読んでみたいのですが、ガンダムはとにかく二次創作が多くて(←おまえが言うなってことですけどね。)
ジェリド、アポリー、ロベルトはモビルスーツデッキに隣接する待機場でコーヒーを飲みながらあれこれ話をしていた。
独立戦争で実戦に参加しているアポリーたちの話は若いジェリドには興味深い。
レコアたちは、休憩にはいっているが、彼らもやってることは休憩のようなものだ。
なにしろ、連邦軍の「戦艦」が戦後初めてグラナダ入りするのだ。
受け入れるほうも悩ましいだろう。
なにしろ、前例がない。
そして、お役所仕事は、ほとんどが前例で動いているのだ。
「ヤザン大尉は?」
やってきたブライト中尉が怖い顔で言った。
言われたほうは、ジェリド以外は、みな彼より歳上だったから、ビクともするものでは無い。
アポリーもロベルトも、その青臭い硬直性をどこか微笑ましげに見守っている。
「腹痛です。医務室かな?」
アポリーが答えた。
「いや、医務室には姿を見せていないそうだ。」
「じゃあ、部屋じゃないですか。
俺たちは隊長殿の乳母じゃないんです。」
「いや、部屋にもいなかった。」
ブライトはイライラと言った。
「ヘンケン艦長とアレキサンドリアのキンゼー艦長が、この時間を利用してモビルスーツの新戦術についてのブリーフィングを行いたいと言ってきてるんだ――だが肝心のヤザン大尉が捕まらない。」
ブライトは細い目で、ジェリドを睨んだ。
「まさか……勝手にグラナダに降りて飲んだくれてるなどということは」
「ないない。飲んだくれてるはない。」
ジェリドは心から言った。
ヤザンは酒を愛していたし、なんども飲みに行ってはいたが、飲んだくれたところはみたことがなかった。少々酔っていようが、モビルスーツのコクピットにおさまるとシャキッとするのがヤザンという男だった。
「アレキサンドリアには、ジオンの将校も多数乗り込んでいる。
彼らを通じて、グラナダ警察に働きかけてヤザンを探してもらってもいいんだぞっ!」
あまり、大事になると困るな、とジェリドは思った。飲んだくれて、はいないが飲んでるのは間違いない。
ジェリドとヤザンについては連邦軍の
ID以外にもサイド6でクランバトルをやっていたときのIDももっていた。
それを使えば、グラナダの市街へは降りられるはずだ。
休憩室のモニターでは、コメディショーが流れている。
モニターの中で木製のハンマーをもった筋骨隆々の男がカメラ目線で叫んだ。
「よおーーし、この世の中にはどんな男がいるんだ?」
男の足元には臼が置かれている。その傍にかがみ込んだ男が悲しそうに答えた。
「モビルスーツで出撃するのにいちいちメイクをしてるヤツが居たんですよお。」
ハンマーを持った男が叫んだ。
「んぬぁあにい~! やっちまったな!!」
そして臼目掛けて木槌を振り下ろしながら叫ぶ。
「男は黙って!」
「仮面!」
「男は黙って!」
「仮面!」
「モビルスーツも赤く塗らないとねえ~」
モニターが切り替わった。
「バトルがなければテレビじゃない。あらゆるコンテンツに闘争を!でお馴染みのグラナダ中央テレビです。コントの途中ですが。クランバトルの模様を実況、ライブ配信いたします。」
画面に現れた女性は、ウサギの耳をあたまにつけていた。
体の線を強調するような黒い下着。
いわゆるバニーガールというやつだ。
餅つきネタにバニーガール?
ここが月だからか?
ジェリドには判断がつかない。
「さあて、ケリーズ工廠主催カネバン有限公司監修のもとで行われるクランバトル。今回もちょっと変わり種。な、な、なんと今日がデビュー戦!!
はるばるサイド1からやってきた!
ジャンク屋ジュドー・アーシタだあ!」
「モニターを消してくれないか。」
ブライトがイライラしたように言った。
「まあまあ。面白そうだからいいじゃないですか?」
アポリーは、別段、ブライトに反抗的ではない。だがヤザンの不在を誤魔化そうとしての行動だったが、直後に後悔する事になる。
「若きパイロットに立ちはだかるのは!この男!
元連邦軍のエース! “鮮血の荒鷲ヤザン・ゲーブル”だああっ!!」
「なにをやってるんだ! ヤザン大尉!!」
ブライトが叫んだが、ジェリドたちはなにも言わなかった。
ブライトとまったく同意見だったからである。
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場所は、グラナダから30kmばかり離れたクレーターである。
月面での戦いは、実はヤザンは経験がない。と言うよりも連邦軍がモビルスーツを本格的に投入したのが、ソロモン攻略戦後となるので、有重力下の戦闘はコロニー内部の制圧など限られた任務についたものしかいない。
地球の重力の六分の一、か。
ヤザンは終戦後、その腕をかわれて、教官としてしばらく連邦軍に残っていた。
だから「重力の井戸」と呼ばれる地上でのモビルスーツの駆動も経験はしている。
月面はそれとは違う。もちろん宇宙空間とも違う。
クレーターの反対側の端に、妙なモビルスーツが現れた。
拡大してみて、ヤザンはうんざりした。
ハッキリ言ってツギハギのモビルスーツだ。
先にジュドーたちの“ガンダム”を見たケーンは、ガンダムっぽいツインアイにV字アンテナのヘッドに改修していると言っていたが、アンテナはどう見てもダミーである。
色はガンダムっぽく塗ってはいるものの、体のほうはザクの流用らしい。
背中には、軽キャノンの流用らしいビームキャノンを背負い込み、腕には見たこともない銃を持っている。
もし本当のビームキャノンにビームライフルの稼動品をジャンク屋が手に入れられるとも思えなかった。
とくにアンキーのチェックもかからなかったようなので、クラバで通常使用可能な実弾仕様に変更済みなのであろう。
ガンダムっぽいなにかは、ジャンプしてクレーターの中央に歩みをすすめた。
“あんなもん歩かせるだけで一苦労”……と、ジェジーは言っていたが、ガンダムっぽいのの動きは悪くない。これはジュドー・アーシタの操縦技術がそれなりのものであることを示している。
“こりゃあ、拾い物かも、な!”
ヤザンはうれしくなってきた。
無能は敵も味方も大嫌いなのが、ヤザン・ゲーブルである。
ジュドーは、アーガマにテストパイロットとして採用、あの仲間の連中もメカニックの見習いで雇ってやって、給与の足りない分はクラバで稼げば、あのリィナという娘を学校に行かせるには充分だろう。
それもこれも。
まず俺をたおしてからだがな!
それはそれとしてまったく手を抜く気は無いヤザン・ゲーブルである。
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「説明してくれ、アポリーさん、ロベルトさん!」
ブライトは怒鳴るが、アポリーたちもなにがなんだか分からない。
「まあまあ、ブライトさん。多分これはヤザンにとっても偶然。成り行きとノリで、こうなっただけで、たぶんヤザンの旦那に悪気は無いんだ!」
一番、ヤザンと付き合いが長いジェリドがそう言ったが、ブライトは粉に塗れたようにジェリドへの疑いに塗れた。
「どういう意味だ?」
「もし、ヤザンが最初からクラバに出るつもりだったら、乗り慣れたマークⅡの1機も持ち出していたってことですよ。」
ああ、悪い癖でまた試合が始まらない!!