第13話 鼓動   作:ATARU 2025

153 / 303
本筋からは意味の無い光景を綴って今回は終わり。
いまのところ、ペズン攻略戦参加メンバーは
クワトロ・バジーナ
ハマーン・カーン
アムロ・レイ
マチュ
ニャアン
ヤザン・ゲーブル
ロベルト
アポリー
アルテイシア
ランバ・ラル
マッシュ
ドゥー・ムラサメ
トロワ・ムラサメ
フォウ・ムラサメ

ニューディサイズ逃げてえっ!と言いたくなる凄いメンバーですが、本作のなかでは、クワトロはネオ・ジオンの総帥ではなく、ハマーンもアクシズの指導者でもなく、アルテイシアはジオン公国軍を動かせず、それどころかエゥーゴとしても参戦できないため、アーガマも当てになりません。






第26話 ペズン攻略戦~それぞれの準備

アルテイシアは、目を閉じた。

頭痛をこらえるように、コメカミに指をあて、顔をしかめる。

 

――ヴィトー・ディオールは姿を消していた。

彼女が泊まっていたハイアット・アナハイム・イズマにも尋ねたが、そもそもそんな人物は泊まっていなかった…と言うのだ。

 

契約の手続きのため訪れたヘルムコングロマリットの責任者は、ヴィトーの件になると口を濁した。

「陛下のご意向に沿うように私共も全力を上げさせていただきます。」

 

「わたしの条件はヴィトーをテストパイロットとして呼ぶことです。」

 

「もちろんそのように取り計らいます。ただ、彼女に『強制』することはでしないのです。陛下のようなお立場の方には理解が難しいかもしれませんが。」

 

ヘルムコングロマリットの副支社長と名乗る男は、“ソム・エドワウ”を平然と『陛下』と呼ぶ。

ヴィトーを通じて、ロゼスパークルの発注をしたのだがら当然と言えば当然なのだが、せっかく偽名を使っているのに面白くない。

これではまるで、クワトロなんとかとか名乗りながらみんなから“大佐”と呼ばれているあの男のようではないか。

彼女はあんな道化ではないのだ!

 

もったいをつけた挙句に、彼は別れ際に封筒を手渡した。

 

「“ヴィトー”からあなた様へ…とのことで預かりました。」

「中身は?」

「招待状…と聞いております。

詳しくは、あと5分で始まるポメラニアンズの放送をきいて欲しいとの伝言でした。アクセスコードは手紙に記されております。」

 

 

――そして、アルテイシアはアンキーの演説を聞いたのだ。

 

「戦争の代わりにクランバトルを、ですと?」

バンボラ…いやランバ・ラルは首を振った。

「それで収まるならそもそも戦争など起きはしませんぞ。」

 

「でもまさにそれは、わたしたちが、ガンダムマークⅡの所有権をかけて連邦とやろうとしていたことです。」

 

話が佳境に入る前に、半数以上のものがアクセスを切った。

クランバトルの選手を実戦に投入する?

話をきく価値もないと判断したのだろう。

 

最後まで話をきいていたのは、20名を切っている。

はっきりと参加を表明したのは、アナベル・ガトーやヤザン・ゲーブル(なんてことっ!!)などほんの数名。

あの道化者は態度を保留にした。

道化者と一緒にいるらしいカーン家の三女はなかなか乗り気だった。

発言した少数のものを除いては、みな無言だったので、メンバーは分からない。

 

クラバのトップランカーを集めた…というからには、おそらく『白い悪魔』やサイド6の若きニュータイプたちも聞いていたはずだが、彼らは一言も発しなかった。

 

「このアクセスコードを渡された…ということは、姫さまもペズン攻略に招待された、という意味ですな?」

 

「あなたもですよ、ランバ・ラル。」

アルテイシアは言った。

「そしてこれを寄越してきたヴィトーもまた招待された選手のひとりなのでしょう。」

 

「さていかがなさいますか?」

 

「ペズンはほっておけない。時がたてばたつほど、彼らは強力になっていく。」

 

「…マ・クベ閣下にジオン公国軍の出動を依頼いたしますか?」

 

「ア・バオア・クーとともにアレだけの艦艇とモビルスーツを失ったジオン公国軍に?

とんでもないわ。」

 

「ならば大戦争の火種になるまえに、クランバトルの選手だけで、ペズンを叩くと?」

 

「それが目下、ベストの選択なのよ。悔しいけど。」

 

 

------------

 

 

 

フガフガフガフガ。

 

アムロは叫び出そうとしたマチュをニャアンと一緒に懸命に押さえつけていた。

彼らの力をもってペズンの反乱軍を片付ける。

マチュは実際それに近いことを言っていたし、アンキーの演説をきいて、めっちゃ奮い立ったのも彼女だ。

 

なにか喚こうとしたので、アムロとニャアンは懸命に押さえつけたのだ。

 

「冷静になってくれ、マチュ!」

こちらからの音声マイクを切りながらアムロは言った。

マチュは小柄だが敏捷でけっこう力がある。

本気で暴れられるとけっこう厄介だ。

それにマチュは小柄だが、けっこう発育がよい部分もある。

触らないように押さえつけるのはかなりの難事だ。

 

「ジークアクスをどうするんだ!?

きみのジークアクスはソドンにあるんだろう?」

 

パタッ。

マチュはもがくのを止めた。

 

アムロにはテム・レイと組み上げた『ガンダム』がある。

ニャアンにはゾックがある。

 

一時、トリントン基地でテストパイロットをしていたマチュは、ザクやらドムやら軽キャノンやら。いろいろな機種は乗りこなしたのだが。

 

やっぱ、ジークアクスがいないとなあ。

 

「月面都市のいくつかが、ニューディサイズ支持を表明してる。」

アムロは、マチュの身体を離した。

「アンキーさんの案はめちゃくちゃのようだけど、現実的なんだ。

連邦軍は宇宙では動けない。ジオンは連邦の内紛で戦力を消耗したくない。かといって放っておけば、ニューディサイズの旗の元に集まるものはさらに増えるだろう。

だれもやれなければ…だれかがやるしかなければ、ぼくらがやるしかないんだ。」

 

「…天パ。けっこう好戦的なんだね?」

マチュが乱れた衣服を整えながら言った。

「それにエッチだ。さわったでしょ?」

 

「好戦的でも好色的でもないよ!」

 

「マチュが暴れるからだよ。」

ニャアンが冷静に言う。

 

「ねえ、天パ。お姫様と連絡をつけて、ジークアクスをよこさせてよ。」

 

マチュのあだ名の付け方は独特だがこれはわかる。

 

「セイラさん…アルテイシア様かい?

なんでぼくが…」

 

「お姫様は天パに、関心があるんだよ…ってガンダムが言ってた。」

 

また根拠なしにカンだけでしゃべってるな、とアムロは思った。

だがニュータイプの「カン」だ。

バカにできるものではない。

 

「…でもマチュやニャアンは、ジオンのテストパイロットだったんだろう?」

アムロは一応尋ねた。

「その…例えばシャリア・ブルさんの連絡回線とかもっていないの?

あのひとだったら事情を話せばジークアクスを貸してくれそうだけど。」

 

マチュはうむむ、と唸って視線を逸らした。

どうやら忘れていたらしい。

 

 

--------------

 

 

「実弾しか積まないんだって?」

ドゥー・ムラサメの体調はこのところかなり良い。

呼吸補助のマスクは。持ち歩いてはいるものの出番はほぼないし、こうして外に食事に出て、栄養剤やサプリ以外を口にすることも出来る。

ダブっとした服は上下ツナギで、パッと見、少年か少女がわからない。伸び放題の髪の毛は適当にピンで止めている。

 

ハンバーガーにフライドポテト。炭酸飲料の積まれたテーブルの反対側に座るのは、十代半ばの少年。

こちらは細身のジャケットに身を包んでいる。

鋭利な刃物を思わせる顔立ちの少年だ。

 

「慣れた武器のほうがいい。」

少年…トロワ・ムラサメは言った。

フライドポテトに手を伸ばして一本、口に運ぶ。

「…不味くはないな。」

 

「そうだろ!?」

嬉しそうにドゥーは言った。

「ここ、ボクのお気に入りのレストランなんだ!!」

 

「チェーン店のハンバーガーショップに見えるが」

実際トロワは、ドゥーに「取っておきのレストランで一緒にご飯食べよう」と言われたので、ドレスコードのつもりでジャケットを羽織ってきたのだ。

もっともネオ香港のハンバーガーショップは老若男女、かっこうも様々なものたちでごった返していたので悪目立ちするほどでもなかったが。

 

「ハンバーガーショップもレストランだろ?」

 

そこらへんをこの非常識な相手と議論する気にはトロワはまったくなかった。

 

しばらく前から、トロワのヘビーアームズは宇宙仕様に改装されていた。

 

昨晩のアンキーの演説でその目標が、小惑星ペズンであることを知ったが、それにはなんの感慨もない。

ドゥー・ムラサメが自分をモビルスーツの部品の一部と思い込むと同じ程度で、彼は自分を『兵器』だと認識していた。

兵器はそれを操るものの手で最大限の効果を発揮すればよい。

 

彼としては、彼の製作者であるゼロ・ムラサメから「アンキーの言う通りにしろ」と指示を受けている以上、そうするつもりだった。

 

目標がペズンならば、宇宙に上がったほうがよいのだろうか。

 

民間人が宇宙に上がるのはそれほど難しくは無い。

IDはムラサメ研究所から発行されている。

『ドゥー・アカツキ』に『トロワ・バートン』だ。

 

シャトルのチケットを買えば終わりだが、ヘビーアームズを積んでいく、となると少し話は面倒だ。

自身で動くか。

それとも次の指示を待つか。

 

「トロワも食べて。美味しいよ。」

口の周りから鼻先まで、タルタルソースでベトベトにしたドゥーが叫ぶ。

食べかけをトロワの鼻先に押し付けてくるので、トロワは辟易した。

ひとの食べかけを口にする、という事よりも、はたから見たらとんだバカカップルがいちゃいちゃしているように見られるのが苦痛だったのである。

 

手元のスマートフォンが鳴った。

 

ゼロ・ムラサメだ。

ムラサメ研究所の強化人間第一号にして失敗作。

 

「よう! 我が傑作たちはうまくやっているようだね? アンキーの放送は聞いてくれよな。

ネオ香港のクランのほうには話が着いている。おまえとドゥーは、明日のシャトルでとりあえずグラナダに向かってくれ。

そこで合流して欲しい。フォウも一緒だ。チケットはデニムってそっちの支配人が手配を済ませている。」

 

「ヘビーアームズも連れて行けるのか? 」

「もちろんだ!」

「ドゥーはどうする? アッガイのまま宇宙にあがらせる気か?」

「サイコガンダムRを用意している。」

 

ほぼ満席の店内だが、バカカップルの会話というのは意外に誰の注意も引かないものだ。

聞かれたとしても、彼らはクランバトルの選手であり、内容はそこから一歩も逸脱したものではない。

 

ゼロは上機嫌だった。

 

トロワが気に入らなかったのはそれくらいだ。

 

ゼロの機嫌のいいときは。

高確率で人が死ぬ。

 

これまでの経験からトロワには、それがわかっていた。

 

 

 

-------------

 

「アナハイム・ムーンラインへようこそ。」

わざわざ人間の客室乗務員が出迎える、というのはまったくのムダであったが「サービス」というのは大抵そんなものだ。

 

ララァはにっこりと微笑んだ。

 

「ありがとう。よろしくお願いします。」

「お食事は一時間後になりますが、軽食やお飲み物はいかがなさいますか?」

 

ララァは少し考えてから、同席しているヴァーニとカンチャナのためにシフォンケーキとお茶を頼んだ。

別にララァは焦って、ソム――あのお転婆姫のもとを逃げ出してきたつもりは無い。

彼女は、イズマのホテルを「ララァ・スン」でチェックインし、チェックアウトした。シャトルの乗船もララァは自分の名前で取っている。

“ヴィトー”の行方を探してもなんの痕跡もないのは当たり前だ。

 

“大佐”の妹さんと"M.A.V.”を組むのは悪くない。

だが目下のところ、彼女のM.A.V.はフォウ・ムラサメだったし、ゼロの話では、フォウはララァに精神的に依存することで、心の安定を保っているらしい。

切り捨てる気にはならなかった。

 

でも。

 

ペズンを攻略する?

アンキーから聞かされてた時、彼女はアンキーの正気を疑った。

クランバトルはあくまで「試合」。

命懸けではあってもホンモノの殺し合いではない。そのことにはたして、ララァ自身が耐えられるだろうか。

 

 

 

 

 




全員の様子を追っかけてると話がすすまないので、あとは想像で補ってください。マッシュさんは無事市長に返り咲いているようですが、また別のスギャンダルに巻き込まれているので、支持率回復を狙っての参戦です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。