胡蝶の夢、或いは不労所得の夢   作:nyasu

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番外 マイスバ切り抜き&アフタートーク

「お風呂冷めるわよ〜」

「はーい」

 

お母さんが怒る前に、スマホを持ってお風呂に向かう。

追い焚きもタダではないから、後から入る余裕はウチにはないのだ。

いつか、気にせずに追い焚きできるような大人になりたい。

 

「ふぅ〜」

 

とはいえ、お風呂は気持ちいので温かいうちに入るのが正解である。

さてと、湯船に浸かったら私のゴールデンタイムだ。

部活の疲れも癒される、スマホで配信も見れて癒される、一石二鳥である。

 

「なんかあるかな……おっ」

 

ちょっと浸かってる間に見れないかと、サジェストに推しである風魔いろはちゃんの名前を入れて、切り抜きを探していたら、最近やったコラボの切り抜きが上がっていた。

なんか筋トレとか株とかファッションとか、意識高い系みたいな配信が色んな種類ある胡蝶さんとパッションでゲームやってて、ライブとか可愛かった大海さんの配信だ。

 

へぇ……毎週やってる奴にゲストで呼ばれたのか。

本配信は面白かったら見るとして、ちょうどいいか。

なんで呼ばれたのかも。なんか雑談回の切り抜きがある。

うーん、先にコラボの切り抜き見て、それから裏話の方を見るか。

画面には机に突っ伏した大海さんと、何故か腕を組んで仁王立ちしている胡蝶さんがいた。

 

『腹減った〜』

『らっしゃい。注文は?』

『なんか、たくさんご飯が食べたいしゅぱ〜』

『了解。オーダー、たくさんご飯が食べたーい』

 

カランカランと鐘のなる音がする。

多分、なんかのパロディなんだけどなんだこれ。

毎回茶番を挟まないと死ぬんだろうか、この2人は……。

 

場面が変わる。

切り抜きの人が編集したからだ。

喋ってる人事に色が違うので分かりやすい。

 

【うわー、食材がいっぱいだぁ※棒読み】

【誰か、スタッフ〜※思い出したかのようなお嬢様】

『ちょっと待ったぁー!で、ござる!』

 

色々と視界が煩いと形容したくなる字幕の後に、いろはちゃんがやってくる。

かわいい、イラストがピョコって出てきた。

何でか分からないが目と目があったから料理バトルになるらしい……どういうことなの?

いろはちゃんが料理出来るの知ってたけど、先輩達も出来るんだろうか。

 

『ここで会ったが百年目、2人の腹を満腹にしてやるでござる』

『あのさぁ、敵に塩送ってね?』

『百年も生きてないのよね、私達』

『台本!台本と違うこと言わないで!いいから勝負でござる』

 

だから、どういことなの。

どうやらレシピをみないで料理を作るらしい。

むむむ、意外と穴抜けは難しそうだぞ。

分量とか書いてないのか。

 

『えー、昴は牛丼、私はロールキャベツ、いろはさんはハヤシライスです』

『キッチン広っ!素材良っ!』

『頑張るでござる』

『ちなみに審査員としてナレーションもやって頂いてる、春先ほんわかさんに来てもらってます』

『よろしくお願いしまーす』

 

本日のナレーションをやらせて頂きます、春先ほんわかです、と挨拶が入る。

この人は、最近デビューしたスタッフさんである。

そして、各自の料理が始まった。

手元を写すのか、手袋した映像が映る。

 

『はぁ?手袋とか面倒だろ』

 

そんなこともなかった。

普通にジェルネイルばりばり映ってた。

はえー、グラデーションで青いネイルだ。

いつか、私もやってみたいな。

 

『まずは玉ねぎを……こんなのミキサーにぶち込めばいいだろ』

『そこはみじん切りやろ』

『はぁ、うるさっ……文明の利器を使って何が悪いんだよ』

『そ、そうでござるね、時短でござる』

 

画面には慣れた手つきでタマネギに切れ込みを入れて、皮を取ってく様子が映っている。

ただ、根本とてっぺんを切ったら十字に4分割して、ミキサーに入れていた。

豪快過ぎる……ピースじゃないんよ。

 

『用意した玉ねぎをフライパンで……面倒クセェな、レンチンで良いだろ』

『フライパン使えよ』

『やれやれ、自炊したことないやつは分かってねぇな』

『いろは見てみろ、なんか飴色になるまでタマネギ炒めてんぞ』

『黙れよ、いいから牛丼作れよ。時間掛かんだよ』

 

【牛肉を  g煮込む】

 

『ねぇ、どのくらい』

『協力したらバトルになんないでしょ。3人分よ』

『えー、肉って縮むよな?』

 

【牛肉を1200g煮込む】

 

『おい、お前バカじゃねぇの!お前、鍋の半分が肉じゃねぇか』

『良いんだよ、たくさん食べたいでしょ』

『あぁ……ご、ご飯炊くでござるね』

 

推しが、フォローに走ってる。

てぇてぇ、でも入れ過ぎだと思う。

 

『ねぇ、タレって何入れればいいの!牛丼って』

『お前牛丼食ったことねぇのかよ、ワインとかぶち込めば良いだろ』

『ワインは入ってないでござる……えぇ……』

 

あぁ、本当にワインぶち込んだ!

いや、肉の臭みとか消すためにいいのか?いや、でも、入れすぎ!

 

『お前、流石に入れ過ぎだろ』

『ねぇ、量言ってくれる!肉が多いんだから良いんだよ!早くロールキャベツ作れよ!』

『うるせぇな、やってんだろお前よ。今、キャベツ剥いてんのよ』

『み、水で薄めてみりんと醤油で煮込めば……1回全部汁は捨てましょうか』

 

然りげ無く捨ててるけど、絶対やり過ぎたんだ。

まぁ、ご飯に乗せるだけだからリカバリーも出来るのかな。

 

『牛丼ムズくねぇ?難易度下げてくれよ』

『こっちより簡単だろうがよ』

『お前だってスープミスってんだろ、味濃くないですか?』

『煽んなや、濃い方が上手いんだよ。コンソメ半分くらい入れたって……ミスじゃねぇよ』

 

そのまま鍋に顆粒コンソメがドバっと入る。

いきなり傾けてたのを戻したから、思ったより入っちゃったんだ!

 

『作ったタネを……えいっ!』

『おい、巻けよ!キャベツと肉じゃねぇか!』

『口に入ったら一緒なんです〜』

『いろは!お前もなんか……えっ、お前何してんの?粉炒めてんの?』

『あっ、風魔ルー作ってるでござる』

『ガチじゃん!ルーって作れんの!?』

 

ルーって作れんの!?

小麦とバターで作るんだ、知らなかった!

とはいえ、料理が完成した。

 

『えぇ、実食の時間です。胡蝶さんのは……ロールしてない肉とキャベツだ』

『巻くとか巻かないとか細かい問題だと思う』

『細かくないです。ロールしてないキャベツです……昴さんのは、ご飯の3倍くらい肉がある……』

『大は小を兼ねるって言うし、いっぱい食えるほうが良いだろ』

『逆写真詐欺やめてください、残してしまいます』

『あの、風魔……普通ですいません』

『こういうの!こういうのでいいんですよ!ネタに走った2人と違って!』

 

おい!ふざけんな!運営コノヤロー!と後ろで騒ぎが聞こえる。

取り敢えず、本編は見なくても大体分かった。

推しの料理は本格的で美味しそうって奴だ。

 

「ふぅ……あっ、手書き切り抜きだ」

 

手書き切り抜きとは、切り抜きにイラストを添えて、動く紙芝居みたいな物を作った動画である。

胡蝶さんとこの公式切り抜きの人だ。

珍しい、偶に他の人の手書き切り抜きを作る人だけど、今回はいろはちゃんか。

画面には2頭身のいろはちゃんが映っていた、かわいい。

 

『みんなね、ござるね、こないだね。コラボ企画にお呼ばれしたんだ』

 

コメント:マイスバか?

コメント:噂のこちょ先会えた?

コメント:カレー作ってたアレな

 

『あっ、胡蝶先輩……会えた!』

 

コメント:どしたん話聞こうか?

コメント:コチョネキどんなだった?

コメント:なんかあったのか?

 

『ござるね、その日は入りの時間より早く来たんだ。そしたら、スタッフさんとかマネージャーがたくさんいてね』

 

画面にはタブレットを持った、2頭身の胡蝶さんが映っており、その周りにスタッフとかマネージャーらしき人達のイラストがある。

あっ、離れた所に大海さんもいる。

 

『すいません、ござるどうしたら……あっ、あっちで待機してて下さい、って言われたからスタジオ歩いてたのね』

 

キョロキョロしながら、イラストのいろはちゃんが周りを見渡してる。

 

『そしたら、スタッフさんが行ったり来たりしてて、あとマネージャーさん達が集まってお菓子食べてて、タブレット持った人が何か指示してて』

 

コメント:あっ、察し

コメント:まさか

コメント:偉い人でもいたんか?

 

『タブレット持った人がね、ござるのこと無言で見てくるのよ。あっ、たぶん初めましてだって思って風魔いろはです、どこで待機したらいいですかって。そしたらね、椅子に座っていいよって』

 

コメント:挨拶できて偉い

コメント:もしかして胡蝶ネキの椅子か?

コメント:胡蝶ネキの枠で間違えられた言ってたな

 

『それでね、風魔イスに座ってフンフンって説明聞いててね。スタッフさんとかも集まってきてお菓子とか飲み物貰ってね。至れり尽くせりだなぁって、クッション抱っこしてブランケット触ってた』

 

コメント:職場に来た子供かな

コメント:思いの外リラックスで草

コメント:うんうんなるほど

 

『そしたら、マネちゃんが来てね。早く来れて偉いね、いろはちゃんどうでしたって。他のマネージャーさんに聞いてた』

 

コメント:託児所

コメント:巨乳だった?

コメント:巨乳のマネ、キャンプの椅子、来るぞいろは

 

『託児所やめてね、それでなんか変だぞって思ったら昴先輩来てね。いろは、お前それ胡蝶先輩の椅子だぞって……あっ、死んだ。まさか、タブレット持った偉い人は……メッチャ目逸らしてる、あっ、この人胡蝶先輩だって』

 

コメント:草

コメント:なんで間違えんだよ

コメント:からかってたのかコミュ障なのか

 

『でもね、うみ先輩経由で企画呼ばれて先輩達と仲良くなれたんだ。ご飯も作ったんだぁ』

 

コメント:胡蝶ネキ怖かった?

コメント:ロールしてないキャベツの人やん

コメント:ネイルからしてギャルそう

 

『怖くなかったよ。なんか……アナウンサー、みたいな。びじねすかじゅある……的な、綺麗だったよ』

 

コメント:配信はキャラだったのか

コメント:あの言動でちゃんとしてるの!?

コメント:胡蝶がビジカジュ?うーん

 

『空いた時間とかお話したよ。んとね、最近元気ですかとか、仕事は辛くないですかとか、話せて嬉しいとか』

 

コメント:思春期のパパかよ

コメント:どう綺麗なんだよ

コメント:面談かな?

 

『えっ……ちゃんと風魔スキンケアとか、インスタとか、女の子っぽい会話もしたよ。見た目はね、なんかね、前髪ファッサァーって、あと香水のいい匂いした。でぃおーるってとこの、桜の奴』

 

コメント:ディオール!?

コメント:高そう

コメント:いろは、それ、高いやつや

 

『そうなの!?えっ、付けてもらっちゃったよ』

 

そんな高そうな奴なのか……あっ、うん、検索したら結構なお値段ですね。

でも、推しが可愛かったからオッケーです。

無知シチュ……いいよね。

 

「いつまで入ってんの、出てきなさい」

「はーい!」

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