第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ニュータイプに共通する難点として「あっちの方が強そう」ってなると止らなくなる。
と言う設定ね、設定。
そうじゃないニュータイプもいますよ。でもマチュにシャアさんに。
アルテイシア。おまえもか。




第22話 混迷の宇宙〜ガンダム奪取命令

「給料を前借り出来ますでしょうか?」

 

動かなくなったヴァル・ヴァロを見ながら、シャリア・ブルが言った。

 

「本当に、賭けていたのですか?」

アルテイシアが笑って立ち上がる。

「ミーア。わたしの勝ち分と相殺してあげて。」

 

「こ、公費でクラバをやってたことにするのですか!?」

 

「公費!? あくまでもわたしのポケットマネーよ?」

 

「残念ですがアルテイシア様のご資金に議会への報告なしに使える金額はほとんどございません。」

ランバ・ラルが苦しそうに言った。

 

「交際費とか? 式典のたびに新調するドレス代とかは?」

 

「きちんと式典費用に組み込まれております。」

 

諦めたように、アルテイシアはミーアにお茶を入れ直してもらうと、外を眺めた。

 

「……話を続けましょう。せっかくシャリア・ブルも来てくれているのだからもう少し意見が聞きたいわ。」

 

「なんのお話でしょうか。公王府直属艦隊の件でしたら、適当な人材が見つかるまではわたしがお預かりいたしますが。」

 

「そうですね。それはすでに既定の話なので、断られるととても困ります。」

 

「……次世代モビルスーツの話でしたら、アルテイシア様のご意見には賛同しかねます。」

 

シャリア・ブルはやや、意地悪く言った。

心を読まれるのを好ましく、あるいは気にかけない者などいない。無理やり、艦隊司令官などに抜擢してくれたせめてもの意趣返しである。

 

「シャリア・ブル殿。もう少し分かりやすく。」

ランバ・ラルが抗議した。

 

「次世代モビルスーツ…ニュータイプやごく一部のエース用ではない量産機のことですよ。

さっき、アルテイシア様がお話されたように、複数機でチームを組んで、ニュータイプ専用機に対抗するためのモビルスーツです。ザクはもちろん、ゲルググでも力不足になるでしょう。」

 

「それは機動性を大幅に高める“ウイングバインダーユニット”による改修案が有力だ。」

 

「一時的にはそれもよいでしょう。しかし、もう少し長いスパンで見た時には、ここで、基礎となるモビルスーツを見直す必要がある、というのが、アルテイシア様のお考えです。

連邦のガンダムを改修、量産化することでゲルググが生まれたように。」

 

「シャリア・ブルはとてもうまく、わたしの言いたいことを解説してくれます。」

アルテイシアは笑った。

 

「連邦主導で開発された次世代モビルスーツを基礎にもう一度、設計を根本からやり直す……ということですかな。」

 

「そうですね。あのムーバブルフレームという設計思想は今後のモビルスーツ開発において標準的な技術となっていくでしょう。」

 

「つまり……」

 

「ガンダムマークⅡを基準に次世代量産機を再設計すべきだとわたしは考えます。」

 

ランバ・ラルは忙しく頭を働かせた。

たしかにシャリア・ブルの言うようにこれは無理だ。

ジオン公国が、連邦が、あるいはアナハイムがジオニックが。それぞれ資金を出し合い、モビルスーツがどこに帰属するのか正式に決まる前から、開発がスタートし、試作品をクランバトルに持ち込んでテストがてら、その優位性をアピールする流れがいまのモビルスーツ開発の一般的なスタイルではある。

 

だが、ガンダムマークⅡにおいては、ほとんど、連邦とアナハイムの資金により完成している。

そして、現在、連邦軍のテスト艦アーガマにおいて実戦テストをしているのだ。

ここで、ジオンがその技術をよこせとはとても言えないだろう。

もし強権的にそんなことを行えば――。

最悪また、戦争になりかねない。

 

「それは難しいかと――」

 

「確かに無理でしょうね。」

アルテイシアは低い声で笑った。

彼女は、美人なのだ。

それもなみのレベルではない。

美しい女性がそんな笑い方をするのは――とても、恐ろしい。

「わたしたちがそのような申し入れをすればどうなるでしょうね?」

 

「もちろん、断ってくるでしょうな。」

 

「例えばそこでわたしたちが“アーガマ”ごと強制的に接収したら?」

 

「地上のジオンの拠点に対する軍事攻撃が、始まります。

姫さま――戦など愚かだと考えるでしょうが、」

 

「わかります。わたしもまた愚かしい人間でしかないのですから。」

 

 

シャリア・ブルの顔色がかわった。

 

「アルテイシア様! それは……」

 

「最終的に暴力で勝つことでしか、権利を得られないというのであれば、その通りにいたしましょう。」

 

「せ、戦争をするというのですか!!」

 

「ま、さ、か。」

アルテイシアは笑った。

「代表を出して決闘で決めましょう?

クランバトルというとてもとてもいい舞台が用意されているのだから。」

 

 

---------

 

 

アムロはザクの手のひらに、ケリィ・レズナーを乗せている。

ケリィは。

とっさにプラズマリーダーの出力を下げた。兵器として開発されたものは普通、スイッチをオンにしたあとのことまでは考えて設計されていない。発射された砲弾を回収する気がないのと一緒だ。

だがプラズマリーダーについては、最終的に一技術者であるケリィの手が入っている。

民間の技術者であり、ジャンク屋の収益からなんとかヴァル・ヴァロを組み立て、完成させた彼の視点からすれば、プラズマリーダーほどの手の込んだ部品を使い切りにするなど考えられなかった。

そのため、プラズマリーダーは、途中でその効力をオフにすることが出来たのであり、ヴァル・ヴァロはちょっぴり焦げるくらいですんだのである。

 

あの日――。

 

警察隊のザクが全滅した直後に、現場に到着したケリィは、ガトーに身を隠すように頼んだ。

ガトーのサイサリスは、本体はほぼ無事であり、破損したフルバーニアンを運んで、姿をくらます時間は充分にあった。

そして、グラナダでも有力なクランバトル主催者であるケリィには、モビルスーツの数機など隠せる場所はいくらでも持っていた。

 

 

「俺が到着したときには、とんがり帽子とサイコガンダムリファインはもういなかったんだ。」

さっきまで死闘を繰り広げていた人物とは思えないさばさばとした口調でケリィは言った。

「まあ、足跡が続いてたんで、行き先はわかった。俺は、ガトーたちの移動の痕跡は消したが、そっちはそのまま残したんで、まあ、4機ともにこっちに向かったんだろうと、そう思われたんだろうな。」

 

ガトーのサイサリスとカイの軽キャノンも、ザクと一緒に月面を歩む。

月の重力程度なら、ザクのブースターでもホバー移動は可能だったが、実際に答えの分かった道のりは急ぐ旅でもなかったし、それほど距離も離れてはいなかった。

 

「まあ、こっちには街らしい街はない。」

 

ケリィが手を挙げた。

ザクもサイサリスも軽キャノンもそこで足を止めた。

 

 

目の前は、宇宙空港だった。

 

月面都市の例に漏れず、重要な施設は地下にあるのだろう。

 

グラナダやフォン・ブラウンに比べればはるかに小規模の。

しかし、充分な設備の整った空港。

 

 

「ごくごく一部。とんでもないVIPや企業のみが使うプライベートの宙港だ。

定期便なんかはない。発着するのは、プライベートのシャトルだけだ。

もちろん、俺たちは立入禁止。グラナダに属してるわけじゃないので、警察もこれこれこういうモビルスーツがこちらに来なかったかを尋ねるくらいしか出来ない。」

 

「じゃあ、ララァさんたちはどこに消えたの?」

マチュは不満そうに言った。

 

「そう思うだろ。だが、考えてみれば答えは単純だ。ここはVIP用に作られた特別な宙港都市で、とんがり帽子をデザインしたあそこもその使用者にちゃんと名を連ねている。

だから、彼女たちは普通にここに入った。そのあとどうなったかはわからない。

ここにはモビルスーツごと人を運べるシャトルもある。修理のためにどこかに運んだのか。それともまだここにいるのか。」

 

「ジオン本国、例えばアルテイシアさんからの依頼でも無理ですか。」

とアムロは尋ねてみたが、ケリィはあっさりと首を横に振った。

 

「そのジオンから不当に攻撃をされてるんだ。一応、ガトーとコウはもともと逮捕の対象じゃなかったことがわかったんで、今日のクラバに出てもらったんだが。」

 

「なにが『今日のクラバ』なんだか。」

マチュはなおも文句を言った。

「こんな機体を相手によくもまあ、モビルアーマーなんか引っ張り出したよね?」

 

「済まなかった。」

素直にケリィは頭を下げた。

「俺がもう一度、モビルスーツで戦えるってことを証明したくてな。実際、アムロ君なら軽くあしらってくれると思っていて、その通りになったわけだが。」

 

「ぼくが相手ならまあいいですよ。ホントはよくないけど。

本当はガトーさんにぼくの相手をさせて、あなたはカイとやるつもりだったでしょう。」

 

「そこまで読まれていたか。」

ははは、と気力なくケリィは笑ってみせた。

「まあ、俺はやはりモビルスーツパイロットとしては引退のようだな。

片手で操縦できるようにヴァル・ヴァロを弄ってみたんだが、『動かせる』だけだ。ベストのパフォーマンスにはほど遠い。」

 

「そんなことはないですよ。」

アムロはなぐさめるつもりで言った。

「実際にケリィさんと同じように大怪我をしてもモビルスーツパイロットを続けてる人を知ってますから。」

 

「モビルスーツのパイロットを、か?」

 

「そうです。実際にぼくはクラバで戦ったことがあるんです。

リビング・デッド師団って聞いたことがないですか?」

 

 

 

 

 




ジークアクス世界では、ジオンはそもそも勝ち戦で、実際にソロモンが落ちたあとは、ビットの長距離攻撃で、駐留戦力がどんどん削られてく状況だったので、某サンダーボルト世界よりはリビング・デッド師団はだいぶ小規模です。
ただ、やり方が非人道的だと言うことで、戦後「なかったこと」にされてます。
これはこれで、所属していたメンバーには残酷な仕打ちですね。
というところで、次回から「第23話」です。
と言っても「だいたいアニメにしたら1話分」という脳内設定で話数をかえてるだけなので実はあんまり意味がなかったりします。
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