人が配信外で小倉記念をやって、トリガミでうわぁぁぁと叫んでいた頃。
フォローライブ三期生、先行組がデビューしてきた。
当時、2強と呼ばれていたスパチャ稼ぎに稼ぎ、女性ストリーマーの上位に名を連ねた女達だ。
『こんバニー、こんバニー、こんバニー!フォローライブ所属、バニーぴょこら、です!よろしくぴょこー!』
オーディションとかじゃなくて、社長の山内……後に同期がヤマァァァ!と間違えてたことが発覚して呼ばれる様になった社長が集めた0期生は置いといて。
今まで色んな客層を求めていたのか、個性が違う1期生。
狐の黒井ハルカゼ、ハーフエルフのハル・ローズバレル、後輩の赤井ラブ、チア部の冬色フェス、吸血鬼の青空メル。
歌や雑談、ASMRなどの技術系でファンを作ろうとした2期生。
なお2期生は魔界の保険医とか魔女とか鬼とかマネージャーとかお嬢様とか、ちょっと、ファンタジーな学校とかを意識してる漠然としたイメージのグループであり、チームと言うより個人戦の集まり。
ゲーマーズと呼ばれる、ゲーム実況よりも雑談やASMRが多かった時期にテコ入れ導入されたグループ。
黒井ハルカゼという1期生を筆頭に、2期生の後には獣をモチーフに、狼と猫と犬のメンバーが追加された人達。
ゲーム特化であり、グループ売りのテストケースとして入れられたと思われている。
そして、ファンタジーというテーマと元々別のプラットフォームでやってた経験者、グループで売るというコンセプトで作られたと言われているのが3期生だ。
特徴として仲が良く、良くコラボして、お互いのスケジュールを調整してソロ配信が被らないように……まぁ前世の経験を活かしてか、客層の取り合いをしない対策とかしてる。
「最初からスゲーなー」
そして7月の中旬には、その3期生が先行でデビューしたのであった。
世界で最も見られたであろう兎と当時世界で最も投げ銭してもらったネクロマンサー。
かわいいバニーガールの女の子、バニーぴょこら
儚げなネクロマンサーの女の子、乾羽(かんば)ルチア
そんな大型新人のデビューである。
この後にもエロと笑いと歌でバズりまくる海賊の船長とか。
ASMRがすごい騎士団団長とか。
歌や企画が安定してるエルフとか。
黄金世代という、時代と個性が噛み合いまくった大型新人の後輩たちがやってくる時期だ。
「いいよなぁ、最初から企業バフあって才能がある奴らは……ハァ、最低だな」
月の物が来てるとはいえ、だいぶ感情的になっていた。
最近分かったが、どうもこの身体は生理が来ると感情的で自分勝手でクソみたいな本性が滲み出てくるらしい。
後輩に嫉妬して、勝手に比べて勝手に凹んで、忙しい身体してやがる。
殆ど何も響かないしストレスだけ溜まってた男の時よりは、発散出来るからいいのかもしれないが、周りには迷惑だろうなぁ。
黙ってストレス溜める奴と、ムラがあるけどストレスフリーな奴、どっちが良いのやら。
他の配信者を見ると、まぁコメ欄から違う。
私が一年かけて増やしたチャンネル登録も軽々と超えて既に数週間で抜かれてる。
別に自分より出来る後輩とか、時折現れる物だから慣れてたつもりなんだけどな……めっちゃ悔しい。
結局、努力したとか言っても結果が全て、チャンネル登録やスパチャの金額、会社との案件とか実績とか、私は他より劣ってる。
あぁ、ダウナー入ってるな。
でも、配信しないとそれはそれで、毎月同じ時期に配信しないなとか思われるのは気持ち悪い。
「よし、やるか……」
まだ大丈夫、まだ大丈夫。
繋いでた映像を配信画面に映し出す。
今日は初めての3人コラボ、相手は大海昴ともう一人。
「こんこちょー、フォローライブ所属、バーペックス初心者、胡蝶舞姫よ。そして!」
「ちわーッス!フォローライブ所属、大海昴ッス!」
「GoodEvening、こんクッキー、フォローライブ所属2期生の癒日クッキーよぉ〜」
クッキー先生との初コラボである。
各々の配信で行われる、バーペックスというゲーム。
それは元々あったゲームを元にオンラインで対戦できるFPSらしい。
少し前に流行った、サバイバル要素を加えたゲームでフィールドにプレイヤーが降り立ち、武器を拾いながら最後まで生き残るって奴らしい。
ドン勝つって奴ね、と言ったら古いよと言われた。
古いんだ……そっか……うん。
「えー、本日は初心者2名でクソドハマリしてるらしいクッキー先生から教わりながら、最近導入されたとかいうランクマッチをやります」
「正直出来る気しないけど頑張るッス!」
「えっ、お前配信中ずっとキャラ守るつもりなの?」
「ねぇー!営業妨害やめてくれます?」
いやだって、絶対叫ぶのに高い声作ってても辛いやろう。
楽になっちまえよ。
「んんっ!……舞姫ちゃんはFPS?やったことあるんですか?」
「最初から武器がある奴ならやったことあるよ……手羽先使え?何言ってんだお前ら」
「あぁ、武器の名前よそれ。環境武器って奴ね」
謎の手羽先コメントを読み上げてたら、クッキー先生からフォローが入る。
へぇ、オルタネーターって言うんだ、強そう。
最初はキャラクターを選ぶらしい。
あっ、このブラハって奴聞いたことある。
このデブとレイズってのも、あっパスファインダーだ。
「どれ選べばいいか分からないっすね」
「こんなん適当で良いだろ、あっ、うるさいなお前ら好きにゲームやらせろ。指示厨かよ」
「キャラによって能力があるけど、最初は好きなキャラで良いわよ」
「ほら、クッキー先もそう言ってる!うるせー、横暴じゃねぇやい!」
「コイツ、いつもリスナーと喧嘩してるなぁ……」
敵の索敵が出来るというブラハとやらを選択。
そして、出撃する。
へー、自分で降りれるんだ。
「大体決まってるけど、被らない所に降りるのよ。降りたら武器を探すの」
「おぉ、いきなりランクマなのか。これか、あれ使えない」
「クッキー先生、武器がギャァァァ!?」
「敵来た、敵来た!」
言われたとおりに武器集めしてたら、悲鳴が聞こえた。
なんか、同じことしてた大海が襲われてる。
お前、はえーよ。
「た、助かったッス……」
「これ回復アイテムよ。使ってね、昴様ぁ」
「へぇ、武器ごとに銃と弾が違うんだ……これか手羽先、あとは?……分かったこっちな」
「舞姫ちゃん、順応はっや……」
いや、リスナーがアレコレ言うから。
そっちはクッキー先に任せればいいから。
「おぉ、これが索敵スキルか。なんか出たな」
「アレっすね、全然敵と会わないッス」
「ある程度時間が経つとフィールドが狭まるから嫌でも接敵するわよ。今は武器やアイテムを集めてアーマーを鍛えるのよ」
「アーマーって何?てか、回復あるのか、このゲーム……あぁ、紫アーマーね。聞いたことある」
夏休みはキッズが多いのか、あーだこーだコメント欄が騒がしい。
コラボしてるが、それぞれで配信してるのに同接も多い。
2窓とか3窓してるのかな、コメント欄で喧嘩しててマジで草。
「おっ、いたぞ。すげぇ、クッキー先当たるの?」
「スナイパーはあると便利よ。でも他のチームもいるから前に出ちゃダメよ」
「よし!アイテム漁りに、ギャァァァ!?」
「前に出てる場合かぁ!話を聞け!」
「助けて!援護、援護して!」
初戦は昴が脱落して、すぐにこっちも殺られて終わってしまった。
見てるのとやるのじゃ違うもんだな。
その後も一緒に3時間くらい配信した。
うーん、いつもより時間が経ってただと。
「なん……だと……」
そして、何故か私は炎上していた。