ゲシュペンストの異世界渡り -Multiverse Crusaders-   作:サツキタロオ

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【前回のあらすか】
突如発生した空間歪曲。
それは、シロガネとゲシュペンストを別世界へと呑み込む、予期せぬ転送現象だった。

仲間たちの動揺が広がる中、各地で異変が加速する。
リーニエたちの前には謎の男・エボルトが出現。
正体も目的も不明のまま、彼はリーニエと敵性体エルガーをブラックホールと共に連れ去ってしまう。

さらに断頭台のアウラを追い詰めたフリーレンの前にも、エボルトは現れる。
アウラをも連れ去ったその姿に、仲間たちはただ困惑するばかりだった。

そして数時間後――
ヴァーリたちは無事、シロガネとハガネに帰還。
新たに発見された都市の情報を手がかりに、次の行動を決定する。

だがその胸には、不穏な予感が残されていた。
この世界で今、何が起きているのか?
そして、“エボルト”とは何者なのか――?


第6話:宵闇の孤狼

 

〜三人称視点.

「……本当にここにいるのか?」

ジト目で問いかけた黒髪の少年の視線の先には、灰色のロングヘアの少女がいた。

「うん、多分!」

少女は自信満々に言い切った。

「まあいい。二人とも、行くぞ。」

「了解。」

「うん。」

無造作に頷いたのは、黒の衣服に身を包んだピンク髪の少女だった。

三人は街へと足を踏み出した。

 

………………

 

その頃…

「……にしても、この街……何か起きそうな空気だな。」

通りを歩きながら、鷹真は空を仰いだ。どこか胸騒ぎがする。

ふと視線の先、不審な様子を見せる黒服の女性たちが目に入った。

「ケリュドラ、あいつらを追えるか?」

「任せておけ。」

ケリュドラは足早に近づき、女性たちの前に立ち塞がった。

「――カイザーが命じる。お前たちは何者だ?」

その瞬間、彼女の左目が赤く光り、紋章が浮かび上がった。

赤光が神経に信号を走らせ、女性たちの眼もまた紅く染まる。

「…我々は任務でこの場所に来ております。」

そうしてケリュドラがヴァーリの元に近寄ってきた。

「どうやら、彼女達はシャドウガーデン*1という組織に所属しているらしい。」

「ふん、またテロリスト紛いの連中か。」

ヴァーリは一瞥をくれただけで、興味を失ったように背を向けた。

 

………………

 

シロガネの艦内から、ゲシュペンストと共に響たちが街に降り立つ。

「……何か妙に騒がしいな。」

「……おい、見ろよ。誰か追われてるぞ。」

響が指さす先――

黒い服の少女たちに追われる一組の少年と少女が走っていた。

「面白くなってきたな。行くぞ、球磨、瑞鳳!」

「分かった。」「了解」

そうして響達が飛んでいくとゲシュペンストもそれを追ってきた。

 

「おいおい……お前ら、いくらなんでもしつこいぜ!」

黒髪の青年が不敵に笑い、追ってくる黒服の女性たちを蹴り飛ばす。

「くっ、この男……強い……!」

「チッ、手に負えないのです……!」

彼の名は御影。

その隣、灰色髪の少女・星は周囲を睨みながら言った。

「……取り巻きがこの数。リーダー格がどこかにいるはず。」

「なるほどな……星、任せていいか?」

「いいけど……帰ったらジュース奢ってよ?」

「分かったよ。」

御影は瞬時に姿を消し、星の体から光が放たれた。

一瞬で装備が実体化し、戦闘態勢に入る。

「!?」「勝手に武器が出てきたのです…!」

 

驚愕するのは、シャドウガーデン幹部・イプシロンとデルタ。

星は構えた銃を素早く振り上げ、引き金を引いた。

「じゃ、ちょっとしたウォーミングアップと行こうか。」

火を纏った弾丸が放たれ、構成員たちを焼き溶かす。

(あの攻撃……直撃すれば即死……!)

イプシロンが直感で距離を取り、後退する。

「逃がさない!」

星は両腕、肩、膝部のコンテナを展開。

内蔵されたミサイルが次々と発射され、夜の闇を灼くように爆ぜた。

 

………………………………

 

その頃、地上の騒ぎをよそに、薄暗い地下通路を一人歩く御影。

 

「……ん?」

突如として気配が変わった。

御影が立ち止まり、前方へ視線を向ける。

そこには、黒いコートを纏った少年が静かに立っていた。

「どうやら……始まったようだな。」

少年の声は低く、冷ややかだった。

まるで夜そのものが言葉を発したかのように。

「……我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者。」

淡々とした口調で名乗ったその男は、シャドウガーデンの盟主――シャドウだった。

御影はしばし無言で彼を見つめ、そして――

鼻で笑った。「……ダッサ。っくく……w」と小さく呟き、肩を揺らして笑いを堪える。

「……何がおかしい?」

「いや、いやいや。『陰に潜み、陰を狩る』って……痛い中二病ポエムかと思ってな。てか、服装の統一感すごいな、お前の組織。俺にも作ってくれよ。」

「……」

シャドウの顔は冷静だったが、その奥に微かな苛立ちが見える。

御影は一歩前に出た。

「さてと――さっきからやたら強そうな気配と、街中で厄介事起こしてんのが、どうやらお前らっぽいな。」

言葉とは裏腹に、御影の目は鋭く光る。

遊びの延長では済まない空気が、地下の静寂を切り裂いていく。

「……シャドウ、だったか。俺の勘が正しけりゃ……お前が“ボス”ってやつだな?」

「その通りだ。そして貴様は――」

「覚えなくていいぜ――どうせくたばるんだからな!」

御影が不敵に笑い、構えた瞬間。

彼の背後、空間が歪むように揺らいだ。

波紋のような揺れと共に、重力場が展開される。

無数の装甲が宙に浮かび、磁場のように御影の全身へ吸着していく。

一瞬で戦闘装備が装着され、その姿はまるで重力を操る武装兵。

 

(あれは……魔力とも、気とも違う。だが明らかに何かしてるな…)

シャドウ――いや、シド・カゲノーは冷静な表情の裏で、興味と分析の色を浮かべていた。

(陰の実力者の敵役としては、なかなか悪くないな……!)

「……行くぞ。」

静かに告げ、シャドウが一歩踏み込む。

「――じゃあ、こっちから行かせてもらう!」

御影が叫び、背部に取り付けられていたバックパックを外し。

そのまま、それを足場にするように飛び乗ると、大型ライフルを構えた。

 

「――来いよ、シャドウ!」

砲口から放たれた閃光が、地下の空間を焼き裂く。

シャドウは咄嗟に前方へ跳躍、黒い剣を抜き放ち、光弾を斬り裂こうとした――

「……なにッ!?」

 

重い衝撃音。

剣先が触れた瞬間、光弾は“裂ける”ことなく、そのままシャドウを吹き飛ばした。

爆風と共に壁へ叩きつけられたシャドウは、バックステップで衝撃を殺しながら、冷静に状況を整理する。

 

(斬れなかった……ただのビームじゃないみたいだ。)

床を滑るように着地し、シャドウは目を細めた。

(あの一撃で消し飛ばないとは…ちょっとマジでやった方が良さそうだな。)

御影はライフルを下ろし、指先をひと振り。

虚空に走る紫電のような光の裂け目から、一本の刀が抜き出される。

 

「――おらっ!」

 

気合とともに振り下ろされた一閃。

その瞬間、空気が金切り声を上げるかのように震え、床が抉れた。

剣圧は、ただの斬撃ではない。

それは重力を一点に圧縮した“波”となり、音速すら超えて一直線にシャドウへと突き進む。

(空間が……歪んだ!?)

シャドウの目が鋭く光る。

次の瞬間、影に足を滑らせるようにして紙一重で回避――しかし、遅れてきた余波がマントを切り裂いた。

(あれに直撃すれば……ただじゃ済まない。デルタじゃ絶対勝てないな。)

「まだまだだぜ!」

御影が懐へ踏み込むと、拳が閃いた。

目にも止まらぬ連打が、空気を貫いて炸裂する。

「くっ……!」

シャドウも応戦する。だが拳が交差するたびに、力の差が浮き彫りになる。

受けきれない――いや、捌ききれない。拳圧ごと叩き潰される。

「鍛えてるのはわかるがな……俺が戦ってきた奴らより、だいぶ“軽い”ぞ!」

怒涛の連撃。御影はシャドウの胸ぐらを掴み、拳で三度叩き込む。

そのまま、壁へと叩きつけた。

コンクリートが陥没し、塵が舞う。

(……ここまで押されるとは……完全に、想定外……)

シャドウが立ち上がり、ゆっくりと目を見開いた。

 

「――ならば……」

 

その声とともに、彼の全身から紫のオーラが放出される。

それは魔力ではない。殺意でもない。

“圧倒的な存在感”そのものが、具現化したような異様な波動。

 

「真の最強を――その身に、刻め。」

 

「なにッ……!?」

一瞬で重圧が変わった。御影の顔から笑みが消える。

シャドウの足元から空間が砕け、エネルギーが天井を突き破るほどに膨れ上がる。

 

 

「アイ…アム…」

 「アトミック」

 

 

その言葉と同時に、紫の輝きが一閃。

空間そのものを解体するかのような光が奔り、圧縮された破壊が御影を包み込んだ。

爆裂音と共に、地下が眩い閃光で染まっていった。

*1
シャドウが盟主を務める陰の組織。

魔人復活をもくろむ『ディアボロス教団』を潰すことを目的としている。

『七陰』という最高幹部がおり、その下に無数の構成員がいる。

メンバー全員が『悪魔憑き』の元罹患者であるため、シャドウ以外は全員女性。




スタレの予告番組。情報量が多過ぎて凄かった(小並感)

別の分岐ルートも…

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