第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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緊迫した状態でなにをやってるのか!と思う方もいると思いますが、なんかすべった。

行方不明のララァの消息は次回で!!





第22話 混迷の宇宙~ポメラニアンズとムラサメ

「ようこそ! アムロ以外はグラナダは初めてかな?」

まだ20代だろう。グラナダのクランバトルを仕切る大立者のひとりであるケリィ・レズナーはなかなか渋めの精悍な男前である。

 

ただ片腕がない。

おそらくは元ジオン兵。モビルスーツのパイロットだったのだろう。

アムロとは初めてではない。

 

何度かグラナダでのクラバに参加したことがあった。

 

「ケリィさん、お世話になります。こっちがマチュ、黒髪がニャアン。それから彼がカミーユ・ビダン。」

 

「いやいやこっちが呼んだようなものだから。ところで、モビルスーツは持ってきてないのかい?」

 

「ぼくとニャアンの機体は、グリーンノアで少し改装してもらってるんです。ほぼ終わってるんで、アーガマがジオンの新造艦と合流したら一緒に持ってきてもらう予定です。

そんなに日にちはかからないと思うんですが」

 

 

「そうか! もしスケジュールが許せば、ぜひこちらのクラバにも出場を」

 

「ダメ!」

マチュがアムロの手を引いた。胸に肘のあたりを押し付けるようにする仕草にアムロは慌てたが、マチュは不機嫌なときのジト目のままだったので、特別な意図はなさそうだった。

「天パとニャアンだけ出場はずるい。」

 

マチュのジークアクスは、もともとジオンの持ち物なので、ソドンと一緒にサイド3に帰還している。

ソドンは、全面改修に入るとシャリア・ブルさんが言ったし、セイラさん…アルテイシア陛下が自由に動かせる船は他にないから、再会はしばらく先になりそうだった。

 

アムロたちは、ジオン公国公王府の口利きで、ジオン工科大学への進学が決まっている。

とりあえずアムロは、学費や生活費を稼げる程度にはクランバトルを続けるつもりでいた。

 

返済不要の奨学金の話は、いくつかからあったが、それを貰ってしまうことの怖さを理解できる年齢にはなっている。

 

彼の望みは、モビルスーツの開発技術者なのである。

それ自体も決して楽なコースではないのだが、一歩間違えばクランバトルのチャンプやジオン軍のエースパイロットに真っ逆さまに転落してしまうアムロにとっては、極めて困難な道なのだ。

 

一方でマチュとニャアンにとってはクラバはそれほど重要ではない。

クランバトルを通じて彼女たちが感じたという認識能力の拡大(通称キラキラ)は大事に思っている節があるものの、基本的に戦士ではないのだ。

これは、「戦う」ことそのものが苦手なのではない。

「命じられて」「戦う」ことが苦手なのだ。

 

 

「それで、シャ…クワトロ大尉はやはり一緒には来られなかったのかね?」

 

「クワトロ大尉の“百式”もグリーンノアで追加武装の改修をしてますからね。それに」

 

行方不明となったココ・シャロンがクワトロ大尉の恋人であることは隠しておいたほうがいいだろう。

 

「…ネオ香港もしばらく留守にしてしまいましたので、一度戻りたいと。」

 

「そうか。」

ガッカリしたように、ケリィは肩を落とした。

「彼なら、地球圏の企業やジオン公国にも顔がきくだろうと期待していたんだが。」

 

アムロは、マチュと目配せした。

単純に、クラバのパイロットをジオン公国が拘束しようとして失敗し、パイロットと機体が行方不明になっただけではなさそうだ。

 

「カネバン有限公司のアンキーさんにも来てもらってるんだが、さすがにジオン関係はどうしたものかと思ってるんだ……」

 

「いったいなにがどうなって、クランバトルの選手を拘束しようなんてしたんですか?」

 

「…説明するよ。と言っても俺にもよくわからんのだ。」

 

アムロたちは、ケリィに案内されてて宙港近くのホテルに案内された。

エスカレーターで上がった先はスイートルームがならぶVIPフロアだった。

 

ドアの前に、アムロもマチュも見かけた顔があった。

 

「よお、アムロ。それにマチュ、ニャアン。」

久しぶりに会うポメラニアンズのパイロット、ジェジーは相変わらず不機嫌そうだった。

だが、それは厚ぼったい唇と似合わないボブカットとメガネがそう見せているだけで、例えばアンキーに比べるとかなり常識人である。

 

ホテルのドアの前に、用心棒よろしく陣取っている。

 

「ジェジー!元気にしてた?」

 

駆け寄ろうとしたマチュだったが、さらに無愛想な表情の短髪の青年がそれを止めた。

 

「ああ。おかげさんでおまえがかっぱらった金庫の現金も帰ってきたしな。」

 

「ナブも久しぶりだねえ!」

 

「なんだい、その金庫って――」

 

「昔のことだってば!!」

こんなにも、金庫強盗を明るく誤魔化せるかと、ジェジーとナブをドン引きさせながら、マチュはドアを開けた。

 

――そして閉めた。

 

「な、なにをやってるの?」

 

「見た通りのもんだ。」

 

「撮影会、をやってるように見えたんですが!」

 

「その通りだよ、チャンプ。」

ナブが顔を歪めた。

「アンキーがココの写真集の売れ行きに味をしめたらしい。いま第二弾の撮影中だ。」

「だって、あれ、十歳くらいの女の子に見えたぞ!?」

「まあ、そのくらいなんだろう。

ズムシティで拾ったって言ってたから十中八九、クローンを使った強化人間の被験体だ。」

 

「で、ナブとジェジーはここで怪しいやつらが入ってこない様に見張り役ってわけかい?」

 

「というのは理由のひとつでな。」

ジェジーは唇を歪めた。

「ほんとのところは、ドクタームラサメと同じ部屋の空気吸いたくないからだ。」

 

「ムラサメ…ムラサメ研究所のムラサメ博士か?」

 

「そうだ。行方不明のココのM.A.V.はフォウ・ムラサメ。ムラサメ研究所の被験体だ。大事な被験体を行方不明にされたってんで、乗り込んできたんだな。」

 

アムロは、どうにも入るのをためらったが、ケリィが意を決して、ノックしてからドアを開けた。

 

「アンキーさん、ムラサメ博士。

アムロ・レイさんたちが到着いたしました。」

 

 

かなりの広さの部屋だった。

だが、家具は部屋の隅にまとめられ、部屋の壁にはスクリーンが貼られていた。

 

その前にはビニールプールが置かれ、水着の少女が戯れている。

 

「いいね! サイコーだよ。もう少し顔を向こうに向けて、視線はこっち!!」

 

「ケーン…」

アムロはピアスをした小柄な青年にむかって呆れたように言った。

「きみはメカニックじゃなかったのかい?」

 

「カメラだって、メカだ!!」

ケーンは言い返した。

顔が泣き出しそうだ。

 

「それにあの女の子…まだ子どもじゃないか!」

 

「大丈夫だ。人類の人口が半分になったとはいえ、需要はある。

とくにクランバトルの選手が脱ぐというのは、珍しいんだ。」

 

「アンキーさん…そりゃクラバが公認されて、クランバトルに出てるってだけで捕まらないようになったのがつい先日ですからね!」

 

「マチュ、ニャアン。」

アンキーは袋に入った衣装を手渡した。

「着替えろ。おまえたちも撮るぞ!」

 

「ち、ちょっと!」

顔を赤くしてマチュは叫んだ。

 

アムロはアンキーの魔の手とマチュの間に立ちはだかった。

 

「アンキーさん! マチュとニャアンは未成年です!」

 

「大丈夫だ! エルピー・プルだって未成年だぞ!」

 

「厳密には、未成年ではない。」

部屋の片隅にカーテンで仕切られた一角がある。

そこから、顔を覗かせたのは恐ろしく美しい女性だった。

 

どういうわけか医者か学者が好んで着るような白衣を羽織っている。

 

その下は、デザイナーが途中で仕事放棄したとしか思えないほど布の少ない扇情的な水着だった。

 

「プルは、おそらくはニュータイプとジオンの偉いさんの遺伝子を掛け合わせたクローンだ。そもそも“産まれた”のかどうかも分からないし、何歳かも分からない。」

 

「ムラサメ博士! 別にカネバン有限公司は、エルピー・プルを薬漬けにしたり、記憶を弄ったりするつもりはない!」

 

「アンキー! わたしはそんなことはしないよ?

わたしの被験体たちはすべてわたしのかわいい子どもたちだ。」

 

「それにしては、ドゥーといい…番号で相手を呼ぶのは感心しまそんね?」

アムロは、ムラサメ博士と呼ばれた女性を睨んだ。

 

おお、こわっ!

と、言いながらムラサメ博士は体をくねらせた。

 

「そりゃ、わたしは随分と酷い目にあったさ。いまだに記憶は戻ってこないし、肝心のモビルスーツの操縦はさっぱりだ。」

 

「あなたは!」

 

「わたしはゼロ・ムラサメ。

被験体を番号で呼ぶなというが、まあ、これは伝統的なものでな。わたしの子どもたちだ。」

 

 

 

 




ゼロ・ムラサメはなんかゲームに出てたんだけど、あれは精悍な美少年だったなあ。
美人で性格のおかしいゼロ・ムラサメはかなりオリキャラに近いかもしれないです。
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