あ、すいません。アムロとカミーユとヤザンとジェリドではありません。
舞台は再びトリントンです。
夏の日差し。浜辺のパラソルのもとで我らの大佐とシャリア・ブルの謀議をお楽しみください。
アニメは早足ながらきれいに畳んだと思ってるのですがじゃあ出てこなかったあの人は?なんて思いますよね。そんなひとつがこのテーマです。ララァがキレないといいけど。
「で、大佐。」
シャリア・ブルはこんなところにまで、仮面をつけている。
トリントンも夏はそろそろ終わりだ。
シャリアとの謀議を晩夏のリゾートですることになるとは思っていなかった。
クワトロ・バジーナは空を見上げた。日差しは強いが吹く風が少し肌寒い。
「コモリン、ボールとって!」
「……バレー、下手だよね。」
マチュは白を基調にしたトリコロールカラーのビキニである。
ララァのワンピースビキニは、ニャアンに借りたものらしい。最初はかなり照れていたが、マチュやニャアンにつられたように元気いっぱいにボールを追いかけていた。
コモリはグリーンのタンキニで、ほかの女性たちより肌の露出は少なかった。
最大の謎は、作戦行動中の彼女がなぜ水着をもっていたか、である。
「若者たちは元気でいい。」
クワトロはそう言ったが彼もまだ二十代である。
ビーチバレーに興じる彼女達の審判をつとめているのはエグザべだった。
たかが、ビーチバレーというなかれ。
4人のうち3人がニュータイプというのは、ジオンのどこの精鋭部隊でもありえない。
分が悪いのはコモリだった。
「クッ! 体を使うことはニュータイプといえども訓練をしなければ!」
そんな負け惜しみを言ってみるのだが、マチュたちの先読みに翻弄されている。
「アクシズが地球圏へ移動を開始するそうです。」
シャリアは、ライフジャケットを羽織っていた。地球の本物の海を知らない彼は、なにか海をとんでもなく危険なところだと勘違いしていたようで、エクザベのギャンと自分の乗機であるゲルググをビーチまで連れてきていた。
マチュも当然のようにジークアクスを連れていたから、この一行を襲おうと思ったら一個大隊でも足りないだろう。
「ア・バオア・クーが消失した分を穴埋めするつもりか。
だがしょせんは資源採掘用小惑星だ。たいした戦力はないはずだが。」
クワトロは少し考え込んだ。
「そうか。マハラジャ・カーンか。」
シャリアはうなずいて、飛んできたビーチボールを見もせずに受け止めて投げ返した。
「マチュ! あなたは『次にこうしてやろう』という意思が見え見えです。」
「えっえっえっ、どこか見えてる?」
「ではなくて攻撃意図がです。戦いにはもっと虚実を交えないと互角以上の相手とは戦えません。」
「わかった。ありがと、ヒゲマン!」
走り去っていくマチュの後ろ姿をニュータイプの先達は眩しそうに見守った。
別に彼らが女性の後ろ姿にとくに趣味をもっていたわけではない。
それぞれ心の中に流せない澱をもってしまった彼らには、マチュが眩しかったのだ。
あの子のようなニュータイプを曇らせてはならない。
「マハラジャ殿はこのところ体調がすぐれないと聞いた。
もしものことがある前にアルテイシアのためになにかしようと考えているのなら」
クワトロは、箱型ロボット、コンチから餃子を受け取ると皿にならべはじめた。
クワトロとシャリアは、別にここで遊んでいるわけではなかった。いや遊んでいるには違いないのだが、一応バーベキューを準備しているのだ。
炭はいい感じに炎を発し始めた。
鉄板に油をひいて、火が通りにくい根菜類から焼き始める。
「おまえが私を殺さないのもそれと関係しているのか。」
「アルテイシア様は承知しておりませんが、マハラジャ・カーンはまだあなたに利用価値があると考えています。」
クワトロは、氷水をはったバケツからシャンパンを取り出した。
未成年のマチュたちのために、清涼飲料水も用意している。
「デラーズ・フリートにティターンズ。旧ザビ家。いろいろ火種はあるもののマハラジャ・カーンはアルテイシア様が今後もうまくやっていくだろうと予想しています。」
「まさか。跡継ぎの話か。まだアルテイシアは、22だ。いくらご老人とはいえ焦りすぎだろう。」
「アルテイシア様とは直接関係はありません。
マハラジャ・カーンは自分の死後もカーン家がジオン公国に影響力を残すことを望んでおられます。」
クワトロは難しい顔で、じゃがいもをひっくり返した。
「ものごとには両面があるな。アルテイシアの政権に関わりたいというのは、自ら権勢を保ちたいという以外に、自分の死後もカーン家がアルテイシアの後ろ盾になってくれるとの意思表示でもある。」
その通り。
たいしたものです。
シャリアは呟きながら、醤油に生姜、辛味噌をといて特製のタレを作っていく。
「さて、古来『家』として味方につくには決まった儀式があります。お分かりですか?」
「……政略結婚だ。だがマハラジャ・カーンには男子はいなかったはずだ。それにアルテイシアに結婚を急がせるのはまだ早い。」
クワトロは、苦虫を噛み潰したような表情になった。
「……それでわたしか。
だが待て。カーン家の長女はたしかドズルの」
「次女がおります。キシリア様のニュータイプ狩りから逃れるために、アクシズに行っておられますが。」
「たしかハマーンと言ったな。いくつだ。」
「たしかマチュくんと同い年かと。
そろそろ野菜は火が通りました。彼女たちを呼びましょう。」
クワトロはうなずいて立ち上がったが、すでにマチュ、ニャアンそしてララァまでもが、ニコニコしながらデッキチェアに着席していた。
「ニュータイプの先読みというのはこういうふうに使うものではありません―――」
シャリアが女性陣に説教している間に、クワトロは切り分けた肉を鉄板で焼き上げていった。
通常の三倍の速度で焼かれた肉をマチュたちが三倍の速度で平らげていった。
本日2本目。書き溜めしてないんで書いて出しです。
ちょっと短いのと、話がアムロたちから離れるんで公開しちゃいまーーーーす。