第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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アムロは正史でもちゃんとモテていた!!
機械いじりだけしてたらそれはそれでしょうけども、この世界のアムロは、クランバトルで“白い悪魔”の異名をとる名選手です。
ということで、マチュにもけっこう懐かれておりますが、ここはそんな進展させるつもりはありませぬ。




第22話 混迷の宇宙~月面へ!

連邦は、ジオン独立戦争に勝つつもりであったし、その後の支配体制についても検討を重ねていた。

とくに、ジオンが投入した「モビルスーツ」なる兵器については、その有用性を早くに認め、V作戦と呼ばれるザクを遥かに凌ぐモビルスーツの開発とそれを運用するべく、ペガサス級強襲揚陸艦を投入間近であったのだ。

 

だが、ひとりの酔狂なジオン士官の活躍によってその計画は頓挫し、大幅な遅れをもたらした。

 

連邦はモビルスーツの援護なく、オデッサなど一部の要衝地からジオンの地上軍を駆逐し、ジャブローから打ち上げた艦隊戦力をもって、ジオンの宇宙要塞ソロモンを攻略した。

 

だが、そこに至る損耗は余りにも大きく、ア・バオア・クーへの侵攻は中断された。

ソロモン攻略戦よりようやく投入された連邦軍モビルスーツ「軽キャノン」はかなりの戦果をあげ、とくにジオンの投入したモビルアーマー「ビグ・ザム」の撃墜には大いに貢献した。

 

ならばその数を揃えた上で、改めてア・バオア・クーへの侵攻を予定していた連邦軍は、ここでもまたジオンの新兵器によって、大きな損害を受けることになる。

 

ミノフスキー粒子下ではありえない長距離誘導兵器“ビット”の存在である。

これは、連邦軍上層部にとって悪夢そのものだった。

 

従来の理論では不可能とされていた誘導攻撃が、ミノフスキー粒子散布下においても正確に行われる。

 

理屈はわかった。

ジオンは別に異星人ではない。技術も科学も隔絶したものをもっている訳では無いのだ。

 

恐らくそれは脳波によって操られる誘導兵器であり、それを可能にしたのは通常兵とは明らかに異なる「ニュータイプ」と呼ばれる適性を持った兵士であった。

 

ソロモン駐留中の艦隊への度重なる奇襲に辟易した連邦軍は、「それ」を狩るために、ア・バオア・クーへと充分な数のモビルスーツを擁した艦隊を押し出した。

そしてそれはほぼ壊滅した。

 

 

「戦艦の弾幕を突破してくるだと!? ありえん!」

「これは……有人兵器の動きじゃない……!」

 

混乱に包まれる艦橋。対抗するべく出撃した「軽キャノン」隊も、ビットに翻弄されるように撃墜されていった。モビルスーツ戦の常識――格闘戦と中距離射撃の組み合わせ――が根本から崩壊したのである。

 

その場に居合わせたある参謀は、冷や汗を流しながら口にした。

「……ジオンは、また戦場の形を変えた。ビグ・ザムのときと同じだ。いや、それ以上だ。」

 

もっとも連邦のモビルスーツ隊はそれなりに善戦したといってよい。

 

いかに高度な誘導兵器といえども、物理法則による限界はある。

猛威を振るうビットが、恐らくは推進剤の枯渇により、作動不能になるまで、彼らは粘りに粘り。

ついに、ビットを誘導する本体を目視するところまで、たどり着いたのである。

 

それは――。

サイド7でジオンによって強奪された「ガンダム」だった。

 

それは赤い塗装を施されていた。

そのパーソナルカラーが意味するものはひとつしかない――ジオンの“赤い彗星”である!!

 

それでも果敢に、軽キャノン部隊は、ガンダムに挑んだ。

ビットを除く機体性能ならば、軽キャノンもガンダムにそれほど劣るものではない。

 

ならば数で押し切れば!!

 

だが、赤いガンダムにはペアがいた。

 

のちにM.A.V.戦術と呼ばれることになる二機一組での戦術である。

 

ガンダムとドム(のちに灰色の幽霊と呼ばれることになる)の前に軽キャノンはほとんどが撃墜された。

 

連邦は、もはやア・バオア・クーを抜くことはほぼ諦めた。

ア・バオア・クーは要塞ではない。

そこには、「人の進化」を兵器に昇華させた、未知の戦場が待ち受けている――。

 

 

ジオン公国のデギン公王からは和平の打診が、旧知のレビル将軍を通じてあった。

もはや講和はやむ無し。

ただし、それをいかに有利な条件ですすめるか。

 

 

かくして連邦は、決断を迫られる。

追い詰められたものは、ときとしてもっとも愚かな結論にたどり着く。

 

奪取したソロモンを、ジオンが支配する月面都市グラナダへと落下させる。

そこに駐留した軍隊と、物資の中継地点であるグラナダを失えば。

少なくとも、もっとも地球から遠い位置にあるサイド3と地球とは、ある程度距離を保ったまま、存続する。

 

かくなれば、ア・バオア・クーとルナツー。

それぞれの宇宙での拠点を確保したまま、両者はすくなくとも一時的には均衡を保てる。

 

たしかにジオンのニュータイプは脅威ではあるが、その技術を解析し、同様な武装をもった機体を作り上げる時間を稼ぐことが出来る。

同時にモビルスーツをもっと運用しやすくする為の新造艦の開発も急務と考えられた。

 

ペガサス級。

というのは、連邦の一部の技術者の呼び名であり、ほとんどの者たちの間では「ソドン級」と呼ばれている艦は、たしかに優れた性能をもってはいたが、大気圏突入や再離脱、ミノフスキークラフトによる大気圏内航行など、あまりにもコストがかかり過ぎた。

 

そんなわけで、連邦軍がサラミス、マゼランにかわる新型艦として製造を計画していたのが、アレキサンドリア級である。

 

これは終戦後にジオンに設計図面が流れ、その優秀性に注目したジオン軍が一号艦を作り上げたのだ。

 

単艦の攻撃力としてはムサイよりも重巡チベを超える。

連邦軍らしいカタパルトデッキを備え、モビルスーツの搭載数は10機を越える。

軍縮の最中、新造艦として誕生した数少ない一隻であった。

 

それが、アーガマの“護衛艦”として投入されたのである。

 

 

------------

 

 

「これは!!」

 

シャトルのシートに座りながらマチュは唸った。手元には画面の割れた個人用情報端末がある。

 

「マチュ! マチュ! イイカゲンニカイカエロ!」

アムロのメンテを受けてからちょっと多弁になった球体のペットロボットが膝の上から叫んだ。

 

「なんだい、マチュ?」

 

隣の席の優しい顔立ちの天パの青年が尋ねた。

 

「ジオン工科大学。新学期に間に合わないかもよ?

1年目から留年とか」

 

アムロにしてみれば、普通に大学に進学する年齢から何年かを父の手伝いとクランバトルで過ごしてしまっている。

しかし、まあ。

それが意味のない年月だったかというとそんなこともないような気がするのだ。

 

将来的には技術者としてモビルスーツ開発に従事したいという希望のアムロにとっては、当代きってのモビルスーツ開発者父テム・レイと共に

仕事が出来たことは、むしろ周りから羨ましがられるような体験だったし、実際にパイロットとして、クラバに出場し続けたのは、作る側と運用する側、両方からの視点をもてるようになったことで、これもまた大いに有意義な日々なような気がする。

 

だから一見回り道なようでも、けっしてそんなことはないんだ――

と、アムロはマチュに彼らしくもなく力説したのだが、まだ十代のマチュにはピンと来なかったからしく、不機嫌そうな表情のままである。

 

もともと彼女の愛機“ジークアクス”は、ソドンとともにジオンに戻ってしまっているため、あまり機嫌の良くない彼女である。

 

ジオンから派遣される新造艦アレキサンドリアとの合流を指示されたアーガマはいましばらくはグリーンノアに留め置かれる。

 

ララァのクランバトルへの参戦、そしてその失踪をうけて「我がアーガマの誇る若きニュータイプチームを先行して派遣しよう。」と言い出したのは、ヘンケン艦長だった。

 

ララァさんは強力なニュータイプらしいから、同じニュータイプ同士なら、なにか手がかりがつかみやすいかもしれない。

各方面への連絡に忙しいクワトロ大尉にかわって、グラナダに先乗りすることになったその「若きニュータイプチーム」になぜかアムロもセンバツされていたのである。

 

アムロにしてみれば、なんとなく高校生の旅行に引率を頼まれたような気がしてならない。

 

ひとつ後ろの席では、ニャアンとなせがカミーユがグラナダのグルメガイドについて延々と論議している。

ニャアンはグラナダに滞在していたことがあって、わりと店には詳しいらしい。

 

しかも、このメンバーは誰一人「エゥーゴ」に属しているわけではないのだ。

 

シャトルが降下にはいる。

地球のような濃密な大気圏がある訳でもないグラナダへの寄港は別に難しいところはまったくない。

マチュが、わずかに体重を預けてきた。

 

彼女曰くは、アムロはジークアクスの「エンディミオンユニット」に似てる、というのである。ジークアクスがソドンとともにジオンに戻ってしまってからは、もともと仲が悪くなかったのだが、なにかと接触を求めてくることが多くなったような気がする。

アムロにしてみれば不快ではない。

 

マチュはなかなかの美少女なのだ。

 

だが技術屋の彼には、女子高生との仲をそれ以上深めるための術など知らなかった。

 

しかし。

エンディミオンユニットとは一体なんなのだろうか。

彼自身、それと接触したことがあった。(あったような気がした)

それは彼にニュータイプの未来を。

人が宇宙でよりよく暮らせる世界を託したのだ。

 

サイコミュと連動した疑似人格をもたされたAIなのだろうか。

その人格が、別の世界のアムロ自身だと。

アムロは自分を笑った。

そんなことはある訳がないし、それでは彼自身が可哀想な気がする。

 

「宙港にケリィさんというクラバのオーナーが迎えに来てくれてるはずだ。

旅で疲れてると思うけど、さっそく、モビルスーツを借りて、クラバの会場に行ってみよう。ニュータイプのきみたちなら、なにか感じることができるかもしれない――」

 

「『きみたちニュータイプ』ね。」

マチュが不満そうにジト目でアムロを見上げている。

 

シャトルはグラナダ宙港へと降りていく。

 

 

 

 

 




とりあえず、アムロたちを送り込んだので、モビルスーツはきてません。戦闘力もさることながら、サイコミュの共振なしに、ララァたちを探せるのでしょうか。


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