ファンタジーを指定されたので、期せずして昨日と同じ仕事ものになりました。
冒険者ギルド併設のレストランの裏側は忙しない。
冒険者などという社会不適合者の集まりをメインの客としているがゆえ仕方がないことではあるのだが、なんと24時間営業なのである。少し遠出して大きめのモンスターを討伐して運んできたために深夜になってしまうとか、森に入って迷って明け方に戻ってくるだとか、そういう事が往々にして起こる職種ゆえ仕方がないことではあるのだが、飲食店なのだから仕込みの時間なども加味して準備中の時間も作ればいいのにと厨房で働くルイナは常々思っていた。
「5番卓準備できたよ!」
「30番だれか運んだ!? まだ届いてないって!」
「野菜の在庫知ってる人いる!? あれもうないの!?」
「あのー! 配達でーす! あのー!」
結果がこのカオスな状況である。ネズミが出たら駆け回る誰かが無意識に踏み潰し、皿が割れたら風魔法で足元のダクトへ蹴り入れて通過地点にいた誰かが怪我をする。怒号と困惑で溢れ返ったこのキッチンに就職してしまったことを、元冒険者のルイナはひどく後悔していた。
冒険者をやっていた時には気が付かなかったが、この厨房には防音魔法が施されていて、酒場か何かと勘違いしているように馬鹿騒ぎをしているホールにこちらの喧騒は届かないのだ。もしこんな状態だと知っていたら、ルイナは再就職先にここを選ぶことはなかっただろう。そのぐらい、キッチンは慌ただしかった。
「グラントリザードの下準備終わりました!」
「ありがと! 一旦できてるのに出してない料理があるか見てくれない? あったら持ってっちゃって!」
「わかりました!」
「配達でーす! ねえ誰か気づいてー!!」
ルイナは先輩の言う通り完成済みの料理が並ぶテーブルに辿り着いて、
「こっちはいいから洗い物の方お願い!」
カウンターに押し込まれた皿を流しの方へ運んでいけば、
「そこ浸けといて! そしたら乾燥機の魔石の補充お願いしていい?」
物置部屋に足を踏み入れれば、
「こっちは私がやるから、さっきからうるさい配達受け取ってきてくれない?」
そんな形でたらい回しにされたルイナは、裏口で叫び続けている配達員のところに向かうことになった。
この職場を知っていれば待たされるのなんて日常茶飯事だから魔法遊びでもしながら待っている配達員が多いが、今日の人は新人なのだろうかなんて考えながらルイナは裏口の戸を開ける。
「おーい! 配達だって言ってんだろうが!! 誰か対応しやがれッてんだ!」
「ほい、受け取ります。受け取り証明はいつも通り配達ギルドの方に送るんで。じゃ」
配達員から紙袋を奪い取って裏口の扉を閉める。
ちょっと待たされたぐらいで客に悪態をつく配達員はダメだな。多分一ヶ月後には冒険者ギルドに登録者として並んでいるかもしれない。そんな失礼なことを考えながらルイナは荷物を倉庫の方に置きにいく。
そういえばこの野菜が足りてないって言ってたなと紙袋から出てきた野菜を届けられるように手近な場所に置いておいて、紙袋の中身を所定の場所に片付けていく。
「先輩、これ、追加の野菜です!」
「おお、受け取ってくれたの!? ありがとー! ちょー助かる!」
野菜を調理担当の先輩に預けて自分の業務に戻ろうと厨房内を駆ける。
担当の調理場に戻ってきて次の仕事であるアングリーホーンラットの下処理を始めようとすると、料理長の怒号が耳に飛び込んできた。
「あーもうプッツン来た! もうやだ! 冒険者どもをこの包丁でズタズタにしてやる!!」
「ダメですって料理長! ほら、もう少しすれば人も捌けますし、あと20分だけでいいんで頑張ってください!」
「離せ! 私はあのクソ客どもを八つ裂きにする使命があるんだ!」
「ちょ! 魔法使わないで! 誰か! 一緒に料理長止めて!」
「あのー! 郵便ギルドです! 書留の書類が届いてるんですけどー!」
「料理等に反抗するのかテメーら! いいぜ戦争ダァ!」
料理そっちのけで始まった乱闘を前にして、ルイナはもう今月何度目かも分からないため息をついた。
もう、辞めようかな。冒険者してた時より、大変な気がするし。
昨日も今日も、どうせ明日も忙しいであろう自身の職場を見て、ルイナはそんなことを考えた。
2分で作った簡単プロット
ギルド併設のレストランのキッチンは多忙だった。手が空いている人間が荷物を受け取り、5分の隙間時間があれば買い出しに行かされる。ルイナはもう辞めたい。
まあまあの出来。ちなみに途中仕事の呼び出しくらったので大体40分ぐらいかかってます。
コメディ系は書いてて楽しいのがいいですね。前半と後半の文字の密度が風邪ひきそう。
プロローグチックですが続きはありません。読みたいなら自分で書きやがれください。頑張ればきっとできます。ぱわー。