胡蝶の夢、或いは不労所得の夢   作:nyasu

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配信外のお仕事色々

後日、なんかバズった。

世の中何がバズるか分かんねぇもんだな。

休養期間中に令和に絡んで来んなよとか何気なく打ったツイートが年号を当ててるとか話題になったりしたのだ。

 

あとタイミングが良かったのか、出した歌ってみたも高評価だった。

才悩人応援歌って奴なんだが、アンチで休養してたからか、何か自分の心情を歌ったと思われたらしい。

普通に持ち歌の中で一番上手かったから選んだんだけどね。

 

他にも過去の競馬のツイートで外したことない事が判明。

あと、炎上に関してのまとめサイトが乱立。

エイプリルフールだからと大手事務所VTuberさん長文お気持ちとか煽られた。

なので、知名度は上がったみたいだ。

 

それと、ガラ悪い奴らがおもしれー女とファンになってる。

人の切り抜き見てパクリだのツイートしてる割にカッケェとかアンチなのかファンなのか分からん奴らだ。

大体ラップ好きな奴らだな、アンチより口悪いぞ、ネット向いてねぇ奴らだ。

 

「何だこのファン層」

 

競馬民、ラッパー、アイドルオタク、株クラスタ、人のTwitterにリプライ返してくる奴らが異色過ぎる。

 

「炎上かアイドルなるか、まだ擦られてる」

 

何ならまたアップされてるし、100万人とか当たり前に達成してる姿知ってたから目標として言ったら、オタクからは無理だとか馬鹿にするツイート、ヘッズ層は馬鹿にしてねぇで黙って見てろよと、何かTwitterでの喧嘩もチラチラある。

 

うーん、過激派ファンなのか?ファンなんだろうか。

あぁ、まぁ、コロナで爆発的に人気になる前はこんなだよな、世間の評価とか。

100万とか誰も達成してないもんな。

 

とはいえだ、まさかの2万人達成である。

同期が4万行くか行かないかだったのに半分くらいになれていた。

ツースリーさんの方はバンバン10万人の登録者が出ていて業界で

No.1の立ち位置。

 

こっちは黒井先輩とか安藤ロイド先輩とか同期のクッキーちゃんとか10万人達成。

なんかウチのリスナーと向こうのリスナーがネット上でどっちが上か争ってる。

なんかいつも、V界隈のファンって喧嘩してるな。

 

とはいえだ、この業界は始まったばかりで狭いのか、いろんなコラボをしていた。

馴染みなかったけど、他の事務所とか個人勢とかとコラボしまくってんのね。

いつの間に後輩が出来てたし、先輩だと思ったら2期生の後にデビューなのか。

てか、中国にもあったんだウチの事務所。

だいぶ忘れてるけど今は中国に進出してるらしい、インドネシアじゃないのか。

 

「はぁ、気まずい」

 

今日は流石にこないだの配信で事務所に呼び出しだった。

クビとか言われるのかマネちゃんに確認したら、別にそういうことではないらしいが、配信でタバコはマズかったらしい。

明言はしてないけど、ウチの事務所の方針的にイメージ戦略とかあるからね。

契約書の更新と一緒に色々言われるかもとのこと、残当過ぎる。

 

流石に事務所に行くとのことで、見苦しくない格好で菓子折り持って会社に来た。

なんかいつも私、来るとき何かしら菓子折り持ってるな。

お荷物過ぎて涙が出ますよ。

オールホワイトコーデで、ブラウスとパンツに白いトレンチコート、カバンだけネイビーと言うビジネスカジュアルで、横には和菓子の入った紙袋を持ってた。

羊羹初めて買ったな、美味いのかな。

 

よく来るオフィスビル、エレベーターの前に何やら子供がいた。

パーカーにキャップと、大学生だろうか。

あれかな、インターンとかかな、4月だしな。

 

「あっ、ご、ごめんなさい」

「いえ」

 

ボタンを押して、一歩引く。

何やらスマホとにらめっこしてるが、初めて来たとかかな。

 

「お困りですか?」

「えぇ!?いえっ、あの……」

「…………」

「…………」

 

なんか言えよ。

沈黙が続く中、チーンとエレベーターの到着音が場違いにも響く。

なんか固まった女の子を無視してエレベーターに入り、開けボタンを押しっぱにする。

 

「どうぞ」

「あっ……」

「何階ですか?」

「10……です……」

 

偶然なのか、これから行く事務所と同じ階だった。

緊張してるのかな、大学生ってそんなもんか。

バイト経験とか無さそうだし、ドキドキだよね。

 

「あ、あの……」

「…………」

「事務所の方……ですか……」

 

事務所……あぁ、いや、ウチか?同じ階に別の会社入ってたかな?

あれ、うーん、まぁ社員になるのか?

提携してる個人営業主扱いだけど。

 

「フォロー社でしたら、関係者ですね。何か御用がお有りですか?」

「あっ……あっ……」

「着きました、どうぞ」

 

10階に着いたので、エレベーターから出ることを促し一緒に降りる。

まぁ、ウチの事務所も人が入り用だから雇おうとしてるのかな。

エンジニアとかだったら有り得そうだしな。

 

多分目的地は一緒なので事務所に向かう。

話すのは苦手そうだから、特に話すこともないし、偶に付いてきてるか振り向きながら事務所に向かった。

 

事務所に着いたらマネちゃんに早速頭を下げて、菓子折りを渡す。

高い羊羹です、すいませんでした。

 

「いつもありがとうございます。うわぁ、これ高い奴」

「まぁ、お金は割とあるので」

「株ってすごいですね。難しそうなのに」

「まぁ、やらないよりは良いかなと」

 

とはいえ個人の自由だし、難しいといえば難しいからな。

教えるのは全然構わない、今の時代は動画サイトでもそんなに投資の勉強は出来ないからな。

あれ、これ配信ネタに使えそうだな。

投資講座とか得意分野だしやってみるか、今はないけど資格も取ったことあるしな。

 

「まぁ、頑張りましょう」

「あー……後でネタにしても良いですか」

「ポジティブでいいと思います!具体的に言わなきゃ良いかなと」

「怒られに行きますか」

 

怒られると分かっていて、怒られに行く、世知辛さよ。

 

 

 

こってり、運営さんに遠回しに怒られて契約書も色々と失言関係の更新をして、今後の方針とかミーティングしていたら昼に来たのに夕方になっていた。

意外と、配信外での行動が多いんだなと実感した今日この頃である。

 

なんか夏にフェスとか予定してるからダンスレッスン入ったりとか、ボイトレとかやりませんかという話もあった。

すごい、アイドルっぽい。

会社がいくらか援助してくれるらしいので、是非とお願いしといた。

こんなガサツな女でも、ガチでアイドルになろうとはしてはいるからな。

 

あとボイスの相談とか……男に媚びなきゃダメですか?

方向性はまた話したいです。

 

「あっ……」

「あっ……」

 

帰り道、エレベーターの前に昼間にあったチビっ子がいた。

ハハーン、インターン終わったのか。

初日大変なのにお疲れ様だな。

 

「あっ、どうも」

 

向こうが頭を下げてきたので、思わず返事をする。

偉いな、私が同じ頃は……市役所行ってたな。

入ってみたら全然ブラックなんだけどね。

 

「お、お疲れ様です……」

「そうだ。甘いの好きですか?」

「えっ……はい……」

「これ、よかったら」

 

持ってきた菓子折りの個包装タイプの羊羹を頑張ったチビっ子にあげることにした。

自分用に確保したけど、ミーティングの際に普通に出されたから一度食ってるんだもん。

せっかくだし、若い子は羊羹なんか食わないかもだけど。

 

「わぁ、カラフル……」

「羊羹です」

「羊羹なんだ……」

 

まぁまぁ、嬉しそうなので渡した自分も満足。

気分良く家に帰った。

 

 

 

後日談。

同期の切り抜き配信見てたら、陸テラちゃんが最近案件をやったらしい。

ガワのイラスト経由でゲームの仕事とか羨ましい。

でもさ、でもさ……

 

『それでね、事務所のお姉さんが羊羹くれたけど調べたら高い奴だった。美味しかった、とらやって知ってる?』

 

お前、あの時のチビッ子かぁー!

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