第1話のランバ・ラルとシャリアの会話は丸ごとカット。
第2話のドムの走行テストとバイアランの模擬戦は活かすとして、後半のニナとコウの会話はほとんどカット。
トリントンに来訪するガトーを見ながらコウが「でもゼフィランサスの開発資金の出処はティターンズだろ」とつぶやくくらい。
第3話のテム・レイとフランクリン・ビダンの邂逅は全部カット。
第4話から、マチュたちとクワトロ大尉とのシーンはそのまま、場面変わってクワトロさん登場のドム出撃……というくらいのスピード間で続くと思うので。
つまりまだ「第13話」におさまる感じだと思われますのですがいかがでしょう。
ニャアンに人を殺すこと、傷つけることへの禁忌がないわけではなかった。
それは「悪い」ことなのだと、理解はしている。
だがそれにもまして彼女を突き動かすのは、自らが生き延びることだった。
それでも幼い頃に比べればだいぶ自分は進歩している。
そうニャアンは自負している。
まえは目の前の食事にありつくことしか考えていなかった。
それが明日の食事の心配もするようになり。
いまでは、1週間後、1ヶ月後にもちゃんとした生活(これは食だけの問題ではない。起きた後にあちこち痒くなっていないベッドとか、適温の寝室とかも含まれる。)がおくれるかどうかをきちんと考えられるようになっている。
正確に言うと自分にそういう環境を与えてくれる相手を正確に見定めることだ。
キシリア様はけっこうその条件を満たしていたが、なんだかよくわからない難しいことをあれこれ言ってきて、気持ち悪くなる仕事をさせられた。
イオマグヌッソは連射が出来ないから、接続をといただけなのに怒鳴りつけられて、あげくに友だちを殺そうとした。
だから撃った。
やっぱり依存先はマチュがいい。
シュウちゃんにも心がひかれたが、向こう側に帰ってしまうような男はダメだ。
マチュはその点、無鉄砲なようで安定している。きちんと自分の決めた道を進んでいる。もし「改札でぶつかった女子高生はとんでもない狂犬野郎でした。のんびり運び屋をやってたわたしが気がついたら宇宙要塞を壊滅させた件」という物語があったら主役はマチュになるのだろう。
マチュと一緒にいるのはいい。
快適な衣食住に加えて、友だちもついてくるのだ。
片腕を切り飛ばしたモビルスーツ(たしかゲルググというタイプだ)は大きくバランスをくずした。
「危なくなったらやっちゃっていいから。」
と、マチュには言われている。
遠慮なくニャアンは返す刀でそのコクピットあたりを。
ギシッ!
ニャアンのビームサーベルは、横から突き出されたもう一機のゲルググのビームサーベルに遮られた。
三機のゲルググのうちこれだけが少しデザインと色が違った。
たぶん指揮官用のカスタム機だ。
「ええっと」
ニャアンは顔をしかめた。
ゼフィランサスは最新鋭機ということだったが、ジフレドのように彼女の思考に応えてくれる訳ではない。
ニャアンはゼフィランサスを後退させた。
間一髪。
指揮官機のビームサーベルが空を切る。
下がるゼフィランサスの背後から湧き出るように。
マチュのドムが現れた。
バズーカの砲口はまっすぐに指揮官機の頭部に照準を合わせていた。
シーマ・ガラハウは完全に虚をつかれた。
死ぬ!
死ぬ死ぬ死ぬ!!
シーマは叫んだ。声に出す余裕もない。
ガトーが手間取っている追撃機をサクッと片付けて宇宙に帰るつもりだったのだがこれは。
ハメたつもりがハメられたのか?
通信の会話をきいた限りでは、新たに現れたドムと新型のパイロットはまだ十代の少女のようだった。
戦時中ならいざ知らず、現代で学徒を兵士に動員するなどありうるのだろうか。
とっさにシーマは盾を上げた。
悪手だ。ドムのバズーカはゲルググMの盾ごとその上半身を破壊するだろう。
だが、このときはこれで正解だった。
発射されたのは実弾ではない。さっき部下のゲルググのメインカメラを塞いだペイント弾だ。
シーマ機の盾は真っ赤に塗装されてしまったが!被害はそれだけだ。
シーマは悪態をつきながらゲルググを大きく後退させた。
部下に素早く指示を行う。
「ドムの方は演習用の武器しか持ってない! 新型のほうに気をつけろ。」
それから付け加えた。
「油断すんじゃないよ…こいつらは強化人間か……ニュータイプだ!」
1機を囮としてその影からもう1機が攻撃を行う。それはたしか“黒い三連星”が得意としたジェットストリームアタックの変形技だ。
それを少女たちは鮮やかに使いこなしてみせた。
ドムが実弾を装備していたら間違いなく倒れていたのはシーマの方であった。
部下たちは歴戦の猛者である。
片腕を失った1機は後方に下がり、残る1機はジグザグの走行を取りながら、マシンガンを乱射する。
モビルスーツの装甲にも十分なダメージを与えられる口径のマシンガンだ。
装甲そのものは厚くても盾をもたないドムには。そして見たところ機動力に重きを置いている新型には有効な戦術となる。
だがガトーと交戦していたドムがそれに体当たりする。
マシンガンを取り落とし、ビームサーベルを抜こうとした腕を掴んで、そのままホバー走行にはいる。
単に引きずられるだけなら対処のしようもあった。
だがドムは弧を描くように駆けた。
掴まれたゲルググの腕が軋み、本来動かない角度まで折れ曲がる。
どうする?
どうする?
シーマは思考を巡らせた。
相手でまともな武器を備えているのは、新型の1機だけのようだ。
だが、こいつらの腕前はとんでもない。
しかも重力下での戦闘に慣れているようだった。
撤退するか。
彼女のザンジバルには直衛で1機ザクを残しているだけだった。
実際にはもう少し積めるのだが、サイサリスを載せるためのスペースをとっている。
そのときだった。
「姉御!!」
片腕を切断され、後退したゲルググのパイロットからだった。
残った腕が空を指さしている。
薄曇りだった雲がわれて。
異形の戦艦が現れた。
まるで神話に出てくるトロイの木馬か、スフィンクスを思わせるそのフォルム。
「双方! モビルスーツをその場で停止せよ!
繰り返す!武器を捨ててモビルスーツをその場に停止させろ!」
ジオンの公式回線による通信だった。
「こちらは特例任務中の公王府直属部隊所属ソドンだ。
交戦しているのはトリントンの部隊か? ただちに戦闘を中止せよ。」
「ガトー」
シーマはゲルググをサイサリスに接触させた。会話を傍受されないためである。
「わたしのリリー・マルレーンを発進させた。飛び乗るぞ。」
ザンジバル級巡洋艦は、ソドンのようなミノフスキークラフトはもたない。
つまりある程度、速度を保たないと大気圏内を飛行することはできないのだ。
それに地上から飛び乗る。かなりの難易度ではあったがガトーは頷いた。
「ゲルググ2機は万全ではないが。大丈夫か?」
「海兵隊を見くびるな。」
シーマは舌なめずりをした。
「たが……行きがけの駄賃に、わたしの機体を汚してくれたパイロットの首だけはもらっていくさ。」
一応は戦闘を中止した地上のモビルスーツを見て、ソドンはゆっくりとその巨体を地上50メートルばかりのところに停止させた。
それでもメガ粒子砲はモビルスーツたちにきっちり狙いを定めている。
ブリッジに立つ仮面の男のコメカミには、青い筋が浮かんでいた。
髭を生やした口元には笑みを浮かべていたが、込み上げる怒りを抑えられないようだった。
だが。
「モビルスーツ発艦シークエンス作動!」
ブリッジの女性士官が叫んだ。黒い髪の若い士官だった。少尉の記章をつけている。
「ジークアクス、発進します。」
マチュは目を細めてソドンをみあげていた。
指揮官機らしいゲルググが、自分への殺意をみなぎらせて行く。それはわかるのだが、愛機との再会の方が嬉しいのだ。
発艦用のハッチが開く。
甲板の一部をカタパルトとして加速させた状態でモビルスーツを発進させるのは連邦流だ。そう、もともとこのソドンは連邦軍がモビルスーツの強襲艦として開発したものをジオンが接収し、改装した艦なのだ。
「発艦許可は? 誰が出した。」
艦長シートに座る女性士官がうんざりした口調で言った。わかりきったことだがしょうがないから一応聞いてみる、そんな口調だった。
「だれも出してないでしょう。」
答えた操舵手の男もあきらめ顔だった。
「そもそも発艦命令も出していません、しいていうならここはトリントンが、近いです。『彼女』が呼んだのでは?」
「艦長! シャリア・ブル中佐!」
モニターに若いパイロットの顔が写った。
「わたしも出ます。なにかあったときにはわたしがジークアクスをとめます。」
艦長はうなずいた。
「頼む、エグザべ中尉。ギャンの発艦を許可する。」
ラノベは少し書いてるのですが、自分の欠点として「展開が遅い」というのがあります。
悪い奴らの腹の探り合いが大好きなので、どうしてもそこがダラダラしてしまうのですね。
せっかくの二次創作なのでもうちょっとスピード感をもってストーリーをすすめましょう。
次回、シャリアとシャアの再会です。
しれっと
「はじめてお目にかかる。元連邦軍のクワトロ・バジーナ大尉だ……」
とか言い出したらどうしますかね。そく射つでしょうねえ。