家に来たことがある、テラたんと昴は普通に部屋に入ってソファーに座る。
何なら、一番来てる回数が多い昴に至っては冷蔵庫開けて飲み物を持ってくる始末。
自宅か!まぁ、勝手知ったる我が家ではあるが、だいぶ仲良くなってきたな……コイツ。
「えぇ……人の家の冷蔵庫開けるのは止めなさいよ」
「えっ?あぁ、すまん」
「いや、まぁ、気にしてないから良いんだよ、クキ先」
「良いらしいよ、クキ先」
「良い訳ないでしょ……うわぁ、エナドリと酒しかない。なんだこの冷蔵庫……冷蔵庫2つあるし」
いや、それは宅配の冷凍弁当用の冷凍庫。
もっと知名度上がったら一万くらいでメーカーが出してくるけど、今はないから買ったちっちゃい奴だよ。
「テレビでかーい!ソファーすごーい!」
「シオンちゃん知らなかったのぉ?」
「ハァ?別に聞いてたから知ってたし」
テラたんや……お前も来たときはしゃいでたのに、なんだその寛ぎ具合は……いや、いいけどね。
たまに、レッスンの時に泊まり来るからいつものことだしさ。
「べ、ベランダに椅子とテーブルがある……大人だ……」
「大人か?」
「人がゴミのようだとか言ってるんでしょ」
言わねーよ、そんなの初日しかしてねぇから。
修学旅行の初日、部屋に入った直後かよ、そう思うようなテンションでワイワイ騒いでいる。
うーん、女6人だから姦しいどころじゃない。
姦しいマシマシだよ。
「そういえば誰のチャンネルで配信するの?」
「配信は勿論、テラが行く」
「あてぃし!?」
「なるほど、一番チャンネルの登録者数あるもんな」
「いや、言い出しっぺだし……そっかー」
クッキー先生と菖蒲ちゃんが、私の肩に手を置いてきやがった。
そこまで考えてなかった、コイツ!クソ、恥ずかしい!めっちゃ、訳知り顔だった。
何がなるほどじゃい!
「えっ、えっと……いい、よ……」
「なんでモジモジしてんだよ」
「こんな事もあろうかと、台本もあるよ!」
「思ったより乗り気だった」
テレレレー、とセルフBGMを言いながらテラたんがメモ帳を出す。
しょぼいな、意外と……なお、クッキー先生はキッチンにいるし、菖蒲ちゃんはベランダで夕日を見ている。
昴はテレビを見てるし、シオンは走ってどっかに行った。
「ねぇ!聞いてよ!」
「あぁ、うん、そうだな」
やっぱり、私の同期って自由かもしれない。
私のパソコンを使って、テラたんが配信を始める。
配信部屋じゃ狭いのでリビングにパソコンを持ってきてセッティング。
たったそれだけで、おぉ~と拍手された。
いや、君達も配信者だよね。
機材関係のプロなんじゃないんかい!
「皆さんどーもー、こんテラぁぁ……こんばんわ〜!本日は、フォローライブ2期生の、陸テラの初配信に来てくださり、ゲホッ」
「あぁ?」
「どうも!ありがとう!ございます!」
画面の中で陸テラちゃんが左右に揺れながら、ちょっと高めの声で挨拶する。
普通に昴の素の声が入ったが台本進行のために無視していた。
なお、ちょっと声を大きめにして周りから笑い声が漏れる。
「イヒヒッ」
「フフフッ」
「シィー!シィー!本日は、フォローライブ2期生が6人デビューするということで、えーそれでは6人を紹介していきたいと思います。はい、どうぞ!」
「皆さんどーもー、黄金シオンです。えっ、聞こえてる?聞こえてる?……はい」
ちょっと初配信という体裁でやっているので、やりそうなことをシオンが言う。
みんな聞こえてる?聞こえてる?の下りで、クッキー先生と昴が撃沈した。
デデーン、アウト!ってなりそう。
私も流石に、クスッと来た。
「人間様達ぃ、こんめき〜!フォローライブ2期生のおっ!オホッ、ど、百目鬼菖蒲……くっ、で、ですぅ……」
「それだけですか!シオンがあんなに怪我したのに!」
「んんっ!菖蒲ちゃん、いつものアレ言ったほうがいいと思うッスよ」
「トイレに行っトイレ!……はい、ありがとうございました」
全員が黙ってしまった。
一番最初に吹き出したのは陸テラちゃんだった。
流石に、他の面子も釣られて笑ってしまう。
お嬢は激怒した、だって地団駄踏んでんだもん。
「ファー!」
「アハハハ!」
「はい火傷ー!はい火傷!」
「ねぇ、どうしてくれるん!?ねぇーえー!」
「ファー!」
陸テラちゃん、何やその笑い声、どっから声出てるねん。
「ねぇ、待って待って、この後私嫌なんだけど」
「はい、いいから、4人目のデビューの子、よろしくお願いします」
「GoodEvening、こんクッキー、フォローライブ所属2期生の癒日クッキーよぉ〜……えーっと、あっ、耳舐めとかしていいのかし」
「アハハハ!」
「ダメ!私のチャンネルだ、ばかぁ!ダメでーすー!はい、5人目の子お願いします!はい!ステイ、耳舐めは駄目です!」
陸テラちゃんが、マイクの前からクッキー先生を押し退けて進行する。
ぐでーんと倒される先生、貧弱で草。
「イヤーッ!」
「えっ、誰?」
「ニンジャかよ」
「ちわーっす!フォローライブ2期生、大海スバァー、と言うことでね、フォローライブ2期生をよろしくお願い」
「えっ?」
「忘れてる忘れてる!」
「何やってんだお前!」
昴が揉みくちゃにされながらマイクの前から退けられて、私の背中が押される。
えぇ、初配信とか覚えてねぇよ。
「こ、こんこちょ〜!フォローライブ所属、初配信の女、胡蝶舞姫です……おい聞けよ!笑ってないで聞けよ!」
「イイ、イイオハナシガキケマシタ、ということで!」
「おい!」
「ということで、二期生集まりました!いえーい!」
全員が拍手、テンション高いなおい、これが若さかよ。
いや、クッキー先生もついてきてるし違うか。
「なんか初めて!?」
「しかもオフコラボよ、オフコラボ!」
「今日さぁ、正直さぁ、全員集まると思ってなかったでしょ、はい挙手!」
「はーい」
「はーい」
「はーい」
お嬢以外が全員手を挙げる。
無論、私もだ。
だって、お嬢とシオンは来ないだろ。
「えっ!余だけなの!みんな絶対集まると思ってた」
「私、菖蒲ちゃん来ないと思ってた」
「いや、行くよ!行くだろ!」
「テラとクッキー先は絶対来るけど」
「シオンと菖蒲は分からんって」
「なぁんで!胡蝶ちゃん家行きたいでしょ!」
あの、私の家とは言え私が断るとか……あっ、ない感じですね、はい。
「いや、だって寝てそうなイメージが」
「そう、実際寝てましたからね……誰ですか?」
「えっ、誰?誰?」
「誰じゃねぇーよ!」
「お前だよ!」
「アンタでしょうが」
首を傾げて、マジで忘れてそうなシオンに対してみんなから、総ツッコミが入れられる。
来るまで鬼電してたのに、忘れてたのか。
「てか、今日早かったよね」
「16時じゃなかった?」
「17時です」
「あっ、そうだったんだ」
「お前らが来るか分かんねぇから早めに呼んだんだよ!」
はいはい、進行して進行して、揉めない揉めない。
「今回はですね、裏企画を用意してます。これから私がフォロメンの家をお泊りしていくということで、第一弾は胡蝶ちゃん家なんですけど、なんとですね!突撃隣のフォローごはんということで、ねぇ!聞いてんのかお前ら!」
「はいはいはい、オムライスを作ります」
「FOOOOO!」
「いえーい!」
「まさかこんなね、夜中に作らされると思ってなかったわ」
「卵10個買ってきたからね、こんなに卵いるぅ?」
「いるんだよ!意外と使うんだよ!」
「部活帰りみたいだった」
「誰が持つかで喧嘩してた」
「コンビニ、うるさすぎたマジで」
みんなが喋ってるので、どんなもんかリスナーのコメントを見てみる。
よ、読めなさそうなくらい早い!ウチの枠なんか比じゃないくらい流れていく、これがチャンネル登録者数70万人か。
コメント:草
コメント:草
コメント:草
コメント:草
コメント:草
いや、草しか流れない。
やっぱ、読めるわ!
「ということでじゃあねまずね、一番気になるということで、まぁ、あの初オフコラボということで、2年間絡んできたということで、初対面の印象と!今の印象とかね、語ったりエピソードを紹介したいと思うんだが、誰から行く?」
「テラの印象だろ」
「いいよぉ、言っちゃって」
「言っちゃってって何だよ、えーでも……」