらの方が楽だっていう気持ちもあるけどね」

 

んー、やっぱり俺と似てるなぁ、細かいところと男側のスペックの差はめちゃくちゃあるけど。あれかな?やっぱりベタぼれしている人が彼女になった時に男は同じようなことで悩むのかな?よくわからんが。ま、とりあえず

 

「すこし、俺の話もしていいですか?」

 

ちょっと長くなるかもだけどたぶんこの人には俺の経験談の方が刺さるはずだ。

 

「あ、あぁもちろんだ。むしろ先生の話はぜひ聞きたい」

 

先生って言われるの少しむず痒いんだが...まぁいっか

 

「では、失礼して。えーとですね俺には世界で一番かわいい彼女がいるんですが」

 

「いや、世界で一番かわいいのは僕の婚約者だが」

 

「いや、俺の彼女です」

 

「僕の婚約者だ」

 

「…」

 

「…」

 

「「あ゛ぁ?」」

 

「お客様!?」

 

マスターに止められた。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

「えーとですね。まず俺は彼女と付き合うときに26回告白しました」

 

正直あんまり思えてないけどね。(意識が飛んでるときあったし)

 

「26それはすごいな...」

 

「えぇ。彼女からしたら迷惑この上なかったでしょうね」

 

半分意識失ってるやつからの告白だからな。普通に恐怖である。

 

「まぁそんな感じで死ぬほど告白してようやく付き合えたわけなんですが、そのあとが問題でした」

 

「...」

 

「俺彼女と目を合わせるだけでオーバーヒート起こして倒れそうになってたんですよ。この娘が俺の彼女なんだって感極まって。」

 

いやぁ、あの時は大変だった。告白回数が20回を超えたあたりで朱音が笑わない限り普通に話せていたのに付き合い始めてから朱音を目の前にすると意識が飛ぶんだもの

 

「…どうやって克服したんだい?」

 

「根性です」

 

「根性?」

 

「はい、オーバーヒートする毎日を過ごしているうちに気づいたんですよ。俺がこんな体たらくで彼女を幸せにできるのかって」

 

「ーー耳が痛いな」

 

「はは...俺は彼女に惚れた理由は、まぁいろいろあるんですけど、一番は彼女の笑顔だったんです。自分を救ってくれた笑顔に惚れたのに、彼女と付き合ってから心配しかかけてなくて、彼女の笑ってるところ一回でも見たか?って自問自答したんです。んで、そこから頑張って治しました」

 

気絶しそうになるたびに自分の頬をぶん殴ってたからな、ってそういえば絶対に傷ができるくらいの勢いで頬をぶん殴ってたのにまったく傷が残らなかったんだよなぁ、今思い返すとたぶん朱音が俺にばれないように回復魔法使ってくれてたんだろうね...いやぁ迷惑ばっかかけてるな

 

「なるほど根性か」

 

「えぇ、それに加えて彼女の隣を歩く覚悟もしたんです。」

 

「覚悟?」

 

「はい。俺の彼女ってガチのマジでかわいいんですよ。街歩けばすれ違った男が全員振り向くくらいの、そんな彼女の横に一緒に歩く男として俺は大丈夫なのか?ってずっと考えて自信が持てなかったんです。だってその時の俺が唯一誇れるものは彼女を振り向かせることができたってことだけでしたから」

 

あの時の俺にはほんとに何にもなかったから

 

「......」

 

「そんなくだらないことに悩んでるとクラスの女子に言われたんですよ。彼女の横に立つ男ならなんにももってなくても堂々としてろ、虚勢を張れあんたは朱音...あぁ彼女の名前なんですが、朱音の彼氏なんだろって」

 

あん時は本当にうじうじしてたからなぁ...付き合い始めてようやく彼女の横に立つってことがどんなことか自覚したんだ。学年で一番の美人さん、というかひいき目なしで日本一って言ってもいいほど整った顔、昔ヒーローを目指していた名残か彼女を慕う人が地元にはかなりいて朱音と外を歩くたびに声をかけられる。それでいて朱音のことを知らない男、いや男だけでなく女の人からも俺に向けてなんであんな奴がこんな美人と?って視線が飛んでくるんだから。まぁきつかった。

 

「そのクラスメイトの言葉聞いて覚悟決めたんすよ、俺じゃ役者不足かもしれないけど全力で虚勢張って彼女の彼氏として堂々とするって、それすらできないと俺は彼女の横に立つ資格なんてないって」

 

俺じゃ役者不足なのはわかった。心底理解した。けど朱音の隣だけは何が何でも譲りたくなかった。だから虚勢を張った。譲りたくなかったから、ここが俺の居場所だって自信をもって言いたかったから。おどおどしてる男が隣にいたら朱音に迷惑がかかる。なんで朱音みたいな人がこんな男を隣に居座らせてるんだって。だから全力で虚勢を張った。俺がここにいるのは当たり前だと自分に言い聞かせて。

 

「ーーなるほど」

 

「なーんか長くなったんですけど、要するに甘えんなってことっすね。甘えて悪くなるのは自分への評価じゃなくて彼女への評価なんですよ。そのおどおどした自信のない男が彼氏なの?って感じで。だから虚勢を張るんです。俺がここにいるのは当たり前だ。彼女は俺のものだ。絶対誰にも渡さない、彼女を一番幸せにできるのは自分だって」

 

「…」

 

俺のそんな恥ずかしくなるような話を聞いて亘一さんは黙って目を閉じ天井を見上げていた。

 

「亘一さんはどうですか?自分の好きな人の隣に立つ覚悟...いや、まず立とうとすることすらしてないんじゃないですか?」

 

でないと、自分の意思とは関係なく両親が気を利かせた婚約だったとしても、本当に覚悟ができていたらこんなことにはなってなかったはずだ。もちろん亘一さんの場合は俺とは違う、だって告白すらしていないんだから、なのに彼女になってしまった。亘一さんが彼女を幸せにしたい、いや自分の力でして見せるって覚悟を決める前にこうなってしまった。

 

そりゃ確かに足踏みするわ、けどそれとこれとでは話が別だ。亘一さんは彼女と付き合い始めてから何もしなかった。自分が嫌われているんじゃないかっていう確証を得たくなかったから。

 

でも、それでも、亘一さんが彼女さんのことを本気で好きならそのことも彼女さんに聞いてはっきりさせておくべきだったんだ。

 

じゃないと前に進めないから

 

「本当に耳が痛いな......」

 

亘一さんはそう言って天井から視線を下げ俺の方を見てそう言った。

 

ただ、さっきまでと違うのは

 

 

亘一さんの瞳が

 

 

覚悟を決めた男の瞳だったことかな?

 

いいね。いい目になった。

 

 

 




次回、亘一ライジング
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