第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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何だかんだで、クランとジオン公国と連邦の共同作戦みたいになりつつあります。
ただ、ジオンと連邦はあんまり関わりたくないという。



第26話 ペズン攻略戦~諸人グラナダへ

「ソドンに出撃『命令』だと?」

アルテイシアは普段はそれほど感情を顕にすることはない。

現にいまも激昂してもよい場面だ。

 

公王府直属艦隊。

その旗艦であるソドンのグラナダへの移動の指示である。

 

アルテイシアはブリッジの専用シートに腰を下ろした。

そのまま、10秒ばかり考え込む――

 

「わかったわ。公王府の戦闘艦艇については、ジオン公国軍からの貸与という形になっている。

それを徴集することはジオン公国軍にとっては正当な権利である、と。そう解釈は出来るわね。」

 

「政治も、軍政も、実際には契約の文書ではなく、『前例』で動きます。」

艦長であるラシットは無表情に国家元首の美しい顔を見つめた。

「拒否すれば、それが『前例』となります。」

 

「なら、しかたないですね。」

アルテイシアは静かに言った。

「国家元首の権限が、『法』や『契約』を上回ってしまう前例は作りたくありません。

これより、ソドンはサイド6宙域を離れ、月面グラナダへ向かいます。」

 

傍らのランバ・ラルは満足そうに笑った。

「よい判断です、姫。」

 

 

「ては、ラシット艦長。ソドン発進。進路…グラナダへ!」

 

 

---------------

 

 

「モビルスーツの輸送…でありますか?」

ドレンは、陰気な上司を見つめた。

 

「そうだ。“アルビオン”でグラナダにいるアーガマと合流して欲しい。」

 

ドレンは丹田に力を込めた。

命令書一通で済む内容に、わざわざジオン公国軍中将マ・クベ閣下が呼び出しをかけたのだ。

「それだけ」であるはずもない。

 

「アーガマはモビルスーツ性能テスト艦として届けられています。」

ドレンはマ・クベの不景気そうな面を睨んだ。

「実際、メガ粒子砲そのほか艤装すべき兵器をほとんど積んでおりません。ですか、作りそのものは、『ソドン』級の発展型です。搭載するモビルスーツは、グリーンノアで開発されたガンダムマークⅡをはじめとする最新鋭機。

パイロットはエース級を揃えております。実質的に一個艦隊を凌ぐ戦力かと。」

 

「きみの見立ては正しい。」

マ・クベは頷いた。

横にたつウラガンがびっくりしたような顔をする。

この男が相手の言うことに素直に頷くのはかなり珍しいことなのだ。

「だが今回の攻略目標は、小惑星ペズンだ。アーガマだけでは戦力不足となる。」

 

背後のスクリーンが切り替わり、何隻かの艦影が表示される。

 

「ソドン…にアレキサンドリア、ですな。」

ドレンは忙しく頭を回転させる。

搭載できるモビルスーツは三十機を越えるだろう。

だが、ペズンには最新鋭機のゼク・アインだけでもその倍を保有している、とされている。さらに連邦の一部や月都市が密かに提供したモビルスーツもあるときく。

「輸送だけ、とお聞きしましたが肝心のモビルスーツは?」

 

「クランバトルの連中が提供する。」

 

「なるほど。」

デラーズ紛争を通じて、「白い悪魔」や「狂犬」の戦いぶりをみたドレンには納得のいく話である。

しかし、これはM.A.V.戦ではない。

集団戦闘だ。

果たしてそれを指揮できるものがいるだろうか。

 

――なんだ、“大佐”がいるじゃないか。

 

考えるのも馬鹿馬鹿しくなったドレンは、ひとつだけ上司に確認した。

 

「運搬だけ、とはおっしゃいますが、実際には戦闘中の補給や破損したモビルスーツの救援もすることになります。

向こうから撃ってくれば、反撃は許可願えますか?」

 

「ドレン。その辺りは明確な指示を与えることは出来ない。

だから、この輸送艦隊の指揮はきみがとれ。」

 

胃のあたりがキュッと傷んだが、それしかないのはドレンにもよくわかった。

 

「了解であります。」

ドレンはサッと敬礼した。

「アルビオン、直ちに出港いたします。目的地は、月面グラナダ!!」

 

------------

 

 

「アナハイム・ムーンライン245便シャトルに告げる。こちらジオン公国公王府直属艦隊『旗艦』リリーマルレーンである。」

 

ムーンライン245便は通常のシャトルではない。

乗客以外にモビルスーツ数機を搭載できる特殊な機体である。

 

だがシャトルはシャトルだ。

防弾性能などは戦闘艦に及ぶべくもない。

 

機長は肝を潰した。

それでも職業とキャリアに基づいてジオンの機動巡洋艦との対話に応じた。

 

「こちらはアナハイム・ムーンライン245便である。なんのために相対速度を合わせたのか?」

 

「安心しな。いきなり撃墜なんかしねえよ。」

強制的にシャトルの通信機能をジャックしたのか、コクピットはもとより、客席のモニターにまで、相手の顔が大写しになった。

おそらく、シーマ・ガラハウを昔から知るものが見ればずいぶんと優しげになったと評するだろう。

だが、そうてでないものについては充分、怖かった。

 

「そっちのシャトルにカネバン有限公司のアンキーが乗ってるはずだ。引き渡してもらいたい。」

 

「なんの権利があって、そのようなことを。航行の安全はジオンによって補償されているはずだ。」

 

 

客席はパニックになっていた。

 

 

サングラスの青年が舌打ちをした。

「シーマめ…ジオン公王府の評判を落とす気か!」

 

「わたしが話をする。」

隣にすわったビンクの髪の少女が立ち上がった。

ふわりと身体が浮いたが、このような状況になれているのだろう。軽く天井をひと蹴りして、コクピットへと向かった。

 

「あんたと一緒に移動すれば、まさか強引な手段は取らないと思ってたが。」

印象的なメイクの女も不機嫌そのものである。

 

「残念だな。わたしと一緒だとむしろ強引な手段の対象にされやすい。」

 

「なんでだよっ!!」

 

「詳しい説明は省くがな。」

サングラスの青年…言うまでもなくクワトロ・バジーナは少女の後ろ姿を見守った。

「ここは彼女に任せておこう。」

 

「ひとのアレコレに口出しはしたくないんだがね。」

アンキーはいらいらと言った。

「あんたはうちのマチュとも仲が良かったみたいだけど、あの手の髪色の女が好きなのかい?」

 

「まさにどうでもいい事だな? なにか気に障るのか?」

 

「髪の色はともかく若すぎやしないかい?

マチュといまの女もまだ学生の年齢だろう?

どんな関係なんだい?」

 

「婚約者、ということになっている。

彼女の思い込みによる勝手な解釈だが。」

 

 

 

フライト中の機長席への侵入など許されるはずもないが、客室乗務員がハマーンの眼光に逆らえるはずもなく。

 

「わたしが代わろう。」

 

「誰だ、あなたは。危険だ。席に戻って…」

 

「代わる、と言っている。」

 

ハマーンは腕を組んで不敵に笑った。

 

「シーマ・ガラハウ殿だな?」

 

「誰だ、おまえは。」

 

モニターに映る女傑を押しのけて、変な仮面に口髭の男が現れた。

 

「ハマーン・カーン。あなたがいるということは、あの男も一緒なのでしょうか?」

「当たり前だ。わたしたちはラブラブな婚約者同士なんだ、シャリア・ブル閣下。」

「わたしはアンキーに用があるのです。」

 

シャリア・ブル…公王府直属艦隊司令官は、落ち着いて言った。

 

「ああ。クラバのボスだろう?

確かにわたしたちと一緒にこのシャトルにいる。

わたしたちは同じ目的地を目指してるんだ。逃げも隠れもしない。

なにか用事があるんなら、民間シャトルの進路を妨害するんじゃなくて、目的地まで同行したらどうだ。」

 

「それもいいでしょう。」

シャリア・ブルは答えた。

 

「おい! 司令官!」

シーマの怒声。

 

「彼女はマハラジャ・カーン様の三女、ハマーン・カーンだ。我々が随行すれば逃げることも出来まい。

行きましょう。グラナダへ。」

 

 

 

 

 

 




さすがにガトーたちやマッシュの動きは省略します。
はやいとこペズン攻略をはじめないとタイトル詐欺になってしまう!!
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