拡大解釈してこじつけました。
ロウアにとって、レミスという人間は雲の上の存在だった。正攻法ではどう足掻いても勝ち星を掴む事が不可能で、学園自体には何度も煮湯を飲まされたものである。
だが、それぞれが社会に出て、仕事として相対しなければならなくなったからには、どうにかその任務を達成する必要があった。そしてその依頼通りに
「おい、そういや人質は本当にとってたのか?」
今回のロウアの任務に協力した彼と同じ組織に所属する男が、物言わぬ骸の肩を持ちながらロウアに尋ねる。
普段のロウアなら答える義理はないと返すところだが、今回ばかりは協力者を危険な役回りを任せたということもあって答えるべきだと判断したのだろう。ロウアははったりがバレたときのことを考えて本当に人質は攫ったと協力者に返答した。
「へえ、そりゃすごい。英雄様の想い人だろ? 結構厳重な警備がついてそうなもんだが」
「その英雄は自分を特別視されることを嫌う。だから、自分の
「ハッ、結果宝物も汚されて自分も斃れてちゃあざまあねぇな」
馬鹿にしたように騒ぐ協力者に、ロウアは運搬中だということを忘れるなと釘を刺す。
悪口の中身については、同意見だったので訂正はしなかった。
「だが、英雄様も案外単純だなぁ。人質を盾にして武器を解放しろって言ったら素手で突っ込んでくるんだもんな」
「それは素手の人間に負けたグズだって言いたいのか」
「そんなんじゃねえよ。致命傷を当てたのは俺だが、作戦を考えたのはアンタだ。アンタの手柄に決まってる」
当たり前だ、と返してロウアはある建物の前で足を止めた。
ロウアはレミスが人質を取れば武器を捨てる人間であると確信していた。そしてその上で、自分の力を疑っていないが故にこちらに向かってくることも。
人質を殺そうと動く前にロウアの顔面にはレミスの蹴りが突き刺さっていた。その動きが見えないぐらいには、彼我の実力差は明らかだった。
だからこそ、一瞬だけでも油断させる必要があった。人質役をわざわざ想い人と似た姿に変えさせたのは、普通の人質相手でも同じ行動を取ったであろうレミスが、罠を警戒する確率を少しでも下げるためである。
だからこそわざわざレミスに対して名乗って自分のことを思い出させたし、煽りに煽って冷静さを失わせた。そしてその結果が、レミスの想い人に扮していた協力者からの心臓への一突き。
「ここにいるのかよ、人質は」
「ああ、どうせなら一緒がいいだろうと思ってな」
「ハッ、違いねぇーーおいおいアンタ、ほんとに趣味が悪いな」
これはただの嫌がらせだった。もしもレミスが協力者の攻撃に対応できてしまったり、そもそも罠だという事が悟られてしまっていた時の保険。
眠らせているうちに目が覚めて歩き回られたり、逃げらえたり、声を出されたり、助けを求められたり、そんな諸々のことが嫌で準備した最大の嫌がらせ。
ロウアはレミスの亡骸をもう一つのそれの隣に並べる。無駄になった策が彼へ向けた最大の罵倒を思い出して、ロウアは皮肉るように笑みを浮かべながら小屋の戸を閉じた。
簡単プロット
ロウアは自分にとって雲の上の存在だったレミスを殺した。彼の大事な人間を人質に取るふりをして、その人質に自分の協力者役を行なって貰い、欺いて殺したのだ。
正攻法では倒せなかったその雲の上の存在を引きずりながら、ロウアは協力者と会話する。
いい塩梅でしょう。短く纏まりました。30分クオリティ。
結構上手くやれた気がします。開示すべき材料は全て見せましたし、無駄な部分を削ぎ落としているのに違和感の少ない仕上がりになったのではないでしょうか。
こういうのを引き続き書き上げていきたいところ。継続あるのみですね。ぱわー。