最近、やたらとコラボに対してお気持ちが届いていた。
コラボ相手がおもしろいのであって私がおもしろいのではないとか、コラボばかりでつまらないとか、なんでこんなことしてるのか分からないとか。
まぁ、全ての人間が納得というか肯定する物は提供出来ない。
出来ないとはいえ、私を肯定しない奴はアンチだ開示請求だとかはしない。
むしろ、アンチがいるとなんか安心する。
なんだろう、例えば設計とかの図面、見積もりの確認、部下の進捗状況とか、まぁ前世の公務員時代だけど、想定通りに進んでると不安になるアレに近い気がする。
決裁がストレートで通ったり、ミスがなかったり、想定より早く終わってたり、そういう上手く行き過ぎてると、いつもはこうじゃないのに大丈夫か?本当に上手く行ってる?ってなる奴である。
アンチというのは度が過ぎればクソなんだけど、中にはアンチか?いや、まぁ、ウザいお気持ちだとしても一理あるかという物もあるのだ。
こういうの受け止め過ぎちゃうタイプは病んじゃいそうだよな……まぁ、メンタル強いから私は平気だけどね。
とはいえ、8割くらいは面白いとかコラボもっとしろとか言ってたりする。
コラボって何でやるのって言うと、別の人のファンを取り込めたり、その人のファンや自分のファンが切り抜きをあげたり、普段知らない関係性のやりとりとかを見れたりするのだ。
ということで、そんなわけで、今日も今日とて、コラボである。
画面に4人のVチューバーが映っていた。
今日やるのは、いつもお世話になっている三天堂さんのマリオンパーティー。
マリオンという髭面の親父と愉快な仲間達がミニゲームで遊ぶゲームである。
『はい!はじまりましたー』
『はじま……あっ、あっ』
『オイ!開幕からグダグダじゃねぇーか』
『わーい』
メンバーは、豊穣マリさん、胡蝶舞姫、真島ココさん、黒鉄ノエルさんである。
なお、私とココさんはマリオンパーティー初である。
いや、私に至っては初というのは今世の話で、前世ではやったことある……友達がやってたから。
『ちょっと、最近コラボしてたのに慣れてないんですかぁ?ソロ専ですか?』
『被せないようにするの難しい』
『…………』
『…………』
『他の人達が空気読みし始めてるんですけど、はいはい、始めますよ!あー、気まずっ!』
いや、気まずい奴はそんなことは言わない。
とはいえ、コラボとはターン制バトルのような物。
人が喋ってる時に被せすぎると何言ってるか分からないのである。
だから、誰かが喋ったら黙らないといけない。
これはコラボの人数が増えれば増えるほど難しくなっていく。
楽しげに見える会話の裏では空気読みが発生しているのだ。
なお、今みたいに様子見し過ぎると誰も喋らない無言の時間が発生する。
別に無言の時間とかは良いんだけど、それが長く続くと放送事故に見えたりするのがVTuberの難しいところだ。
特にゲーム配信とか、今は始まる前の雑談タイムだから、ゲームプレイに集中しているとか思われないしね。
仲悪いのかな、みたいに思える、そういう風に見えなくもない。
『ココさんは初めてということでどういうゲームか説明しますね。まずみんなで双六をやります。サイコロを振ってその数だけ進みます。それでミニゲームをやって、コインを集めてスターを買います。スターを最後まで持ってた人が勝ちです。それではね、尺とか考えて15ターンくらいでやりましょうか』
『おぉ、そういう感じなんですね』
『うっふ~ん、ココさんの初めてはこの私!豊穣マリがいただいた』
『あっ、そういう感じなんですねぇ〜』
がしかし、そこはベテラン。
将来的にも知名度がすごいことになる女、卒なくMCをこなしていく。
やっぱ喋れる人は売れるんだな、納得。
あと、いつもの下ネタギリギリ発言に半笑いで応じるココさんであった。
一応、裏の名目としては思い出作りですよね?
リスナーとかは知らんけど、私と同じタイミングで退職のことは知ってるはずだろうしな。
『それでは、感想等は#タグ爆乳マリパで呟いてくださいね。あっ、1人だけロリがいる』
『いやあるが!?Dは公式設定であるが!?』
『誰も胡蝶さんとは言ってないんだよなぁ……マヌケは見つかったようだな!』
『ハッ……馬鹿な、私以外意味わかんない大きさなのが悪い』
『まぁまぁ、マリちゃんも小さいからどんぐりの背比べだよ』
そう言って、私達の仲裁に入った黒鉄ノエルさんはキャラも中身も爆乳の女だった。
脅威の胸囲、Kカップである。
本人もKnightカップとかネタにしている。
『はぁ!?爆乳なんだが!クソぉ、自分がデカいからって相対的に見下しやがって』
『これがフォローのやり方か!』
『…………』
『し、死んでる!胡蝶さん、もっと喋ってくださいよ。配信何年目ですかって!』
『いや、お前後輩な。我、フォローぞ?バチバチの縦社会ぞ?』
『これが修羅場って奴かぁ〜』
わぁわぁと開幕騒がしい開始の挨拶が終わり、いよいよゲームが始まる。
それにしても、互いの空気が気まずくなっても話を回していく事で、実はそんなことなかったみたいな感じでゴリ押せるのは凄いなぁ。
あと、ちょいちょい他の人が話すタイミングを気にして会話に混ざれてないのは事実だから反省しないとな。
『ちょ、船長!私からコインを取らないで下さいよ〜』
『うるせー!あれ、あれだ、みかじめ料?って奴だよ!これがフォローのやり方なんです!』
『あっ、スター貰いますね』
『おい!何ちゃっかりスター取ってんだ!お金って大事だから、コインは取っておくべきなんですけど!』
『何なんだよぉ〜、私だけコインもスターもねぇよ〜』
『ノエル!何泣いてんだ!甘えんじゃねぇよ!』
いやぁ、すごいな……てかずっと喋ってるな。
殆ど1人で喋ってないか、他の私を含めた3人も話してるけど常に会話に入ってくる。
『これはですね、ココさんが左右に逃げるのを我々がロボットの腕を上から下に下ろして倒すミニゲームですからね、練習終わったらLボタンとRボタン押して、あぁ、そうですね』
『3対1かぁ、やってやりますよ!』
『わー!ダメだ、おしまいだ!』
『まだ始まったばかりだろ!弱音を吐くな、ノエルぅぅぅ!』
しかも、初心者に説明しつつ同期がゲーム下手で萎えてるのをフォローしたり、意外と気を遣ってる。
本当は先輩の私がしないといけないのに、ゲームしながらたまにボソッと喋るだけしか出来てない。
『さぁ、そろそろ終わりですけどね。船長、もっとココさんとせっかくなら仲良くなりたくてですね』
『ハッ!?な、なんだって……こーれは、仲良しになるチャンスですね』
『ココさんじゃなくて、ココって呼んでもいいかな?』
『てぇてぇ、てぇてぇ』
『ハッ……もう一回言ってもらってもいいか?』
ゴクリと、息を呑む音が聞こえる。
緊張感がなんか漂ってきた。
『ココ……』
『さんをつけろよ!デコ助やろぉぉぉ!』
『クソが、死ねぇぇぇ!』
そして、私達の画面がエンディングに切り替わる。
何となくオチは読めていたが、それでも普通に面白い。
ちゃんと切り抜かれる撮れ高を作りつつ、グダらないようにエンディングに切り替える。
意図的にやってるとしたら流石としか言えない。
まぁ、これが面白いと思えるのは、それぞれの関係性とか人となりを知ってる上で、ネタが理解出来る奴だけだけど。
知ってる人の少ないのがサブカルチャーと言えば、サブカルチャーか。
とはいえ、世界にまで知名度を広げていく後輩の実力を見せつけられたぜ。