頭が回らない。
それでも、このアイデアを消化せずにはいられない。
私は天才だ!フハハハハ!
『…………』
コメント:始まってる?
コメント:なにこれ事故?
コメント:ゲリラ配信
そう、喋れないなら誰かに喋らせればいいのだ。
そしたらゲームするだけで良いんだもん、賢い!
胡蝶舞姫:声の人募集!
コメント:何やってんだお前!
コメント:活動休止してたんじゃ……
あっ、ヤベ。
書き込むとこ間違えた、まぁ、もうしょうがないか。
何やろうかな、マリカで良いか。
マリオン、君に決めた!
『…………』
コメント:部屋作ってね?
コメント:何してんだオメェ……
コメント:行くぞー!のりこめー!
リスナー参加型……は、書くの面倒だけど何か部屋晒したら勝手に入ってくんだろ。
あっ、なんかコメント欄がざわついてる。
サムネ雑に作ったし、告知してないからか。
ツイート忘れてた、まぁ、しょうがない。
後からツイートしとけば、結果的には一緒だな。
『……うるさっ』
コメント:キャァァァシャベッタァァァ!
新人マネ:スマホみろ!
コメント:マネちゃんいて草
やべっ、マナーモードにしてなかった。
さて、ディスコに……おっ、通話来た。
「何してるんですか!」
『……何してるんですか!』
コメント:ハウリングwww
コメント:あっ、こりゃあ!
コメント:もしかして、マネちゃん?
やべやべ、ミュートミュート。
音量下げてて配信乗らないと思ってたらミスった。
あっ、どうしよう、唾すら飲み込むだけで痛いからペッペッしてるのに、喋るのも無理だよ。
点滴したばっかだから、しばらく食べ物は取らなくてもいいけど。
『家ですね!今から行きますからね!配信辞めてくださいね!』
【無理】
『通知来てびっくりしたんですよ、なんでこんなことを』
【ラジコン配信私もやってみたい】
『今じゃない!薬飲んで安静にしてください!』
【薬効いてるからヘーキヘーキ】
『症状が出てないからといって、治ったわけじゃない……』
えっ、でも、時間もったいないし。
風邪とか薬飲んだら、薬が効いてる間は大丈夫になるし、仕事出来るでしょ。
あっ、誰か来た!
私は急いでタイピングで返事する。
【お疲れ様です、体調は如何でしょうか。配信は確認しましたが、これは逆凸ですか?】
【はい、代わりに喋ってもらえたら】
【マネージャーさんが荒らしのようにコメントしてますけど、大丈夫なんですか?ゲームも始まってますけど】
やべ、タイピングしてたらゲーム始まってる。
あぁ、部屋で集まってるだけだからレースは始まってないのか。
『…………』
コメント:まだ?
新人マネ:でんつき!た
コメント:これ事後承諾のパターンか?
新人マネ:でんわでほ
コメント:マネージャーwww
【喋って通話できる】
【えっ、困ります】
【配信手伝えるお願いしたい】
チラッとコメントを見れば、マネちゃんからのコメントが見える。
なんかスマホで打ったのかミスってて草。
それより、連絡きたから急遽頼みたいけど難しいかな?
あっ、通話来た!
『お、お疲れ様です。あの、なんかヤバそうだし寝たほうが良いですよ……』
【1時間だけ配信したら休むから手伝って】
『うっ、えっ……えー、じゃあ、すぐ休んでくださいよ』
【私の代わりに好き勝手喋って】
『任されると逆に厳しい……』
タイピングだけで返事して、了承をもらったので通話をかける。
えっと、ボリュームを調整して、デスクトップ音声はオフにして、音声ミキサーを調整して……ヨシ!
『…………こ、こんや……こんこちょ〜』
コメント:ファ!?
胡蝶舞姫:話せる気がする
コメント:お前……トワ様では
『フォローライブ2期生の胡蝶舞姫です。あっ、だよ〜!今日は、マリカやってくよ〜!』
コメント:声がまんまで草
コメント:SNSで助けを呼んでて草
コメント:後輩に何やらせてんねん!
コメント欄の反応は……多分、早くなったから喜んでるな!ヨシ!
通話してきてくれた、白夜トワちゃんに声をお願いした。
これはこれでヨシ、あと一人くらい欲しいか。
一旦、私の上にサムネを置いとこう。
『えー、あっ、おいふざけんな!誰だよ甲羅当てたやつ、ゆ、許せねぇよ!』
コメント:たどたどしい……
コメント:可哀想に
コメント:普通にゲーム上手いの笑う
『今、可哀想っつたか!キレそう……コメント書いただけで言ってはいない?……それはそう!くっ、くそ……揚げ足取りだぁ……』
『トワ、お前何してんの?』
『ハッ、昴先輩!?えっ、どういうこと』
『しゅばーっす!大海昴ッス!……なんか、マネジャーから連絡来て気付いたんだけど、なんか出ろって言うから』
コメント:ビジネスパートナーさん!?
胡蝶舞姫:通話来たから出てもらった
コメント:雑な扱い……
『昴は何言ってるのかな、胡蝶舞姫なんだが』
『あぁ、うん、そうだね。お前、風邪で寝込んでんじゃねぇのかよ』
『そうだが!これが終わったら休むが!約束したからな!』
コメント:コロナではないんだろ?
コメント:40度出てましたよね
コメント:メンヘラみたいなツイートからしてヤバそう
『約束了解!……お前の中の胡蝶、なんでそんなオタクっぽいの?』
『はぁ?オタクっぽくないんですけど!来いよ、昴掛かってこいよ!』
『昴、一応先輩なんだが?あっ、退出から部屋作成まで早い』
コメント:新しい部屋だ乗り込めー!
コメント:昴が入れてなくて草
コメント:あっ、部屋解散した
やべやべ、配信画面は……もういいや、私で隠して。
コメント:デッ!
コメント:貴重なガチ恋距離だ
コメント:左右に揺れてて黙ってたら可愛い
『喋ってても可愛いだろ!』
『ねぇ、なんでお前中の胡蝶ってキレ気味なの?』
『キレてないが!にぱっー!』
『声が基本、デカいんよ』
コメント:発言の割に終始笑顔
コメント:ニッコニコで草
胡蝶舞姫:なんか質問しろ
コメント:変なこと言わんから笑顔だな
『おま……えー、胡蝶はさ。後輩いんじゃん、トワとかどう思ってんの?』
『えっ……胡蝶先輩の、あっ、ちが、トワのことは……えっとー、可愛い後輩って言うか〜』
『ふーん、あっ、アイテム取られた』
『おい!興味持てよ!振ったのお前だろ!』
コメント:興味なくて草
コメント:いい音なるなぁ
コメント:めっちゃ頷いてる
『えぇ、じゃあ、胡蝶の恥ずかしい秘密聞かせて』
『くふっ……胡蝶の恥ずかしい秘密?えっ、なんか言わなきゃ』
『えっ?お前、胡蝶じゃないのか?』
『いや、いやぁ……えーと』
『実は家で何も着てないとかじゃねぇの?』
今、いや、普通にTシャツと短パンだけど。
服とか着てるけど、何言ってんだコイツ。
『あっ、うん、今は何も着てないよ』
『何も着てないの!?』
コメント:顔www
コメント:こっちみんな(笑)
コメント:めっちゃ首振ってて草
バカお前、何言ってんだ!
『独り暮らしだしね。常にバスローブで、片手にワイン持ってるよ』
『まぁ、ASMRは全裸でやってるって前言ってたしな』
『そうなの!?あっ、うん、プロだからね』
コメント:ガタッ!
コメント:マイメンにようこそ。メンバーシップレベル1
コメント:マイメンにようこそ。メンバーシップレベル1
おいぃぃぃ!メンバーに入られちゃってるじゃねぇか!
いや、確かにノイズが入らないようにって有名なASMRやってる人のマネして脱いでるけど、バラすなや!
配信で言ってなかったんですけど!
『逆に、昴ちゃんはいつ全裸になるの?』
『おい!巻き込むなや!なんだお前、とんでもねぇキラーパスしてくるじゃねぇか!』
『うん、まぁ、2期生は基本全裸だから。これガチガチ、ほんとほんと』
『お前、後で絶対怒られるぞ』
コメント:お前が原因やろがい
コメント:険しい顔で草
コメント:おい1時間過ぎてんぞ
その後、マネージャーが玄関のドアを叩くまで配信していた。
いつの間にか1時間過ぎちゃってたぜ。
『あれ、止まった?あれ?』
『なんかマネージャー着いたらしいから、配信終わるらしいぞ』
『あっ、そうなんだ……お、おつこちょ〜』
『おつこちょ〜……ホント、お疲れ』
コメント:ドクターストップだ
新人マネ:休ませますので配信は終了になります
コメント:マネージャーストップな?ちゃんと言葉を使えカス
コメント:やめなさいよマネージャーも見てますよ!
コメント:所属事務所スタッフによる就労配慮だゾ!
コメント:マウント取り合ってて草
胡蝶舞姫:具合悪い時にケンカすんなよ
「あっ、スマホからコメントしないでくださいよ!はい、没収!」
「…………」
「配信切ってください、私だと強制シャットダウンになりますからね……よし、配信きりましたね」
「……ウン」
「まったくもう、汗もすごいんですから。身体拭きますよ、イヤイヤじゃないですよ」
「……ヤ、ヤメテ」
コメント:胡蝶おるやんけ寝ろ!
コメント:配信したお前が悪いやろ休め
コメント:マネジャー!PC取り上げろ!
あっ、配信オワタ!
や、やめろー!拭けるから、前とか自分で拭けるから!クソ、身体に力が入らない。
薬が切れて来やがった……うぅ、お嫁に……行く予定はないけど行けなくなる!
下は頼む、やめてくれ!分かった、ベッドに行くから!あっ、引きずらないで、痛い。
「お、重い……」
「オモクナイヨ……タブン……」
「声出てないじゃないですか、元気ないのに配信しないでください」