『さぁ、ネタは上がってんだ!観念しろ』
『この会話は配信でアーカイブに残りますわよ、発言には気を付けろよ』
『怖ぇよ、立場逆転してない!?』
コメント:コイツ無敵かぁ?
コメント:自分の発言も残るんだよなぁ
コメント:自分で弁護するのか?
『あなた、通報内容確認しましたの?一語一句、私が発言したと言い切れまして?』
『いや、見たけどさ……でも、いつも口悪いじゃんお前』
『本当に?違ったら特定の意見に偏り、意図的に情報を操作したと判断しますよ』
『クソぉ……流せるように配信動画も用意しとけばよかった』
そうだろう、そうだろう、初回だから実際の映像は用意してなかった。
全部リスナーのDMだかツイートをコピペしただけだ。
企画の話が来た時点で、対策とキャラ作りは完璧だ。
この勝負、私の勝ちだ。
コメント:切り抜きを用意しとけば
コメント:口がよう回る
コメント:口が悪……今は悪くない!?
『ちなみに全部記憶にないですか?』
『そうですね。その発言の背景は分かりませんが、けして名誉毀損や殺害予告などの意図はありませんわ』
『言ったというのは事実なんですね』
『何ですか?文脈を無視して、言葉狩りですか?この裁判員制度も、私を訴えた方が混じってるんじゃないんですか?組織票で有罪判定なんて、警察が汚職なんて良いんですか』
コメント:でも事実だよね
コメント:はいかいいえで答えてね
コメント:この詰め方コイツのとこのリスナーだろ
『お前が文脈なんか考えて発言する訳ねぇじゃん』
『まぁ、聞きまして皆さん。この方、私を陥れようと私のリスナーと結託してますわ。どうせ、私に名誉毀損されたとか言うリスナー、見てるんでしょ。それが証拠ですわ』
『まぁ、じゃあ、名誉毀損は一旦置いときましょう。殺害予告はマズイですよ』
コメント:息を吐くようにしてそう
コメント:口が爆発の個性持ちなんよ
コメント:どうやっても切り抜けられんだろ
『確かにマズいですわ。でも、それが本心かどうかが重要では?』
『はぁ?どういうことだよ』
『例えば顔を真っ赤にした女の子がバカと言ったり、風呂場でラッキースケベがあった時に死ねと言ったり、思わず出た発言に馬鹿にする意識や殺意があったとは言えないんじゃ』
『いやまぁ、言えないけどさ』
『はい、じゃあ殺害予告は誤解ですわね』
コメント:そうか?そうかも……
コメント:ツンデレ、そういうのもあるのか
コメント:騙されるな普通に殺意あるぞ
『詐欺は、詐欺はどうなんですか?』
『私、当たるなんて言ってませんけど、私の予想をツイートしただけでしたのに、そもそも騙し取った金銭があるんですか?』
『競馬の予想しただけだしなぁ……』
コメント:ダメだ署長が論破されてる
コメント:えっ無罪パターンとかあるの?
コメント:勝手に負けただけだもんなぁ
『いやでも、やっぱり名誉毀損は通るんじゃないんですか?』
『誤解ですわよ。髪の毛ギトギトはモテないとか、自認が胡蝶舞姫の方に異常者であると事実を指摘したまでで、自認が胡蝶舞姫は異常ではないと?』
『いや、いやまぁ……異常か、それは……』
コメント:ハゲはどうなんですかハゲは!
コメント:髪の話はしてなかったやろ……
コメント:確かに化物みたいなリスナーの巣窟だしな
『事実の指摘、照れ隠し、ただ競馬を予想しただけ。全ての罪は誤解だと分かって頂けたようで、何よりですわ』
『えぇ……あれ、でもさ……競馬って成人してからだから17歳じゃやっちゃいけないんじゃ』
『いや、あれ設定だから……あっ』
『あっ……』
コメント:ね、年齢詐称……
コメント:ノンデリによって失言が
コメント:永遠の17歳だから……
コメント:17歳3年目だからギリ
『貴方これ、経歴詐称になるか賭博罪的なのがアウトなんじゃ』
『黙秘しますわ……』
『じゃあね、最後に一言どうぞ。これから判決しますんでね』
『みんな胡蝶分かんない、助けて、胡蝶無実だよぉ……』
コメント:かわいい
コメント:猫被るな
コメント:解釈不一致でダメ
コメント:女出すな
コメント:胡蝶はね、何もかも滅茶苦茶じゃないとダメなの
『チッ……』
『今、舌打ちしました!?』
『投げキッス投げキッス』
コメント:有罪
コメント:無罪
コメント:有罪
コメント:Guilty
コメント:有罪
『有罪多数!ということで、経歴詐称とか何かアレで逮捕!』
『しゅ、修道院だけは嫌だ!修道院だけは嫌だ!』
『いや、お前の場合アズカバンだろ』
コメント:アズカバァァァン!
コメント:ギロチンじゃないだけマシか
コメント:年齢差称でザマァされるんか
私の画像が、鉄格子の画像に重ねられる。
司法制度崩壊してるけど、バーチャルな謎の国家権力なので逮捕からの有罪が出来るんだろう。
クソ、お前予定にないとこで判定覆すのはズルやんけ。
永遠の17歳設定なんか、誰も覚えてねぇよ……なんで覚えてんだよ。
同期との配信は意外と盛り上がった。
まぁ、盛り上がるのが分かってる一大コンテンツだ、勝ち馬でしかない。
炎上に関しては、そもそも燃やしてたのはフェミと何も知らない一般ユーザーだ。
何人か吊るし上げるかのように開示請求して、公式から示談が成立したと発表があったら鎮火した。
最初は気合の入った奴が開示請求来たんだけどみたいな実況してたんだが、途中でアカウントを消して逃亡。
鍵垢に何名かしたり、擁護してた奴が話題に出さなくなったりもした。
知らない一般ユーザーは、まとめサイト等から情報を仕入れてたのか、悲報ツイフェミさん開示請求されてしまうみたいに、真逆の意見でまとめサイトが出てきたら、ツイフェミを叩きに流れていった。
なお、ウチのリスナーは煽るだけ煽って草とか言って一番いい空気吸ってる。
やめなさいよ、民度悪いってだから言われてんのよ。
さて、まぁ、そっちの問題は良いのだ。
問題は、その結果どうなったかということだけだ。
予定通り、桜もち先輩と豊穣マリさんのオフコラボは普通に行われた。
「アハハ、変わってるわ……」
リスナーの方から、やめた方がいいということでサプライズの同人誌はケーキに変更されてた。
冷蔵庫に同人誌は冷やされず、ケーキが冷やしてあるのだ。
アーカイブは普通に残ったし、謝罪配信も炎上しないことでなくなった。
そう、私が働きかけたことで未来は変わったのだ。
つまりは、私が今後起きる事の全てに責任が生じるという事に他ならない。
私なら、私だけが、未来を変えられるからだ。
今までみたいに、自分の為だけに未来の知識を使うのではなく、他人の為に使う事も出来るのだ。
変えられなかった場合、それは私が変える気がなかったということになるはずだ。
私が変えられると思えば変えられるし、変えようと思わなければきっと変わらないのだ。
「重っ……」
なんで私にそんな選択肢を与えたのか、しんどいわ。
ジュー、と肉の焼ける音がする。
行きつけの、個室の、ちょっとお高い焼肉だ。
金ならあるんや、と言う状態だから来れるけど、前世じゃ来れなかったところだ。
焼き上がったお肉を、目の前の皿に入れて、自分の皿にも入れる。
やっぱり最初はタンだよね、薄いのも厚いのも好き。
「うわぁ……すごいね。こ、こんな高いとこ来たことないよ」
「ははは、そうっすね……」
「ま、まぁ、先輩ですし!今日は支払い任せてもらって」
「いや、大丈夫です。本当、今後誘えなくなるので割り勘で、ハハハ」
で、現実逃避しようと思ってた訳だが、それは出来ないらしい。
「お肉焼けました」
「肉も焼けたけど……燃えたね……」
「そ、そうっすね……」
「ごめんね、まさか燃えるとは……」
何でか分からないが、私は桜もち先輩と飯に来ていた。
そして反省会をして、家に帰るのだが終始謝られるというね。
いや、まあ、うん、気まずかったなぁ……。