PHANTASY STAR ONLINE 2 ~鋼鐵の守護輝士~   作:ヒビキ7991

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序章
Act.001:その名はオプティマスプライム


~アークスシップ 第72番艦ムミア 第三居住区画~

 

 

ココは宇宙を旅する惑星間航行船団≪オラクル≫。その船団を構成する幾つもの≪アークスシップ≫の内の一隻、第72番艦≪ムミア≫の市街地区の一角に設けられた≪第三居住区画≫。高層の集合住宅が立ち並ぶ他の居住区画と違い、幾つもの一軒家が並ぶ閑静な住宅街である。この住宅街のとある家に、一人の青年が住んでいた。

 

 

ピピピピッ!ピピピピッ!カチッ!

 

 

???

「う~ん...」

 

 

朝、青年は目覚まし時計の音に起こされ寝ぼけながらベッドを下りる。

 

 

シャー!

 

 

そしてカーテンを開け、窓から差し込む朝日を目一杯浴びる。

 

 

???

「ンンンンンッ!ふぅ...おはよう、アークスシップ。」

 

 

青年は自身が住むアークスシップに挨拶をすると、今度は部屋の一角に置かれた写真立てに目を向ける。写真立てには幼い頃の青年と思しき少年と、その両親と思しき男性と女性が写っていた。そして写真立ての隣には、赤と青のツートンカラーの大型トラックのミニカーが置かれていた。

 

 

???

「おはよう、父さん、母さん。」

 

 

青年は写真の二人に向けて挨拶をした。その後シャワーを済ませ、朝食を済ませ、支度を済ませ、青年は家を出た。

 

 

???

「今日も頑張るぞ!行ってきます!」

 

 

青年の名は≪オライオン≫。アークスシップ第72番艦ムミアに住むヒューマンの一人だ。アークスシップには現在彼の様なヒューマンの他に、長い耳が特徴のニューマン、機械人のキャスト、額の角とオッドアイ、そして身体に刻まれた模様が特徴のデューマン、以上の四種族が共に暮らしている。

 

 

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~工業地区 キャスト素体製造工場~

 

 

家を出たオライオンはしばらくして、工業地区にあるキャストの素体製造工場にやって来た。彼は入口の端末にIDカードをかざし、工場の中に入る。

 

 

オライオン

「おはようございます!」

 

従業員A

「おはよう!」

 

 

道中数人の従業員と挨拶をし、彼は更衣室で制服に着替え、工場での作業を開始した。

 

 

上司

「オライオン、今日も精が出るな!」

 

 

作業中、彼の上司と思しき男性が話しかけてきた。

 

 

オライオン

「ありがとうございます!アークスになる夢が叶わなかった分、アークスの役に立てる様になりたいので!」

 

 

≪アークス≫とは、各アークスシップに所属する誇り高き戦士達の総称。宇宙を脅かす存在≪ダーカー≫から星々を守り、種の保存と異文明との交流を目的としている。アークスシップに住んでいる誰もがアークスになれるのかと問われると、そうはいかない。アークスになるにはフォトンに対する適性が無ければならない。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

~10年前~

 

 

時は遡る事10年前、まだオライオンが少年だった頃。

 

 

オライオン

「父さん...母さん...」

 

 

彼の住む第72番艦ムミアは嘗て、ダーカーによる大規模襲撃を受けていた。瓦礫の下で、彼は今にも消えそうな声で横たわる二人の遺体に声をかける。遺体の正体は、オライオンの両親だ。

 

 

オライオン

「痛いよ...誰か...助けてよ...」

 

 

必死に助けを求めるオライオン。しかし、外ではアークスとダーカーが戦っているのか、爆発音や建物がガラガラと崩れる音が聞こえてくる。誰も気づかない、助けに来てくれない、そんな考えが頭を過り、諦めかけたその時...

 

 

ゴゴゴゴゴ...

 

 

突然、瓦礫の一部が動き、外の光が差し込んできた。

 

 

オライオン

「...だ...れ...?」

 

 

薄れゆく意識の中、オライオンは力を振り絞り目を開ける。

 

 

???

「大丈夫か!?今助けるぞ!」

 

 

目の前の誰かは必死に瓦礫を動かし、オライオンを救出した。彼はその時の記憶は朧気だったが、一つだけハッキリと覚えている事がある。それは身体に刻まれていた、誇り高き戦士のマーク。

 

 

オライオン

「アークス...さん...?」

 

 

オライオンは気を失い、気付けば病院のベッドの中にいた。両親を失い、助けてくれたアークスには礼も言えず、そのアークスの顔も名前も分からなかった。だがこの時からオライオンは、アークスに対する強い憧れを抱いた。あの時アークスが助けてくれなかったら、自分も両親と一緒に死んでいた。アークスが助けてくれたから、今の自分がある。いつか自分もアークスになって、困っている誰かを助けたい。その思いから、彼は一心不乱にアークスになる勉強をした。

 

 

 

 

しかし運命とは残酷だ。ある日、自分にはフォトン適性が無いためアークスにはなれない事を知った。アークスになるため努力したのに、その努力は報われないと知り、オライオンはショックだった。だが今から数年前...

 

 

オライオン

「キャスト工場の従業員?」

 

 

両親の仕事仲間を名乗る人物から、キャストの素体工場の仕事を勧められた。

 

 

両親の仕事仲間

「アークスになる事が叶わなかったのは残念だ。でもオライオン、フォトン適性が無くてもアークスの力になる事は十分出来るんだ。君は知らないだろうが、君の両親も元々フォトン適性が無かった。でも生前、二人はアークス内でも優秀な技術者だったんだ。フォトン適性が無い人物でもアークスになれる新型キャストの研究をしていたよ。」

 

オライオン

「両親が、アークスの?」

 

両親の仕事仲間

「二人の血を継いだ君ならきっと大丈夫。チャレンジしてみないか?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

オライオン

「結局あの時はロクにお礼も言えなくて、そのアークスさんの顔も名前も分かりませんでした。でも、あのアークスさんが助けてくれたから今の自分がある。適性が無いって分かったのはショックでしたけど、後で聞いたら両親も生前はキャストの研究をしてたらしくて。だから決めたんです。両親の分も、アークスの誰かの力になると。」

 

上司

「そうか...」

 

 

上司はオライオンの肩を優しく叩き、静かにその場を離れた。

 

 

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~第三居住区画 オライオン自宅~

 

 

その日の夜、仕事を終え帰宅したオライオンは夕食に温めた冷凍ピザを食べながら窓の外を眺めていた。

 

 

オライオン

「...」

 

 

オライオンは考えていた。アークスの力となる道を選んだが、やはりアークスになる夢を捨て切る事は出来ない。今からでもアークスになる方法は無いものかと、オライオンは思考を巡らせる。その時、ふと両親の仕事仲間が言っていた事を思い出した。

 

 

オライオン

「フォトン適性が無い人物でも、アークスになれる新型キャスト...!」

 

 

オライオンは家中から両親が開発していた新型キャストに繋がる何かを探した。端末の中のデータ、引き出しに溜まった書類から本棚まで隅々と。しかし、それらしい手掛かりは出てこなかった。そして、最終的に父の書斎に辿り着いた。

 

 

オライオン

「探してないのは、後はココだけだ」

 

 

オライオンは書斎の本棚から本を引っ張り出し手掛かりを探す。すると...

 

 

カッ

 

 

取り出した本の一冊から、一本の鍵が出てきた。オライオンは床に落ちた鍵を拾う。

 

 

 

オライオン

「これは、鍵?いったい何処の鍵なんだ...?」

 

 

オライオンは鍵の正体を突き止めるため、部屋中を探し回る。すると、机の引き出しに小さな鍵穴を見付けた。オライオンは徐に鍵を差し込み回すと、カチッという音と共に引き出しの鍵が開いた。引き出しを開けると中には、何やら怪しげな赤いボタンがあった。

 

 

オライオン

「ボタン?」

 

 

オライオンは徐にボタンを押す。すると本棚の一部が動き出し、下へと通ずる階段が現れた。オライオンはゆっくりと階段を下り奥へと進む。階段の奥には、重厚な鉄の扉が待ち構えていた。

 

 

オライオン

「この奥に、いったい何が...」

 

 

ギギギギギ...

 

 

オライオンは慎重に扉を開ける。扉の奥には埃を被った研究室があった。オライオンは部屋の明かりを点ける。研究室には様々な機械が置かれ、棺桶の様な装置の中には今まで見た事の無いキャストのボディが眠っていた。

 

 

オライオン

「何だココ...って、これはキャスト?」

 

 

キャストは上半身が赤、下半身と頭部が青のツートンカラーで構成され、顔は男性キャスト特有のメカ顔ではなく、女性キャストの様にヒューマンに似た形状をした独特の銀色のメタルフェイス。胸の奥には青く光る何かが組み込まれており、脚部には何故かタイヤが付いていた。

 

 

オライオン

「こんなキャストは見た事が無い...もしかして、これが父さんと母さんが研究してた新型キャスト?」

 

 

オライオンは研究室の端末を起動し、キャストに関するデータを探した。

 

 

オライオン

「...あった!」

 

 

端末にはキャストの各部設計図、パラメーター、各搭載武器の設計図とスペック表等のデータが残っていた。

 

 

オライオン

「コードネームは、≪オプティマスプライム≫。...オプティマス?」

 

 

オライオンはオプティマスという名前に覚えがあった。それは両親の写真の隣に置いてあった大型トラックのミニカーの名前だった。データの中にはオプティマスがその大型トラックへ変形する過程の映像があった。

 

 

オライオン

「ヒト型から乗り物、武器、動物、様々なモノに姿を変える変形機構搭載型キャスト、≪チェンジャータイプ≫。オプティマスはそのチェンジャータイプの試作モデルだったのか。」

 

 

データを更に詳しく調べていると、父親の開発レポートを発見した。

 

 

オライオン

「光歴225年5月23日、我々はこれまでのキャストとは異なる新しいキャスト、チェンジャータイプの開発に着手した。コンセプトは従来のヒト型からあらゆる姿に変形し、様々な環境下での任務に対応出来るようにする事だ。

 

5月25日、私は開発する試作モデルをオプティマスプライムと名付けた。名前の由来は以前息子にプレゼントしたトラックの玩具に息子が付けた名前オプティマスだ。だがただ名前を頂くだけでは面白味が無い。そこで私は記念すべきチェンジャータイプの第一号という意味を込めてプライムという名を加えた。

 

6月30日、遂にオプティマスプライムの設計図が完成した。大型トラックに姿を変え、どんな攻撃にも耐える鋼鐵の戦士だ。

 

7月7日、私はあらゆる状況に対応させるため、オプティマスプライムの身体の各所に様々な武器を搭載させる事にした。しかしそうするとエネルギーの消耗が激しく、通常のキャストと同様の運用は出来ないと分かった。

 

7月31日、妻がエネルギー問題を解決するアイデアを持ってきた。それは高濃度のフォトンを結晶化させたフォトンクリスタルを、コアユニット化して組み込むというものだ。」

 

 

レポートにはオプティマスに組み込まれたコアユニットの設計図が添付されていた。

 

 

オライオン

「コアユニットの名は≪マトリクス≫。コレを組み込む事で、内部のフォトンクリスタルから強力なフォトンエネルギーを絶えず供給し続ける事が出来る。同時にフォトン適性が無い者でもフォトンを扱えるようになる。

 

8月15日、いよいよオプティマスプライムの製作に着手した。

 

9月9日、頭部完成。

 

10月14日、動体完成。

 

11月23日、左右腕部が完成。

 

12月25日、下半身及びマトリクスが完成。

 

順調だな、もうすぐ完成か?」

 

 

と、少しワクワクしながらオライオンは次のレポートを開く。だが、その内容を見て驚愕した。

 

 

オライオン

「光歴226年2月3日、各種武装が完成し、遂に最終組み立ての段階に入った。しかし、突然上からチェンジャータイプの開発中止を言い渡された。理由はチェンジャータイプ特有の変形機構のせいで構造が複雑になり、通常のキャストより製造及び維持コストが掛かる事。そしてエネルギー問題解決の為に組み込んだマトリクスの潜在的危険だ。私と妻は何とか説得を試みたが力及ばず、チェンジャータイプの開発は凍結となった。

 

2月28日、私と妻は完成目前だったオプティマスを引き取り、自宅の地下研究室で何とか完成させた。後は身体に精神を移し起動するだけだったが、それはもう叶わない。私はこのレポートを最後に、これまでの研究データとオプティマスプライムを研究室ごと封印する事にした。もう私がこの研究室を開ける日は二度と無い。だがせめて私が、いや私達が作ったオプティマスプライムが戦う雄姿を見てみたかった...」

 

 

レポートはここで終わっていた。

 

 

オライオン

「父さん...」

 

 

オライオンはオプティマスに目を向ける。オプティマスの胸のマトリクスは、今でも強く輝いていた。オライオンは考えていた。もし自分がオプティマスになれたら...ヒューマンの身体を捨ててキャストになれたらと...。

 

 

オライオン

「父さんと母さんは、望んでないよな?俺がキャストになるなんて...」

 

 

ドカーン!

 

 

 

突然、研究室を激しい揺れが襲った。オライオンは慌てて研究室を離れ外を見ると、高層ビルが立ち並ぶ市街地区中心街で火の手が上がっていた。

 

 

『緊急事態発生!緊急事態発生!市街地区中心街にて、ダーカー出現を確認!市民の方々はアークスの避難誘導に従い速やかに避難して下さい!』

 

 

シップ内にダーカー出現を知らせるアナウンスが鳴り響く。

 

 

オライオン

「ダーカー出現だと!?」

 

 

オライオンの脳裏に、10年前の光景が浮かび上がった。

 

 

(父さん...母さん...痛いよ...誰か...助けてよ...)

 

 

オライオン

「...。」

 

 

オライオンは急いで地下研究室に戻り、研究室の機材の電源を入れ始めた。その眼には迷いは無く、ただ誰かを助けたいという意志に満ちていた。あの時、瓦礫に埋もれ死を待つだけだった自分を助けてくれたアークスの様に。

 

 

オライオン

「父さん、母さん、俺にコイツを使わせてくれ...!」

 

 

オライオンは精神転送装置とオプティマスが納められた機械を繋ぎ、転送装置を自身に装着した。

 

 

オライオン

「...俺に力を貸してくれ、オプティマス!!」

 

 

そして意を決し、転送装置を起動。研究所の機械達が一斉に動き出し、オプティマスの全身のフォトン回路が水色に発光し、マトリクスが強く輝き出す。そして...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...さぁ、出動だ!」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

~市街地区 中心街~

 

 

少女

「パパ...ママ...」

 

 

その頃、炎に包まれてた中心街を一人の少女が歩いていた。すると...

 

 

キイイィィン

 

 

少女の目の前に、数体の虫型のダーカーが姿を見せた。ダーカーは少女を視界に捉え、襲い掛かろうとしたその時...

 

 

ドーン!

 

 

突然、少女の目の前に何かが着地した。着地の衝撃でダーカーは吹き飛ばされ、衝撃波は辺りの炎を消し去った。

 

 

???

「大丈夫か?」

 

 

着地した何かは立ち上がり、少女に声を掛ける。赤と青のメタルの身体に、全身に張り巡らされた水色に輝くフォトン回路。そして水色に輝く瞳が、少女を優しく見ていた。

 

 

少女

「は、はい!えっと、アナタは...」

 

???

「私か?私の名前は...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪オプティマスプライム≫だ。」

 

 

 

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