メノウって何だろうと思って調べたら、石英の一種の天然石のことのようです。いろんな模様があって綺麗です。贋作も多いらしいですが。
図書館から返ってきた涼夏は、どこか迷いが晴れたような顔をしていた。
最近学校で上手くなじめていないと聞いていたからどう声を掛けようかと考えていたのだが、どうやら自分がどうこうするまでもなく彼女自身で解決できたようだ。
「涼香、何かいいことでもあったのかい?」
可愛い孫娘が随分と生き生きとしているように見えたから、私は彼女から元気を分けてもらおうと思って声を掛けた。
高校に上がって最近はもう私の相手をしてくれなくなっていたから、彼女が私の声掛けに応じてくれるとは思わなかった。
彼女は私が何か言うでもなく私の後ろに座って、私の方を揉み始めた。いつの間にか上手くなっている。前は少し力むところがあったのだが、肩の力が抜けたみたいだ。
「図書館でね、メノウって宝石の本を見たの」
「ああ、いろんな模様があるやつだね」
正直に言えば、私は
だから彼女がそういった煌びやかなものに目が行くのは、私ではなく主人の素質を継いでいるのだろなと漠然と考える。
「そう、そうなの! あれって天然石だからさ、同じものが一つもないの!」
楽しそうに
中学校で何かあったのか突然落ち着き始めた彼女を見たときは大人になったのかなと思ったものだが、やはり彼女の根底にはあの快活な少女が根ざしているのだろう。
もしかしたらずっと押さえつけていたのかもしれない。だからあんなに気をもんでいたのかも、と今更ながらに考える。
「それでね、私も、ああいう風になりたいって思ったの!」
「キラキラしたいってことかい?」
「そうじゃなくて、私も同じ模様がないような、唯一無二の人間になりたい!」
「なるほど、それはおっきな夢だねえ」
社会に出れば、どこかで必ず自分が凡庸だということを思い知る。自分なんて替えの利く一部品でしかないと。
自分がいなくなったら、なんて考えてしまうことでも、いざ自分が欠けたら他の人たちが何とかするのだ。
そんな今の彼女に聞かせても何の益もないことを考えたけれど、ふと今の涼香を見て、彼女は少し違うのかもしれないと考える。
「私、皆と違うことがちょっと不安だったの」
「だからいきなりあんな大人しくし始めたのかい」
「うん、けど、私は私だから。ちょっと目立ちすぎちゃうかもだけど、私には私の生き方があるから、それでいいんだって思ったの!」
彼女はずっと、自分が周囲と違うことに頭を悩ませていたんだ。
段々と大人に移り変わっていこうとする周囲の変化に戸惑って、自分もそうならなきゃいけないと思った。
だけど、それは彼女が自分の根幹を否定しなければならないということではない。落ち着きを持てと言うのは、頭を回せということなのだから。
「いいんじゃないかい。きっと学校の皆も、ありのままの涼香の方が接しやすいと思うよ」
「ん、確かにそうかも。落ち着こう落ち着こうと思って、やりすぎてたのかも」
ふと、彼女の手が止まった。
首を少しだけ捻って彼女の方を見れば、今までの自分を振り返っていたのか、段々と顔が赤くなっていく。
「うわあ、恥ずかしい! なんか変なキャラを作ってたみたいになってたかも!」
「きゃら、というのはわからないけど、そうなのかもねぇ」
「おばあちゃん、話を聞いてくれてありがと! 私、また明日から頑張ってみるよ!」
そう言って、彼女は自分の部屋に戻っていってしまった。
肩揉みの途中で放り出されてしまったような感じだが、彼女にとっては一段落ついたのかもしれない。
だって、私の方はこんなにも軽い。だからきっと、これでいいのだ。
ジャンルってなんだ? ヒューマンドラマって括りを作るとだいたいそれになるのでそこは一線を引いているのですが、そのせいで分かりにくくなっている感じがしますね。ジャンルって難しい。
簡単プロット
涼香は図書館で石英の一種であるメノウに関する本を見つける。その一つとして同じものがないその生きざまに感動したことを祖母の肩をもみながら話すのだった。
視点がまさかのおばあちゃんに変更になっているのが最大の相違点かも。これはどちらかというとそっちの方が表現的に良いだろうなと思ったからです。結構ぴったりハマったんじゃないかと。
そして本日はなんと25分弱。22分半ぐらいで書き上げました。文字数を考えると調子が戻ってきた説がありますね。やはり継続は力なり。まだまだ続けていきましょう。ぱわー。