基本的にはランチのおともに読んでいただける時間にしたかったのですが、ここのところ無茶苦茶ですね。
誤字の修正ありがとうございます。
デラーズ・フリートは退場しましたが、ティターンズは健在(とはいえZETAよりはだいぶ勢力減らしてますが)。
悪役というより、みんなが善意で行動したあげくに、誤解が誤解をうんで、さらなる混乱をきわめるGQuuuuuuX世界をお楽しみください。
運が悪かったのは、グラナダの警察がザクを保有していたことだった。
これは有り得ないことではない。
ジオンが独立戦争後、ジオン軍がモビルスーツを民間にまで大量に払い下げた結果、ザクを悪用する犯罪も後をたたなかった。
その度に軍に出動要請をするわけにはいかず、少数ながら、警察機構としてモビルスーツを保有することはそれほど珍しくはないのだ。
なかには、サイド6のように軍が部分的に警察を兼ねるような場合もある。
モビルスーツに乗った相手を拘束するのだからこちらもモビルスーツで。
そう考えてザクを出動させたグラナダの警察機構は、あたりまえのことを考えたようで余りにもおろかだった。
これがモビルスーツを降りたあとで、拘束されたならば、ララァ・スンは素直に指示に従ったかもしれない。
だが、ズムシティ公王府ランバ・ラル閣下より直々に命をうけたグラナダ警察機構のトップはそれだけで、舞い上がってしまい、確実な逮捕を目指すべくモビルスーツ隊を発進させたのだ。
「クランバトル中の各機に告げる。武装を解除し、投降せよ。」
アルテイシアは、ココ・シャロンを保護するように依頼しただけだった。少なくともそのつもりだった。
ランバ・ラルは、M.A.V.の片方だけを捕らえるのはかえって難易度が上がると思い、ココ・シャロンとフォウ・ムラサメの両方を捕らえるように命じた。
いくつかの悪意のない伝言ゲームを経て、いまグラナダの警察機構は、今回のクランバトルを戦った4機をすべて捕らえようとしている、
そしてそれは十分可能なことに思えた。
なんと言ってもそのうちの2機はすでに行動不能になっている。
残る2機も、サイサリスはバズーカと頭部バルカンをうち尽くし、盾すら失っている。もっとも損耗が少ないのは、“とんがり帽子”であるがこちらは運動性能がよいだけのレプリカ機だ。
――このとき、グラナダ警察の脳裏から、パイロットがアナベル・ガトーであるという事実はふっとんでいた。
運の悪いことに。
こうまで、不運が続くのは、ほとんど呪われているとしか思えないのだが、出動したザクのうち数機は、ビームライフルを装備していた。
もともとザクのジェネレーターはそれように作られていない。だがそういった旧式モビルスーツにも使用できるエネルギーキャップ式のビームライフルが開発され、たまたま出動したザクはそれを装備していた。
そして、致命的に運が悪いことに、うちの一機が威嚇のつもりでそれを発射したのである。
アナベル・ガトーは、戦いと試合。戦争とクランバトルをきっちりと彼の意識の中で分けていた。
だが、クランバトルでは有り得ないはずのビームの閃光は彼を“ソロモンの悪夢”に戻すのに十分すぎるものだった。
そして、グラナダの上空には、まさにそのソロモンが浮かんでいた。
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「ケリィ・レズナー!
助けてくれ!」
ケリィは、相手を怒鳴りつけるつもりでいた。彼自身はそこまで、大物、というわけではない。
だが、非合法時代からクラバを開催してきたものたちのネットワークは侮れないものがある。特に近年、クラバが新型機や新型機構の実験場になってからはそうだ。
だが、クラバが非合法時代だったころから顔見知りの所轄の警察部長が頭を深々と下げているのを見てはとても怒鳴る気にはなれなかった。
「なんでうちの選手を逮捕しようとしたんです?」
「ジオン本国から…ランバ・ラル閣下直々のご命令だったんだ。こちらには拒否することなどできない。」
「払うものさえ払って貰えば、クラバのほうは俺が抑えますよ……」
「あ、ありがたい!」
署長はケリィを拝まんばかりだ。
「ついでに、連邦とジオン公国軍からの抗議もなんとかしてもらえないだろうか?」
「なんで連邦やジオン公国が何を言ってきてるんです?」
「ジオン公国じゃない、ジオン公国『軍』だ。軍隊規模のモビルスーツ大隊を動かしたことに対する抗議だ。やつら……」
警察と軍隊は必ずしも仲はよくないのだ。またあまり仲がよくても困る。憲兵隊が一般市民まで勝手に逮捕したり取り調べを行うようになるのは、少なくとも中世以降の政治組織においては悪夢でしかないのだ。
今回動いたのは、警察機構の方であって、たしかに軍にしてみれば、どう考えても本来、軍が動くべきところを手柄欲しさにしゃしゃりでた警察の失態としか言いようがない。
「連邦は? なにを言ってるんです?」
「あ、あのとんがり帽子のモビルスーツについてだ。あれを拘束しようとしたことで、持ち主の企業から連邦政府を通じて抗議がきている。
一刻もはやく、モビルスーツを安全に確保するように、と。それに賠償金……」
ケリィはため息をついた。
グラナダ警察の所有する6機のモビルスーツは、すべて破壊されていた。
ものの数分。
単にモビルスーツの性能とか、パイロットの腕前がとか。比較するのもどうかしていた。
幼児と大人の喧嘩である。
そのあと、サイサリスはフルバーニアンを。
“とんがり帽子”はサイコガンダムリファインを抱えて姿を消した。
その行方は、あれから数時間だったいまもケリィですらつかめないでいる。
ザク6機。
すべて大破、または行動不能。
全滅、である。
ただし、死者はゼロ。
コクピットへの直撃は、ガトーもココも避けたのだ。
彼らのなかに、自分たちがクランバトルの選手であるという意識が少しでも残っていたのか。
混乱。
混沌。
グラナダ軍は、本来なら動くべきだったのであろう。
五千万都市のグラナダ近郊で、ジオンのモビルスーツが攻撃を受けたのだから。
この事態に即応できないほど、グラナダ駐在のジオン軍は硬直もしてなければ、無能でもなかった。
ただ、先に述べたように、軍と警察の関係性はかならずしも良好なものではない。
警察から頭を下げて出動の依頼でもあればまた違ったのだろうが、警察は警察で、ジオン公王府からの直々の命令があったことをひそかに誇りに感じていたため、むしろ軍の関与を遠ざけようと動いた。
これに、軍側が怒った。
彼らにとっては英雄であるアナベル・ガトーを逮捕しようとしておいて、なにを秘密主義を貫くのか。
そもそもなぜ、クランバトルの出場者をなんの容疑で逮捕しようとしたのか。
そんなことを言われても。
公王府からの命令で。
問い詰められて、はじめて、警察は拘束するように命じられたのは、ココ・シャロンと彼女のM.A.V.であったことに気がついた。
そもそもガトー&コウは捕縛の対象外だったのである。
助けてくれ。
そう言われても。
ケリィは天井を仰いだ。
彼はそこまで大物ではないのだ。
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「ガディ・キンゼーだ。よろしく頼む。」
差し出された手をヘンケンはしっかりと握った。
軍人同士の挨拶なら敬礼以外はないものだが、この連邦軍の少佐はよくわかってらっしゃる。
「モビルスーツテスト艦“アーガマ”艦長ヘンケン・ベッケナー大尉であります。」
「モビルスーツ運用を担当しておりますブライト・ノア中尉です。」
「パイロットのエマ・シーン少尉です。」
「同じくレコア・ロンドです。」
「テストパイロットはほかに、ヤザン・ゲーブル大尉とジェリド・メサ中尉がおります。」
ヘンケンは続けた。
「ほかにもカリフォルニアラボのテストパイロットやクランバトルのトップランカーにも随時応援を依頼できる予定です。」
ガディ・キンゼーは、ヘンケンを。
集まったパイロットたちを順繰りに見つめてから、ふっと笑いを浮かべた。
「ガディ・キンゼー“元”少佐だ。」
そしておどけたように言った。
「念願の佐官に昇進したと思ったら、モビルスーツの宙間テストのための外郭団体に出向とはな。」
「それでも最新鋭艦の艦長ですからね。
ご栄転おめでとうございます。」
「連邦が設計図をひいて、ジオンが建造した重巡アレキサンドリアのだぞ?」
キンゼーはぼやいた。
「本体に固定武装のほとんどないアーガマを護衛するという目的だが、実際にはジオンからのアーガマの監視役だろう。
だが、それがあまりにもあからさま過ぎても、と言うのでなぜか艦長のみを連邦軍から出向させるようにジオン公国からの依頼があった。
で、白羽の矢がたったのが、私だ。エゥーゴとは縁が薄く、一時はジャミトフ将軍の直属部隊にいたという理由でな。そこらのバランス感覚で選ばれたらしい。」
「お気の毒ですな。」
ヘンケンは心からそう言った。
「軍人としての功績はまったくなく、かといって閑職とはかけ離れている。実際のところかなり忙しい。」
「デラーズ・フリートの事件の顛末は聞いている。」
キンゼーは気さくに言った。
「で?
次の任務はなにかね。」
「グラナダ周辺でのクランバトルに関しての調査です。
出場したパイロットが行方不明になっているのですが、探し出して早急に保護せよ、という依頼です。」
「なぜそんなことまで! 我々はモビルスーツのテスト艦だろう?」
「パイロットが特別なニュータイプである可能性が高いのですよ。」
出来るだけオリジナルキャラクターは出さない方針です。
キンゼーさんは、ティターンズ所属のアレキサンドリアの指揮官で、ラーディッシュやアーガマを追い詰めたけっこう優秀ぼいひとです。
ジオンが勝ったこの世界線では、連邦軍は宇宙戦闘艦の建造はできないので、アルビオン、ラーディッシュ、アレキサンドリアはぜんぶジオン公国軍の艦艇です。