第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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テム・レイさんは、せっかく世に出したコストカットタイプのガンダムが酷評されたのがトラウマになったのか、コスト度外視の機体をこれからも作りまくることになります。






第24話 暗雲

金色?

ジュドーは一瞬、自分の目を疑った。

兵器の塗装としてはあまりにも相応しくないと感じたのだ。

 

ミノフスキー粒子による戦闘は有視界、実際に光学的に相手を捉えることが重要である。

そのために目立たない塗装をすることは当たり前である。

確かに独立戦争時代のジオンのエースたちには、わざと目立つようにパーソナルカラーで塗装した機体もあった、とは彼の知識の中にもあった。

 

典型が“赤い彗星”シャア・アズナブルである。

それは真紅というよりはピンクに近い明るい赤であり、強奪したガンダムまで、わざわざその色に塗り直したのだとか。

(もっとも試作機として作られたガンダムは、白を基調にしたトリコロールカラーという、これもとんでもない色使いであったので、どっちもどっちと言えないこともないのだが)

 

金色の重戦闘機は、クラバの会場であるクレーターの上空で翼を畳み、瞬時に人型に変形し月面に降り立つ。

 

「ジュドー・アーシタ。こいつが可変モビルスーツ試作機“百式”だ。

乗っているのは……」

 

誰でもいい。

ジュドーは思った。

誰であろうとそいつは頭がおかしい。

 

------------

 

 

百式のコクピットで、クワトロは唸った。

彼が奪取したガンダム、またトリントン基地を中心に開発された試作ガンダムシリーズ。あるいはグリーンノアで作られたガンダムマークⅡ。

あらためて、稼働しているところを目の当たりにした『Zガンダム』は、それらと比べても抜き身の刃物を思わせる鋭角さを感じさせた。

そして

そのパイロットから伝わる負の感情は

 

「わたしにプレッシャーをかけるパイロットだと!?」

 

白い翅を広げたモビルスーツがその隣に降り立った。

 

「我が君。あれが百式の改良型か。」

ハマーンの声は落ち着いていた。

 

グリーン・ノア滞在中に何度かテスト飛行を行っていて、その操縦にはだいぶ慣れたようだった。

いや、それだけではない何かが、この少女とキュベレイにはある。

クワトロはそんな気がしていた。

 

確かにそのデザインは、幼少期のハマーンが起こしている。

エネルギーCAP式にしてビットを小型化し、モビルスーツの本体内部に内蔵するという発想も非凡なものだった。

 

だが、そこから具体的にモビルスーツとして設計図をひき、組み上げたのはジオンの技術者のはずだ。

アルテイシアが自身の専用モビルスーツとして作り上げたという経緯から、ジオニックやアナハイムの最新技術は組み込まれていない。

エネルギーCAP式の小型ビット以外は、ジェネレーター出力も装甲も平凡なものである。

 

ゲルググの改良計画に取り入れられた肩部のバインダーにより、やたらと機動性だけは良いがあまりにもピーキーで、本当にこんなものを元首の専用モビルスーツとしてよくぞ世に出したものだと、クワトロは密かに冷や汗を流したものだった。

 

それをハマーンは楽々と乗りこなしている。

 

初回の出撃こそ小型ビットの誤作動があったものの、それをアストナージが改修してからは、同様の事故は(少なくとも模擬演習中は)まったく起きていなかった。

 

 

まるで、

自分用に開発された機体を操るがごとく。

 

 

「妙なプレッシャーを感じるな。だが、不快なものではない。

どこか。

懐かしい。」

 

あるいは。

ハマーンは“向こう側”で、この“キュベレイ”を操ったことがあるのだろうか。

 

「ヤザン!」

 

「お説教はあとで聞くぜ、“大佐”殿。」

ヤザンの声は楽しそうだった。

「すげえパイロット候補生をスカウト出来そうなんだ。ついでにZガンダムのテストも行える。まともな申請を出してたらグラナダからNGを食らうのは目に見えている。」

 

「駄犬には少し躾けが必要なようだな、ヤザン・ゲーブル。」

ハマーンの口調は一気に氷点下に下がった。

 

「やってみるかい? アクシズのお姫さん。」

 

 

ヤザン・ゲーブルとハマーン・カーン。

二人の卓越したパイロットの間に、凄まじい気が膨れ上がっていく。

 

これはとめてもとまるまい。

 

ならば。

 

私、クワトロ・バジーナの相手は、ヤザン・ゲーブルが連れてきたパイロットと、その彼が操縦するZガンダムということになる。

 

機体の仕様についてはもちろん目を通していた。

 

ジェネレーター出力、装甲材も私の“百式”よりも勝っている。

ミサイルポッドは空だろうが、脅威とすべきはその両手で抱えているビームライフルだ。

“百式”のビームコーティングは、専用の盾を装備しないことを十分に補えるはずであったが、とてもその性能を試す気にはならなかった。

 

あれは確か、銃口からビームの刃を発生させて、長大なビームサーベルとしても使用できる。

 

おそらくは、変形機構が“百式”と比較してもさらに複雑になっている以外は、あらゆる性能で百式を凌駕している。

 

 

「クランバトル、クランバトル、開始します。

カウント10秒前。」

 

一撃当てればいいのだ。

 

クワトロは忙しく頭を働かせた。

 

いや、かすらせるだけでもいい。

通常ではビーム兵器をオミットするクランバトルが、ビーム兵器の使用を許可した代わりに付けた条件がそれだった。

 

ならばビームの威力は関係ない。

 

「9、8、7」

 

--------------

 

 

カウチに身を沈めた褐色の肌の少女は、嫣然と微笑んだ。

 

「白いモビルスーツが勝つわ。」

 

金褐色の髪をあげた少女が、自身の女主をジト目で睨む。

 

「参加してるモビルスーツは、“百式”を除いて概ね、連邦の試作機がよく採用する白を基調にしたトリコロールカラーですけど?

当たる確率四分の三ですね。」

 

「そんな夢のない言い方はダメよ、カンチャナ。」

ララァは悪戯っぽい笑いを浮かべた。

「夢を忘れた古いアースノイドみたい。」

 

モニターの中で試合開始のカウントが続く。

 

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「6」

 

 

ジャミトフは目の前の男を睨んだ。

サングラスの奥の表情は伺いしれない。

ジオンに捕らえられた際に受けた暴行で視力を悪くした───そんなふうに聞いていた。

前線指揮官としてはそれなりに有能──だと判断して使っていたのだが、ここのところ首を傾げることばかりだ。

 

ひとがついてこない。

 

自身から見ても有能であり、アースノイドファースト思想に共感してくれていたはずの人材が、軒並みジャミトフの元を離れていく。

それがこの男、バスク・オムのせいであることはいい加減に気づいていた。

 

そろそろ、切り時か。

とも思うジャミトフであったが、そのときにこの男がどんな暴挙にでるか。

 

それが恐ろしくもある。

 

2人がいる部屋のモニターは月面のクラバの中継をしている。

 

「はい、もともとジオンに属してはいましたが、独立戦争後は独自の道を歩んでおります小惑星ペズンの研究所。

私から最新のムーバブルフレームやマグネットコーティングの技術を流しております。

ジオンからはウィングバインダーやインコムの技術を手に入れ、これも渡しました。」

 

貴様はいったい誰の味方だ!

 

ジャミトフは思わず口走りそうになった悪態を飲みこんだ。

ちらりとモニターに表示される可変モビルスーツに目をやる。

 

「あれらに匹敵するモビルスーツが手に入る……というのか?」

 

「それ以上のものを、です!」

バスク・オムは胸をはった。

「すでに、ガンダムマークⅡにインコムユニットを装着した機体が完成しております。ガンダムマークⅤと名付けました。」

 

いや、別におまえはなにもしてないだろう。それにⅢとⅣをスキップして何故いきなりⅤなんだ。

 

 

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「5」

 

「いいか! 間違ってもコックピットに直撃させるなよ! 人死にが出る。あと、出来れば大破もさけるんだ。最新鋭機なんだぞ!

修理にどのくらい手間がかかるか!!」

 

ブライトは懸命に一般回線でクワトロたちに呼びかけている。

 

“ねえ、天パ”

マチュがアムロに擦り寄って囁いた。

“どうせ誰も聞いてないよ?”

 

「ああ。でも一応、口に出しとかないといけないのさ。軍隊ってそういうもんだ。」

 

 

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「4」

 

ハマーンはマークⅡから距離をとった。

 

ヤザンは笑う。

なるほど。それなりに戦い慣れはしてるのか。

だが、距離をはかることで、おまえがなんの武器を使おうとしているのか、わかってしまうなあっ!!

 

「3」

 

 

「ZETAのパイロット!」

クワトロは呼びかけた。

「妙な動きをしなければ安全に終わらせてやれるぞ?」

 

「おなじ言葉を返してやるよ、金ピカ!」

 

ZETAが構えたロングビームライフルの先にビームの刃が宿った。

 

「2」

 

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「頑張れ! アーガマの新型! コクピットを撃ち抜いてもいいんだぞ!」

「姫さま……」

 

ランバ・ラルがため息混じりにつぶやいた。

 

「1……クランバトル、スタートです!!」

 

 

 

 

 

 




うーん、ひっぱってしまいました。次話こそ間違いなくバトル!!
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