そいや今日はナギサ復刻の予想日だったな確認しよ。
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う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
キヨの部屋。
放浪を始めてからのキヨは自分自身の荷物を極力減らし、前までの娯楽の揃った部屋ではなく、随分とおとなしい部屋に住むようになった。
しかし、大量の雑誌の処理についてはヒヨリが猛反対し、結果ヒヨリがまだ読んでいないものと読まれた中で厳選された残りの一部を持っていくことになった。
だが出発の際―――
「それだけ持っていくのはいいが、それを持つのはお前だからな?」
「え?」
ヒヨリは地獄を見ることになった。最低限の荷物でスムーズに進む皆に対して大量の雑誌を抱えて同じだけ動くことになったからである。
ある日、槌永ヒヨリは今日もキヨの自室で雑誌を漁っては読んでいる。
随分と減ってしまったもののまだまだ積まれた宝の山はヒヨリを満足させることなく、好奇心をさらに刺激する。
読み終わった雑誌を閉じ、また新しい雑誌を漁り始めたときだった。
「これ…なんでしょうか……?」
雑誌の山の中にまるで隠されるように置かれた、薄く平たい雑誌とは異なる、厚く、そして質素な三冊の本。
キヨの物だろうかと興味をそそられたヒヨリはその本の内の一冊に手を伸ばす。
そしてその1ページ目をめくると―――
「き、きれいです…!!」
―――そこにあったのは張り巡らされた花々の写真達だった。
種類、本数、アングル。その全てがバラバラで、『花』ということしか共通点のない写真達。
それらがまとめられたアルバムというものがこの本の正体であった。
■□□
「み、見てください!凄いですよ!!」
「何?私は別に雑誌なんか……なにこれ。」
怪訝な顔をしたミサキだったがヒヨリの手にある物を見て思わずそう声を出してしまう。それに続くように続々とサオリやアツコがやって来た。
「これは……アルバム、か…?」
「はい!キヨの部屋にありました!」
「凄い……。こんなに綺麗な所がこの場所にもあったんだね。」
アルバムの中にあった一枚の花畑が撮られた写真を撫でながらアツコが感嘆の声を上げる。よく花を愛でる彼女にとってこの写真に映る光景は美しいことこの上なかった。
「キヨに聞けば連れて行ってくれるのかな。」
「アイツがこんな所知ってる理由無いでしょ。」
「でも、キヨの部屋にあった物らしいし……。」
「なんだぁ?さっきから人の事をブツブツ言いやがって。不満なら俺に直接言え論破()してやる。」
「うわあぁぁあ!?」
「そんなに驚かなくても、いつものことでしょ。」
気配もなかった中突如として現れたキヨにヒヨリが驚愕の声を上げるが、いつもこんな調子なのでさすがに慣れた他はいたって平静だった。
「キヨ、ここがどこか知らない?」
「なんだ?知らねぇよそん…な。」
「お前ら…どこでそのアルバムを……?」
「え?普通に、キヨの部屋にありましたけど……。あなたのものじゃないんですか?」
「………知らねぇ。そのアルバムも、場所もな。」
「ほら、キヨがこんな場所知ってる訳ないでしょ?」
「テメェこっち来い。『特別訓練』だ。」
ズルズルとミサキを引き摺っていくキヨ。
それを止めようとキヨにしがみついて同じくズルズルと引き摺られるサオリを横目にアツコはアルバムに見入る。
写真の年季の入り方を見ると、年単位で更新されてきたと分かる。優れた技術で収められた花々を見るに、このアルバムの持ち主はカメラマンだったのだろうか。
しかし、そう考えると一つ、おかしな点がある。
一枚一枚を見るとただ美しい写真である。しかし全体を見るとをあまりにも統一感のない写真達。
『美しさ』だけを求めたような、どこか機械的な写真。
職人が撮った写真から感じる『拘り』といった感情的な何かがこの写真達からは全く感じられなかった。
そのどことない不気味さをも、このアルバムに興味を惹かせるスパイスになっていた。
「ねえキヨ、このアルバム私が持ってていい?」
「………勝手にしろ。」
「ありがとう、キヨ。」
■■□
「これで最後でしょうか?」
「……なんか、最後の方は普通だったね。」
「そうか?私はただ綺麗としか思わなかったが。」
最後のページに載っていた写真を見納めて軽く談笑した後、ヒヨリの持ってきた先程とは別のアルバムに手を伸ばそうとした時。
「あー…………写真で思いついたんだが…。」
キヨが口を開いた。
「俺はカメラを持っているんだ。一枚お前達の写真をとってやろう。どうだ?」
「どうしたんだ急に。お前のことだ、何か企んでいるんじゃないだろうな。」
ジト目で見つめるサオリ。
「安心しろ。写真を見てせっかくならアツコの写真を撮りたいと思ったから、そのついでだよ。」
この女目が泳いでいる。明らかに何か隠している様子ではあるが、アツコに被害が出る様な使い方はしないだろうということを踏まえて『せっかくの機会だから家族写真を撮りたい』という己の願望をリスクと天秤にかけ、写真を撮ることを選んだサオリにより結果的に写真を撮ることになった。
―――
――
―――
「ミサキよぉ、家族写真なんだから笑えよ。なぁ?」
他が笑っているのに対して真顔、否、どこか不機嫌そうな顔をして写真に収められたミサキを見て言うキヨ。
ミサキは数秒口を閉ざした後、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ねぇ、キヨ。」
「『3枚も』何に使うの?」
「………。」
話は撮影中に遡る。
先程キヨが見ていた写真は一枚目ではない。キヨは撮影に二回『失敗』している。
『悪い、カメラが久々動かしたからなのか上手く撮れなかったみたいだ。もう一枚撮るぞー』
『……あー、手元がぶれたみたいだ、写真がボケた……。もう一枚撮らせてくれ。』
よってこの写真は3枚目になる。
なんてことない、一つあるなら『キヨは写真を撮ることが下手だ』と感じる程度だ。だが、ミサキは見逃さなかった。
『失敗したはずの写真』をキヨがポケットにしまったことを。
キヨの性格ならそこらに捨てそうな物であるが、何故二枚ともしまったのか。
「どうして失敗作を捨てなかったの?」
「……捨ててもいいが、それだと『ガキが四人もここにいた』という証拠が残るだろ?」
「確かにそうだけどさ、それなら『見せてよ』。その失敗した写真をさ。」
「………。」
「ほら、早く。『見せられない』の?」
「本当は『失敗した写真』なんてないんでしょ?」
「!?」
部屋全体の空気が張り詰める。ミサキは、意を決して次の言葉を発した。
「ねぇ、キヨ。もう一回聞くけどさ。」
「私達の写真、何に使うの?」
「……テメェのような感のいいガキは大嫌いだ。」
「ハァ……その通り、俺は失敗なんてしてない。」
そう言ってヒラヒラとポケットから二枚の写真を取り出す。ミサキの見立て通り、その写真には何もおかしな所は無く、三枚目と同じ様な出来栄えであった。
それだけ、特に言うことのない普通の写真。だからこそ何故この様な真似をしたのだろうか。
この写真を、何に使うつもりだったのか。
「一枚はお前らに渡すための物だ。」
そう言ってキヨは一枚をサオリに手渡す。
「そしてもう一枚は俺が持っておくための物。最初に言ったがそもそも今回は俺がアツコの写真欲しさにはじめたからな。」
一枚をもう一度ポケットにしまう。
「そんでもって三枚目は……―――。」
三枚目の写真。きっとそこにキヨが失敗したと嘘をついた理由があるのだろう。それはいったい何なのか、場の全員が息を呑む。
「―――………ハハッ、じゃあな!!」
「「「「…………え?」」」」
▼キヨは逃げ出した!
▼回り込む事は出来ない!!
「待て!!何に使うつもりだった!!言え!!」
「聞きたかったら追いついてみろバァーーッカ!!」
「どうせ『碌でもないこと』に使うつもりだったんでしょ!追うよ姉さん、絶対に私達の写真で変な事はさせない……!」
手早く武器を構え、サオリとミサキはキヨを血眼になりながら追いかけ始めた。
「……キヨは結局私達の写真を何に使うつもりだったんだろうね。」
「え!?えーっと……えへへ……。」
誰かに捕捉される可能性も考えず、大きな声を上げながら走り回る3人、その後は丸一日キヨVSサオリ、ミサキの追いかけっこになった。
■■■
この自治区ですら多くの者が寝静まる夜。
そんな時間に一人の女が路地裏を歩いていた。
しばらく歩いた後、女は壁にもたれかかり、手に持ったアルバムを開く。
彼女はアルバムに収められた写真。その一枚一枚丁寧に、懐かしむように撫でる。
追憶の時間は僅かで、あっという間にまだ使われていない白紙のページに入ってしまう。
いつもの女ならば、先ほどまでの笑みは消え失せ、アルバムを投げ捨てる。だが、今日の女は違った。
そこらで拾ったのりで落とすことの無いよう、丁寧に『四人の少女たちを撮った写真』を貼りつける。
そして、先程と同様に撫で始めた。
満足したのか、懐から同じ写真をもう一枚取り出す。
今度はペンを手に取り、女は少女たちの顔を丸で囲み、そしてそれぞれの側に『錠前サオリ』、『戒野ミサキ』、『槌永ヒヨリ』と記す。そして最後、紫の髪をした少女の側に『アツコ』とだけ書くと―――
―――蝋燭に火を付け、その写真を燃やした。
写真が燃え、灰になっていく。
女は写真の煙が天に昇りきり、蝋燭から火が消えた事を確認すると、アルバムと刀を大事そうに抱え、その場を立ち去った。
アリスクの写真回です。やってみたかった。
手直しとか展開考えてたら遅れた……申し訳ない。
それはそれとして【
あとキヨの株下げないといけないような気がして……
追記
アンケートやることにしました。ぜひ答えてください。
内容は物語の流れについてです。下を選ぶ方が多かった場合は新規投稿の際挿入投稿する事があるかもしれません。