第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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この時点で『GQuuuuuuX』本編の開始からどのくらい時間が経過してるのでしょうか。
マチュは、ソドンでけっこうみっちりとシャリア・ブル中佐の訓練を受けてたような感じがありますし、未完成だったイグマオヌッソが完成するのにもでかい建築物なので、何ヶ月かは経過してるような。そしてテレビ最終話から、この二次創作が始まるまでも何ヶ月かはたっているので、まあGQuuuuuuX本編からざっと一年くらい経過してるのでは、と。なんでこんなことを言い出したかというと、カミーユやジュドーがあんまり子供だと「Z」や「ZZ」のストーリーをなぞった時に展開に差し支えるのですよね。







第23話 クランバトルの時代~シャングリラの少年たち

ヤザンと少年たちは別室に案内された。

椅子と給水ボックスはあるが殺風景な部屋だった。

 

ドアが閉まるまで、少年たちはおとなしくしていた。

 

ドアが閉まってから、リーダー格の少年は、遠慮なくヤザンを睨んだ。

「なんだよ、あんた……誰だよ?」

声は低い。

わざわざこの部屋の会話を拾うほど、審査官はヒマではないだろうが、部屋の外にまで聞こえるような大声で叫ばなかったのに、ヤザンは満足した。

 

けっこう度胸も座ってるし、場数も踏んでいる。

 

「知らねえ方がいいこともあるぜ、ガキ。まあ、礼はあとでいい。まずは座れよ。俺はただ、面白そうなヤツらを見かけただけだ。」

 

「ヤザンさん、か。」

少年は、いやそうに頭を下げた。

「これでうまくクラバに参加できたら礼を言うよ。」

 

「まあ、うまくはいくだろう。そこで勝てるか稼げるかはおまえら次第だが。

なんでまたクラバをやろうなんて思いついたんだ?」

 

「つまんないことを聞くなよ。金だよ!金。」

 

「ジャンクから一応動くモビルスーツを作れる技術があるんなら、そこそこ食えんだろ?

クラバなんてまともなやつがすることじゃないぞ。」

 

少年は、難しい顔で黙り込んだ。

少女が、彼の上着の裾を引っ張った。

 

「お兄ちゃん。本当にわたしはグラナダの学校なんかじゃなくっていいんだから。」

 

「ダメだ。」

少年はきっぱりと答えた。

「リイナは頭がいいんだから、ちゃんと上の学校に行くんだ。費用は、俺たちが稼ぐから。」

 

「泣かせる話だな。」

嘲るような口調ではあるし、実際に嘲笑にしか見えない笑みを浮かべている。

だが、少年はそれに噛みつくことはしなかった。

ただ、逆に品定めをするようにヤザンをじっと見つめていた。

 

「ガキ。名前は?」

 

ヤザンを睨むのをやめない少年にかわって、少女が歩みでた。

「リイナ・アーシタです。こっちはお兄ちゃん。ジュドー・アーシタ。」

 

髪をのばした少年がぶっきらぼうに言った。

「ビーチャ・オーレグだ。」

小柄な少年は続いた。

「モンド・アガケ。」

おとなしそうな少年が頭を下げた。

「イーノ・アッバーブといいます。」

 

最後に金髪を頭の上で結んだ少女が言った。

「ありがとう、ヤザンさん。わたしがこいつらのリーダーで、エル・ビアンノ。」

 

「なんでおまえがリーダー」

「いや、俺がリーダーだろ。」

「いや、俺だ」

「まあ、いいじゃない、誰がリーダーでも。」

「いいわけあるか。」

 

騒ぎ立てはじめた彼らを見ながらヤザンは、リイナに言った。

 

「いい仲間たちだな。」

 

少女に顔がほころんだ。

 

「はい! とっても。」

 

 

審査官は十分もしないうちに戻ってきた。顔色が変わっていた。

 

「アンキー社長がこちらにお見えになるそうだ。」

 

なんでサイド6にいるはずのアンキーがグラナダに来ているかまでは、ヤザンは分からないし、完全に予想外だった。だが、そんなことでへこたれる男ではない。

すべてわかっていたかもような笑みを浮かべた。

 

「そりゃよかった。アンキーにこいつらを渡したら、俺は失礼させてもらうぜ。

そんなに暇な身の上じゃないんでな!!」

 

 

--------------

 

 

「カミーユが攫われた?」

 

アムロたちは不覚にもカミーユの不在を翌朝の朝食の時間まで気が付かなかった。

泊まっているホテルのビュッフェに姿を現さなかったので、部屋に様子を見に行き。

不在が分かったところで、昨日の午後、スケッチブックをもって外出してから、彼が戻っていないことに気がついたのだ。

 

「どうもそのようです。」

昼過ぎにひょっこり姿を現したクワトロにアムロはそう返した。

 

モビルスーツ試用実験艦アーガマとその僚艦アレキサンドリアが入港したことは知っていたが、上陸手続きに手間取っていることも、ブライト大尉から連絡を受けている。

なにしろ終戦から5年。

連邦の戦艦が初めて、グラナダに入るのだ。

いや、メガ粒子砲は搭載してないので戦闘艦じゃありません、モビルスーツテストのための外郭団体所属なんで連邦軍のフネじゃありません、は、ソロモンを落とされかけたことで、どうかとするとジオン本国よりも反連邦感情の強いグラナダにはとても受け入れにくい。

たぶん会えるのは、もう一日二日かかるだろう。

そんな中、ひょっこりとクワトロ・バジーナ大尉が姿を現したのだ。

 

「た、大佐殿!!」

ケリィ・レズナーがソファから立ち上がり直立不動の姿勢をとった。

もちろん、ケリィにしてみれば、ジオンの英雄と呼ぶべき人物に対して敬意を表したに過ぎないが、クワトロ大尉にため息をつかせただけだった。

 

もっとも前髪を垂らして、うつむき加減、地味目のスーツを着ただけで「変装した」と思い込めるこの人物の方がアムロにとっては謎なのだが。

 

「わたしは元連邦軍のクワトロ大尉で……それでアムロ、カミーユは本当に誘拐されたのか。」

 

「誘拐した、という手紙が来てます。今朝彼の部屋にポストインされていました。」

 

「どんな文なのだ。わざわざ手紙でか?」

 

「“かみーゆはあずかった”」

マチュがイチゴシェイクを啜りながら言った。

 

「たしかに誘拐を示唆する手紙だな。

それにしてはきみたちは随分落ち着いているようだが。」

 

「“カミーユは預かった。明後日帰す。”」

ニャアンの目の前には、ラーメンが置かれている。

 

「なんだそれは?」

クワトロは尋ねた。

ニャアンが差し出した手紙にはたしかにそう書かれていた。

 

「手書きの手紙か……古風な。しかしどうやってこの手紙を」

「そこら辺は、単純です。」

 

アムロは言った。

 

「ドアボーイが見知らぬ女性からチップとともにカミーユの部屋に手紙をポストインしといてくれるように頼まれたそうです。」

「そいつが犯人! または犯人の一味だろう。防犯カメラは? そいつの足取りを追えば……」

 

「慌てることは、ないよ。“大佐”。」

部屋の一番奥の椅子に腰掛けている白衣の女と彼女がつれている十歳くらいの少女はクワトロにも見覚えがなかった。

 

「失礼だが……」

 

「わたしはムラサメ。」

そう言いながら、彼女はぐるぐると渦を描いたストローでカクテルをすすったいる。

足元でマチュとおなじくストロベリーシェイクと格闘している少女を指さした。

「こいつは、エルピー・プル。ズムシティのクローン製造工場から逃げ出してきたのをわたしが保護した。」

 

サングラスの奥のクワトロの瞳が厳しくなる。

 

「ギレン総帥の置き土産か。

ムラサメ……というのはあのムラサメ研究所となにか関係があるのか?」

 

「はいはい、ご明察ご明察。」

女はふざけたように、ストローでカクテルに息を吹き込んだ。

ぶくぶくと南国の海を思わせる液体が泡立つ。

「ムラサメ研究所の所長で、悪逆非道の人体実験を行っている、その総元締め……だったらいいんだけどね。

少し違う。

ムラサメ研究所っていうのは、村雨町にあるからムラサメ研究所なんで、別にマッドサイエンティストのムラサメ博士が仕切っているわけではないのだよ、“大佐”殿。」

 

「なら、あなたは何者だ?」

 

「ふむ。わたしはゼロ・ムラサメ。ムラサメ研究所の強化人間被検体一号で、失敗作だよ。」

 

クワトロの額に皺がよった。

「ネオ香港のクラバに強化人間を送り込んだあのゼロ・ムラサメか!」

 

「ああ、ちゃんと報告が行ってるのね。そうなんだよ。わたしの可愛いトロワとフォウを差し向けたんだけど、ララァさんとドゥーのコンビに負けてしまったのさ!」

 

「なぜ、そのあなたがここにいる!?」

 

「うーん。研究者としての好奇心をみたすため、かしらね。」

ゼロ・ムラサメは機嫌よく言った。

「わたしは“強化人間”を作るでしょう?

その性能を試すためには、クランバトルが最適なのだ!!」

 

「……つまりおまえはムラサメ研究所の“所長”ではないにしろ、記憶を奪ったり、人体を改造したりするあの強化人間研究所の一員ということだな!?」

 

「その通りだ! わたしは基本的に善悪の区別がまったくつかない。モビルスーツでの戦闘に過去の記憶がジャマならば当然消すべきだし、強大なGに耐えるために身体にメスを入れることが必要なら喜んでそうする。」

 

「……つまり、おまえがここにいるのは、ララァがクランバトルで発揮した能力にひかれ、彼女を被験者にするためということか。」

 

部屋の空気が下がったような気がして、アムロは身震いした。

マチュが顔をしかめて。空調の温度設定をあげた。

 

「まあまあ。凡百のマッドサイエンティストとはわたしは決定的に違うのだよ?」

 

「何を言うか! いま自分で被験者たちの心を弄り、肉体を切り刻んだと言っていたではないか?」

 

ゼロ・ムラサメは立ち上がった。

かなり背が高い。

スタイルも白衣以外のものをきていたら、とんでもないことになりそうなプロポーションをしていた。

腰に手を当てて、モデルのようにポーズを取りながら、彼女は言った。

 

「わたし、失敗しないので。」

 

「ゼロ・ムラサメ博士は本気のようです、クワトロさん。」

アムロは小さな声で言った。

「少なくとも意図した能力の付与に、被験者の命に別状なく出来ているのだから、それは『失敗』ではないとみなしているわけです。そのこと自体が人道に反するとか、そこらへんのところは彼女の判断の埒外です。」

 

「さすがは“白い悪魔”!」

ゼロ・ムラサメは身体をくねらせた。

「そんなに褒められると、照れるな。」

 

「褒めてないと思うよ。」

マチュが辛辣に言った。

 

「そんなわけで、ネタばらしをするとだな。

カミーユを拉致ったのは、わたしの可愛いフォウ・ムラサメだ。

手紙の字体で明白にわかる。

クラバのあとどこで何をしていて、なぜカミーユと一緒にいるのかは全く分からない。だが、少なくともフォウにカミーユを害する気がないのは断言出来る。

どちらにしても二日後には、向こうからこちらに接触してくれるのだから、大人しく待つべきだと、わたしは思うのだよ!!」

 

 

 




(続き)なんでセイラさんがクランバトルを連邦軍に持ちかけたかといいますと、今後「戦争」でしか解決できなきような外交問題が起きた時もクランバトルで解決しようとするための布石です。彼女だって戦争経験者なのでまあいろいろと考えてはいるのです。
もつひとつの理由は、皆様の感想欄でもご指摘いただいた「クラバにかこつけて、兄をこの手でぶち殺す」たいというものです。これについての説明は(続く)
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