胡蝶の夢、或いは不労所得の夢   作:nyasu

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お悩み相談

総資産4億円、1億の高配当株ポートフォリオによって不労所得は年間400万円。

2億は米国信用取引にぶち込み、向こうのレバレッジで4億になった。

それをドル円レート108円で全ブッパして、買えたのは1650株だった。

36.8万ドル……日本のETFじゃないのは円安で160円になった時の恩恵のためだ。

手数料取られ続けるけど、ずっと持ってれば来年か再来年には160円だったはず、ガソリン高かったから、多分。

 

日本株は残った一億を信用取引で3倍にして、サイバーエーシー、天気ニュース、日本自動車を1億ずつ買った。

なんか2000円くらいあったはずなのに800円だったけど、馬を美少女にしたゲームでバズる。

天気ニュースは1700円だけど記憶だと5000円に行くか行かないかで4000円は超えてたはず、生放送で天気とか見れるしアナウンサーが人気でアプリも便利だったからバズったはず。

日本自動車は300円と暴落していたが、600円くらいで買って損した記憶がある。

逆に言えば、そこまでは上がる……はず。

 

4月の仕込みを終えて、収録をする。

今度フォローライブ全員で公式から歌ってみたを出すのだ。

ボカロ曲「おちゃめ機能」って言うやつで、なんかあったなと覚えている。

 

世間では若者がコロナを広めてるとか、医療崩壊するかもで騒がれてる。

ネットではコスプレイヤーがテレビに出演したのに、コロナとかどうでもいい外でやろうぜみたいな感じで放送されて、普段外に出ないのに頼まれてやって職場や親には隠してるから公開するなって約束なのに公開されたとか、そんなこんなで揉めていた。

 

まぁ、ハッピーなニュースで言えば、インドネシアにも会社ができる。

フォローライブ、インドネシアがデビューするのだ。

ムンナホシノバ、アユムリス、アイロンイオフィ、計3名だ。

時間帯的に追ってなかったけど、知ってるメンツだ。

そうか、この時期かと懐かしくなった。

 

あとは下旬からフォローのご機嫌麗しゅうっていう公式トークバラエティ企画が始まるらしい。

そんなのあったかな、マジで覚えてない。

だいぶ、記憶も薄れてきてるかもしれない。

 

「お疲れ様でした」

「お疲れ様です。胡蝶さん、またリマインドしますけど、何時ならご都合が良いですか?」

「あっ、いつでも大丈夫です」

「分かりました。何か、今時点で連絡事項とかありますか?また思い出したらでも構いませんけど、何でもいいですよ。悩みとかあれば、それでも」

 

収録後、私に話しかけてきたのは3代目マネちゃんだ。

同期と兼任していて、メールを返信するとすぐに返信が返ってくる。

いつ寝てるのか謎過ぎて、勝手に私は深夜の12時以降は返信しないようにしてる。

いつでも返信が来るから、いつ寝てるのか心配なのだ。

 

「えぇ……悩んでるように見えます?」

「見えるというか、言ってますね。独り言すごいので」

「えっ……」

「どうしようとか、何かネタはとか……病んでます?」

 

病んでねぇーよ、あー、なんか男の時に仕事の予定とか口に出してるって言われた事あるな。

次は何するとか言ってた気がする。

そんなに口に出てたんだろうか、いやまぁ伸び悩んではいるけどさ。

 

「打ち合わせの予定入れますので、事務所寄りますか?」

「そこまでして頂かなくても」

「では時間ある時にリモートで打ち合わせでも良いですよ、活動方針に関して何か話したら進展があるかもしれないですし」

「……じゃあ、それでお願いしたい……かも」

「もう、仕方ない人ですね。頼ってもらっても良いのに」

 

うぐぅ……だって、相談とか恥ずかしいじゃん。

人に話して不快感とか悩みとか共有するのって何だか悪い気がするし、そういうのは1人でどうにかするもんじゃん。

とはいえ、3代目マネちゃんの圧に負けて夜に打ち合わせすることになった。

ちなみに、3代目は収録後にお嬢の方で仕事あるらしい。

忙しいのに本当にすまない。

 

 

 

夜、パソコン越しに通話が始まる。

仕事の関係で向こうの空いてる時間が21時以降らしいのだが、労働基準法とか大丈夫なんだろうか。

やっぱり、こんな時間から仕事というのは辞めようかな。

 

『胡蝶さん聞こえますか?』

「お疲れ様です。あの、大丈夫ですか?やっぱり後日にしませんか」

『もう、土壇場になって何言ってるんですか。私が良いと言うんですから打ち合わせしましょう。打ち合わせというか、今後の相談になるんですかね』

「むぅ……」

 

退路がなくなってしまった。

向こうはずっと無言で待っている。

改めて聞かれると、どう話せば良いのだろう。

 

『…………』

「あの……私っておもしろいですか?」

『うーん、だいぶ人によるとしか言えないのでは』

「まぁ、そうですよね……」

『最近の悩みはあれですか、人気とか将来のこととかキャリアですかね』

「そんな所です」

 

大型コラボして分かったのだが、まず周りに距離を感じてしまっている。

いや、向こうはないんだろうが元々を知ってるからか、いないはずの自分が混ざるのに違和感を覚えてしまうのだ。

 

あと、同じ事をしていると比較してしまい勝手に自分に失望してしまう。

コメントの読み方、リアクションの取り方、ワードセンス、クリエイティブな発想。

誰かのマネは出来ても、自分から何かを生み出すというのが難しい。

 

それと批判的な意見の少なさ。

何だか囲いというか、身内のノリが許されるような環境になってきていて、リスナーが全肯定してくるので、本当に面白い配信が出来てるか不安になってくる。

ちゃんと出来てなくても、ちゃんと出来てるとして扱われてるんじゃないかって……杞憂かもしれないけど。

 

『胡蝶さん、ずっと黙って言語化が難しい感じですか?』

「そう……ですね。自分の課題はまとまった感じですけど」

『大丈夫ですよ。人に甘えるの下手な人って、頼ったりしなれてないので、そういう子も多いので私は待てますよ』

「おぉ……流石、ベテランですね」

『市川胡蝶から、胡蝶舞姫になろうと思ったきっかけとか、初心に返ってみたらどうですかね』

 

……市川胡蝶?あぁ、本名か。

みんな胡蝶って呼ぶから忘れてたな、いやたまに外に出たりしても病院くらいでしか聞かないから。

あと、市川耕介の方がしっくりくるってのもある。

 

「始めた理由……リスナーに喜んで欲しくて、ですかね」

『それは何でですか?好きなことしてれば勝手にファンになる人もいるはずですよ、気にする理由はありますか?』

「あー、うーん……自分が楽しくても周りが楽しくないのが嫌なのかも」

『見てくれる人が主体なんですね。楽しませたい気持ちが、楽しむ気持ちより強い。じゃあ、それは何でですか』

 

何で……承認欲求だろうか。

誰かに必要とされたいから、推して欲しく思ってるのかもしれない。

だから、離れないで欲しくて推されることばかり考えてるのか。

 

「必要として欲しいというか、推して欲しいのかも」

『承認欲求ですかね。じゃあ何を認められたら嬉しいですか?』

「活動とか、頑張った事とか……恥ずかしいなぁ……」

『じゃあ、胡蝶さんが努力してきた事って何ですか?』

 

努力したこと、必要なことだから英語とかだろうか。

後は、歌とか頑張ったかな。

慣れないダンスとか、大変だったかな。

 

「ア、アイドルみたいな……歌とかダンスとか、あと学生時代は英語頑張ったし、それ……かな……」

『なるほど。でも知って貰わないと、褒めるに褒めれませんよ』

「あっ、そっか……そうですよね、知らないですもんね」

『そしたら、今後は歌ってみたや歌枠を増やすのはどうですか?ダンスはTikTokにあげたり、ダンスのレッスンの話とかしてみますか。ダンスにちなんだ企画を考えるのもいいかもしれないですね。英語も売りとしてガンガン押して行きましょう』

「お、おう……」

 

すごい、活動方針に方向性が具体的になってきた。

そうか、そういうことしてくのもあるか。

 

『9月くらいにはインドネシアの次はアメリカなどの方にも会社を作るって話も上がっています。時間帯的な問題はありますが、海外のリスナーもいますので、海外リスナーをターゲットにするのもありかなと。実際、真島ココさんのリスナーさんは、海外のリスナーが多い傾向があります。英語は強みだと思いますよ』

「そう、ですね。昔からそうだとは思ってました」

『インドネシアの子とコラボや、ココさんとの絡みも良いかもしれませんね。後は、英語だけしか喋らない配信とか、日本語混じりならリスナー離れも少ないかもしれませんし……あぁ、胡蝶さんの動画でも作って英語翻訳をつけるのも良いかもしれませんね』

 

それは、だいぶ大変そうだが、確かに自分くらいしか出来ないかもしれない。

動画とか初期のフォローメンと違って作ってないんだよな。

基本、私って配信メインでやってたし……動画作りを勉強しなきゃかな。

 

「あの、色々やってみようかなと思います」

『何言ってるんですか、まだまだ色々考えられるはずですよ!』

「あっ、えっ、大丈夫です」

『いえ、なんかエナドリ飲んだら目が覚めてきましたし、行ける気がします!』

「や、やめましょう!謎の深夜テンションです、マネージャーさん疲れてますよ!今日は休みましょうよ!」

『いえ、行けます!行ける気がします!』

 

普段は大人しいのに、明らかに様子がおかしいマネージャーを宥めて、私の打ち合わせは終わるのだった。

 

『だ、大丈夫ですから!』

「良いから寝ろ、今日は休め!」

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