5月になった。
お隣のツースリーさんでは裏垢が発覚して、炎上が発生していた。
それも発覚した裏垢の人が古参も古参、ずっと昔から居る人であったのが問題だった。
中身は鍵垢で見れなかったらしいのだが、逆にそれが良くなかった。
返信での文面から憶測が憶測を呼び、運営のあれがダメこれがダメ、給金がまともに貰えてない、オタクはチョロい、ムカつくやつが仕事仲間にいる、まぁそんな感じの内容に返信してるんじゃと……まぁ、想像力豊かな人が燃やしている。
なお、本人は認めてないのでなかったものとする。
裏垢バレたら炎上するなんて……おかしいな、既に経験してるんだけどな。
まぁ、バレたのは前世アカウントなんですけどね。
明るいニュースなら、桜もち先輩がステイホームとか叫びながらスナイパーライフルで住民を撃ち抜く動画がバズった。
海外ニキからは、おいおい日本人じゃないから理解出来ないが彼女はクレイジーだぜ、と言われていた。
まぁ、日本人からは日本人だけど理解出来ないが彼女は狂ってるのは確かと返答されている。
呼吸しなければコロナにもならないかと達観した海外ニキのコメントは秀逸だと思う。
『起きてない人は、起きて起きて起きて!今日も、頭の上ではガタガタ騒いでますねぇ……さて、大変な悲報です』
朝からコーヒーを飲みつつ、最近のニュースを見る。
まぁ、ニュースと言ってもフォローライブ界隈なんだけどね。
『すばう氏に、Dickpickをした人がいるんですねぇ』
「エホッ!?ゲホッゲホッ!?」
コメント欄は何それとコメントが流れてくるが、何なのかというと……あの、男性の下半身にある……まぁ、局部を……その、写真に撮って送る行為のことだ。
えぇ……朝からびっくりだよ。
昴……強く生きろ……そう言えば連絡来てたな。
『今日から使える英会話、講師の胡蝶舞姫よ!さっそくみんなも使ってみてね!』
画面の向こうでは、収録した朝ココ用のコーナーが始まる。
まぁ、悪ノリで作った内容なので正直頭おかしいのだが、発想が凄い。
真島さん、よくこんなコーナーを英語出来ますからで考えられたな。
『What's wrong with you?意味は、お前頭おかしいんじゃねぇの?どういう頭してんだって意味よ!みんなもゲームでトロール見つけたら、What's wrong with you?って言ってみよう!では本日はこれまで、おつこちょー!』
3分くらいのコーナーが終了、クソザコ回線のCMやナプキンのCMが流れる。
自作とはいえ、頭ぶっ飛んでるな……ぶっ飛んでるから人気なのかもしれない。
なお、私の英語はコメント欄で海外ニキがテンション高くなってるのでウケてた、日本人も使う場面LOLだけだろとコメントしている。
うーん、私ではこの反応は読めなかった、やっぱすげぇな。
さて、朝の配信を見終わったら連絡系を一旦全部返信する。
自分のペースで仕事出来るのはいいことだ。
電話とか窓口で作業を中断しなくて済むからな。
「そうか……もうすぐ20万人か」
同期である昴の連絡を見てみたら、なんと記念配信に企画を考えてくれるらしい。
3Dでゲームやらないかとのことで、3Dホラーをやろうって事らしい。
あれ、なんかそれ、アレじゃね?
ルナちゃんの奴じゃね?
見たことある記憶があるのだが、まぁホラーとか余裕である。
「スタジオで撮影か、わざわざ借りてくれるとは」
連絡を返して、スタジオに撮影するべく向かう。
告知もして、記念すべき20万人記念配信だ。
笑顔の私が手を振ってるのが画面に見えた。
久しぶりの3D、すごいぞ!動くぞ、こいつ!
「いえーい!みんな見てる〜、胡蝶舞姫の20万人記念に来てくれてありがとう〜」
コメント:おめでとう
コメント:はいがない……
コメント:コラボはお決まりの挨拶しないぞ
「ちわぁぁぁあああぁぁぁぁ!」
コメント:草
コメント:なんか走り去って行ったぞ
コメント:戻ってきた
「ぁぁぁあああ!ッス!ちわーす!大海昴ッス!」
「一人でドップラー効果やめて」
「グラップラー?」
「ダメだコイツ……どうにかしないと……」
「そんなことより!今日は、ホラー配信してくぞ」
コメント:真顔で配信するあの
コメント:でも3Dならビビるかもしれない
コメント:なんでやろうと思ったんだよ
「いや、同期が企画考えてきてくれたし、せっかくだから」
「大丈夫ッス!ちゃんと、マネちゃん経由で怖いもの聞いてきたので、ちゃんとビビらせるッス」
「私をビビらせたら大した……も……えっ、今、マネちゃんって言った?」
「さぁ、観念して付けるッス!」
いや待て、マネちゃん経由って単語はマズイ!
最近、怖いもの聞かれてたけど!
それが本当ならマジでマズい!
「おい……ちょっと、一旦やめない?」
「今日はメアリーワンツトゥプレイってゲームをやってくッス!」
「ねぇ!見えちゃいけないの見えた!ドア貫通した!ねぇ!」
「なんか様子がおかしいッスね」
私の目の前にゴーグル越しに、薄暗い家の中の映像が流れてくる。
別に、私はこんなのは怖くない。
怖いのは……人形だ。
昔、それこそ男の時に、寂しくないようにという祖母の気遣いで……寝ていた私の周りをフランス人形やこけし、ぬいぐるみや日本人形で囲まれたのがトラウマになっていたりする。
タイムリープして回避したにも関わらず、未だに人っぽい見た目……それこそマネキンとか見たらマジで怖い。
おい、このゲーム、人形が動くとかじゃなかったか!
「取り敢えず進むッスよ……胡蝶さん?」
「なに!?なんだよ、おい!」
「いや、行けよ。まだ、始まってねぇよ」
「ハァ!?だったらお前がやれよ、ふざけんなよ!」
コメント:えぇ……キレ気味なんですけど
コメント:お前、怖いのか?
コメント:いつもと違うじゃん
「えっ、怖い感じ?」
「怖えよ!おま、20万人にやっていいことと悪いことあんだろ!」
「いや、その反応は予想外だったわ、リアクションとしては満点だけど……取り敢えず頑張ろうな」
「頑張ってる人間に頑張れとか言うなよ!」
それでも何もしないのは配信者として視聴者を退屈にさせてしまうジレンマ。
えっ、待って、本当に無理……リビング出てきた。
「取り敢えず探索しようよ」
「分かった……な、何も居ねぇよな。おい、どうやってクリアするんだ?何すれば終わんの?」
「歩き回って、チャイムがなるまで待って」
「ネタバレしろよ!分かんねぇ方が怖いだろうが!」
「えぇ……チャイムが鳴ったら人形が追いかけて来るから」
「お前ふざけんな!怖いこと言うんじゃねぇ!」
コメント:理不尽で草
コメント:ガチで余裕ないじゃん
コメント:ちゃんとホラーやってる
「ねぇ……逆に人がいるといるで緊張する」
「えぇ……離れたほうがいい?」
「ざけんなお前!怖すぎんだろ、近くにいろ!」
マジでやりたくない……なんで家の電気薄暗いんだよ、明るい家庭にしろよ……クソがよ、部屋が汚ねぇんだよ。
突如、部屋が暗くなる。
「きゃぁぁー!?」
「きやぁぁぁ、何!?」
「なんで急に電気消えんだよ!ふざけんなよ、音が怖い!」
「急に悲鳴あげないでくれますかねぇ!」
コメント:ビビった……
コメント:初めて悲鳴聞いた
コメント:マジでビビったじゃん
「もう、なーんな……ひやぁぁー!?」
「お前の悲鳴のほうが怖いよ」
「チッ、ドアかよ!マジで何、マジで何、意味分かんねぇよ、何だよこのゲーム!何がしてぇんだよ!」
「怖がらせたいんだと思う」
怖いよ!なんでドアが開くんだよ!
部屋も暗くなるし、耳元で笑い声とか急にするし、何なんだよ!
「もう怖くねぇから、人形がなんだよ!近づい……てんから何だよ!」
「おい、ビビんのやめろって」
「ビビって、ひやぁぁぁー!?」
「フッフッフ、お前ふざけんなよ」
「何笑ってんだよ……はぁんっ!人形!」
コメント:ひゃあん♡
コメント:女の子過ぎるwww
コメント:これは良い配信だ
「ハァハァ……あっあっ、ヤバい、ほんとにヤバい」
「喘ぐのやめて」
「違うから……ハァハァ、ほんと無理、ねぇ、ねぇってば!もう、いーじゃん!」
いつまで、まだ20分って……おいおいあと40分やれってのか!
おい、ふざけんなよ運営!何考えてんだ!
「交代しよ、交代!お前逃げんなよ、おい!わぁぁー!ごめんなさいごめんなさい」
「怖がったりキレたり、お前の情緒どうなってんだよ、頑張れよ」
「お前、お前、急に目の前に人形ワープしてくんだぞ!やだやだ、もうやだ」
「笑い声聞こえなきゃ平気だから」
「きゃぁぁー!聞こえた、声、ひゃぁぁー!もうこわーい、やーだー!」