どつやっても勝つイメージが掴めず、「悪役イジメ」になってしまいそうです。
ついでながらここに来て固有名詞を追加します。
ララァとアルテイシアのコンビを“ツインローゼス”。
ララァのカスタム機はロゼスパークル。アルテイシアのカスタム機はレイダー。
それぞれ強化パーツの名前をそのままつけました。
アルテイシア――ここでは彼女の名乗りの通り、ソム・エドワウと呼ぼう。
シートの座り心地はよかった。
だが、全体の雰囲気としては。
コクピットというものは、もっと機能的であるべきだと思う。
360度を映し出すモニターは、まだ採用しているモビルスーツは珍しい。
視界のなかに、ブランドロゴでも浮かんでいたら即返品を考えたソム・エドワウであるが、それはコンソールの隅に慎ましく刻印されていただけだった。
「ヴィトー。こちらは発進準備完了。そちらはよろしくて?」
「ソムさん。まずわたしが先行します。
その機体は納品されたばかりで操縦するのは初めてなのでしょう?
初めて操縦するモビルスーツで戦闘にでるなんてだいぶ常識をはずれています!」
「大丈夫です。動かしながら慣らします。」
“さすがはあの人の妹ね!”
ジオン公国のお望みは、あの人の命だ。
ただし、いまのところ利用価値のほうが大きいので、シャリア・ブルたちは、彼を泳がせている。
実際のところ――本気で抹殺まで考えているのは、この妹さんくらいのものである。
「発進したら、レイダーを変形させます。」
ソム・エドワウはまた怖いことを平然と言った。
可変機構付きのモビルスーツが流行らないのは、コストが膨大になる以外にも、その操縦の難しさにある。
「変形機能は、別の機会にしたほうが…」
「武装のいくつかは変形後でしか使えないの。どちらにしても攪乱から急速接近して大打撃を叩き込むための機体だわ。
そのためのテスト機会を改めるには、わたしはちょっと忙しすぎるのよ。」
ヴィトーもコンソールバネルをチェックした。
ヘルムコングロマリットは、流石にヴィトーにこの装備を渡すにあたって、なんどもシュミレーター訓練の機会を与えたくれた。
それは脳波誘導されるサイコミュ兵器。
“ロゼスパークル”と彼らは名付けた。
――輝く薔薇、ということらしいが、そっちの商売の長いヴィトーには、恋人さんに注文させるとバックが多くなるピンクの発泡酒しか思い浮かばない。
「彼らのことは少し調べたわ。」
ソムが言った。
クラバスタートまで…あと5分。
世間話を続けられる彼女の胆力に、ヴィトーは心から感服した。
実はヴィトーには、彼女の大事なひとがモビルスーツに乗った時に感じるような高揚感はあまりないのだ。
戦いは怖い。
でもそれが大事なひとを守るためなら。
「二人ともアナハイム社の声がかりで、いきなりAクラスからデビューしている。
ゲルググの改修タイプだけれど、いつもいつも新しいギミックを使って、これまで5連勝している。」
“ツインローゼス、ツインローゼス。
ハッチ開きます。戦闘宙域へ移動を開始してください。”
「どうも資金面のバックに、熱心な地球至上主義者の団体…ブルーコスモスがついている。あの二人はそこの幹部みたい。」
ぬる。
と、“レイダー”が発進した。
派手にバーニヤをふかすわけでもない。
軽くジャンプする動作で、宇宙に身を委ねたのだ。いかにもなベテランパイロットの姿で、これなら少なくとも足でまといにはならないだろう。
「アナハイム・エレクトロニクスはホントどこにでも出没しますね…」
「わたしたちの機体だってアナハイムの技術ははいってるのよ。」
ソムは軽く、イズマコロニーの構造体を蹴飛ばした。
それで向きを変えて漂うように、宙域へと向かう。
姿勢制御、加速、すべてにバーニヤを使わないといけないヴィトーはそれを羨ましく見守った。
“ツインローゼス!
試合開始まであと3分です。試合宙域に急いでください。”
「大丈夫。ちょうどわたしたちが到着と同時に試合スタートになるわ。」
「ソムさん。あなたクラバは初めてなのでは…?」
「“戦う”のは初めてじゃないし、焦って戦場に突っ込む必要なんてどこにもないのよ。」
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「“ツインローゼス”宙域へ移動を始めました!」
「女性は身なりを整えるのに時間がかかるものです。」
アズラエルは、ロード・ジブリールにそう言った。
元連邦軍士官…そういう触れ込みで、サイド6のクラバに潜り込んだ彼らであるが、パイロットスーツは、アナハイム社の自警団をアレンジしたものだった。
「ですが、目上のものをあまり待たせてもいけ
ません。これは教育のしがいがありますね。」
「油断をするな、アズラエル。」
ロード・ジブリールは厳しい声で言った。
「ジオンの元首は、独立戦争中に連邦軍のエースだったという噂もある。」
「ドズルのビグ・ザムをおとした“鉄槌”ですか? たかが噂話ですよ。我々の情報網をもってしても、『はっきりと否定できるだけの証拠はなかった』程度ですからね。」
“クランバトル! クランバトル開始します!
開始まで、5…4…3...”
「なかなかハンサムでしたわよね。アズラエルさんって。」
「くだらない!!」
「あら。ソムさんは金髪の2枚目はお嫌いなの?」
「大っ嫌いです。虫唾が走る。」
ヴィトーはちょっと考えた。
嫌われている理由がそれなら、二枚目はしょうがないにしても、金髪のほうだけでもなんとかならないか、と思ったのだ。
あの人の好きな赤に染めるとか。
あるいはいま乗っている金ピカに合わせて、つるつるに剃りあげて、ピカビカにするとか。
2人のニュータイプがしょうもないことを考えている間に。
“2…1…0。
クランバトルスタートです!”
開始のアナウンスと同時──ソムは敵の初動を読み、右に滑るように加速した。まずは一機が接近し牽制のための射撃を入れてくる”──そう思った。
だが、違った。
二機のゲルググは射程距離ぎりぎりで左右に広がりながら、まだ撃たない。
ビーム兵器がオミットされている以上、その主武器は機銃のはずだ。
射程にはいるかふいらないかで、まぐれ当たりや牽制も含めて、発砲する価値は十分にあるはずだ。
だがゲルググは、散開し、レイダーとロゼスバークルを包むように円を描き始めた。
「……なにこれ、演武? あんなもの意味が──」
ヴィトーが言い終えるより早く、計器が真っ赤に染まった。
《接触反応多数! 糸状──複数!》
黒い宇宙空間に見えないほど細い線が、蜘蛛の巣のように張り巡らされていた。
それは光学迷彩で隠され、なおかつ“試合宙域を動き回ることで巻きつけていく”という発想外の戦術。
動いているのは糸ではない。
敵が動くことで“空間そのものが罠になる”。
「しまった、攻撃じゃない──“気付かせずに捕縛する”戦術…!」
ソムのレイダーの周囲に、反応が一斉に収束し始める。
カツンッ
機体の腕部に一本絡まる感触。
続けて脚部、バインダー、リアスラスター──一瞬で束縛。
見えない糸が、獲物が足掻けば足掻くほど締まっていく。
《機体可動制限…30%低下!》
「ヴィトー、動いちゃダメ!
動けば…この武器が絡まる。」
遅かった。
ヴィトーの機体にも、ほぼ同時に糸が絡みついた。
その瞬間、一般回線で呼びかけが入る。
「わたしたちのもてなしが気に入っていただけると、うれしいです。」
アズラエルだった。
「あなたは、その美貌について申し分ありませんがぁ。
わたしとしてはもう少し大人しい女性が好みなのですよ。」
なんだか...「ハンマー持ちのアルテイシ専用機」ってことでレイダーを持ち出したのですが、以外に武器が少なくて書きにくいレイダーです。
ララァの“ロゼスバークル”がどんな兵器か?
――それもこれから考えます。ニュータイプっぽいのがいいけど、ビットもファンネルもインコムももう擦り尽くされてるし、そもそもクラバはビーム使えないから体当たりくらいしかないんですよ。
......ファンネルミサイル!?