マリカ大会、一進一退の様相を示す。
コース取りは完璧、1つも2つも抜きん出ている。
しかし、少しでも前に出ればアイテムにより追撃され、後ろを走れば追いつけない。
このゲームは走りの上手さではなく、全体把握とコースの位置関係が物を言う。
「…………」
コメント:こいつ、喋らなくなったぞ
コメント:配信者を捨て走るのよ、行きなさい胡蝶
コメント:さっきの負けが効いてるんだな
チラッとコメントを見るが、すぐに画面に戻す。
私は全てに劣っている、そんな私が同じ環境で戦って勝てる訳が無い。
なら、持てる全てを用いて勝利する。
「ふぅ……なんとか勝ちましたわね。これは予選、ここから上位10名の勝負……まぁ、殆どがAブロックからでしょうね」
コメント:そうだった予選だった
コメント:予選なのにガチになってる奴がいるってマ?
コメント:本気過ぎだろ
「たかがゲームに本気になれない奴が、物事を本気で取り組める物ですか!見てなさい、私の優勝する姿を」
コメント:無言配信なんだよな
コメント:背中で語られても……
コメント:配信者として負けてるがゲームでは勝ててる
つよつよ杯と、ざこ杯。
つよつよ杯には、胡蝶舞姫、桜もち、大海昴、バニーぴょこら、黒井ハルカゼ、冬色フェス、陸テラ、百目鬼菖蒲、犬神クリーム、猫又ごはん。
気合の入った主催者、同期の予め練習していた3人、ゲーマーズの3人、1期生と3期生が1人ずつ。
この中で警戒しないといけないのは、陸テラ、黒井ハルカゼ、猫又ごはん、この3人だ。
陸テラの奴はコース取りがすごく上手い、抜きん出た実力だろう。
黒井ハルカゼ先輩、こっちはコース取りとアイテムの使い所のバランスが凄くいい。
最後に猫又ごはん、いやらしいタイミングでアイテムを使ってくる難敵だ。
「最後に生き残れば良い、最後まで立ってたタフな奴が勝者、故に最終ラップまで無理に1位は狙いませんわ!」
コメント:コイツ、やる前から作戦を……
コメント:結構凝るタイプだよな
コメント:発言がお嬢様というより世紀末なんだよな
1、2、3位。
スコア的には12、10、8点と点を振り分けられる。
以降は順位の順に点数が加算され、合計を競う。
ここで1レース目に4位を取ったとしよう。
1位との点差は12と7で5点差だ。
次のレースで常に1位と2位を取った場合。
2、2、2、合計6点、最短で逆転は4レースまで1位を取り続ける必要がある。
仮に途中で逆転されたとしよう。
2、2、−2、2、合計6点、最短の逆転は5レースまでに3回1位を取る必要がある。
あくまで理論値、パーフェクトゲームをやられたらという考えだが、現実的に考えて3回1位を取ることは難しいだろう。
ある程度の変動はしようと、4位以下を取ると常に1位を取られたら勝てないのだ。
「さぁ、スタートですわ!幸先は良いですわね、アイテム抽選は拘らない、ドリフトしながら……よし、2つ取れたのは運が良いですわね!」
コメント:喋ってる!
コメント:さっきまで黙ってたのに
コメント:たぶん色々考えてたんだろうな
「理論上、このレースは4位以下は厳し、あっぶね!甲羅背負ってて良かった、キノコダッシュ!」
背後への守りとしてアイテムを背中側に配置していたのだが、すぐさま外される。
予選と同じ、黒井先輩の攻撃だ。
早い、こんな序盤で!?
「くっ、定期的にアイテムが飛んでくる。直線は緑甲羅が……だいたい、この辺だと読んで、くっ、危ないな」
コメント:最短距離から打ったらその辺だよな
コメント:緑甲羅の軌道を読むってなんだ
コメント:キャラ守れてないぞ
「ふぅ……2位か幸先は良いな……あっ、ですわ」
コメント:戻ってきた黄泉の国から
コメント:その口調、お主は胡蝶ではないか?
コメント:ですわを置き去りにするな
点差は2点差、次のレースでキープするだけで大幅なアドを取れる。
次は……ベビーパーク。
グルグル回るだけのドリフトとアイテム運が勝負を左右するコース。
これは……荒れる!
「スタートダッシュは完璧!コーナーで差を付ける、インド人を右に!」
コメント:ネットミームで喋るな
コメント:インド人になんの恨みが
コメント:大乱闘だな
「しまった!緑甲羅め……まだリカバリーいける、よしキノコだ!このコース、スターよりキノコの方が使いやすい!」
真横をキラーが飛んでくる。
危ない、誰だこんな所で使う奴は……優勝候補の3人ではない!
くっ、油断した……このコースでは実力差がなくなってしまう。
「あっ、なんてイヤらしいバナナ!インコースやアイテム前に置くとは悪意しかありませんわ!」
コメント:ごはんちゃんのだ
コメント:やらしい猫だぜ
コメント:みんな引っかかりまくってる
「くっ……3位……20点か。陸テラは22点、まだ行けるか」
あと2回勝てば、4レース目で逆転は可能な位置だ。
やはり立ち塞がるか、陸テラちゃん。
3レースめ、みんな大好きクッパ城。
コース取りが物を言うコースだ。
「ドリフト、ドリフト!1万と1千回転、きっちり回しますわ!」
コメント:お前……知ってるのか
コメント:峠を走るのが一番カッコいいんだ
コメント:孤高のスピリッツを感じるんだ
コメント:なんだ急にコイツら……
「来たか、陸テラ!だが最後の直線、貰っ……」
コメント:スターだ!
コメント:ごはん、来るか!
コメント:あーやばい!
やばい、後ろから……抜かれた!
テラばかり見て、意識の外から来やがった。
まずい、ぶつかれば負ける!
「まずいですわね、陸テラは32点、ごはんさんが32点、私が30点か」
コメント:常に点数計算してるのか
コメント:ハルカゼが28か
コメント:ほぼ4人の戦いか
他の人は順位がバラついてて逆転はない。
次のレースで抜けば、逆転出来て1位になれる。
「レインボーロード……ショートカットが複数あるコースですわ。唯一、ミスったら転落するコース、ガードレールが無い。そして、キノコがないと出来ないショートカットもある」
コメント:解説助かる
コメント:なんだコイツ、ガチ勢かよ
コメント:言われてみればそうか
「スタート!コース取りは良いけどアイテムによるスリップで一気に転落するステージ、ここは慎重に敢えて後ろで行く」
コメント:ついにですわを捨てた
コメント:そんなですわ捨てたら輩よ
コメント:輩か、だから滅んだ
「みんな落ちていく、接戦だな……くっ、ジャンプ台だ!」
コメント:飛んだぁぁぁ!
コメント:ロンググラインダー!
コメント:ヤバい!
「あぁぁぁぁ!テラ、お前ぇぇぇ!」
ロンググラインダーと呼ばれる長時間の飛行、その時に雷が落ちる。
しまった!回収されたがコインがない。
このゲーム、金がない奴は遅くなる仕様になっている。
いや、あれば早くなるの間違いか。
つまり、金は無限にある命より重いのだ。
「畜生、間に合わない!よしキノコ、なんでこのタイミングでアイテム奪われんだぁぁぁ!」
コメント:妨害が重なるな
コメント:これは厳しいか?
コメント:ショトカ完璧だな
アイテムはないが、なんとかコース取りで食らいつく。
くそ、それでも5位がやっとで差が縮まらない。
「あぁぁぁぁ!4位だと……私が37点で、テラちゃんが44点……」
7点差、これは埋まらない。
最終レースで1位を取った上で、テラちゃんがえっと……たぶん4位にならないと、私は勝てない。
最後のレースだ。
「うおぉぉぉ!最初からトップスピードだ!1位を取っても勝てないけど、もしかしたら勝てるかもしれない!なら、これが諦めないという事だぁぁぁ!」
コメント:う、うおぉぉぉ!
コメント:大逃げだ!大逃げじゃないか!
コメント:待て!集中狙いされるぞ!
「あっ、うわぁぁぁ!?」
コメント:即オチ2コマ
コメント:そりゃ点数も高いし狙われるよね
コメント:最下位だけど巻き返せるか?
当然のように巻き返せず、優勝はテラちゃんだった。
えっ、最下位は回線落ちで負けたもち先輩だったよ。
撮れ高ですら、負けるのか!
『なんでぇ……なんで、もちの回線はすぐ死んでまうん……』
「勝負は水物と言いますわ。甘んじて受け入れますわ……くっ!殺せ!」
コメント:お嬢様なのか女騎士なのか
コメント:大逃げで負けるの穴馬っぽい
コメント:穴馬……お嬢様にも穴があるんだよなぁ……
ちょっと泣きそうになったが、次こそ優勝を狙おうと思う。
「あっ、お疲れ様です。はい、大丈夫です……えっ、またですか?」
『今度こそ分かったかもしれません。犯人は……マネージャーです』
「あっ、はい……でも男性社員にはアリバイが」
『私達は犯人に誘導されてたんです。犯人は、女性だ』
「そんな訳……いや……まさか……あの人か!?」
すごい、弁護士先生が探偵みたいだった。