ゲシュペンストの異世界渡り -Multiverse Crusaders- 作:サツキタロオ
その動向を追っていた御影たちは、不審な黒服の女たちと交戦状態に突入する。
圧倒的な武装と重力を操る戦闘スタイルで敵をなぎ倒す御影。
その前に立ちはだかったのは、シャドウガーデンの盟主――“シャドウ”と名乗る黒き少年だった。
すぐに互いの実力を感じ取り、戦いは避けられないと悟る。
そして、地下空間で火花を散らす死闘が始まる。
重力を圧縮した剣圧、超加速の連撃――御影の攻撃はシャドウを確実に追い詰めた。
しかしシャドウは全身から紫のエネルギーを放ち、シャドウは必殺の一撃を放った。
地下空間に放たれる、絶対破壊の光……
その中に御影は飲み込まれていった。
〜三人称視点.
「おおおおおおい! なんだこれはあああああ!?」
突如として地響きと共に上がった閃光と爆風に、響が思わず叫ぶ。
夜空を切り裂くような紫色の爆発が、遠く離れた街区まで届く衝撃を伴って拡がっていた。
「……なんだ、この爆発は……」
地上にいた鷹真もその異常さに言葉を失い、思わず足を止める。
音の余韻が消えぬうちに、そこには直径数十メートルに及ぶ巨大なクレーターが出現していた。
「この爆発規模……まるで核でも落ちたみたいだな。」
鷹真が眉をひそめて呟くと、隣の球磨が即座に突っ込んだ。
「おいおい、核なんて異世界にあるわけねぇだろ?」
「……いや、核じゃないにしても、それと同等の出力を持つ存在がいるってことだろ。」
瑞鳳は真剣な眼差しでクレーターを見つめる。
そのときだった。
「おい、見ろ!」
球磨が言うと、砂塵の舞うクレーターの中心から黒煙を纏う一人の影がゆっくりと上昇してきた。
それは――御影だった。
………………
「くっ……やりやがるな、あの野郎……!」
御影は肩で息をしながら、アーマーに付着した焦げと埃を払う。
全身が薄く煤けていたが、彼の眼差しは不敵なままだった。
その姿を見て、シャドウの瞳が一瞬だけ揺らぐ。
(……あのアトミックを真正面から受けて、ほとんど無傷だと……?)
(僕の魔力でも制御に難儀する、あの一撃を……!?)
胸中で驚愕と嬉しさを隠せないまま、シャドウは冷静を装う。
しかしその表情の奥には、確かな警戒と戦慄が走っていた。
「……仕方ねぇな。あんまり使いたくなかったが……」
御影が静かに呟いた。
次の瞬間、アーマーの切れ目から、紫色の濃密なエネルギーが噴き出す。
「行くぜ――フルバーストだッ!!」
咆哮と共に、御影の装甲が音を立てて展開し始めた。
背部ユニット、胸部プレート、脚部関節……あらゆる機構が開放され、紫光を帯びて輝く。
「ッ!?」
「なん、なのですかこれは!?」
シャドウの側にいたデルタやイプシロンまでもが、その輝きに目を見張る。
周囲の空気が震え、重力そのものが震動するかのような気配――
それは、明らかに**常軌を逸した“何か”**の兆候だった。
「……御影……!」
少し離れた場所にいた星が、膝を抱えるようにしてその光を見つめていた。
その表情には、戦慄と、ほんの少しの――心配の色が混ざっていた。
(まさか……あれを使うなんて……)
(筋肉痛がイヤだって、あんなに言ってたのに……)
「――じゃあ、一分以内に終わらせてやる!」
御影の叫びと共に、左腰部から飛び出した一本のグリップが空中で回転する。
それを掴んだ御影は、背部ライフルと瞬時に接続――柄から刃が形成され、
光り輝くエネルギー刀身が出現する。
そして、ライフルを腰に戻すと同時に――突撃。
シャドウは気配を察知し、即座に防御体勢を取る。
だが、それすら御影の速さには追いつかない。
「――はあああッ!!」
真空を切り裂く一閃。
シャドウの姿が、縦一文字に分断されたかのように見えた。
「まだだ!」
すかさず御影は反転し、今度は真横からもう一閃。
今度はX字を描くように斬り裂く。
「なにッ!?」
シャドウが目を見開く暇すら与えず、御影は姿をかき消す。
次に姿を現したのはシャドウの背後――
御影の両腕には既に十数本のカオススピアが形成されていた。
「喰らえ――!」
紫色に煌めく槍が連続して空を裂き、轟音とともにシャドウへと殺到する。
爆風が地下を吹き荒らし、煙と閃光が視界を埋め尽くす。
だが、御影の攻撃は止まらない。
「おまけだァ!!」
そう叫ぶと、すぐさま七陰の元へも跳躍。
再び両腕にカオススピアを形成し、乱れ投げのごとく光の槍をばら撒いた。
デルタやイプシロンが咄嗟に回避しようとするも、避けきれずに爆炎に包まれる。
「いってぇぇ……!!」
御影が呻きながら地面に倒れ込み、勢いのままゴロゴロと転がった。
全身に鈍痛。筋肉が悲鳴を上げ、展開したアーマーが戻っていった。」
「……御影っ!」
駆け寄ってきた星が心配そうに手を差し伸べた。
「イタタタ……サンキュー、星……」
手を取って体を起こしながら、御影は弱々しく笑った。
だが星は、そんな彼をじと目で睨む。
「御影、あんたさ……筋肉痛イヤだイヤだって言ってたくせに、フルバースト結構使うよね。」
「癖にでもなったんじゃないの?」
「――なワケねぇだろ!!」
瞬時のツッコミに、星がクスッと笑う。
戦場の空気に、一瞬だけ平穏な空気が流れた。
………………………………
「……全員、倒しちゃったよ……」
地下からの戦いを終えた直後、地上にいる響はぽかんとした表情で呟いた。
その周囲には、倒されたシャドウガーデンの戦闘員たちが横たわっている。
「……出番が……無かった……」
「無かった……」
球磨と瑞鳳は両肩を落とし、まるで文化祭後に仕事を忘れられた生徒のような顔をしていた。
その時――
《ピピッ――!》
通信機が鳴り、シロガネからの連絡が入る。
「ん? 艦長?」
響が受信ボタンを押すと、緊迫した声が飛び込んできた。
『鷹真! 南西方向から超大型反応が接近中!』
「――!?」
反射的に周囲を見渡す一同。
直後、轟音と共に、空間を貫く極太の赤いビームが地平線の彼方から一直線に放たれた。
その一撃は建物群をなぎ倒し、街を焼き尽くしていく。
「なっ、何だ今の……!?」
「エネルギー反応が桁違いだ!」
瓦礫の隙間から顔を出し、鷹真と瑞鳳が警戒の目で遠方を見やる。
砂煙の向こう――巨大な影が、大地を踏み鳴らしながら迫ってくる。
その姿が次第に明瞭になると、響の瞳が見開かれた。
「――あ、あれって……!」
彼女が震える指で指し示す。
そこには、禍々しい赤と黒のフレーム、無数の砲門を備えた異形の兵器が、建造物を薙ぎ払いながら進撃していた。
「GFAS-X1……」
響鬼が息を呑みながら、その名を呟く。
「デストロイガンダム…!!」
「うおおおお!本物だぜ!全長56.30m!でけぇぇぇ…!」
「落ち着け響!」
「興奮するな。」
響が嬉しそうにキラキラした目でデストロイガンダムに近づこうとしたが球磨と瑞鳳に止められた。
そのように哀れみの目で見つめる鷹真。
「…チッ、コイツ。このままじゃ街を全部破壊してしまうぞ。」
「ならば、僕たちの力を総動員して戦うしかない!」
ケリュドラがそう言って大型のライフルを構える。
「くらえ!」
ミサイルの弾丸を発射するが、陽電子リフレクターに阻まれて効かなかった。
「…くっ…」
ケリュドラが苦戦していると、御影たちが近寄ってきた。
「…!お前たちは…!」
「御影!星!」
「…?ヴァーリたちの知り合いか?」
御影が鷹真たちを見て少し目を泳がせた後に頷いた。
「あの敵には射撃は通じない…接近戦なら行けるよ!」
星がそう言うと、「お前ビームサーベルしかねぇじゃん。」と御影が言った。
星は黙って御影を少しぶった。
「──行くぞ、星!」
御影は腰の武器ラックからエネルギーブレードを引き抜き、低く構えた。紫色の残光が地面を焼き、熱気が周囲に広がる。
「わかってる!」
星はビームサーベルを逆手に握り直すと、御影の横に並び、眼前の巨体を見据えた。
全長56.3メートル──ビルの谷間を埋め尽くすような巨躯。
デストロイガンダムの複合砲門群が一斉に唸りを上げ、機体前面に赤いチャージ光が灯る。
「来るぞッ!」
鷹真が叫んだ瞬間、高出力ビームが一直線に放たれた。空気が焼け、街路が溶け、轟音と閃光が視界を奪う。
「っらぁあ!」
御影が飛び出した。踏み込み一歩、地面が砕けて爆風の中に姿を消す。
ビームは陽電子リフレクターによって大半が弾かれるが、その余波だけで建物の外壁が剥がれ落ちる。
「やべー…!」響も続き、瓦礫を足場に一気に跳躍した。
デストロイの脚部近くまで迫った二人は同時に突進を仕掛ける。
御影は左脚の装甲に沿って駆け上がり、星は逆側から膝関節を狙う。
しかし──高周波の駆動音と共に胸部ビーム砲が唸りを上げ、弾幕が二人を襲った。
「くっ…!シールド!」
星の前腕から展開された簡易バリアが火花を散らす。
御影は弾幕の合間をすり抜け、ブレードを振りかぶる。
「これで──!」
斬撃は確かに装甲を捉えたが、刃先は浅くしか入らなかった。
「くそっ、やっぱ硬ぇな!」
その時、デストロイの上半身が回転し、背部の大型ビーム砲が二人を狙った。
「星、離れろ!」
御影の叫びと同時に、星はブースターで後方へ飛び退く。直後、白熱光が地面を貫き、着弾地点が巨大な火柱と化した。
「接近戦でも長居はできない…!陽電子リフレクターの発生源を潰さない限り削りきれない!」
星が通信越しに叫ぶと、後方のケリュドラが応じた。
『発生源は胸部コアと背部ユニットだ!だが防御が厚い!』
「なら、俺が囮になる!」
御影は無理やり身体を加速させ、デストロイの正面へ躍り出る。
デストロイの全砲門が御影をロックオンし、赤い光が集中した。
だがその瞬間、星が背部に回り込み、ビームサーベルを突き立てる。
「──もらった!」
背部ユニットの一つが爆ぜ、リフレクターの出力が一瞬だけ低下する。
「御影、今だ!」
「おおおおおおっ!」
御影の渾身の斬撃が胸部装甲を突き破り、火花と黒煙が吹き上がった。
デストロイガンダムは火花を散らしてそのまま爆散した。
「よし!落としたぞ!」
響は興奮を抑えきれず、両手をぶんぶん振りながら駆け寄った。
「うおおおお!やったな!本物のデストロイぶっ倒したぞ!すげぇ!」
「落ち着けって……」
瑞鳳がため息をつき、球磨は肩をすくめた。
「興奮するなと言っても、これはちょっと興奮するな。」
ケリュドラはライフルを肩に担ぎ直し、倒れた残骸を見据えた。
「陽電子リフレクターを突破したのは見事だ。あれだけの火力を相手に接近戦を仕掛けるのは並の勇気じゃない」
「勇気っていうか、無茶っていうか…」
御影は息を整えながら、星に視線を向ける。
「お前が背部を壊してくれなきゃ、絶対に無理だった。ありがとな」
「お互い様だ。胸部を割ったのはお前だしな」
二人は軽く拳を合わせ、短く笑った。
だが、鷹真はその光景を見ながら、眉間に皺を寄せていた。
「……あれだけの兵器を、なぜこの街に投入してきた?」
その問いに誰も答えられないまま、黒煙だけがゆらゆらと空へ昇っていった。
序盤からデストロイ出る作品。
別の分岐ルートも…
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