掌編集 三題噺   作:息抜きのもなか

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久し振りに以前のお題生成を使いました。
コメディを書いたつもりです。


コメディ お題「鄙びた田舎町」「イヤホン」「収まる」

 イヤホンを落としたことに気付いた俺は焦っていた。

 なぜならあれは、彼女から貰った大切なイヤホンなのである。ホテルでイヤホンケースに片方のイヤホンが収まっていなかった時の衝撃は語るべくもないだろう。

 

「落としたなんて知られたら、殺される!」

 

 俺の彼女は束縛の激しく、身に纏うものから小物に至るまで全て自分が用意したもので染めようとする。

 最初はそれが可愛らしくて許容していたのだが、自分が渡したもの以外を付けていたときの喚きようと言ったらひどいものだった。あの癇癪を見たとき以来、俺は彼女を怒らせないようにしようと気を張りながら生きていた。

 まあそれでも彼女のことが好きで、甲斐甲斐しく世話をしてくれるのは事実なので離れようとは思わないのだが。人がいる前では大人しくする分別はあるから、そこまで困ることは多くないし。

 

「あの、すみません。このイヤホンの片方、見ませんでしたか?」

「見てないねえ」

 

 自分が通った道を戻りながら、出張で来ていた田舎道を進む。

 わざわざ取引のためにこの(ひな)びた田舎町までやってきたが、こんな目に遭うならば来なければ良かったと思ってしまう。あるのは畑、畑、家、家、工場、工場と同じ景色がずっと続いて面白くない。取引が破談になった気分転換に散歩に出た結果イヤホンを落としてしまうのだから、この出張は散々だったと言わざるを得ないだろう。

 

「すみません、このイヤホンの片方を落としてしまったんですが、どこかで見ませんでしたか?」

「落とし物かい? 地区会館の方には行ってみたかい?」

 

 聞きなれぬ言葉に詳しく話を聞けば、どうやらこの辺りで落とし物を拾ったら地区会館に届けに行くという決まりごとがあるらしい。

 通った道を全て確認した後はそこに行こうと思って場所を聞き、感謝を述べてから親切なお婆さんと別れた。

 結局散歩した道にイヤホンが落ちていることはなく、地区会館へと足を向ける。

 

「イヤホン? ああ、さっき荒尾さんが届けに来たよ」

「良かった……。ありがとうございましたと伝えてください」

「ああ、荒尾さんならそこにいるから、直接挨拶したらどうだい?」

 

 そう促されて、地区会館の休憩所にいるという荒尾さんに会いに行く。

 女性だと言われてまるで物語の中にいるような気分になり、まさかこの出張は運命の出会いのためのものだったのかもと思いながら休憩所の扉を開く。

 そしてその休憩所には――ぽつんと一人のお婆さんがいるだけであった。

 

「あなたが、荒尾さんですか?」

「そうだよ。おや、あのイヤホンの持ち主かい? 見つかってよかったねぇ」

 

 ま、そう上手くはいかないかと肩を落としつつも、イヤホンが本来収まるべき場所に返ってきたことに胸を撫で下ろす。

 俺はイヤホンを拾ってくれた荒尾さんに深々と頭を下げてお礼を言い、ホテルに戻ったのだった。

 GPS付きだったのか落としたことがバレて彼女の暴走を宥めることになったが、ちゃんと取り戻したことを伝えて大人しくなってくれたので、回収できて本当に良かったと思う。




簡単プロット
田舎町でイヤホンを落とした。気付いたのはホテルで収納ケースに収まっていないのを発見したため。人伝に聞いて回り、無事にイヤホンを回収したのだった。

男性の一人称をすごく久し振りに書いた気がします。やっぱりあんまり得意じゃないですね。
ですが作品としては及第点はあるかなと思います。20分弱で書けたのも〇。
今日は創作が楽しくて後回しになってしまっていましたが、明日は早めの時間に書きたいですね。
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