第13話 鼓動   作:ATARU 2025

127 / 303
出力に勝るZETA。傷つけることを躊躇するクワトロは、斬新なジュドーのモビルスーツ捌きに苦戦する。
そしてまたハマーンもまたヤザンの老獪なテクニックに翻弄されるのだった!!



第24話 暗雲~月面の対決3

 

「うわあああっ!!」

ジュドーは叫んでいた。

 

開始の合図の瞬間まで、まるで派手な道化師のように見えていた金色のモビルスーツ。

それが一瞬にして猛獣へと姿を変えたのだ。

コロニー育ちのジュドーはもちろん見たことはなかったが。

人を捕食する、鋭い爪と牙を備えたケダモノに。

 

相手のパイロットが与えるプレッシャーがそう見せたのだ!

手は震えているがジュドーの心は冷静にそう判断している。

 

金色の手には、いつの間にか抜きはなったビームサーベルが握られていた。

接近戦かよ!

 

腰だめにしたハイパーメガランチャーを発射する。

 

外れた!!

 

2発目を発射するまえに、金色が懐へ潜り込む。

 

「ええい!」

「なに!?」

 

メガランチャーの銃口から形成されたビームの刃が、金色のビームサーベルをはね上げた。

 

よし!

パワーはこっちが上だ!

 

返す刀で切りつけようとしたが、金色に蹴り飛ばされた。

体勢を崩しながら、ジュドーは、勢いを利用してそのまま、ホバリングへ移行する。

 

飛び上がった金色が、頭上からビームライフルを発射した。

ジグザグに月面を走行しながらかわす。

 

軽い!

 

このZETAの反応のよさに、ジュドーは舌をまいている。

実際に乗ったことのあるモビルスーツは 自分たちで組み上げた『パーフェクトガンダム』だけだった。

イーノはそんなことは絶対にない!と言うのだが、ジュドーの操作にモビルスーツのほうがついてこないことが度々あったのだ。

 

このZETAの反応は…すこぶるいい。

 

ジュドーも機体をジャンプさせた。

 

捉えた!

 

そう思った瞬間、金色の姿が消えた。

 

いや消えてはいない。

後方に回り込んだのだ。

 

少なくとも機動力では、ZETAと互角……そして今回のクラバのルールでは、一発当てれば勝敗が決するのだから、ジュドーのもつ大型メガランチャーよりもビームライフルが不利ということでも無い。

 

そして、自分の機体を金ピカに塗りたくる趣味はどうかとは思うが、パイロットはホンモノだ。

 

振り向きざまに放ったジュドーの両手のメガバズーカランチャーが両断される。

 

「チイッ!」

呻いたのは、百式のコクピットにいるクワトロの方だった。

Zガンダムは、アーガマの機体であり、それを損傷することのコストはアーガマの負担になる。

理想は外装にちょっぴり傷をつけて、勝ちを拾うことだったが、ヤザンが連れてきたこのパイロットは筋がいい。

 

いまもクワトロはZガンダムの腕を狙って斬撃を繰り出したのだ。

 

とっさにジュドーは銃口から発振されたビームの刃でうけようとしたのだが、誤って武器を損傷してしまっている。

実戦ならこれでいい。

 

実戦なら―――。

 

ジュドーは腰部サイドアーマーからビームサーベルを抜いた。

 

百式の掛け違いざまの一撃を受け流す。

 

パワーはZETAが勝る。

バランスを崩しかけた百式目掛けて、腕部からグレネードランチャーを発射した。

 

“どれだけ武器を詰め込んだのだ!!”

 

クワトロは呻く。

とっさに百式を変形させて、バーニヤを全開。弾は後方に流れた。

 

確かに百式は、決定的な武装と言うべきものがない。ビーム兵器がモビルスーツの標準兵器となりつつあることで、装甲材やビームコーティングの技術もまた進歩を続けている。

確かにこれまでのビームライフルでは一撃必殺の兵器とは言えなくなっている。

 

テム・レイのモビルスーツ開発が、対ニュータイプ専用機を主敵とするものならば。

ビットによる遠隔攻撃をかわしつつ、一瞬で肉薄し、一撃で致命的なダメージを与える―――そういったコンセプトになるのはわかるが。

 

百式はその点、相手に接近してからの武器に難があったのだ。

 

戦闘機形態に変形した百式の軌跡を追うようにしてグレネード弾が走り抜ける。

 

これで四発…か。

腕部に取り付けられたグレネードランチャーなら、弾切れのはずだ。

このまま戦闘機形態で撹乱するか。

 

視界の隅に閃光のようなものを感じて、とっさにクワトロは機体を旋回させた。

 

ビームは装甲を僅かに焦がして走り抜ける。

ヤザンのマークⅡのビームライフルだった。

 

ヤザン・ゲーブル。

“荒鷲”以外の2つ名があった。

たしか―――“エース殺し”。

 

 

“クソッ!!”

ハマーンにはガラにもなく悪態をついた。

こちらがファンネルを使うことを半ば予告した以上、ヤザンは距離を潰しにくるとばかり考えていたのだ。

 

ヤザンのとった方法は逆。

 

試合開始と同時に、キュベレイから大きく距離をとったのだ。

 

慌てて、ファンネルたちにヤザンのマークⅡを追わせたハマーンは、まだ青かったのだろう。

ファンネルはほぼ一直線上に並んでしまった。

そこにビームライフルを連射。

 

撃墜されたファンネルは3機ほどだったが、ハマーンを逆上させるには充分だった。

 

「殺すぞ、ヤザン・ゲーブル!!」

 

怪鳥のごとく、肩のバインダーを広げたハマーンのキュベレイはビームサーベルを握る。

単純に出力だけ見れば、今回のクラバに参加しているすべてのモビルスーツから1段落ちるだろう。

盾の装備もなく、また百式のような最新のビームコーティングもない。

だが運動性能の高さは、その操縦性があまりにもピーキー……いや、はっきり言って使いにくいほど過敏であることを含め、ハマーンはこの機体を愛していた。

 

子どもの頃に描いた夢のモビルスーツが実在して、それに乗って宇宙を駆けることが出来るのだ!!

 

ヤザンのマークⅡのビームライフルの射撃を、キュベレイは楽々とかわす。

 

「ヤザン・ゲーブル!!」

 

応えずにヤザンはさらに距離をとる。

 

そのビームライフルがあらぬ方向をむき。 発射された。

 

そのビームは、新型機と戦闘中の百式を掠めていた。

 

 

「ヤザン! 貴様の相手はこのわたしだ!」

「クランバトルのM.A.V.ってのはそんなにお行儀のよいもんじゃないんだよ!

アクシズのお嬢ちゃん。」

 

 

 

アムロは立ち上がった。

 

全員の視線がアムロに集まったので、彼はちょっと困ったようだった。

 

「どうするというのだね、アムロくん。」

 

ガディ・キンゼーが尋ねた。この中では一番位が上だ。

そしてまたアーガマがティターンズへの対抗勢力以上のものにならないか、のお目付け役でもある。

 

「とめてきます。ビームライフルとビームサーベルを解禁してのクランバトルは危険すぎます。」

 

「しかし、ヤザンはともかく、クワトロ大尉までやる気だぞ? 止められるのか?」

と、ヘンケン。

 

「メインカメラを破壊すれば戦いは終わります。」

 

「止めるかどうかはともかく、行くべきだよね。」

マチュはすっかり乗り気だった。

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと短いです。続きはできるだけ早めに投稿します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。