胡蝶の夢、或いは不労所得の夢   作:nyasu

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ノープラン雑談

2021年の9月、世間じゃ総理大臣が辞めるらしい。

中継ぎだったし、携帯安くしたくらいしか仕事してなかったな、なんて言われて世の中は期待感に胸を膨らませていた。

経済の世界では総理大臣が代わるとみんな景気が良くなると期待するからだ。

 

ワクチン接種も開始して、エッセンシャルワーカーなる単語が聞こえてきたりもした。

老人や医療従事者を中心に順次接種が始まったのだ。

 

最も直近までやってた東京オリンピックのせいでコロナが広がるなんて意見や、やる意味なんてないとか騒ぐ人もいるくらいにはコロナはまだ終わってない。

 

 

 

そんな日本と離れた場所では、我が国の建築力は世界一ィィィ!とか宣ってた中国の不動産業界が危なそうとか言われ始める。

一部のローンの支払いが追いついてないのにドンドン建築してるところあるけど経営大丈夫?的な感じだ。

 

元々共産主義で家が欲しくても買えない国だったのだが、90年代くらいから買えるようになった経緯がある。

ただ、基本的に個人が買うものではないという事からお値段は高めだったし、それでもと需要はあったので不動産は価格が高騰。

 

ローンの基準も厳しくしてもバンバン入る、住宅価格は上がるけど買われる、不動産業界はコロナだろうと金持ちで溢れる。

中国の価値観では不動産とは金と同じくらい安全資産であり、不景気に強いという考えが根底にあったのだ。

という訳で銀行は不動産を担保にお金を貸したりして、その金でローンの支払いが終わる前に新しいの建てて、建てた奴を担保にお金借りて、なんてことをやってるところがあった。

 

世の中は、どこかで聞いたことある話だな、お金あるところから奪いに行くお国柄だから次の政策で締め付けあるんかな、不動産業界以外は不景気だけど不動産業界にちゃんとお金は支払われるかなとか、色んな不安が立ち込めていた。

 

 

 

更に遠くのアメリカでは、コロナの不景気を切っ掛けにテーパリングの話が出た。

テーパリングとは何ぞやというと、まぁ、要するには金融緩和をやめて良い感じに終わろうっていう出口への戦略だ。

 

日本に限らず世界中で不景気対策として金融緩和政策を実施していた。

超金融緩和とかマイナス金利とか世間じゃ騒がれてるが仕組みを分かってる人は、株とかやってないならあんまいない。

 

金利の話で、景気のアクセル踏みまくってスピード出まくったからブレーキを踏んでいくよってイメージだ。

そのテーパリングについて、FOMCというところで話し合いが行われたってのが最近の話。

これから景気にブレーキを掛けてインフレを抑えようねって。

 

 

 

そんなマクロな話とは別で、身の回りのミクロな話をしよう。

不動産や金融と違う我らがVTuber業界では、衝撃的な事件が起きた。

インターネットキャバクラ等と言われるくらい、比較的に男性ファンが多いVTuber業界で男性の配信者にも関わらず、ツースリーの九頭さんが100万人を突破したのだ。

数字で見ても男より女の方が人気があると言われる業界で、実はすごいことだったりする。

 

そんなお隣さんに負けずに、フォローライブの方では大型コラボが実現したりした。

セパ野球リーグとのコラボである。

各球団とコラボなんかして、野球ファンからVTuberとか言うよく分かんねぇの使うなよ、だから負けたんだよなんてお気持ち表明されたり、世間的には初の試みに拒否反応が出ていた。

 

後は本格的にリリースされて2ヶ月経ったショート動画が流行り始めた。

まぁ、まだ60秒しか出来ないならもっと長く出来る他のサービスの方が良くないかとか、ショート動画を先にやってるアプリのパクリやんとか言われてたりもするけど。

 

 

 

部屋の中で1人、パソコンの前で仕事を終えて、ゲーミングチェアにこれでもかと体重を掛けて背伸びする。

天井が見える頃にはポキポキと身体から異音がした。

胸は柔らかいのに背中は硬い、人間はかくも矛盾を孕んだ生き物だな、なんてアホなことを思った。

 

「ふむ」

 

クソデカTシャツとスウェット、そんなラフな格好の私。

背中を仰け反らせたら、Tシャツを押し上げてへにゃっと潰れる胸。

試しに揉んだが自分のだから何も感慨深くない。

 

この身体になったことは嫌だったのだが、先日のライブでは身体の柔らかさによるダンスとか、声の高さによる歌声がちょっと良い感じにメリットを感じれたので、少しだけ自分の事が好きになれた気がする。

 

「よし」

 

未来の事が書かれたノート、電子化を進めてパソコンの中にも入れてあるノートの中身、それらを見るとこれからも色々ありそうだ。

もう覚えてたり覚えてなかったり一通り見るが、やはり私の思い出せる限りの記憶は、何故か衛生ちゃんの武道館ライブ直前から急に途切れている。

要は、死んだのがその辺りなのだが、どうあっても死んだ瞬間は思い出せない。

或いは、思い出したくないのだろうか。

その辺の記憶は曖昧だし、何だか気分が悪くなってくるのもある。

 

「やるか」

 

一旦、本当は考えなきゃいけない問題は棚上げして配信する事にした。

これからの事とかリスナーと話したいなとか思ったからだ。

ライブがある意味、心境の節目になったってのもある。

 

 

 

オープニングが流れ、私のアバターが映される。

画面に映された胡蝶舞姫、そして最近出した最新曲のインストゥルメンタルが流れている。

雑談に向かないな、普通のフリー音源のほうに直しとこう。

 

 

「こんこちょ〜、胡蝶舞姫です……はい、お疲れ様でーす」

 

コメント:久し振りの雑談

コメント:最近、配信少なくね?

コメント:サボるな働け

 

「すみませんね、最近は案件とかレッスンとか配信外の活動が多くて」

 

コメント:なんか最近どこもそんなだな

コメント:昔は配信多かったのにな

コメント:推しが売れてるから配信なくてもいいよ

 

「今日は何するの?実は何も考えてないので話題提供して」

 

コメント:サボるなw

コメント:ノープラン雑談ですか

コメント:新曲とか案件の話は?

 

「案件ね、具体的には言えないけど今年から多くなるね。あー、そうだね最近みんな増えてきてるね。それは人によるんじゃない、私は人より少ないから定期的に配信はできる方だと思うよ」

 

コメント:案件しながら配信は厳しいか

コメント:ボタン押すだけじゃね

コメント:配信多いと案件やってないとか言われそう

 

「案件の種類によっては拘束されるしね。会社が大きくなろうとしてる時期だし、個人より案件貰えるのは企業のメリットだよね」

 

コメント:コロナだし生活厳しそう

コメント:だからお前案件増やして……

コメント:スパチャ出来なくしやがって

 

「いや、しようとしなくていいよ。これからはね、もっとこう積極的に行こうかなって」

 

コメント:へぇ、フォローにこんな子いたんだね

コメント:なんか心境の変化か

コメント:最近新規多いなぁ

 

「あっ、胡蝶舞姫です。一応、三年目です……」

 

コメント:4年目やぞ草

コメント:似たようなの他で見たぞ(笑)

コメント:配信してないからぁ

 

「違うよ、あれ、ショートとかで新しい人が来たんだよ」

 

コメント:新規は増えたな

コメント:狙ってミームになった女

コメント:新曲で遊ぶから

 

「急に音楽小さくなってサビ来るから、オチが来るって分かりやすいでしょ」

 

コメント:歌詞は知らんのにBGMだけ認知されてる

コメント:ハサウェイに通ずるものがある

コメント:曲が聞こえたら失敗するの察する

 

「まぁ、今までのままだと伸び悩んでるからね……」

 

コメント:お前が数字を気にするなんて

コメント:成長なのか?

コメント:つまんないし没個性だからな

 

「新規さんも増えてきたしね、あっ、これからバズる方法について話すか。話題決定な」

 

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