第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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しばらくほったらかしのティターンズサイドです。
バスク・オムさんはだいぶ立場悪くなってるのですが、あんまり自覚ありません。





第24話 暗雲〜巨人たち

ティターンズの肝いりで計画の進んでいたガンダムマークⅡをジオンに売り渡す。

このゴップの案は当然、連邦内部でも猛反対にあった。

 

ゴップは、この件については、目下ジオン公国の元首であるアルテイシア・ソム・ダイクンからのたっての希望であり、拒否すれば武力的な行使も辞さない構えであることを強調したが、無駄であった。

 

連邦軍が強気に出たのは、つい先日、ア・バオア・クーが駐留艦隊諸共に消滅したせいである。

 

ジオンはすでに、地球に対して有効な降下作戦を行える戦力を失っている。

まさか、この程度のことで大量殺戮となるコロニーや小惑星を落下させるとも思えない。

アルテイシアもその側近たちも、かつてザビ家が行ったそのような暴挙には批判的だったはずだ。

 

とすれば、せいぜいいくつかの要衝地を奪われる程度でカタがつくはずだ。

 

ゴップは頭を抱えて、東奔西走した。

 

結局のところ、彼はアルテイシアから言のあった「武力行使」という言葉を逆手にとった。

交渉してもしきれない問題は、武力で解決するのもやむを得ない。

だがその「武力」は戦争ではなく、互いの代表を選出して試合形式で決着を行う。 いわゆる「クランバトル」による勝負としたのだ。

 

これはしかたのない落とし所だ、と反対するものも渋々頷いた。なにもせずにジオンの言うがままにされるのは好まないがしかし、ガンダムマークⅡの設計図を奪われて、多分に示威的なものにせよ、地上に攻撃を受けるのに比べれば遥かにマシだったからだ。

 

やれやれ。

と、ゴップは胸をなでおろした。

 

ここらは実はただの芝居である。

ガンダムマークⅡのノウハウなど別に惜しくもなかった。

ジオンが本当にまるっとその技術が欲しければ、グリーンノアに圧力をかければそれで終いの話である。

おそらくは、アルテイシア公王は外交で行き詰まった場合の解決方法として、戦争の前に「クラバ」という暴力装置を設定したがっている。

それはそれで悪くない!とゴップは思っている。

優秀な官僚の例に漏れず、彼は無駄な予算を使うのは大嫌いだった。

単純に金の問題だけではない。人的資源も含めてである。

 

 

 

「ゴップ将軍。」

この日いわゆるアポなしで尋ねてきた人物に、ゴップは笑顔を浮かべて立ち上がった。

 

ジャミトフ・ハイマン。バスク・オム。

いずれなんらかのアクションはあるだろうと考えていたので、ゴップに焦りはない。

 

だが、同行しているもう1人の人物は、予想外だった。

 

ブライアン・エイノー提督。

 

いわゆるタカ派である。

だがジャミトフが、教導部隊として組織したティターンズを政治的な圧力をかけるための私兵として、半ば使用していることについてはかなり批判的であり、仲は決して良くはない。

 

連邦軍には、いわゆる宇宙戦闘艦は条約上、保有できない。

だからブライアン・エイノーを「提督」と呼ぶのは半ば儀礼的なものであった。

 

とはいえ、数少ない戦艦、例えばソドン型の強襲上陸艦トロイホースなどは、制度上、その麾下にあった。

 

タカ派であり、しかもその思想はアースノイド優位主義であるものの、軍人としても組織の指導者としてもその手腕は堅実であり、配下には同様に堅実な人材が多い。

 

「提督閣下、今回のご要件はいったい…」

 

そう言われてブライアン・エイノー提督は、ちらりと傍らの禿頭の男を見やった。

鋭い視線に、明らかに男はたじろいだ。

 

「バスク・オム少佐。今回の件は貴官の発案だときいている。ゴップ閣下に説明申し上げたまえ。」

 

「は、はい」

 

ゴップはバスク・オムを好かない。

責任回避だけは上手であるが、それ以外はからきしだ。

裏で手を組んでいたデラーズフリートの末路を見ているはずなのだが、学習能力がないのか。

そして、バスク・オムのような男を傍らにおくジャミトフも好まない。

 

「今回のマークⅡについては、我々ティターンズの依頼により設計されたものであり…」

 

「いや、バスク少佐。それはなんども説明した通りだ。」

ゴップの物腰はあくまで柔らかい。

ゴップは決して人格者ではない。裏金も懐に入れれば、相手をみて酷くぞんざいな扱いをすることもある。

だが、ブライアン・エイノーはそのようにして扱ってよい人間ではない。

だからこそ、ジャミトフも彼を連れてきたのであろう。

 

「しかし!」

 

「待ちたまえ、バスク・オム。」

ブライアン・エイノーが静かに、しかし断固として言った。

「これはジオンの無理筋の要求だと言うことは、ここにいる誰もが理解している。

そのうえで、我々はそれを飲まねばならない。

―――敗者であるが故に、な。」

 

バスクは押し黙った。

 

「軍事的行動も辞さないと強行にでるジオンにゴップ閣下が交渉した結果が今回のクランバトルだ。

我々のもつ戦力では、まともにジオンに対して兵をあげることはできないが、少なくとも力をもって意志を示すチャンスを与えられた。」

 

「………クランバトルはティターンズにお任せいただきたい。」

 

「よく言えたぞ、バスク・オム!

てっきり言い訳しかできんかと思っていた。」

 

「エイノー提督それは言い過ぎでは?」

ジャミトフ・ハイマンが口を挟んだが、その顔は不快そうにしかめられている。

 

「その意気やよし!

だが、ティターンズにそれだけのパイロットがおりますかな?

そして、機体はいかがされますか?

ジオンもそれなりのパイロットと最新鋭の機体を出してくるでしょう。」

 

「………ペズン工廠に渡りをつけております。」

 

「ふむ?

小惑星ペズンのことか? 独立戦争中にザクの次世代機を設計していた研究所だな?

次世代機ゲルググに、連邦のガンダムの量産化タイプが採用されたことで、結局、正式な採用機として日の目を見ることはなかったはずだな。」

 

「はい! 量産には不向きではありますが、ザクの重装型とでもいうべき機体をロールアウトさせております。

ムーバブルフレームを取り入れて、様々な状況に対応でき、さらには………」

 

「気持ちはわかるのだが、バスク少佐。」

ゴップは、ため息をついた。

「兵器は使ってこそ、真価が問われるのだ。

そのペズン製のモビルスーツの話はわたしの耳には入ってきてはいないのだ。

テストデータを持っているのかね?

どこかのクラバへの出場実績は?

そもそも、連邦を代表して出場する機体が、ザクの後継機では具合が悪いだろう。」

 

「ご心配なく。」

話しているうちに、バスクはその傲岸不遜さを取り戻してきたようだった。

「カラーリングをトリコロールカラーに変えて、頭部をバイザータイプに変更すれば………」

 

「まあ、モノアイを採用しているジオンの機体は多いがね。」

 

「それにもう一機はまぎれもなく、ガンダムの後継機であります。

ガンダムマークⅡにトリントンの試作ガンダムの運動性を取り入れ、さらに一般兵でもオールレンジ攻撃を可能にするインコムを装備したしました。」

 

「………なんにせよ、重要な一戦となる。テストはさせていただこう。パイロットも含めて用意は出来ているのかね?」

 

「―――パイロットはいま選考中ではありますが」

 

「バスク少佐。功をあせるものではないぞ? 君がいくら肩入れしても、パイロットにジオンはもちろんスペースノイドは使えん。連邦を代表して出場するのだからな!」

 

「候補者は選抜しております!」

バスクは胸をはった。

「ついてはパイロットを機体に習熟させる為に『トロイホース』にて機体を受領後、訓練を行いたい。」

 

「まあ……そう急がれても困る。」

ゴップは言った。

「モビルスーツテスト艦ならば『アーガマ』がすでに活動している。

改めてトロイホースを派遣する意味があるのかな?」

 

「ゴップ閣下」

ブライアン・エイノーが愚痴を挟んだ。

「アーガマについては。今回の任務には相応しくないだろう。

あそこはスペースノイドへの迎合組織『エゥーゴ』の影響が強すぎる。」

 

「なるほど。でしたらこう致しましょう。『アーガマ』と『トロイホース』で対抗戦を行い、勝った方を連邦の代表にいたしましよう。」

 

「ゴップ閣下。わたしの言うことが聞こえなかったのか。

『アーガマ』は連邦の艦ではなく、反地球連邦組織エゥーゴの艦だ。」

 

「私としては、政治的な立場や思想に深入りするつもりはありませんなあ、提督。」

ゴップはしゃあしゃあと言った。

「私としては、なんとしてでもジオンに勝ちたいのですよ。ですのでより優れた機体、優れたパイロットに出場してほしい。なにか問題はありますかな?」

 

 

 

 

 

 

 




結果から見るとそんなに無能ではない、とのゴップ評ですが、あげすぎかなあ。
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