例えば三冠馬になる奴を知っていて、競馬をしない奴がいるだろうか。
いや、いない。
明らかな勝ち馬なので投資したら、300億になった件。
まるで意味が分からないよ。
あのあと証券取引等監視委員会というのが証券会社にインサイダー取引かどうか確認しに来たりしたらしいしな。
そういうのって警察じゃないのかよ、知らなかった。
さて、資産を整理するとだ。
ゴールド 約6700→約8600円/g 約20億→約25億の含み益
不動産100億
家賃収入3億
貯金11億
証券口座400億
トルトーリホールディングス800万株、約2200→約2700円 約183億→約230億円の含み益。
となっている。
倍になるのは知ってるし、新しく回転寿司でもいいが、こっから先は全部上がってくしなぁ。
ざっくりとした計算だがプライベートバンカー経由で売却したら、40億ほどになった。
証券口座約630億
なぁにこれぇ、たまげたなぁ。
こんだけあっても使い切れないよ。
でも有って困るもんじゃないし、増やす事にする。
久しぶりに実家に帰る。
1時間くらいあれば都内から神奈川には行けるからアクセスは楽である。
帰ってきた私を出迎える人はいない。
平日ど真ん中、みんな働いているからだ。
お金は、親孝行というか……いくらか渡してるので、いつでも辞めれるのにみんななんでか働いている。
定年を迎えてるのに、まだ仕事してるのだ。
一日中、サブスクで映画見たりして生活したらいいのにな。
今日、急に帰ってくるって言っても何もないわよ、などと親からの連絡に、勝手にやってると返して帰った頃。
私は証券口座の記載された紙とか資産関係が分かる紙の資料を用意して待っていた。
「……うおっ!?」
「おかえり」
「なんでいるんだ……帰ってくるなら言えよ」
「あれ……えっ、てかまだ昼だよ?」
言ってなかったけ、言ってないか、母親だけだったわ。
ソファーでテレビを見ていたら、昼間なのに父親が帰ってきた。
私の姿にびっくりしてて、ウケる。
「何かあったのか、また炎上か?」
「してないよ!実家帰ってくるイコール炎上じゃないからね!」
「なんだよ、つまんねぇなぁ」
「えぇ……デリカシー」
なんだこの親、人の炎上を楽しみなんてリスナーみたいな楽しみ方してやがる。
そういうコンテンツじゃないんですけーど。
「まぁ、色々、報告的な……」
「お前……結婚するのか?」
「しないけど」
「会社辞めて独立でもするのか?」
「それもしないけど」
「まさか病気に」
「いやぁ……」
「じゃあ何なんだ」
「お金持ちになった……」
私の一言に、少し悩む素振りを見せたがハァ……っとクソデカため息を吐く父。
いや、そろそろ言っとかないといけないかなと。
よく分かんないけどプライベートバンカーさんに脅されたしな。
「アレはお前が女子大生の頃だった」
「急に思い出話……」
「競馬でな、万馬券を出すために100万使って当てたんだ、お前が」
「あぁ、うん、そんなこともあったね」
「どうせ株だろ、1億くらい使って3億にでもなったか?お前が稼いでるのは知ってるから驚かんが、年収全部使うのはどうかと思うぞ」
「いや、年収1億もいってない。2000万くらいだと思う」
半分税金だとしても、手取りで1000万くらい、月に100万くらいか?
十分ではあるし、稼いでると思うけどね。
「でも結局株だろ。俺もあれ、ふるさと納税とかで儲かったからな。いくら使ったんだ」
「……50億」
「5億も持ってたのか?」
「いや50億使って、300億」
「お前は何を言ってるんだ?」
いや、だからちゃんと証拠として書類を税理士さんからもらってきたでしょ。
ほら、見て!娘の言葉を裏付けてるよ!
「えっ……お前、それは国家予算だろ」
「違うよ!」
結局、書類を見せてもあんまり信じて貰えず、お母さんが来たらまた話そうということになった。
いや、話そうって言いながら昼間から酒飲むのどうなの?
えっ、いや、私も飲むけど。
「ただいま、株で儲かったらしいってお父さんから聞いたけど一億くらい稼いだの?テレビとかで見る人達みたいね、あっそうそうNISAでね、デリバリーとかクラウドっての?亮太が言ってたの買ったら上がってね、バーバみたいに工場から配当金みたいなの貰えるのかしらね」
「いや、それは知らんけど」
「それで、株でたくさん勝てたの?報告するくらいだもんね」
「あっ、うん、300億」
「3億ね、はいはい……いや、すごいわ。宝くじじゃない」
「違うよ!ほら!」
「3億じゃない?えっと0が……えっ?待って!えっ?えっ?」
「300億!」
「アンタ!ど、どういうこと!?」
その日、普通に受け入れられると思ったら家族会議が始まった。
いや、本当に怪しかったり危ないことは……倒産したら危なくはあったけど。
はい、友達とか親戚にも言いません。
はい、プライベートバンカーさんの言う事聞きます気をつけます。
はい、来年の税金も貯金しときます。
「300億って、いくらなんだろうなぁ……」
「お父さんあれよ、ほら、あの、ゴーリキーだか何とかって子と、付き合った社長さんいたでしょ」
「おぉ、あの服の人か。宇宙行った、あの、アレだろ、あの人な」
「アレの会社の、社長のあの人の家が買えるのよ、300億らしいわ」
「そうかー、あんまよく分かんねぇなぁ」
「たぶんデッカイマンションとかよ」
いや、私も横から聞いてて分かんないけど、よくそれで凄いねーとか言ってられるな。
アレとあの人しか言ってなくないか?
『いやぁ、姉ちゃんから貰った奴で配当金とかで生活できるから、給料全ブッパして株やってるけど、普通に無理だぞ。一億あっても、同じように稼げる気がしねぇ』
「お前も働いてたんか」
手取り30万だとしたら、毎月100万も信用出来るのか。
十分じゃないか、トヨタ3つも買える。
『月に10万いけば良い方だよ。意味分かんねー、どっちが本業だよ』
「一応、VTuberなんだよなぁ」
そんだけあるなら連休に1人100万くらい使って旅行でもいこうかしら、と両親。
もっと使えばいいのに、ちょっとずつ使うらしい。
まぁ、人ってそんなすぐに変わんないんだなぁ。
で、ところ変わって証券会社の一室。
実家に数日滞在して、そろそろ配信しないとなといった頃。
週1で配信は絶対やっているので、そろそろルーティン的にやらないといけない。
「さ、先物ですか……」
「新しい事に挑戦してみようかなと」
「なるほど……もし本格的に投資家として生きるなら、個人での機関投資家になることも可能です。10億以上の有価証券、国債や社債などを保有すれば条件を達成出来ます」
「いや、そこまでは……いつまでも勝てるとは思えないですし」
実際、うろ覚えだし、私はノートなしにはもう株取引は出来ないだろう。
未来の知識を書いたノートを見て、そう言えばと思い出すことはよくあるからだ。
今の時点で分かってるのは、数あるミームの銘柄と、日経が4万を超える事だ。
半導体、AIとか、メタバースとかソーラパネルも凄かったような……あー、電線とか回線系もか。
今までのような無茶な買い方は出来ないのである。
「何をおっしゃいます!市川様の実力なら、法人に登録し、個人で運営をしましょう。もしお望みでしたら、何人か引き抜いてファンドマネージャーとして私自身も活動しましょう!」
「もう、今までのような無茶は出来ないかなと」
「そ、そうですか……失礼、烏滸がましい提案でございました。では、先物は幾らほど」
「取り敢えず、日経先物を個人で200枚、法人で200枚、あとCFD……えっと、差金決済取引って奴で600枚」
「……えっ?」
日経先物とは、正確には日経225先物取引という。
株との違いは祝日でも出来るし、夜でも出来るのが特徴だ。
調べたら、信用として証拠金を入れたら20倍まで出来るらしく、一万円を担保に20万円借りれるのだ。
そして例えば日経平均が2000円の時ならば、1枚の価格は日経平均の1000倍である200万円だ。
要するに、日経平均の価格を2000円として、1000倍の価格に変換したら、1枚200万となる。
それを買うために必要なお金は20分の1でよいため、10万を担保にしたら200万分まで借りれるので、それで1枚購入できる。
ちなみに最大1000枚までしか買えない。
いや、ほかの証券会社とか使えば枠は増やせるけどね。
「日経225……ラージを1000枚ですか!?」
「そう、日経は上がるから」
「1円当たり100万の増減になりますよ、もし大暴落で日経平均が1000円でも下がれば10億の損失ですよ」
「まぁ、でも、1万下がっても100億の損失で、それくらいなら強制的なロスカットにはならないから平気かなと」
「ですが、また1万円台まで下がらないとも言えません。それに、先物には満期が3ヶ月毎にあります。もし買った月の翌日が満期なら、次の日には強制的に決済されて損失が確定されてしまいますよ」
「500億あるし、最終的には4万まで上がるから……いや、本当だよ」
「わ、分かりました……今現在の日経平均は27000円台で推移してます。これを1000枚、約7億を保証金に、270億の取引を行います。本当に、良いんですね……そう、ですか……では、最短で手続きが出来るように頑張ります」
途中、お前マジかみたいな顔をされたが、ピンポイントでなにか買うより日経平均自体で取引する方が簡単だと思うんだが、客観的に見たら投機とかに見えるのかな?……見えそう……いや、でも、人によっては10万までなるって言ってる時代だしな。