胡蝶の夢、或いは不労所得の夢   作:nyasu

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未来知識と資金力と努力が取り柄

1月中旬、日本に来た中国籍の人が謎の新型肺炎ウイルスに罹っていることが報道される。

中国ではそこそこ流行ってるらしい、そんなことより台湾の選挙だろ、なんか人から人には移らないらしいよ。

まだ対岸の火事のような扱いであった。

 

中国じゃ情報を隠蔽するなと大騒ぎらしい。

こっちじゃ春節は監視を強化して、何かあったら病院に行ってねぐらいの温度差だ。

人から人への感染の可能性は低いとか言ってるしな。

 

火事で思い出したが、知らないVTuberが可哀想なことに炎上した。

私は知らなかったのだが、界隈では有名な人らしい。

炎上理由は、よく炎上をまとめて偏向報道でお世話になってる暴露系VTuberの人とコラボしたら炎上したのだ。

 

えぇ……コラボだけで炎上することなんかあるのか、可哀想にな。

更に、それをきっかけか話題になったことで特定した隣人に騒音トラブルをお気持ちされ、更に再三に渡って注意されていたのに無視していたことで、他のVTuberにも防音どうなってんだとお気持ちが来るようになった。

 

「えっ、防音?ウチは最上階だし、フロアは私しかいないからいても下の階だよ。お子様いるとこで、一応定期的に菓子持ってってるけど足音とか聞こえないらしい……いや、騒音トラブルは気を使うだろ、ウチ不動産持ってるし」

 

コメント:そうだった、コイツ隣人いなかった

コメント:隣人もいないし、20階くらいのマンション最上階住みやぞ

コメント:ガサツキャラなだけで、裏じゃ気遣い屋さんだぞ

コメント:騒音どうなってんだよ通報するぞ

 

「隣人もいないし、20階くらいのマンション住みだけど、よく覚えてるわね。あと、営業妨害なんでやめてくださーい。あと、その話題は今やったんだよ話聞いとけよお前」

 

コメント:コイツお前とかいうのかよ

コメント:おっ、初見か?

コメント:珍しいな初見リスナー

 

「初見さんいらっしゃいクルーズから来たのかな、@マークとコテハンつけてコミュニティ登録してね……って言う古のネタはさておき、最近はね流行りが落ち着いてきたね。あっ、そういえば真島さん10万人なってたね……早いなぁ」

 

コメント:すぐオススメ乗るからな

コメント:アレだけで見てなくても全部分かるし

コメント:俺も取り敢えずで登録してる

 

「そうねぇ、10万人って私が1年半くらいの数字だからね、まだ1ヶ月なのに速いよね。アレは才能だよ、これから1ヶ月以内で100万人登録者な人も出てくるんだろうな」

 

コメント:言うてもう下火って言われてね?

コメント:いいんや、俺だけが知ってる感じが

コメント:最近は早いけどその分プレッシャーになってそう

 

「いや、これからもっと流行るでしょ。今は技術的に難しいの多いけど、発展したらポテンシャルスゴイよ。インサイダーになるから無理だけど、上場したら初手で全力投資するわ。一年以内にダブルバガーするし」

 

コメント:その自信はすげぇわ

コメント:なお、本人は現在1000万の含み損

コメント:朝からグロテスクなスクショ載せんなよ

コメント:VTuberじゃないTwitterだよな

 

「お前ら、私のラーメンいいねするの何なの?ミニ豚全マシマシにデブになるって書いたやつは開示請求するぞ?いいんか?」

 

コメント:そして胡蝶と弁護士と事務所で握手!

コメント:カロリーエグいのに、完飲してる写真まであるからじゃん

コメント:胡蝶はデブだからつま先が見えない

 

「おま、ライン超えだろ。最近はプニってブラとかパンツの上に肉が食い込むけど、ダンスしまくりで痩せるから……来週にはライブだよ。早いね……そういえばツースリーさんの新人見た?あの静岡の人」

 

コメント:静岡?王国やぞ

コメント:あー、静岡っぽい訛りあったな

コメント:絶対テキトー言ってんだろ静岡に訛りなんてないぞ

 

「あれ?あー、まぁ英語で言ったらサイレントヒルだからな。イーストシティの私は怖くて行けないぜ、さわやか食べたい。てかさ、クッキー先生食べたいからってこないだタクシー乗って行ってたよ!やべぇよな!」

 

コメント:会話が!会話展開が早すぎる!

コメント:まだそのステージか、ついて行こうとするな

コメント:通過するの周回数を数える風に流していけ

 

「うるさいな、脊髄反射で喋ってるじゃねぇよ。舐めるなよ、脊髄反射より早いわ。お前達、速さが足りない。えっ、スクライドって何とかコメントあるのマジかよ、男の子なら見てるもんじゃ……やべっ、そろそろ10時か」

 

コメント:えー今来たところー

コメント:行かないで

コメント:毎回追いやすいために1時間にしてんだもんな

 

「や、やめなさいよ……私がお前らみたいな庶民が好きだと思われるでしょ。お嬢様は教育厳しいから、セバスチャンが見回り来るから」

 

コメント:一人暮らしだろ

コメント:修学旅行の先生かよ

コメント:イマジナリーセバスか、お薬出しときますね〜

コメント:こんな時間に配信して騒音気にしてないの?

 

「薬はピルだけで良いです。はい、保健体育の授業なんかしねぇ……はい寝るよ、ねんねの時間ですよ……だから、騒音の話は終わったって言ってんだろ!キッズがよ、クソして寝てろボケカス!はい、おつこちょー!」

 

コメント:セバス!早く来て!

コメント:おうんちして就寝しろですわよ

コメント:これで炎上しないってどうなんだよ

 

それはそう思う。

とはいえ、初のライブである。

 

 

 

朝の早い時間から集合する。

流石に全体ライブということもあって、レッスンで何回も会ってはいる。

それでも大人数でのライブは初めて、リハにも熱が入る。

集団でのダンスは中々しないからだ。

 

「もっと指先伸ばして!そこ、遅れてる!速い!パフォーマーじゃなくてアイドルの動きはキレじゃなくて見やすさ!隙間が空いてる、位置取り気にして!腰!ギュンじゃなくて、ギューンって、ゆっくり!」

「はい!」

 

振り付け師の先生は割と私にだけは厳しい。

厳し目でと頼んだら、思ったより厳しくなったのだ。

まぁ、まだ完全に反映されていないとはいえ、映らなくても動きは最適化したい。

私は人より才能がないから、時間と練度で補うしかないからだ。

 

「ハァハァ……」

「もう辞めましょうか、リハで体力を使いすぎても駄目です」

「はい、ありがとうございました……」

 

若い娘と違って、ブッ通しだと汗が止まらなくなる。

いや、私より年齢高い人もいるか……それに30に比べたら全然体力はある。

それに先生の言葉なんてLOLに比べたら優しいもんだ。

 

ライブは全体パートとソロパートとユニットパートがある。

運営からの提供がなくて自前で曲を作った人とかは自分の曲を歌ったり、ない人はない人で既存の曲を歌ったりするパートがある。

私は、権利関係とか怖い保身に逃げる人間なので高いお金を掛けて以前から曲を作ってもらった。

 

専用の曲である。

いよいよ戻れないレベルになってきたな。

頼んだ人は良く聞いてたのに何か世間では知られてなかったメガP。

 

今の時代は作曲家よりボカロの人というイメージらしい。

私は、ODAちゃんとかゲームとか、それこそフォローとのコラボ曲で知ってたけど、あの頃と比べると確かに色んなとこに楽曲提供はしてない。

 

特徴としてはEDMという……要はクラブに流れてるような機械的な音楽。

もう騒音みたいな日常では出せない機械的なサウンド、今は流行ってないけど今後に有名になる。

一部、KPOPに組み込まれてるようなサウンド、それにラップを合わせたのが特徴だ。

 

覆面歌手とか学園でアイドルがいつか歌うんだから、私が歌っても違和感ないだろ。

ムリだ、違和感しかない。

存在してなかった曲だ、何ならODAちゃんデビューしてないから知名度今はない人だし、みんな知らない。

 

運営から全体ライブで発表は話題になるけど炎上しないかとか言われたけど、終わり次第アニメーションMVを流したりして、ライブのアーカイブを見させるのに貢献することを条件に押し切ったのもある。

 

今はないライブ後のMV、アニメーション、有名作曲家、金による暴力が私の武器だ。

未来の知識と資金力で他の才能に追いつかないといけないからな。

とはいえ、そろそろ私のライブ、みんなのライブである。

 

「そろそろ開演準備してくださーい」

「すごいお客さんだ」

「カメラ!早く用意しろ!」

「ねぇ、どこ行けばいい?」

「コードの予備下さい!断線!」

「順番どうだっけ」

「わぁ、緊張してきた」

「違う!こっちだ、バカ!」

「ウチってアイドル事務所だったんだな」

「音量チェック……はい、オッケーです」 

 

スタッフの慌てる声や、先輩や後輩の声が聞こえる。

私のアイドルとしての、箱を使った初めてのライブが始まる。

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