どこかのキャラを極端にサゲないように注意してるつもりですが、ヤザン・ゲーブルはアケアゲですねえ。
成り行きでファンネルの対処法まで確立しちゃっております。
クワトロは、コクピットで何度めかの舌打ちをした。
―――戦闘機形態で撹乱するつもりだったのだが、ジュドーもまたZガンダムの飛行形態(ウェイブライダーといった)に変形し、楽々とついてくる。
威力は弱いものの速射性の高いビームガンは、百式をじりじりと追い詰めていく。
おそらくは。ビームサーベルから形成したビーム刃を打ち出しているのだ。
そういう風に使える、とたしかにマニュアルにはあった。
だが、いま操縦しているのは、ヤザン・ゲーブルがグラナダで拾ってきたパイロットだ。もちろんはじめて、ZETAに乗るわけだし、シュミレーターはおろかマニュアルすら目を通しているのか怪しいものだ。
「ZETAのパイロット! きみはニュータイプなのか!?」
帰ってきたのは想像以上に若い声だった。
「知るか! ニュータイプで飯がくえるか!」
クワトロは苦笑した。たしかに、ニュータイプだからといって喜んで採用してくれるのは軍くらいだろう。そして軍隊は今も昔もあまり住みよい場所では無い。
加速度で勝るZガンダムと駈け違い、人型に再度変形、後方から発射したビームライフルをZETAは楽々とかわす。
かわしながら、人型に変形する。変形プロセスは百式よりも複雑だがかかる時間はさらに短縮されている。
再びビームサーベルでの戦いとなった。
月の低重力下ならば、実際には人型のままでも飛行に近い機動は可能だ。
2機の可変機は、ぐるぐると互いの周りを回りながら、なんとか死角を見出そうと接近戦を続ける。
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「シャアさ……“大佐”と互角は凄いよね。」
マチュはアムロについて、走りながら言った。
「クワトロ大尉は本気じゃないんだ。」
「軍人上がりのあのひとにとっちゃ、そうなのか。」
マチュは悔しそうに唇をかんだ。
「そうでもあるし、そうでもない。どっちかというとあの人はいま、モビルスーツの修理の手間と時間を考えているんだと思う。」
「ああ! たしかに! どっちが勝ってもぶっ壊れるのはアーガマのモビルスーツだもんね! アストナージさんが頭をかかえるよ!」
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“クソッ! なんで機動性だ!”
ヤザン・ゲーブルは射撃には自信がある。
単に狙いが正確、というものではない。
相手が次にどう動くか。
そこまで、予想しての当て感に優れているのだ。
その彼の射撃を異形のモビルスーツは楽々とかわす。
「これまでだな! ヤザン・ゲーブル!」
前後左右から、ファンネルが迫る。
とっさにマークⅡをジャンプさせながら、ビームライフルを下方にむけて斉射。
地面スレスレを飛んできて、今まさに下方から彼を狙撃しようとしていたファンネルを爆散させる。
「やるっ……!!」
「あめえんだよ! お嬢ちゃん!」
手首のビームガンを打ちながら、ビームサーベルによる接近戦へ。
ヤザンもビームサーベルで応戦した。
バワー負けはしない。
またひとつひとつの動作も、ムーバブルフレームはないかわりに、フレキシブルバインダーによる自在な移動がそれを補っている。
キュベレイのビームサーベルが、マークⅡの胸部装甲を掠め、マークⅡのサーベルはキュベレイの腰部ユニットを掠めた。
「ファンネル!」
ハマーンの呼びかけに、ファンネルが再びマークⅡに迫る。
「こ、この近距離でファンネルが使えんのかっ!」
角度をひとつ間違えば、自分に被弾させてしまう。
同様な誘導兵器には、独立戦争中のビットがあったがあれはこんな微妙な使い方はしなかったはずだ……。
技術的な進歩なのか、このハマーンという少女の技量が並外れているのか。
これだから、ニュータイプはなあ。
ヤザンはボヤきながら、激闘を続ける“大佐”とジュドーに目を向けた。
稼動データは十分取れただろう。
これ以上戦いを長引かせても武器の損耗が増えるばかりだ。
なら。
ヤザンはマークⅡをダッシュさせた。
キュベレイはその闇雲な突進に一瞬、虚を突かれた。とっさに相打ち覚悟でビームサーベルを振りざしたのは、たいしたものだった。
だがヤザンの目標はそれではない。
キュベレイのビームサーベルの一撃をすり抜けつつ、ヤザンがむかったのは、鍔迫り合いを続ける“百式”と“ZETA”。
ヤザンは盾の裏側に隠した「それ」を取り出す。
「ジュドー! やつから離れろ!」
チャンスは。
そう、一度だけだ。
百式にヤザンは砲身を向けた。
狙いは、それほど必要ない。
発射。
反動がマークⅡの腕をはね上げた。
発射された弾は。
散弾。
「1発でも先に当てた方が勝ち」
そのルールに則って、ヤザン・ゲーブルが用意した素敵な武器だった。
空気抵抗のない宇宙空間や月面では、威力距離によって減衰せず、高い効力を期待できる。とはいえ、それはあくまで散弾であり、モビルスーツの装甲そのものを貫き、破壊する力はない。
あたりどころが悪ければ、センサー類に深刻なダメージを与えることは出来るかもしれない。
だが、この場合は。
「当たり」さえすればいいのだ。
ヤザンの言葉に離脱しようとしたZETAの脚部を百式の腕が掴んでいた。
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「配信用ドローンの映像を分析するとですね……」
白いガンダム「もどき」。
テム・レイの天才が作り出したガンダムの簡易量産型は、最新鋭の機体に比べれば一回り小さい。
事実それはかつてのガンダムの性能を維持したまま、いかにコストカットを行えるかというコンセプトのもとに、テム・レイが作り上げた傑作機であった。ただ時代が求めたものはそれではなかった。
アムロが彼の「ガンダム」で駆けつけた時、戦いはすでに終わっていた。
ヤザン・ゲーブル大尉の散弾バズーカは、その狙い通り、開始に移った百式の肩当てに数発、命中していたのである。
これをもって、ヤザンは自分たちの勝ちだと主張しているのだが。
たしかに、先に命中させたほうが勝利であって、それは別にビーム兵器やグレネードランチャーといった破壊力のある主武装ではないといけない、という規定はどこにもなかった。
だが、アムロは冷静に、ドローンの画像を分析し、散弾を被弾したのが、ジュドーのZガンダムのほうが早い、ということに結論付けたのだ。
「被弾したものが、クラバから脱落し、その時点で負けが確定する、というものですよ。」
アムロは淡々と言った。
「なので、シャアさ…大佐とハマーンの勝ち、ね。」
ガンダムのコクピット。アムロの膝の上にはマチュがいる。
先日の試乗で、アムロの膝の上が意外に居心地がよいことに気がついたのだ。
マチュは小柄なのでなんとか単座のコクピットにも潜り込めるのだ。
もっとも小柄とはいえ、女子高生を膝に乗せているアムロはたまったものではないが、マチュ曰く、アムロの膝のうえはGQuuuuuuXのコクピットで、エンディミオンユニットに抱きしめられたような安心感があるらしい。
「ふざけんな!」
Zガンダムのパイロットが叫んだ。
「じゃあ、オレたちの生活は! リィナの進学はどうなっちまうんだ!」
「ああ、ジュドー・アーシタだったな。
テストについては『合格』だよ。きみたちの場合は軍属にはなれないから、パイロット候補生、ということになる。クランとしてはカネバン有限公司のアンキーさんが預かってくれる。仲間たちもメカニックの見習いとして―――」
アムロは顔をしかめた。
「いや、待てよ。きみたちはまだ学校に行ってるべき年齢じゃないか。
独立戦争中じゃあるまいし。
学費をクラバで稼いでいったん学校を卒業したらどうだ?
グラナダでもいいし、ネオ香港でもいい。」
「ま、じ、めだねえ。天パ。」
膝の上でマチュがバタバタした。
さて、月面バトルが一通り、終わったので、次回から再びお話はララァ探し。こっそりクラバに参加しようとする某元首とその側近、そんななか、ティターンズの勢力がついに武装蜂起いたします。