第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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試作ガンダム2号機の強奪。追撃。ここらはGQuuuuuuX離れて0083の要素が強いです。
ドムとサイサリス。シャアとガトーの対決が始まりました。前書きで書いとくと泥試合です。
なにしろトリントンがまたやらかしてますので。


第13話 鼓動~対決2

サイサリスは盾を掲げた。

サイサリスは重モビルスーツに属するドムをさらに一回り巨体にした大型のモビルスーツだった。

頭部のデザインはガンダムに似ていたが、さらに凶暴なものに見えるのは、パイロットがアナベル・ガトーだからか。

 

その巨大な全身をすっぽりと盾に隠し、そのままゆっくりと歩みをすすめる。

ビームサーベルはまだ抜いてはいない。

 

まるで。

クワトロはヒートサーベルを構えたまま動かない。

まるで、戦闘ではなく決闘のようだな。

 

だとすればここは戦場ではなく、コロシアムというわけか。

観衆はいないが。

 

ドウッ。

突然、サイサリスが動いた。

 

静から動。

 

巨大な盾は、至近距離での核爆発からサイサリスを守るためにある。

おそらくはさまざまなコーティングもほどこされているだろう。

ドムのヒートサーベルでは、切断することは不可能だ。

 

クワトロは後方に跳んだ。

 

体格では相手が勝る。パワーでも、だ。

体当たりをされれば、押し負けて体勢を崩すのはドムのほうだ。

そこでビームサーベルを喰らえば、ドムの装甲程度では、気休めにしかならない。

 

そのままホバー走行にはいる。

だがサイサリスはさらに加速していた。

ホバー走行はできなくても瞬間的にはバーニヤを吹かすことで機体を浮かせることはできる。

その速度はドムの走行速度を上回っていた。

 

「ちいっ!」

ビームサーベルが胸部の装甲をわずかに焼いた。

クワトロは完全にかわしたつもりである。

だが、サイサリスのビームサーベルの刃は彼がかつて搭乗したガンダムよりも遥かに長大だったのだ。

 

おそらくはジェネレーターの出力そのものが段違いなのだ。

 

なるほど。

これが「次世代」のモビルスーツなのか。

そしてその巨体は姿勢制御用のバーニヤで、まるで人間のように滑らかな動きを実現している。

 

サイサリスが迫る!

 

クワトロは次の一撃もなんとかかわしてた。

急加速の接近は、たぶんに直線的で読みやすかったのだ。

 

身体を沈めながらドムを旋回させる。

 

背後に周りこもうとしたのだが、歴戦のガトーはそれを許さない。

振り向きざまのビームサーベルは、クワトロがそこまで踏み込んでいればドムの胸部を両断していただろう。

 

ドムの反応が鈍いっ!!

 

クワトロはそんなことを思う自分を笑った。

人間の操作に機械がついてこれないはずはない。

それとも戦闘補助としてのサイコミュありきの操縦に自分が慣れてしまっていた、ということだろうか。

 

それは一人のパイロットとしてはあまりにも贅沢だという気がした。

 

ドムのヒートサーベルはあくまで高熱を帯びた刃が相手を熱で焼き切る、というものである。一応、高熱を発する際に生じる磁場がビームサーベルを反発するので切り結ぶことはできる!とされているのだが、とてもそんな気にはなれない。

 

ガトーはサイサリスの盾を実に巧みに使っていた。

サイサリスの巨体は、クワトロから見て、盾にすっぽり隠れ、その斬撃の出どころを分かりにくくしていた。

 

 

「クワトロ大尉。ここで死なせるには惜しい。」

さらに数回の斬撃をかわして、なんとか距離をとったクワトロにガトーがまたも話しかけてきた。

「我が元へ。デラーズ・フリートに来ないか?

優遇を約束しよう。」

 

「ありがたい話だが、これでも元連邦軍人なのでな…」

 

「それはウソだな!大尉。」

ガトーは厳しい声で言った。

「おまえはモビルスーツでの地上での戦闘に慣れている。

連邦がモビルスーツを本格的に投入したのはソロモンからだ。連邦のパイロットにモビルスーツでの地上戦に慣れたものはまずいないはずだ。」

 

なるほど。

 

クワトロは舌を巻いた。

単純な猪武者ではない。アナベル・ガトーという男は頭も回るのだ。

 

「こちらこそ、名高きガトー少佐をわたしのクランバトルに招待したいものだ。すぐに栄光と巨万の富を約束しよう。」

 

「戯れ言を!!」

 

「わたしは本気だよ、少佐。」

クワトロははっきりと相手に聞こえるように笑った。

「サイサリスはよいモビルスーツだし、少佐殿の腕前もすばらしい。だが、動きにいちいちバーニヤをふかし過ぎだ。ここまでの移動も含めて推進剤を使いすぎてはいないかね?

たとえわたしを倒しても味方とも合流地点までたどり着けるのかな?」

 

サイサリスの巨体がさらに膨れ上がったような気がした。

いやあの異世界の機体でもあるまいし。

 

バイロットであるガトーの闘気がそう見せたのだ。

 

「次で決めるぞ。クワトロ・バジーナ。」

 

「たしかにわたしは重力下でも戦いにはなれているよ。それはもっぱらクランバトルのおかげではあるが。」

 

ゴウっ!!

 

バーニヤをふかして飛び上がったサイサリスがドムの頭上でビームサーベルを振りかざした。

真っ向からの一撃。

これは受けにくいのだ。

 

後方に下がっても刃は届く。

右にかわせば、左肩から胸を。

左にかわせば、右袈裟に。

 

ビームの刃はドムを易々と両断するだろう。

 

クワトロはドムを仰け反るように後ろに倒した。

 

その倒れる動作のままに、サイサリスの盾を蹴り上げた。

 

盾はサイサリスの手を離れて頭上に飛んでいく。

だが、いさい構わず、ガトーはためらうことなく、倒れたドムに押しかかるように刃を振り下ろした。

 

「終わりだ! クワトロ!」

 

「まだだ! まだ終わらんよッ!」

 

いや、終わりだ、この体勢から一体何が。

そう思ったガトーを凄まじい衝撃が襲った。

ベルトはしていたがしたたかにコンソールに胸を強打した。

息が詰まる。

 

後方からの。

 

打撃だと。

 

クワトロのドム以外のモビルスーツがこの戦場にいたのか、いやそんなはずは。

 

サイサリスが動けなくなるほどの衝撃ではない。

だが一瞬のスキを作るには十分だ。

 

クワトロは、ヒートサーベルをサイサリスのコクピット部分に突きつけながらドムを立ち上がらせた。

 

「ガトー少佐。きみは優秀なパイロットだが、重力下の戦闘は不慣れかな?」

 

頭上から落ちてきてサイサリスを強打したもの。

 

それはサイサリスの持つ盾だった。

 

ドムに蹴り上げられた盾は、空中高く舞い上がったあと落ちてきて、サイサリスをしたたかにうち据えたのだ。

 

投げあげたものが落ちてくる。

 

地上では当たり前のことであったが、ガトーが主に戦場としていた宇宙空間ではそうではない。

 

 

呆然とガトーはドムを見つめた。

クワトロ・バジーナ。

たしかまだ二十代半ばで金髪の美青年である。

 

これほどのパイロットならば連邦軍でも名前が知られているはずだった。

だがガトーの知る限り当てはまるものはいない。

ならばジオンならばどうか。

 

 

ガトーは目を見開いた。

 

「あなた、でしたか。た、い……」

 

 

クワトロはドムを引き起こした。

 

一瞬ののち、ドムのいた空間を弾道が駆け抜ける。

 

「遅いんで迎えに来たよ、“ソロモンの悪夢”!」

耳障りな声は、クワトロのドムも拾うことができた。

 

「シーマ……殿か。」

 

サイサリスは身を起こした。

機体自体に損傷はない。

クワトロが指摘したように推進剤の残りには不安があったが、動くことにはなんの支障もなかった。

 

身を起こしたサイサリスをシーマ・ガラハウのゲルググが抱きかかえる。

 

もつ片方の腕がにぎったマシンガンから放たれる銃弾をクワトロは、身を沈めてかわした。

 

「シーマ……シーマ・ガラハウ!

海兵隊かっ!」

 

「よくご存知だねえ、トリントンの坊や。」

嘲るようにシーマは返した。

 

おそらくはガトーが合流しようとした本隊なのだろう。

駆けつけたゲルググは3機いた。

いずれも海兵隊仕様。

ゲルググMと呼ばれる。

 

コロニー内での鎮圧行動を主眼とするため、コロニーそのものに損害を与えやすいビーム兵器ではなく実弾を使用するマシンガンを主兵装としている。

 

コロニー鎮圧。

 

この言葉が恐ろしく皮肉な意味をもって語られるのは、独立戦争の初期からである。

ジオン公国はその初期の作戦行動として、地球連邦側にたつサイドのコロニーに毒ガスを注入して回ったのだ。いやはっきりと連邦側でなくとも日和見を決め込むサイドにも、である。

 

 

「鎮圧」。

なるほど住民をもろともに死体に変えてしまえばこれほど確実な鎮圧はないだろう。

 

その中心となった海兵隊。シーマ・ガラハウ中佐とその部下たちは戦後罪に問われることこそなかったが、一種の厄介者とされ、どの派閥にも属することを許されず冷や飯を食ってきた。

 

装備だけは、希少な機動巡洋艦を旗艦にムサイ六隻、モビルスーツ三十機とかなりのものであった。

 

……一説にはシーマたち海兵隊には、コロニーに注入するガスは一時的な無力化のためのものであって、致命の効果をもつものであったことを知らされていなかった。そんな話もある。

 

 

「助かった。」

ガトーはここは素直に礼を言った。

「予定より時間が押している。空港へ急ごう。」

 

「なにを甘いことを。」

シーマは笑った。

「そこのトリントンのモビルスーツを片付けておかないとねえ。」

 

「まて! 彼はもう無力だ。命をとる必要は……」

 

「ガトー? あんたがわたしの名前を不用意に呼ばなければそれもアリだったかもしれないねえ。」

 

三機のゲルググMはその銃口を一斉にドムに向けた。

 

クワトロは。

絶望はしない。

かつて有線ながらビット4基の同時攻撃をかわしたことがある。

それに比べれば。

 

“ただし、サイコミュなしで、この機体がどの程度わたしの操作についてきてくれるか、だが。”

 

そのとき。

 

「うっぉぉおおおっっ!!!」

 

叫びとともに。

 

ドムが飛び込んできた。

反射的にクワトロは叫んでいた。

 

「きみは来るな!

ここは戦場だぞっ!」

 

「わ、た、しはっ!!」

少女の操縦するドムは放たれる銃弾をローリングして鮮やかにかわす。

「待ってるのも守られてるのも嫌だっ!!」

 

マチュの操縦するドムのバズーカがゲルググMの上半身を捉えた。

 

ドウッ!!

 

パッシャ。

 

ゲルググのメインカメラから上半身が真っ赤に染まった。

 

訓練用のペイント弾だった。

 

クワトロはため息をついた。彼のドムもまた同じ仕様だったのだ。

 

奪われたサイサリスだけが実弾仕様で、追跡に出されたドムは模擬戦仕様だったのだ。

気がついた時

「冗談ではないっ!」

そんな言葉を思わず発してしまったが。

ヒートサーベルもそれっぽく光っているだけの棒である。

 

しかしペイント弾とはいえメインカメラをここまで汚してしまえば一応

「メインカメラをつぶした」

ことにはなるのだろうか。

 

 

「ニャアン、ヤッちゃいます!」

気の抜けた声とともに、試作1号機ゼフィランサスが飛び込んできた。

高機動を主眼に開発した汎用機とのことだったが、その速度はクワトロの目から見てもドムやザクとは一線を画している。

すれ違いざまに、抜きはなったビームサーベルが、メインカメラをペンキで塞がれたゲルググの腕をマシンガンごと切断していた。

 

 

 

 

 




今んとこ両軍こんな感じです。
クワトロ
ドム。実験機武装なし
マチュ
ドム。実験機武装なし
ニャアン
ゼフィランサス 試作機。ビームライフル、頭部バルカン、ビームサーベル

ガトー
サイサリス。試作機。実弾入のバスーカは使えないので頭部バルカンとビームサーベルのみのシンプル武装
シーマ
ゲルググ。主兵装をマシンガンに変えた海兵隊仕様。部下ふたりも同型機です。
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