運動大会が終わった。
打ち上げとかしたい人でするんだろうな、とか思いつつ、せっかくの機会だしと何人かとご飯に行った。
まぁ、行ける人とか限られてるんだけどね。
みんな、自宅から配信だからオンラインで出来る時代だし、自営業で次の日休みでも配信終わりで夜も遅いしね。
とはいえ、誘ったら割とノリ気で自分の人望を感じる。
「人の金で高い肉最高ー!」
人望……だよね?
私は同期の一言に、少しだけ不安になった。
「う、打ち上げあったんだ……」
「いや、今日思いついたからマジで無かったよ」
誘ったのは、黄金シオンと陸テラだった。
他の奴らはシンプルに、えーダルいとか言って断られた。
1人は奢りだから意気揚々と来て、1人はゴリ押しで押し切った。
「焼くのは任せて!胡蝶ちゃんだと、半生になるからね!」
「あの……私、いて良いんですかね」
後はストーカーの頃から仲の良い青空メル先輩、あと同じ白組でシオンがいるから誘った逆叉クロもいる。
気にしているからか、関わりが多いメンバーなのだが、気にしてる理由が辞めるからとかだから、シオン以外がフォローライブを去るから複雑である。
っていうか、多分テラが辞めたらシオンも辞める。
もう覚えてないけど、活動休止とかしてたはずだから……いや、辞めたのか?
私の死に際に近くなればなるほど記憶は曖昧だ。
「ねぇ!」
「わっ……何……」
「肉焼けてんだけど」
「あっ、ごめん考え事してた」
シオンが焼いてあげたんだから、早く食べてよーと声を掛けられてボーッとしていたことに気付く。
そうだった、打ち上げで焼肉に来てたんだった。
「すごい心配されてる……」
「結構呟かれてるなぁ」
「シオン先輩、焼けましたよ〜」
「はい、胡蝶ちゃん。野菜も食べないとね!」
あっ……ウッス、アザス。
よく見たら、後輩と先輩に肉をよそってもらってる2期生。
なんで全員エゴサしてんだよ、職業病かよ。
私なんか、多人数だと喋ってないとか、霊圧消えたとか、ガヤでもいいから話せよって言われてんぞ。
何か私のリスナー、私に対して厳しくないか?
成長を感じてる奴は何なんだ、私の親なのか?
「こ、胡蝶ちゃんがご飯に誘ってくるとか、珍しいね……」
「やめろよ、私が友達いないみたいじゃないか」
「えっ、いるの?シオンは同期であって友達じゃないよ」
「えっ……」
「うっそー!……あっ、やめ、あ痛たたたた!」
唸れ、私の握力。
ガキが大人を舐めるなよ、あっ、コラ、脇を突くな。
クソ、アイアンクローはこれで勘弁してやろう。
決してくすぐったかったからではない。
「そうなんですか?よく誘われますよ、私」
「えっ!?そうなの!」
「まぁ、断ってるんですけどね……出かける準備が面倒臭くて」
「あー、アンタさぁ、お風呂入りなよ」
「今日は入ってますけど!?」
あぁ、うん、体調とか仕事の事聞いたら誘ってるもんね。
いつも断られてたから嫌われてたのかと思ったよ。
そういえば、コイツ風呂とか入らないんだった。
今日はじゃなくて、毎日入ってくれよ、逆叉よ。
お前、推しのシオンに嫌がられてるじゃねぇか。
「運動大会終わったな……あっ、配信の時に雑談で焼肉の事言ってね。経費の証明になるから」
「胡蝶先輩、お金持ちなのにそういうの気にするんですね……」
「胡蝶ちゃんは、そういうとこコスいからお金持って、ねぇぇぇ!私の肉ぅぅぅ!なぁんでぇぇぇ!」
「お前声で許されてるだけで、何言っても良い訳じゃねぇからな」
誰がコスいやねん。
全員分で食べたら5万くらい行くんだから経費で落とさないと勿体ないやろがい。
あ、あとメル先輩、野菜ばかり入れるのやめて……お肉しか食べたくない……言えないけど。
「来週、配信ネタどうしよう、なんかある?」
「えー、しなきゃいいじゃん」
「最近はホラゲー見たよ、ししらみで。トラック乗るやつ」
あぁ、いつもフリーでホラゲー作ってるとこのか。
私のホラゲー、リアクション薄くて評判があんまりなぁ……悲鳴とかあげないからな。
いや、みんな多分つまんないだろうけど見に来るけど……流行りかぁ、他人と比較されるしなぁ。
とはいえ、アイデアを出してもらったのに否定するのもどうかと思う。
検討しますって奴である。
何だかんだみんなと焼肉を楽しんだ。
韓国海苔だろ、カルビ、キムチだろ、韓国海苔、チョレギサラダ、牛タン、韓国海苔、冷麺、韓国海苔、あとコムタンスープ、イチボとかトモサンカク、韓国海苔だろ。
「韓国海苔ばっか食べてない?」
「うるさいなぁ、別に良いだろ」
「こっちのシャトーブリアンって食べてみようよ、どこの肉か分かんないけどね」
「シオンちゃん、それは国産の牛だよ」
いや、多分そういう事じゃないと思いますメル先輩。
ホラゲーをダウンロードした。
このゲームの特徴は大体4つ、分かりやすいリアクションの取りやすさ、探索での雑談時間の確保、ストーリーはリスナーと配信者任せの考察スタイル、全体的に大体1時間で終わるところ。
分析すると、大体こういう理由で流行ったのかなと思えてくる。
まぁ、リスナーからしたら配信のしやすさとか考えないから、みんなやってるからやってんだろぐらいの感覚なんだろうな。
さて、そういう作品なのにリアクションが薄くて、トークもそんなに上手くなく、あんまり考察とかしないし、何ならゲームも人並みにしかできないので1時間以上かかるかもしれない私がやる場合どうするか。
徹底的な予習である。
リスナーは初見の反応を求めるだろうが、初見なところでリアクション薄いからね。
となれば、撮れ高を意識して配信したりする訳だ。
みんなやってると切り抜きが上がってやりやすいってのも流行ってる理由かもな。
プレイしなくても予習出来るしね。
『こんこちょー、今日は深夜放送室というゲームをやってくよー』
コメント:あぁ、去年の流行りの
コメント:運動大会お疲れ
コメント:野菜と海苔ばっか食ってないで肉食え
『はいはいありがとう、そうそう一昔前の流行りの、あー焼肉の話もう聞いたのか、肉も食べたよ』
コメント:悲鳴とかあげないのにやるのか
コメント:どうしてコメント拾ってくれないの?
コメント:こんこちょ〜、ラミィちゃんとか逆叉やってたな
『なんか切り抜きあったね、サムネだけ見て流行りのゲームだなと思ってダウンロードしたよ』
コメント:お婆ちゃん、それは去年の流行りなのよ
コメント:最近……まぁ、最近か
コメント:今の最新は銭湯だぞ
『えっ……最新じゃないの?お出掛けファンザのとこの』
コメント:胡蝶よ……
コメント:なんでそこでファンザ(笑)
コメント:何言ってんだお前?
何やらコメント欄がざわつく、なんかやらかしただろうか。
あぁ、AVメーカー知ってるからか。
いや別に、懐かしいなぁって見るだろ。
『よく分かんねぇけど行方不明になった奴の謎を解き明かすべく、我々は森の奥地にやってきた』
コメント:お前だけ定期
コメント:ホラゲ主人公って警察に頼まねぇんだよな
コメント:なんで一人で行くんだろうか
『メタいメタい、コメント拾い辛い。ふむふむ、なるほど……軽トラ運転するらしい』
コメント:免許的に運転できるのか?
コメント:車の運転あるのか、事故るなよ
コメント:あぁ窓に!荷台に、荷台に!
『取り敢えずミッションクリアしてくぞー、なーに事故ったりする訳……あっ!?』
コメントを拾いながら配信していく。
なお、このゲーム、途中で野生動物を轢くイベントがあったりする。
切り抜きで見たからな、もちちが猪突猛進とか言ってた。
まぁ、知らん振りするけど。
『ヤベ、イノシシやんけ』
コメント:あーあ、炎上
コメント:事故るなとあれほど言ったのに
コメント:さぞや名のある山の主やったんやろなぁ
『鹿とか猪にぶつかったら、一応事故なんで警察に電話するんやで。あと、物損扱いだから道路管理者に片付けてもらうと良いよ。でも保険は適用したら翌年から保険料上がったりとかあるからシミュレーションするんだよ』
コメント:サムネの真顔くらい動じなくて怖い
コメント:なんで詳しいんだよ経験者か
コメント:いつも通り淡々としてるな
まぁ、猫とか猿とか狸とか、轢かれたやつを回収する仕事とか前世でしてたからね……慣れちゃったけど。
あと、ゲームだから悲鳴とかね、あげたりしないもんね。
『もうやっちまったものは仕方ないよ』
コメント:さてはオメー反省してないな
コメント:命をなんだと思ってんだ
コメント:違う、思ってたのと違う