胡蝶の夢、或いは不労所得の夢   作:nyasu

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確認の大博打

動画配信をやって分かった事は、意外と気を使うと言うことだった。

というのも少しのミスで、すげー荒れたりする。

俗に言う炎上と言う奴だ。

指示厨や暴言厨、セクハラや鳩行為、まぁ世紀末かってくらい無法地帯だった。

うーん、男じゃなかったらメンタルやられてたな……身体は女やけど。

 

高校生活は順調だった。

難しいけどロジックと暗記勝負、大学に比べたらと何なら覚えるのも早い気までする。

問題は、性別の違いなのか感情的になりやすいと言うことだろうか。

 

悲しいのは前世、或いは未来よりは長生きしたけど爺ちゃんが死んでしまった事だった。

ちょっとだけ揉めた遺産問題は、今世では遺言状によりスムーズになっていた。

あと、何故かアパートを相続。

たくさんあるウチの一個だけど、貰えるだけ嬉しい。

扶養家族を外れる訳には行かないから、管理も名義も婆ちゃんだけどお小遣いが入ることになった。

 

その金、なんと毎月16万円。

婆ちゃんは4万で良いらしい、月額5万の四部屋の収入は美味しい。

まぁ、ボロボロだからいつかは全員追い出して建て替えるべきだろう。

子供いなくなるから家賃減らせとか、払えないとか言いつつ新車買うような奴が住んでるからな。

数年後には隣人トラブルでソイツ以外が出ていくしな。

 

 

 

勉強、一人カラオケ、勉強、筋トレ、勉強、配信。

毎日が忙しい、将来のために関わらないであろう友達との時間は億劫だからだ。

嘘である。

絶賛、虐められていたのだった。

事の発端は私に告った男がいた事だ。

彼氏がいるから無理と言ったら次から色々な噂が飛び交い、職員室に呼ばれる始末。

 

良く隣町に遅くまで行ってるのバレてるぞ、とか。

……カラオケあるの隣町だからな。

薄着で夜を徘徊してるの聞いたぞ、とか。

……筋トレ帰りにコンビニ寄ってた時の事だな。

夜遅くまで友達と電話してると聞いてるぞ、とか。

……それ、友達じゃないです。リスナーです。

 

思ったことは、面倒くさいな人間関係!だった。

こんなに下手くそだったっけ、なんで女子に目の敵にされんだよ。

あざといとか意味分かんねぇよ。

 

「いや、距離感バグってるから嫌われるだろ」

「お前もそういう事言うかー!」

 

昔から仲のいい、やっくんすら味方になってくれなかった。

ぴえん、救いはないんですかね。

まぁ、どうせ今だけの関係だから高校の友達とか身バレのリスクでしかないから良いですけどね。

 

「なぁなぁ、彼女出来た?」

「お前ぇー、そういうとこだぞ」

「えー」

「お前の親から不登校になったって言うから心配してきてみれば」

「いや、有給的な?毎日行かなくても勉強出来るし、イジメられてるのに行くとか意味分からないでしょ」

 

親の前では弱々しい女の演技で誤魔化していたが、やっくんの前は男友達といるようなもんだから素の自分を出していた。

あんなに厳しかった親父は今世はデロデロに甘いし、逆に子離れ出来てなかった母親は今世は厳しい。

うーん、性別の違いが出てるなぁ。

 

「まぁ、保健室登校でもそこまで元気なら良かったよ」

「内申は悪そうだけどね、大学行くとこも決めたし」

「高1なのに早くねぇか?」

「寧ろ凡人だから早め早めに動いておかないとね」

 

親には悪いが、国立なんて行ける頭をしてないので私立の語学系の大学に行きたいと思ってる。

多分、独学じゃ無理だけど勉強になったらやるはず。

いろんな言語は喋れた方が良いだろうけど、英語だけに絞れば行けるはず。

という考えでずっと英語を勉強している。

他の教科は必要最低限で良いだろ、文系は理系より成績悪くても行けるしな。

 

「とりあえず、やっくんはドル建て債券買うといいよ。今は90円だけど将来150円くらいになるから」

「株とか債券とか難しいことも勉強してるのかよ」

「具体的には15年後だね」

「具体的過ぎるだろ……」

 

まぁ定期預金よりはいい買い物だと思うんだよな。

ほぼほぼ、倍になる訳だからね。

金利3%で100万入れたので将来は1.5倍の150万、それが円安で300万弱になる予定である。

30歳の頃に300万入ってくる予想だ。

時間だけが私の味方である。

 

 

 

そんなこと言ってたら、いつの間にか高校卒業である。

青春、そんなものねぇよ!陰キャ舐めるなよ!

私の青春はクソリスナーと毎日喧嘩してる配信してたくらいだよ。

アカウントも卒業と同時に消して、ハイ終わりってね。

そして、私が高校卒業する頃にYouTuberというのが世間に浸透し始めた。

2011年、私が高1の頃から配信は始まっていたが、世間に認知されたのは高校卒業からしばらくした後である2014年頃である。

好きなことで生きていく、なんかそんなこと言ってる胡散臭い奴らがいるなって時代だ。

そして、私が証券口座を手に入れて扶養家族を外れる予定の歳の少し後でもある。

今までのアパートの家賃収入で溜まった300万、もっと稼いでたけど維持費とか税金とか抜いての元銭。

私はそれを使って2013年に大学デビューしながら投資を始めた。

 

「40万で買えるのか……クソ、去年ならもっと安かったのに」

 

買った株はガンポー、昔テンバガーというので聞いたことがあった株だ。

株価の天井は1株で16000円だったはず。

今は1株4000円、100株買うなら40万が必要だ。

買った株は800株、今までのお年玉を使って320万の全力投資。

本来なら100株からしか買えないが、1株から買えるようだった。

それを8単元分、つまり800株購入した。

予定では、4倍の8単元なので、320万が1280万である。

 

「パズモン流行ってたもんな……」

 

マジで失敗したのは信用取引が出来ないことだ。

もっと早く始めてたら、半年以上の実績とかで審査も通れたかもしれない。

そしたら信用取引で3倍借りれて3000万は稼げた。

何なら暴落前に空売り仕掛けたりもできた。

 

「いや、十分だ。十分すごいことをしてるんだ、今」

 

私の未来予知とでも言うような男の記憶が本当に正しければ、私は大金持ちになれる。

そして、年末くらいになるかなと思ったそれは圧倒的な速さで到達した。

 

「も、もうだと!?」

 

売買予約して、大学に通っていた私の予想とは違い、株価は5月地点で最高額付近に到達していた。

毎日気になってチェックしていたが、本当に到達したのである。

速攻売って、売って私は、放心した……利益確定の瞬間だった。

 

「本当に、数字がある……ちゃんと1200万以上のプラス」

 

その後も16330円を記録して、ガンポーは下落していった。

 

「お母さん!儲かった!」

「あら、やっと株で勝てたの?」

「うん、1200万!やったー!」

「1200円ね、はいはい」

「違うよ!ほら!」

「うーん、えっと0が……えっ?待って!えっ?えっ?」

「1200万!」

「アンタ!ど、どういうこと!?」

 

その日、褒められると思ったら家族会議が始まり税金関係の話で滅茶苦茶注意された。

いや、本当に怪しかったり危ないことは……危なくはあったけど。

はい、友達とかにも言いません。

はい、気をつけます。

はい、来年の税金も貯金しときます。

 

こんな事になると予想出来ないなんて、本当に私って馬鹿。

 

「やった!ゴールドシップ!100万が300万だ!単勝取った!」

「何!?お前競馬やってたと思ったけど、そんな使ってたのか!?」

「えっ、100万だけ……」

「100万もギャンブルに使うなんて!外したら無くなるんだぞ!」

「絶対勝てる宝塚だったもん!アプリでやったし!」

「何いってんだ!ちゃんとした金銭感覚を持ちなさい!まだ女子大生なんだぞ!」

 

自宅でコッソリ競馬やってたら、また怒られた。

いや、だって覚えてたし1000万あるなら100万くらいいいかなって……チッ、反省してまーす。

 

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