ゲシュペンストの異世界渡り -Multiverse Crusaders- 作:サツキタロオ
その全長56メートルを超える巨体は、街を蹂躙するかのごとく赤いビームを放ち、建物を次々と破壊していく。
響は実物の姿に興奮するが、球磨と瑞鳳に止められ、冷静さを取り戻した鷹真は戦闘を決意。
しかし、ケリュドラの放つライフルやミサイルは陽電子リフレクターに阻まれ、全く効果を及ぼさなかった。
そこへ駆けつけたのは御影と星。彼らは「射撃は通じない、接近戦なら勝機がある」と告げる。
戦術を切り替えた仲間たちは一斉に接近し、熾烈な近接戦闘を展開。
激しい攻防の末、ついにデストロイガンダムは火花を散らし大爆発を遂げた。
勝利の歓声が上がる中、街には静寂が戻る。だが、この巨兵の出現が何を意味するのか…
新たな不穏の幕開けを、誰もが予感していた。
〜シロガネ ブリッジ〜
艦橋にはいつになく張り詰めた空気が漂っていた。外の戦闘が一段落し、ようやく呼吸を整えられる状況になったのだろう。スクリーンには破壊されたデストロイガンダムの残骸が漂い、僅かに閃光を放って消え去っていく。
そんな中、ケリュドラが一歩前に出て口を開いた。
「御影、星。久しいな。僕たちのことは覚えているだろう?」
懐かしさを帯びた声に、二人は少し驚いたように目を見開いた。御影がゆっくりと頷きながら言葉を返す。
「ああ……ケリュドラとヴァーリだったな。オンパロスでの一件のときは……あまりに色々とあって、正直混乱してた。」
ヴァーリは短く笑みを浮かべた。
「確かに、あの時は僕たちも余裕がなかったからな。」
ケリュドラが続ける。
「彼らは僕たちの故郷に来た時に、共に戦ってくれた仲間なんだ。」
その説明に鷹真が眉をひそめ、興味半分、不審半分といった顔で問いかける。
「開拓者ってなんだ? なんかただの冒険者とは違うんだろ?」
御影は少し考えるように視線を宙に泳がせ、それから静かに語り始めた。
「開拓者……それは、未知の星や世界に足を踏み入れて、危険や困難に挑みながら道を切り拓く存在だ。俺たちは旅人であり、時に戦士であり……まあ、そういう大きな枠組みの集団だな。」
言い切った後、御影はほんの少し肩をすくめる。
「……なんか凄い集団、ってことでいいんじゃないか?」
力強い断言に、場が一瞬だけしんと静まり返った。
「うーん……」星はこめかみを押さえ、やや困ったようにため息をつく。
「間違ってはないけど……御影、それだと“脳筋の集まり”みたいに聞こえるんだよ。もっとこう、知識や技術の共有とか、文化交流とか……そういう要素もあるんだよ?」
御影は視線を逸らし、口の端をわずかに引き上げる。
「細けぇことはいいんだよ。」
「よくないよ!」と星が即座に突っ込み、ブリッジには小さな笑いが広がった。戦いの緊張から解放され、ようやく人間らしい空気が戻ってきた瞬間だった。
………………
「でさ、どうやって出るんだよ。この世界って異世界なんだろ?」
球磨が腕を組み、眉をひそめながらぼやいた。
その一言に、ブリッジの空気が一瞬固まる。出口の見えない異世界漂流――誰もが心の奥で抱えていた不安を、彼女は無意識に口にしたのだ。
「うーん……」と唸っていた星が、ぽんと手を打つ。
「とりあえず、DBD反応が強いところに行ったら、出られるかもよ!?」
「ほう……」艦長は鋭い眼光を細めた。
「なるほど。DBDによってこの世界に転移したのならば、DBDによって帰還する事も可能というわけか……」
論理の筋は通っている。すぐさま艦長は決断を下した。
「オペレーター、全周波数でDBD反応の座標をスキャンしろ。最も強い場所を特定しろ。」
「了解しました!」
オペレーターの指が走査パネルを軽快に叩く。数秒後、モニターに鮮明な映像が投影された。
「出ました。モニターに出します。」
そこに映し出されたのは――鬱蒼とした森の奥にぽつりと佇む、荘厳な石造りの神殿だった。
その古びた外観とは裏腹に、地下深くからは脈動する光の波のような、強烈なDBD反応が溢れ出している。まるで大地そのものが鼓動しているかのように。
「……あそこか。」
御影が低く呟く。その瞳には緊張と、ほんの僅かな高揚が浮かんでいた。
「とりあえず、ここから帰れるんだな?」
球磨の声には、期待と不安が半分ずつ混じっていた。
「じゃ、行ってみるか!」
響が明るく言い放ち、その場の空気を一気に前へと押し出す。
艦内に短い沈黙が流れ、やがて全員が決意を固めたように席を立った。
彼らはそれぞれ装備を整え、出撃した。
緊張感と共に、冒険の匂いが漂う。
「神殿……何が待っているか分からないな」
鷹真がそう呟くと、星は肩を竦めながらも笑みを浮かべた。
「まあ、どうせただでは帰れないでしょ?」
こうして響たちは、重苦しくも神秘的な空気を放つ神殿へと、ゆっくり歩を進めていった。
「よし…こっちも行くぞ。」
帽子を深く被って天津風は指示を飛ばす。
「よーし、超大型回転衝角起動! 機動部隊はハガネの前に立つなよ!」
直後、重厚な振動音が神殿内部に響き渡る。ハガネの艦首に備えられた超大型回転衝角が轟音を立てて回転し、石造りの神殿を粉砕しながら突入していく。
「いいねぇ。やっぱりハガネのドリルは――ハガネのドリルは世界一ィー!」
熱に浮かされたような声を上げる天津風に、すぐさま冷水のような声が浴びせられる。
「調子に乗るな。」「ばーか。」
村雨と神通が息を合わせたように突っ込むと、艦橋にわずかな笑いが走った。緊張を和らげるための軽口だ。
――だが、その笑いはすぐに消える。
突入したハガネがDBD反応の中心に近づくと、ケリュドラたちは甲板から飛び降り、周囲を警戒する。神殿地下は想像以上に広大で、まるで巨大な闘技場のように整えられていた。
「……闘技場、だな。」
ケリュドラが眉をひそめて呟き、足音を殺して地面に着地する。
視線の先――その中央にあったのは、巨大な骨の柱。だが、それは「建造物」ではなかった。
「……なんだ、アレ……?」
響が息を呑む。
次の瞬間、ガラリと乾いた音を立て、骨が動き出す。軋む音とともに組み上がった巨大な骸骨が、ぎこちない足取りでこちらに歩み寄ってくる。
不気味な沈黙が支配する中、低く、圧し潰すような声が闘技場に響いた。
「ようこそ、侵入者……」
骨の男。黒衣の男が悠然と姿を現す。頭蓋に紅の光を灯し、威圧するような気配を放つその存在は、ただのアンデッドではない。
「私は――アインズ・ウール・ゴウン。このナザリック地下大墳墓、絶対の支配者だ。」
「………誰?」
「さあな…」
ヴァーリ達は小声で言い合いながらも、アインズに武器を構える。
「悪いけど――骨に用は無いんだ!」
響が叫び、グレイブを展開して一気に斬りかかる。
「…ヴァーリ。あいつの力、どう見る?」
ケリュドラが問うと、ヴァーリは真顔で答えた。
「強い。だが、俺たちの相手じゃない。」
ヴァーリはブレードを煌めかせ、突撃。
「…無駄だ。」
アインズは冷ややかに受け流そうとするが――刃は防御を貫き、衝撃が走る。
「なっ…!?」
アインズの巨体が吹き飛び、地を抉って転がる。
「効いてるぞ!ダメージは入る!」
響が叫ぶ。
「なら、容赦は無用だ!」
御影がライフルを構え、ビームを撃ち放った。
「…防げぬ…?この力は、ただの魔法ではない…!」
アインズは不思議な手応えに戸惑いながらも、光に呑まれて崩れ落ちる。
その時、通信が入った。
『各員に告げる!DBD反応が急激に上昇!――その骨の敵を倒す必要は無い、即刻帰還せよ!』
「了解、脱出する!」
鷹真が即座に指示を飛ばし、全員がシロガネへと駆け戻る。
直後、眩い渦が展開。
シロガネとハガネの艦体は、発生したDBDに吸い込まれるように飲み込まれ――光の中へと消えていった。
ナザリックの入り口ぶっ壊された。
別の分岐ルートも…
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