そしてまたハマーンもまたヤザンの老獪なテクニックに翻弄されるのだった!!
「うわあああっ!!」
ジュドーは叫んでいた。
開始の合図の瞬間まで、まるで派手な道化師のように見えていた金色のモビルスーツ。
それが一瞬にして猛獣へと姿を変えたのだ。
コロニー育ちのジュドーはもちろん見たことはなかったが。
人を捕食する、鋭い爪と牙を備えたケダモノに。
相手のパイロットが与えるプレッシャーがそう見せたのだ!
手は震えているがジュドーの心は冷静にそう判断している。
金色の手には、いつの間にか抜きはなったビームサーベルが握られていた。
接近戦かよ!
腰だめにしたハイパーメガランチャーを発射する。
外れた!!
2発目を発射するまえに、金色が懐へ潜り込む。
「ええい!」
「なに!?」
メガランチャーの銃口から形成されたビームの刃が、金色のビームサーベルをはね上げた。
よし!
パワーはこっちが上だ!
返す刀で切りつけようとしたが、金色に蹴り飛ばされた。
体勢を崩しながら、ジュドーは、勢いを利用してそのまま、ホバリングへ移行する。
飛び上がった金色が、頭上からビームライフルを発射した。
ジグザグに月面を走行しながらかわす。
軽い!
このZETAの反応のよさに、ジュドーは舌をまいている。
実際に乗ったことのあるモビルスーツは 自分たちで組み上げた『パーフェクトガンダム』だけだった。
イーノはそんなことは絶対にない!と言うのだが、ジュドーの操作にモビルスーツのほうがついてこないことが度々あったのだ。
このZETAの反応は…すこぶるいい。
ジュドーも機体をジャンプさせた。
捉えた!
そう思った瞬間、金色の姿が消えた。
いや消えてはいない。
後方に回り込んだのだ。
少なくとも機動力では、ZETAと互角……そして今回のクラバのルールでは、一発当てれば勝敗が決するのだから、ジュドーのもつ大型メガランチャーよりもビームライフルが不利ということでも無い。
そして、自分の機体を金ピカに塗りたくる趣味はどうかとは思うが、パイロットはホンモノだ。
振り向きざまに放ったジュドーの両手のメガバズーカランチャーが両断される。
「チイッ!」
呻いたのは、百式のコクピットにいるクワトロの方だった。
Zガンダムは、アーガマの機体であり、それを損傷することのコストはアーガマの負担になる。
理想は外装にちょっぴり傷をつけて、勝ちを拾うことだったが、ヤザンが連れてきたこのパイロットは筋がいい。
いまもクワトロはZガンダムの腕を狙って斬撃を繰り出したのだ。
とっさにジュドーは銃口から発振されたビームの刃でうけようとしたのだが、誤って武器を損傷してしまっている。
実戦ならこれでいい。
実戦なら―――。
ジュドーは腰部サイドアーマーからビームサーベルを抜いた。
百式の掛け違いざまの一撃を受け流す。
パワーはZETAが勝る。
バランスを崩しかけた百式目掛けて、腕部からグレネードランチャーを発射した。
“どれだけ武器を詰め込んだのだ!!”
クワトロは呻く。
とっさに百式を変形させて、バーニヤを全開。弾は後方に流れた。
確かに百式は、決定的な武装と言うべきものがない。ビーム兵器がモビルスーツの標準兵器となりつつあることで、装甲材やビームコーティングの技術もまた進歩を続けている。
確かにこれまでのビームライフルでは一撃必殺の兵器とは言えなくなっている。
テム・レイのモビルスーツ開発が、対ニュータイプ専用機を主敵とするものならば。
ビットによる遠隔攻撃をかわしつつ、一瞬で肉薄し、一撃で致命的なダメージを与える―――そういったコンセプトになるのはわかるが。
百式はその点、相手に接近してからの武器に難があったのだ。
戦闘機形態に変形した百式の軌跡を追うようにしてグレネード弾が走り抜ける。
これで四発…か。
腕部に取り付けられたグレネードランチャーなら、弾切れのはずだ。
このまま戦闘機形態で撹乱するか。
視界の隅に閃光のようなものを感じて、とっさにクワトロは機体を旋回させた。
ビームは装甲を僅かに焦がして走り抜ける。
ヤザンのマークⅡのビームライフルだった。
ヤザン・ゲーブル。
“荒鷲”以外の2つ名があった。
たしか―――“エース殺し”。
“クソッ!!”
ハマーンにはガラにもなく悪態をついた。
こちらがファンネルを使うことを半ば予告した以上、ヤザンは距離を潰しにくるとばかり考えていたのだ。
ヤザンのとった方法は逆。
試合開始と同時に、キュベレイから大きく距離をとったのだ。
慌てて、ファンネルたちにヤザンのマークⅡを追わせたハマーンは、まだ青かったのだろう。
ファンネルはほぼ一直線上に並んでしまった。
そこにビームライフルを連射。
撃墜されたファンネルは3機ほどだったが、ハマーンを逆上させるには充分だった。
「殺すぞ、ヤザン・ゲーブル!!」
怪鳥のごとく、肩のバインダーを広げたハマーンのキュベレイはビームサーベルを握る。
単純に出力だけ見れば、今回のクラバに参加しているすべてのモビルスーツから1段落ちるだろう。
盾の装備もなく、また百式のような最新のビームコーティングもない。
だが運動性能の高さは、その操縦性があまりにもピーキー……いや、はっきり言って使いにくいほど過敏であることを含め、ハマーンはこの機体を愛していた。
子どもの頃に描いた夢のモビルスーツが実在して、それに乗って宇宙を駆けることが出来るのだ!!
ヤザンのマークⅡのビームライフルの射撃を、キュベレイは楽々とかわす。
「ヤザン・ゲーブル!!」
応えずにヤザンはさらに距離をとる。
そのビームライフルがあらぬ方向をむき。 発射された。
そのビームは、新型機と戦闘中の百式を掠めていた。
「ヤザン! 貴様の相手はこのわたしだ!」
「クランバトルのM.A.V.ってのはそんなにお行儀のよいもんじゃないんだよ!
アクシズのお嬢ちゃん。」
アムロは立ち上がった。
全員の視線がアムロに集まったので、彼はちょっと困ったようだった。
「どうするというのだね、アムロくん。」
ガディ・キンゼーが尋ねた。この中では一番位が上だ。
そしてまたアーガマがティターンズへの対抗勢力以上のものにならないか、のお目付け役でもある。
「とめてきます。ビームライフルとビームサーベルを解禁してのクランバトルは危険すぎます。」
「しかし、ヤザンはともかく、クワトロ大尉までやる気だぞ? 止められるのか?」
と、ヘンケン。
「メインカメラを破壊すれば戦いは終わります。」
「止めるかどうかはともかく、行くべきだよね。」
マチュはすっかり乗り気だった。
ちょっと短いです。続きはできるだけ早めに投稿します。