上田は深い森を抜けた先に見えた古ぼけた館に首を下げ、大きく安堵の息を吐いた。
館の玄関扉の前に立ち、服に絡まる草や葉を払い落としながら、今回受けた任務を思い出す。
「伏魔殿って、なんで本来の意味の方なんですかね……」
最初、伏魔殿に行って来いと言われたときは、陰謀渦巻く組織への潜入任務だと思っていたのだが、話を聞いてみれば実際は水滸伝に出てきた本来の意味での伏魔殿だという。魔王が封じられてると聞いて「いきなりファンタジーになっちまったんですか」と口に出してしまった上田を責められる者はいないだろう。
道中でも見たことのない妖のような何かに襲われて、森を抜けただけとは思えないほどに上田の服はボロボロになっている。
護身用にと渡されていたスタンガンや警棒に関しては脱落してしまったため、現在の武器はその辺で拾った枝だけである。そもそもファンタジーの住人や霊的な存在にスタンガンなんざ効くのかと思っていた上田はその有効性に諸々のイメージを破壊されてしまったのだが、流石に数が多すぎてどこかでもみくちゃにされた際に落としてしまったため、現在の頼りない相棒に自身の命運を預けるしかない。
「さて、行きますか」
呼吸を整えた上田は玄関扉に向き直り、渡されていた鍵を使って館に足を踏み入れる。
今回の任務は封印が緩まっている魔王を再び封印しなおすこと。道具自体は技術班から何の変哲もないように見えるお椀を渡されているため、そこに閉じ込めるようなイメージである。
さて、どこから行こうか。
上田がそんなことを考えて玄関広間の階段を眺めていると、
「ふははは、復活早々生贄を寄越すとは殊勝な奴らではない――」
「よーしお仕事完了。かえろかえろ」
それっぽい声が聞こえたので背負っていたリュックから急いで封印用のお椀を取り出してその蓋を開いた。
すると技術班の謎技術によって魔王らしき何かが吸い込まれいき、上田が何をするでもなくその口を閉じる。上田が試しに蓋を持ち上げようとしても温度変化による圧力の変化で開かない旅館の味噌汁の蓋みたいに固くなっていて、どうやら正しく機能を発揮しているようである。
任務では封印したらそこに適当に放り出してきていいとのことだったので、適当にお椀を床に置いて入口の方に向き直る。
すると入るときには見えなかった玄関扉の裏側に味噌汁のお椀みたいなものが落ちているのが見えて、上田は毎回この位置で魔王を封印し直しているんだなと理解した。
そんな気付きを得て玄関扉から館の外に出て、来た時同様鍵を使って施錠する。落とさないようにリュックの分かりやすいところに鍵を放り込んで、そして目の前の鬱蒼とした森を見て気分が滅入った。
「またここ戻るのかよ……」
上田は頼りない相棒を見て一つ息を吐き出すと、覚悟を決めて森の中に入っていった。
途中で自分が落としたスタンガンを見つけ、そこから全力の正面突破で人里まで戻った上田は、一カ月の休暇を申請して了承された。
簡単プロット
上田は任務を言い渡され、木の枝をもって伏魔殿へ侵入した。
封印された魔王が襲い掛かってきたとき、上田は準備していた椀の中に閉じ込め、任務を完了してその場から離れた。
コメディはやっぱり楽しいですね。簡単プロットには書いてませんがプロット⇒執筆の間に諸々細かいところも決めてたので割と迷いなく書けました。
昨日よりはいいですね。間違いない。
タイムはプロット込み25分ぐらいです。まあまあいい感じ。プロットと分離したので執筆時間だけで言うなら20分強です。途中で他の操作をしてたこともあったので大体20分ぐらいって感じですが。
最近思いますがちゃんとプロットから面白いものは面白いですね。しかもちゃんと練った方がクオリティも上がる気がします。即興で書くことを目的とした三題噺ですが、朝お題を決めて一日考えて夜執筆という形でもいいかもしれません。どこかのタイミングでやってみましょう。