ゲシュペンストの異世界渡り -Multiverse Crusaders- 作:サツキタロオ
突如発生した空間歪曲。
それは、シロガネとゲシュペンストを別世界へと呑み込む、予期せぬ転送現象だった。
仲間たちの動揺が広がる中、各地で異変が加速する。
リーニエたちの前には謎の男・エボルトが出現。
正体も目的も不明のまま、彼はリーニエと敵性体エルガーをブラックホールと共に連れ去ってしまう。
さらに断頭台のアウラを追い詰めたフリーレンの前にも、エボルトは現れる。
アウラをも連れ去ったその姿に、仲間たちはただ困惑するばかりだった。
そして数時間後――
ヴァーリたちは無事、シロガネとハガネに帰還。
新たに発見された都市の情報を手がかりに、次の行動を決定する。
だがその胸には、不穏な予感が残されていた。
この世界で今、何が起きているのか?
そして、“エボルト”とは何者なのか――?
〜三人称視点.
「……本当にここにいるのか?」
ジト目で問いかけた黒髪の少年の視線の先には、灰色のロングヘアの少女がいた。
「うん、多分!」
少女は自信満々に言い切った。
「まあいい。二人とも、行くぞ。」
「了解。」
「うん。」
無造作に頷いたのは、黒の衣服に身を包んだピンク髪の少女だった。
三人は街へと足を踏み出した。
………………
その頃…
「……にしても、この街……何か起きそうな空気だな。」
通りを歩きながら、鷹真は空を仰いだ。どこか胸騒ぎがする。
ふと視線の先、不審な様子を見せる黒服の女性たちが目に入った。
「ケリュドラ、あいつらを追えるか?」
「任せておけ。」
ケリュドラは足早に近づき、女性たちの前に立ち塞がった。
「――カイザーが命じる。お前たちは何者だ?」
その瞬間、彼女の左目が赤く光り、紋章が浮かび上がった。
赤光が神経に信号を走らせ、女性たちの眼もまた紅く染まる。
「…我々は任務でこの場所に来ております。」
そうしてケリュドラがヴァーリの元に近寄ってきた。
「どうやら、彼女達はシャドウガーデン*1という組織に所属しているらしい。」
「ふん、またテロリスト紛いの連中か。」
ヴァーリは一瞥をくれただけで、興味を失ったように背を向けた。
………………
シロガネの艦内から、ゲシュペンストと共に響たちが街に降り立つ。
「……何か妙に騒がしいな。」
「……おい、見ろよ。誰か追われてるぞ。」
響が指さす先――
黒い服の少女たちに追われる一組の少年と少女が走っていた。
「面白くなってきたな。行くぞ、球磨、瑞鳳!」
「分かった。」「了解」
そうして響達が飛んでいくとゲシュペンストもそれを追ってきた。
「おいおい……お前ら、いくらなんでもしつこいぜ!」
黒髪の青年が不敵に笑い、追ってくる黒服の女性たちを蹴り飛ばす。
「くっ、この男……強い……!」
「チッ、手に負えないのです……!」
彼の名は御影。
その隣、灰色髪の少女・星は周囲を睨みながら言った。
「……取り巻きがこの数。リーダー格がどこかにいるはず。」
「なるほどな……星、任せていいか?」
「いいけど……帰ったらジュース奢ってよ?」
「分かったよ。」
御影は瞬時に姿を消し、星の体から光が放たれた。
一瞬で装備が実体化し、戦闘態勢に入る。
「!?」「勝手に武器が出てきたのです…!」
驚愕するのは、シャドウガーデン幹部・イプシロンとデルタ。
星は構えた銃を素早く振り上げ、引き金を引いた。
「じゃ、ちょっとしたウォーミングアップと行こうか。」
火を纏った弾丸が放たれ、構成員たちを焼き溶かす。
(あの攻撃……直撃すれば即死……!)
イプシロンが直感で距離を取り、後退する。
「逃がさない!」
星は両腕、肩、膝部のコンテナを展開。
内蔵されたミサイルが次々と発射され、夜の闇を灼くように爆ぜた。
………………………………
その頃、地上の騒ぎをよそに、薄暗い地下通路を一人歩く御影。
「……ん?」
突如として気配が変わった。
御影が立ち止まり、前方へ視線を向ける。
そこには、黒いコートを纏った少年が静かに立っていた。
「どうやら……始まったようだな。」
少年の声は低く、冷ややかだった。
まるで夜そのものが言葉を発したかのように。
「……我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者。」
淡々とした口調で名乗ったその男は、シャドウガーデンの盟主――シャドウだった。
御影はしばし無言で彼を見つめ、そして――
鼻で笑った。「……ダッサ。っくく……w」と小さく呟き、肩を揺らして笑いを堪える。
「……何がおかしい?」
「いや、いやいや。『陰に潜み、陰を狩る』って……痛い中二病ポエムかと思ってな。てか、服装の統一感すごいな、お前の組織。俺にも作ってくれよ。」
「……」
シャドウの顔は冷静だったが、その奥に微かな苛立ちが見える。
御影は一歩前に出た。
「さてと――さっきからやたら強そうな気配と、街中で厄介事起こしてんのが、どうやらお前らっぽいな。」
言葉とは裏腹に、御影の目は鋭く光る。
遊びの延長では済まない空気が、地下の静寂を切り裂いていく。
「……シャドウ、だったか。俺の勘が正しけりゃ……お前が“ボス”ってやつだな?」
「その通りだ。そして貴様は――」
「覚えなくていいぜ――どうせくたばるんだからな!」
御影が不敵に笑い、構えた瞬間。
彼の背後、空間が歪むように揺らいだ。
波紋のような揺れと共に、重力場が展開される。
無数の装甲が宙に浮かび、磁場のように御影の全身へ吸着していく。
一瞬で戦闘装備が装着され、その姿はまるで重力を操る武装兵。
(あれは……魔力とも、気とも違う。だが明らかに何かしてるな…)
シャドウ――いや、シド・カゲノーは冷静な表情の裏で、興味と分析の色を浮かべていた。
(陰の実力者の敵役としては、なかなか悪くないな……!)
「……行くぞ。」
静かに告げ、シャドウが一歩踏み込む。
「――じゃあ、こっちから行かせてもらう!」
御影が叫び、背部に取り付けられていたバックパックを外し。
そのまま、それを足場にするように飛び乗ると、大型ライフルを構えた。
「――来いよ、シャドウ!」
砲口から放たれた閃光が、地下の空間を焼き裂く。
シャドウは咄嗟に前方へ跳躍、黒い剣を抜き放ち、光弾を斬り裂こうとした――
「……なにッ!?」
重い衝撃音。
剣先が触れた瞬間、光弾は“裂ける”ことなく、そのままシャドウを吹き飛ばした。
爆風と共に壁へ叩きつけられたシャドウは、バックステップで衝撃を殺しながら、冷静に状況を整理する。
(斬れなかった……ただのビームじゃないみたいだ。)
床を滑るように着地し、シャドウは目を細めた。
(あの一撃で消し飛ばないとは…ちょっとマジでやった方が良さそうだな。)
御影はライフルを下ろし、指先をひと振り。
虚空に走る紫電のような光の裂け目から、一本の刀が抜き出される。
「――おらっ!」
気合とともに振り下ろされた一閃。
その瞬間、空気が金切り声を上げるかのように震え、床が抉れた。
剣圧は、ただの斬撃ではない。
それは重力を一点に圧縮した“波”となり、音速すら超えて一直線にシャドウへと突き進む。
(空間が……歪んだ!?)
シャドウの目が鋭く光る。
次の瞬間、影に足を滑らせるようにして紙一重で回避――しかし、遅れてきた余波がマントを切り裂いた。
(あれに直撃すれば……ただじゃ済まない。デルタじゃ絶対勝てないな。)
「まだまだだぜ!」
御影が懐へ踏み込むと、拳が閃いた。
目にも止まらぬ連打が、空気を貫いて炸裂する。
「くっ……!」
シャドウも応戦する。だが拳が交差するたびに、力の差が浮き彫りになる。
受けきれない――いや、捌ききれない。拳圧ごと叩き潰される。
「鍛えてるのはわかるがな……俺が戦ってきた奴らより、だいぶ“軽い”ぞ!」
怒涛の連撃。御影はシャドウの胸ぐらを掴み、拳で三度叩き込む。
そのまま、壁へと叩きつけた。
コンクリートが陥没し、塵が舞う。
(……ここまで押されるとは……完全に、想定外……)
シャドウが立ち上がり、ゆっくりと目を見開いた。
「――ならば……」
その声とともに、彼の全身から紫のオーラが放出される。
それは魔力ではない。殺意でもない。
“圧倒的な存在感”そのものが、具現化したような異様な波動。
「真の最強を――その身に、刻め。」
「なにッ……!?」
一瞬で重圧が変わった。御影の顔から笑みが消える。
シャドウの足元から空間が砕け、エネルギーが天井を突き破るほどに膨れ上がる。
「アイ…アム…」
「アトミック」
その言葉と同時に、紫の輝きが一閃。
空間そのものを解体するかのような光が奔り、圧縮された破壊が御影を包み込んだ。
爆裂音と共に、地下が眩い閃光で染まっていった。
魔人復活をもくろむ『ディアボロス教団』を潰すことを目的としている。
『七陰』という最高幹部がおり、その下に無数の構成員がいる。
メンバー全員が『悪魔憑き』の元罹患者であるため、シャドウ以外は全員女性。
スタレの予告番組。情報量が多過ぎて凄かった(小並感)
別の分岐ルートも…
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