2021年11月下旬、FollowXのデビュー配信が行われる。
それに伴い、事務所からは同時視聴はしないで下さいとお願いされた。
よく考えたら、今はみんなやってないので黙認されていたのが可笑しかったのだ。
デビュー配信は一日ずつ行われる。
トップバッターはラプラス・ダーク、次の日が高音ルイ、そして翌日に博士こより、次は逆叉クロ、その次は風魔いろは、と毎日トレンドに乗るのを狙って運営が仕掛けた。
ちなみに、彼女達は時代の転換期にデビューする。
コロナによる環境の変化は、我々の生活を苦しめると共に適応という形で時代を進化させた。
それは、直接会うべきだ、電話やメールは失礼という考えの否定から始まり、接触しないで社会活動が出来なくてはならないと必要を生み出し、通信技術関連は需要がある、配信業界も金になると、資金が流れ込んだ。
それにより発展した技術の恩恵によって、リモートワークが増えた。
そして、それを可能とする通信技術の進歩はスマホで簡単に対象の動きを捉える技術に繋がり、そこから機材がなくても誰でもスマホ1つでVTuberになれる、機械を弄らなくてもゲーム配信が出来る、極端に言えば簡単に個人勢としてVTuberの活動が出来る時代を作り上げた。
要するに、VTuberやりたいだけなら事務所じゃなくても出来るよという時代で、フォローライブでVTuberになりたいという世代である。
そこまでこだわりがなければ、アプリのテンプレートで即日VTuberになれるからな。
プラットフォームが違うからライバーとか言われてるけど。
まぁ、VTuberをやるからフォローライブに所属するではなく、フォローライブに所属したいからVTuberをやる。
フォローライブという物がブランド化し始めた時代だ。
そして、それによる影響をデビューするメンバー全員が受けている。
彼女たちの世代の特徴は、VTuberもフォローライブも知ってる前提の世代である。
まず彼女達自体だが、実際に所属しているメンバーを推してる世代の子である。
アイドル業界とか、声優業界とかでもあるのだが、昔見ていた作品とかから知ってデビューしました。
これからは同業者です、みたいな。
子供の時に見ていたアニメが自分の作品で慄く声優とか聞いたことあるかもしれない。
VTuberはリスナーに名前を付ける独特のファンネームという文化があるが、ファンが同業者になるのだ。
私で言うところのマイメンがデビューする感じ……キャラがヤバそう。
そしてリスナーからしたら、同じファンがVTuberになる。
中の人なんて居ないという暗黙の了解が、薄れて、より身近な存在になる転換期でもあった。
画面の向こうの選ばれた人から、今までこちらにいたファンから選ばれた人になったのである。
6期生、トップバッターの配信。
既に同接、いわゆる同時接続は1.6万人を超えていた。
今日は、色々なメンバーが配信の話を事前にツイートしていたのも理由かもしれない。
初配信楽しみ!なんて推しが書いてたら見るって寸法である。
画面には巨大な角が2つ生えた小さい子供が映っている。
銀髪ロング、紫の角が2つ、大人気ラノベアニメのイラストレーターさんが小さい子供を描いてくれている。
『この配信を見ているオタク達、諸君!吾輩の名前は、ラプラス・ダークだ!』
コメント:かわいい
コメント:声かわいい
コメント:きちゃー!
しばらく雑談が行われたあと、初配信だからか、自己紹介用の動画が流れてくる。
自分で作ったのだろうか。
『ラプラスの魔というのは全ての力学的、物理的な状態を完全に把握する能力を持つが故に未来を含む宇宙の全運動を知り得る超人間的知性の事である!これが吾輩、そしてその力を封印する装置が5個も付けられている』
意味不明である。
メンバーからは、トワに分かるように説明しろ後輩やエグゾディアってこと?はーん、なるほどね分かった!など多数意見が寄せられていた。
『お前ら、吾輩のお名前はラプラス・ダークだ!吾輩が、刮目せよって言ったら貴様らはイエスマイダークって言え、分かったな……ハッハッハッ!……あー、えらいぞー!すごいぞー!』
コメント:YES MY DARK
コメント:YMD
コメント:やまだ!
『おい、略すな!やめろ、吾輩が山田さんみたいになるだろ。誰だ、山田って書いたやつ』
コメント:山田さん(笑)
コメント:山田さん歌練習頑張って
コメント:トレンド入りおめでとう
ファンとしては普通に楽しめるんだが、同業者としては色々と自己紹介に凝ったんだなと見てしまう。
何もノウハウがなかったり、自己紹介やファンネームを決めたりとは違い、初配信という注目の集まる機会に如何に印象に残るかという点に力を入れて、動画や挨拶などを入れてきたんだなという印象だ。
さて……な、なんてツイートしようか。
他の奴らや先輩とか後輩みたいに普通に歓迎かネタツイートするか。
ってかコンニチワとよろしくねと、2名しかツイートしてないんだが。
嘘、私の同期、SNSやらなすぎっ!
慣れ慣れしすぎるのも、距離感が掴めてない新人にはプレッシャーか。
かと言ってエンタメなのに硬すぎるのもどうかというもの。
いや、というか色々考えてて初配信後にツイートすることになってるな!
今更って思われないだろうか、いやこういうのはした方がいいからやらないとかはないけども。
胡蝶舞姫 フォローライブ二期生@maihime_cotyou 胡蝶舞姫です。これからよろしくね。今度トワちゃんも呼んで焼肉行こうか |
ラプラス・ダーク@Lhaplusdark 返信先:@maihime_cotyouさん 胡蝶舞姫 さん 大変恐縮です、ご挨拶に感謝! ところで、なんで白夜トワ先輩さんが出てくるんですかね!!! |
別に他意はないけど、君が推しだということが後々に判明した際に話題になるかなと。
後、本当に焼肉くらいなら目の前で焼いてくれる鉄板焼とか連れていけるしね!
次の日は、高音ルイさんの配信である。
さて、待望の6期生にトップバッターの濃いキャラをどう乗り越えたんだっけな。
『アフォー!トゥッ、トゥッ、トゥッ、トゥー、トゥルルル、ルー、アフォー!』
コメント:氣志団(笑)
コメント:なんか下から来て歌い始めて草
コメント:なんでこのチョイスなんや
『うぉー、瞬きも……あれ?あれ、えっ……BGMが』
コメント:初配信おつかれ~
コメント:茶番で草
コメント:こんな初配信で良いのか?
まさかの初手、歌からの登場であった。
画面に、ショートカットでカッコイイ系のお姉さんというティザーでのキャラをブッ壊して、ネタから入ってきやがった。
初配信で茶番である。
個性があるが、これは運営が考えられるような内容ではないので自分で考えたんだろうか。
『先程、運営に怒られてしまいました。もう、涙腺が崩壊しそうです。高音ルイだけに……ハイ』
コメント:ハイじゃないが
コメント:芸人枠かな
コメント:お、おう
リスナーが困惑する中、中身や進行は正統派な内容であった。
好きな物、好きなゲーム、プロフィール、配信内容、動画内容、グループデビューする同期との関係性。
ブッ飛んだキャラでギャップ壊してきた所に、意外とマジメじゃねぇーかと更にギャップを重ねてくる。
うーん、社会人経験ある奴特有の打算的な戦略が垣間見える。
割と、考えてて好きなタイプだ。
胡蝶舞姫 フォローライブ二期生@maihime_cotyou 胡蝶舞姫です。おっちょ胡蝶いな先輩だぞ!よろしくね!ところで競馬も好きですよね! |
高音ルイ フォローライブ6期生@rui takane 返信先:@maihime_cotyouさん 胡蝶舞姫先輩、待っ高音〜!後輩だぞ!これからよろしくお願いします。なんで競馬が好きって分かったんですかね???? |
3日目、博士こよりさんの配信だ。
前評判は既に可愛いで埋め尽くされている。
一部ピンク髪はスケベとか書かれていたり、ケモミミ……良い……とかヤバそうなファンが付いてたりしてる。
「始まったか……」
初配信、それはサバンナの動物ドキュメンタリーのような寸劇から始まった。
何か面白いことするんだろうな、というようなハードルを越えていく。
これ、全員用意してるんだろうか。
そして更に謎解き、コメント欄を炎マークで埋めつくさせるような事をして姿が映される。
見てるだけの視聴者にコメントを打たせるのに意味があるとしたら、一体感とかだろうか。
みんなで同じことして配信を盛り上げてる、参加させてるみたいに感じさせる演出かな?
『こんこよー!フォローックスのずのー!博士こよりだよ〜!わー、声震えるぅ〜』
コメント:やっと出た!
コメント:ずのー!かわいい
コメント:耳がピコピコしてる
画面が切り替わり、映されたのは頭頂部とピンクのケモミミだった。
一部だけ出して強調してくる、距離は近くて画面の半分が埋まっている、自分の可愛いというポイントに視線を誘導する意図を感じる。
それが下から満面の笑みで出てきて、耳から顔にスライド、そして挨拶、キャッチーで印象に残るような、ずのーと間延びした自己紹介を挟んで、そして左右に揺れながら緊張してますアピール、コッテコテのあざとさ。
「なるほどな……」
前職などは知らないが、配信慣れしている、動きながらという見せる動作をしながらのトーク。
しかも、演出はVTuberのお披露目で偶にあるやり方。
緊張しているというが、淀みなくテンポもいい。
早口になる訳でもなく、言葉に詰まる訳でもなく、台本を読むようでもない。
初心者にしては上手すぎるな。
「やりたいこと、得意なこと、目標、だいぶ詰め込んでくるのは高音さんと一緒。どういう配信をするかリスナーに意識させてる。同期との振り返りコラボや次のメンバーの紹介、仲の良さが売りのフォローライブさを前面に出してるのか。自己プロデュースが徹底している話し方……明確なイメージがある感じかな?」
配信をじっと見て、いかんいかんと眉間を押さえながら画面から離れる。
仕事でやり始めているから、単純にすごいではなく意図とかを考えたりして見てしまう。
進行は準備でどうにか出来るが、細部の話し方や動きは配信や話すことに慣れてないと出来ない動きだ。
デビュー時点で、昔のメンバーより確実にレベルが高い。
胡蝶舞姫 フォローライブ二期生@maihime_cotyou 胡蝶舞姫です。マヨネーズは飲み物なんて好きなんですね。ところでそれサバンナでも言えんの? |
博士こより/歌ってみた公開中!@hakase_coyo 返信先:@maihime_cotyouさん はじめまして、胡蝶舞姫先輩!マヨネーズ大好きです!こよりはサバンナ出身のコヨーテだから言えますよ? |
取り敢えず、ネタツイートにマジレスされて通じないことに時代を感じる……そうか、ネットミーム過ぎたか。
4日目、逆叉クロさんの配信が来た。
ところで、デビューする子達は同期で示し合わせたのか配信当日のお昼にツイートしているのだが、逆叉さんの初ツイートは特殊であった。
逆叉クロ@Kuro sakamata 寝てましたごめんなさい怒らないで許してぇぇぇ! |
うん、初ツイートが謝罪である。
わざとやネタだと思うだろ……ガチである。
「おぉ……」
いや、いいと思う。
うん、エンタメだからね。
そうだよね、初配信ってこういう感じだよね。
そして、初配信でも彼女はやらかした。
『ちょ、ちょちょ!あっ、画面バグって!なにこれ!』
コメント:ん?
コメント:事故かな?
コメント:PON!ビールでも飲んでリラックスしな
画面が真っ暗なまま、謎の塵が映っていた。
いや、映像は良い。カウントダウンとかやってるし、用意したのって分かるから。
ただ、マイクに音声は入ってるね!
海、海が映った。
そして、デフォルメされたシャチの絵がゆっくり大きくなる。
彼女のキャラはシャチだからだ。
掃除屋担当、アイマスクもしてクール系である。
決して、ポンコツキャラではないのだ。
『皆さ〜ん、すいませ〜ん、失礼しま~す。成功しましたね!……あの、事故じゃないです』
コメント:いや、草!
コメント:誤魔化せねぇぞ
コメント:こういうのだよ戻ってきたなフォロのノリが
シャチの絵の一部が丸く切り抜かれて、逆叉さんの顔が出てくる。
もはや、ノリは観光地の写真パネルである。
ざ、雑コラ!いや、一周回っていいかもしれない。
『挨拶行きます。バクバクーン、フォローックス掃除屋担当シャチの逆叉クロでーす……あの、本当に!本当に!本当の事故しちゃった……運営さんに設定してもらったテスト配信の奴がバグッちゃった。あの、マイク音声確認画面のまま配信開始しちゃった……ふぇぇ、ごめんなさーい』
コメント:ええんやで
コメント:新人だから
コメント:かわいい
コイツ、これでわざとじゃないんだからヤバいな。
前日のあざとい担当がまるで養殖みたいじゃないか、もちち枠かよ。
『ふぇぇぇ!オタク君達、怒んないでぇぇぇ!怒っちゃ、やだやだやだ!あぁぁ〜』
コメント:声がかわいい
コメント:FISH!
コメント:Hallo
海外勢も見ている中、一応配信は進んでいく。
今のところ無事、今はコメントで挨拶の練習をしようという流れになっている。
最初は事故ったが、なんとかなりそうだ。
『練習してみようか、せーの、お魚〜……どうだ?……あれ?逆叉BGM掛かってない?……ねぇぇぇ!もうやだぁぁぁ!マネちゃんからBGMなくていいんでしたっけって……ダメです』
とか思ってたら、やらかしてきた。
だ、大丈夫か?進行止まってるぞ。
『部屋、みんなを逆叉の部屋に案内しようと思います』
気を取り直して、何とか配信を進めて今度はお部屋の紹介を配信でするようだった。
なんかやらかしそう。
『あっ、違う!っは!んあぁぁぁあ!違う、ちちちが、あっ!』
案の定、海から普段の配信する背景にではなく……謎の最初に流れた映像が映りだした。
多分、持ってくる設定の奴を間違えてる。
『オタクくん達ごめんなさぃ……違うの、逆叉のお部屋に案内したかったの……えっ、波のBGM切れてない?なんでぇ……ごめんなさい、寝不足じゃないです。ちゃんと寝た、寝坊するくらいしっかり寝た』
おいおい、それで良いのかという感じに終始グダグダで終わった。
まぁ、敢えて言うならそれで良いと思う。
終始、慌てて弱々な声だったけど需要はあると思うよ。
胡蝶舞姫 フォローライブ二期生@maihime_cotyou 胡蝶舞姫です、よろしくね。いっぱい配信練習しようね、頑張ってて偉い |
逆叉クロ@Kuro sakamata 返信先:@maihime_cotyouさん ふぇぇぇん!すいません、仲良くしてください。シャチの逆叉です>< |
すまん、ワイ、媚びる系の女は苦手なんや。
最終日、風魔いろはさんの配信である。
なお、彼女は熱心な陽街衛星ちゃんのファンである星学者だ。
星学者はファンネームの事である、つまりファンが後輩になってる。
ファンが先輩と後輩ってもう、訳わかんねぇな。
画面には可愛らしい配信OPが流れてくる。
後々に分かるのだが、自分で作ったらしい。
それがきり裂かれるように、ブツンと暗転する演出。
初配信だからか、凝ってるな。
「はぁ?」
『壊し……ましたね。正直、デビュー前に自作したパソコンなので買い替えようとは思ってたんですけど、まさか古いから叩けば直ると思ったら壊れるなんて』
と、思ったのだがインタビュー風の初手謝罪配信だった。
画面には金髪に刀を背負ったポニーテールの女の子が映っており、右側にどうしてパソコンを壊してしまったんですかとコメントが書いてある。
嘘か本当か分からないが、少なくともインパクトはある。
な、なんてことだ!2日連続PONキャラだ!
ちなみに、PONはポンコツって意味だ。
『…………………あれ、入ってる?マイク入ってる、あっ、あっ、風魔どこだ……えっと、えっと……はい!皆殿、改めまして風魔いろはでござる』
どうやら、初手ミュートをしてしまったようだし、配信画面上に映すためにOBSから持ってくるイラストをミスったらしい。
裏側のことなので、リスナーからは分からないだろうが、要は画面の外からマウスで上に移動させて、配信画面の映る部分に重ねるような事をやってるのだが、位置関係が分かってなかったみたいだ。
まぁ、このへんは慣れだし、初々しいのでコメントも新人感を堪能している。
『とれんど1位だよ?とれんど、とれんどって何だ?あっ、トレトレ、トレンド!トレンド1位ありがとうございます。すごい、こうやってね、トレンドに乗ることは出来たのはフォローライブを盛り上げてきた先輩方や運営さんのお力もあると思うので、本当にありがとうございます』
コメントはおめでとうばかり流れてきており、初配信のリスナーの反応は結構良い。
緊張も解けてきたのか、淡々と準備していた初配信の資料を読み上げていく。
ネタに走らない正統派な感じだ。
動画作成やパソコン作れたりとかクリエイターらしいことも書いてあって感心されてる。
『そうゲームでは色々とやったりね、忍者とか、いや、風魔はサムライなので忍者でないでござるが、ゲームでは色んなジョブをやるでござるよ』
いや、その名前で忍者ではないはおかしいだろとツッコミが入る場面もあったが、無事終わった。
胡蝶舞姫 フォローライブ二期生@maihime_cotyou 胡蝶舞姫です、よろしくね。今度余ってるパーツあげるからパソコン作りませんか?あと、武道館ライブが夢だなんて星学者ですよね? |
風魔いろは@irohahumach 返信先:@maihime_cotyouさん こちょう先輩よろしくでござる!頂くのは悪いので気持ちだけで……チガウヨー、ホシガクシャジャナイヨー |
バレバレやんけ。