町中にある鍾乳洞。
観光名所でもなく、ただ地元の人間が気分転換がてらにフラッと入ることができるその場所は、当然のように受付や注意事項を述べる者がいるわけでもなく、三人組の親子をあっさりと受け入れた。
無論、それなりに危険な場所であるという周知は為されていて、子供は一人で入ってはいけないだとか、滑りにくい靴を履くようにだとか、そういった注意書きは入り口付近の階段にポスターとして張られている。
しかしその日鍾乳洞に足を踏み入れたのはとてもではないが鍾乳洞を歩く格好ではない親子だった。余所行きの服を着て、靴は滑り止めなどなさそうな小洒落たもの。子供に至ってはその片腕に風船を引っ提げており、どこかに行ってきた帰りなのかもしれなかった。
舗装されていない洞窟に、手すりだけが付けられて道標として機能している。最低限の安全性をと考えられて設置された手すりは、しかしメンテナンスが十分に為されていないためか老朽化してきており、全体重を預けるには不安が残る。
それ故に家族は短いながらも確かに存在している道順の半ばほどで、この鍾乳洞に入ったことを後悔し始めていた。
だからだろう。三人の中で一番気の短い子供が、風船を持ったまま走り出した。
「待って! 走ったら危ないわ!」
母親がそう声を上げた直後、わっという叫び声が聞こえて、夫婦は顔を見合わせる。互いに少しだけ嫌な想像をした後、曲がり角から消えて姿の見えなくなった愛娘を探しに足を動かし始めた。
走ったとは言っても子供の足だ。この短期間でそう遠くには行けないはず。そう思って曲がり角を曲がった夫婦は満ちの先に外からの光が見えて、ほっと胸を撫で下ろす。
良かった。きっと出口を見つけて声を上げたんだ。
そう安心した二人の横に、ふわっと何かが浮かび上がる。何事かと身体を飛び上がらせそうになった二人がその正体が風船であることに気が付くまでに時間はかからない。
息を飲む音。強張る頬。
視線を下げた先に見つけた誰かが足を滑らせた跡は、自分たちの娘のものではないと目を逸らす。
大丈夫。もう既に外で自分たちを待っているから。
そう言い聞かせながら出口から地上へ戻った二人を待っていたのは、入ったときと何も変わらない街並みだった。
浮かび上がって鍾乳石に当たった風船が割れた。
簡単プロット
鍾乳洞に親子が足を踏み入れる。子供は他の場所を回ってきたのか風船を抱えている。
片方の手が塞がっていたためか、子供が足を滑らせる。風船が鍾乳石に当たって、割れた。
酷い話だ。タイムも25分と釣り合わないほどに時間が掛かりました。あんまり筆が乗らなかった。
クオリティもちょっと足りない。一日寝過ごしちまった分取り返さないといけないのに。
これは昨日分なのでこの後本日分を投稿します。