胡蝶の夢、或いは不労所得の夢   作:nyasu

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胡蝶舞姫と市川ホールディングス代表市川胡蝶

法律関係や税理士関係の話はよく分からない。

私が知ってる知識よりも、やはり専門家の方が詳しいのだ。

ので、弁護士先生と税理士先生を呼んだ。

 

「ってことでよろしくお願いします」

「無理でーすー!おかしい……ヤバ過ぎる」

「でもこないだ対応してくれたじゃないですか」

 

向こうの会社の社長に呼び出しされるにあたって、私は情報共有をする事にした。

殆どはプライベートバンカーがやってくれるけど、胡蝶舞姫としての法人関係で関わりがあるからだ。

法人間のやりとりがあれば関わってくる2人、そのため情報共有する訳である。

 

こういう時に使えるんだなって、初めてレンタルルームというのを借りた。

レンタルルームとは、1時間500円から10000円と幅はあるものの、お金を払ったら利用できる部屋のレンタルだ。

 

会議室のようなものや、実際の家の中のようなもの、漫画喫茶みたいなものまで色々ある。

テレワークとかカップルがやらしい事とかするのに需要があるらしい、そうなんだ。

レンタルルームで経費の中にコンドームあってブチギレた話を聞いた。

 

「何でもかんでも経費で落とせる訳じゃないんですよ。ちゃんと説明出来ないといけませんからね」

「まぁまぁ、大変なんですね」

「大変なのは、市川さん関係ですよー!うわぁ、またぁ徹夜だ」

 

人前なのに、税理士先生がレンタルルームに有ったクッションに顔を埋めて叫んでいた。

すごい、ソファとかテーブルある。

あっ、ホワイトボードの上からスクリーン出てくるんだ。

プロジェクター……天井に吊るすやつある。

 

「先生。幼児退行しないで下さい、ねぇそう思いますよね」

「うーむ、私に振られてもメンタルケアは出来ないですね」

「私の会社でやれること、1人で出来るようになったんですよ!普通、分野ごとに分かれるのに!配信・デジタル収益・クリエイター事情にめちゃ詳しい税理士ってキャリアはすごいけど!」

 

でもお陰で忙しいと、ソファーに身を投げ出してバタバタしだした。

何だコイツおもしれー女、情緒イカれてんのか、社会人だろ?

 

「普段はこうじゃないんですけどね、ほら周りの目もないですし、知り合いだからかも……いや、やっぱりおかしいか」

「これ訴えられたら弁護してもらえます?」

「はぁ……仕事の話をしましょうか」

「うおっ、急にスンとすんな……」

 

さっきまでの何だったのか、テーブルの方にやってくる税理士先生。

私が弁護士先生と話してたら、仕事モードに切り替えてくれた。

 

「株で稼いでたのは知ってましたが、軽率に情報共有しないで下さい。機密保持契約とか色々あります、その辺は大丈夫なのは知ってますけどね!はい!」

「うんうん、落ち着いて。私がいるからね、大丈夫だよ」

「分かってないですよ!この前、会社巻き込んで大変だったんですよ」

「あー、アメリカの時の奴。先生だけじゃなかったんだ」

「そーいうとこー!今の本人じゃなかったら機密保持違反ですよ!」

 

あー、そっか弁護士先生は知らないもんね。

 

「数億単位はウチでも出来ますよ。でもウチの相手は中小とかなんです。最近もフォローさんは稼いでますけど、会社の方は大手さんじゃないですか。いやウチも大手ですけど、準なんで数十億単位なんて高度な知識のいる仕事は出来ないんですよ」

「その辺は証券会社の人が色々やってくれるらしいから、ほらそれより今任せてるVTuberの方があるから、お二人には共有しないとじゃないですか」

「VTuber名義の事務所からの資金移動ですよね、契約とかIP関連は任せてるから大丈夫ですけど、社労士がいるな」

 

社労士って何?と首を傾げる。

そんな私の様子を見た2人が、信じられないようなものを見たような顔をしてからため息を吐いた。

 

「社会保険労務士ですよ」

「あー、あれね!辞めさせられない人を辞めさせる、公務員時代に知ってたわ」

「……胡蝶さん知ったか辞めてください。あなた、公務員になったことないの知ってますからね。あと、そういう仕事じゃないです、グレーなケースでよくありますけど」

「そ、そうだね……あれ、あの、向こうの人がやってくれるらしいからファミリーオフィスって奴らしい」

 

あっ、そっかそうだった。

うっかり失言してしまったと口を押さえる。

どうやら知ったかだと……それはそれで私のイメージに関わるから嫌だけど、知ったかぶってると思われたらしい。

 

「今回のは正式な手続きを踏んだファミリーオフィスということであれば、社労士はいりません。ざっくり言うと就業規則や雇用契約、保険の人なので社員がいないならば大丈夫です」

「ペーパーカンパニーってマズイんじゃないの?」

「ペーパーはマズイですよ。ただその会社に実態である口座や契約、あと記録があれば合法です。節税対策や資産に動きがない場合は税務署に否認されますが、今回のケースは今後そこを通して投資すれば投資会社としての実態とみなせます」

 

なるほどな、それがファミリーオフィスって奴なのか。

 

「事務所設立や起業となればマネージャーや編集スタッフ、事務員、社労士、弁護士、税理士、人が複数必要ですが、資産運用目的なら1人でやるパターンは多いです」

「うん、これを機に法人化も進めてこっちとあっちで年に何回か打ち合わせ出来たら、なんて考えてます」

「この……市川ホールディングスさんと胡蝶舞姫さんですよね。これ市川胡蝶代表になってますからVの方が身バレしますね。うーん登記あたりは別住所に、銀行名義と契約書からバレる可能性はありますが、市川ホールディングスの名前変えませんか?」

「法人名を挟んでも大量保有報告書でどうせバレるから今更では?」

 

それもそうかと言う話になった。

さて、税務関係の話はこれで終わりになった。

次は法務関係だ。

 

「私から言えることは、インサイダーや相場操縦、無登録投資助言ですね」

「おぉ……」

「インサイダーはこれから投資関連の法人を行う事で、何か活動で聞いたことを理由に買ってしまう事ですね。このへんは事実関係の証明が難しいので、案件などで関わった企業のはそもそも買わないか時間を置くべきですね」

 

確かに、例えば案件先で新発売の商品が出るとか聞いて先に買ってたらインサイダーになったりするかもしれない。

 

「相場操縦は例えば配信で今度出るゲームが面白そうとか、メメント・モリですか?言っちゃう感じですね」

「メメントの森です、メメント、意味は分かってないけど」

「記念や形見だったかな。はー、何かアイテムを集めるゲームなんですかね」

「それぞれのキャラクターの物語を読むようなゲームですね。放置ゲーだし、今ってずーとゲームしないといけないじゃないですか。隙間時間にちょっとやって、あと専用音楽もあってですね。すごくおもしろそうで――」

「ストップ。今のです、今のがまずい。雑談でそういった煽動するよな発言は気を付けてくださいね」

 

ニコニコしながら弁護士先生はそう言うが、今の誘導尋問はわざとやったに違いなかった。

なんて人だ、慌てる私を見て楽しんでやがるな。

 

「最後は法人化することで調べようとすれば、その法人の事が分かります。配信でも気をつけるように言いましたけど、投資の助言行為、これを買ったほうがいいなどは気を付けましょうね」

「はい……」

「年に数回、向こうの担当者さんとも話す機会が出るんですね。いやぁ、それにしてもすごいなぁ。本当にすごいんだよなぁ」

「もう褒めてもお歳暮とか豪勢になるだけですよ!」

「辞めてくださいね。ウチ、貰ったりしたらコンプライアンス違反で処罰の対象になりますんで、最近は厳しいんですよ」

 

そ、そうなんだ……

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