第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ニューデイサイズの立てこもるペズンへ!!
急ごしらえの艦隊は発進する。
連邦とジオンの共同艦隊。そこに搭載されるモビルスーツは「クランバトル」のトップランカーたち、という歪な艦隊である。
いっぽうペズンは、独自に開発した高性能モビルスーツをはじめ、充実した戦力をもって、これを迎え撃つ。


クワトロの。ハマーンの。アルテイシアの。
それぞれの思いを乗せて、決戦は間近!!





第26話 ペズン攻略戦~来るべき未来

ジュドーのゼータが人型に変形する。

ロングビームライフルの銃口に形成された刃を、一閃。

旧式のモビルスーツはむしろ飛び込むことでその刃をかわした。

飛び込みざまに逆手にもったビームサーベルを振るう。

 

“Zガンダム。両腕破損。

戦闘を継続しますか↓↓↓”

 

モニターに表示されたメッセージをジュドーは殴りつけた。

そういうパイロットが多いのを想定しているのか、シュミレーターのコクピットの操作パネルはビクともしない。

 

「ジュドー。変形に頼りすぎだ。」

アムロの声が響く。

「Zガンダムは、ぼくのガンダムや大佐の百式に比べてもかなり高火力なんだから、安易に接近せずに、射撃で相手を削ることをもっと考えるんだ。」

 

答えずに、仏頂面のまま、ジュドーはコクピットを出た。

 

じるじるじるじる。

 

なんだか緑色の液体をすすっているカミーユの隣に腰を下ろした。

 

「何分持った?」

 

「さ、三分…」

 

「俺は三分十秒もったぜ!!」

 

飲み物を探したが、「果汁100メロメロメロンジュース」以外は、ドリンクサーバーはすべて品切れである。

しかたなく、ジュドーは同じものを買った。

 

じるじるじる

じるじるじる

 

二人のニュータイプがじるじるしてるところに、アムロがシュミレーターのコクピットから出てきた。

 

「二人ともすごい進歩だよ!」

二十歳はすぎているはずなのだが、別に年上ぶる感じもなく、「仲間」として接してくれている。

それだけに、「対戦」したときの恐ろしさが身に染みるのだ。

 

「アムロさん。なんかシュミレーターのプログラムをいじったりしてます?」

カミーユが恨めしそうに言った。

 

「してないよ。なんで?」

 

「あなたの動き見てるとなんだか、こっちが次にどう動くかわかってるみたいで。」

「そ、そうなんだよ!」

 

ジュドーも勢い込んで言った。

 

「関係ないとこにバズーカを撃って、でもってこっちがあとから撃ったビームを回避してるといつの間にか、バズーカの弾道に誘導されてて…」

 

「クランバトルは読み合いだからね。」

優しい天パの青年は言った。

「これが何機ものモビルスーツが入り乱れる実戦になるとまた違うんだろうけど…。

それはぼくも経験がないからね。」

 

ジュドーとカミーユは黙った。

あの読み。あの機動。あの動き。

“カン”とかで片付けられるものを越えている。

と思うのだが、上手く言語化できないのだ。

 

「アムロ。」

部屋のモニターにエマ・シーンの顔が映った。

「ココ・シャロンがあなたを探しているわ。」

 

「誰…ですって?」

 

「アンキーさんのクラバの新人よ。知ってる?」

 

「まだ会ったことはないです。」

 

「なんの用事かはわからないけど手短に、ね。

二時間後にはグラナダを発進するわ。」

 

「え、そんなに早く? まだソドンとアルビオンが到着していない…」

 

「途中で合流するようよ。

クワトロ大尉が調整したの。出撃するからには早い方がいいって。」

 

「クワトロ大尉も帰っていらしたんですか!」

アムロはドリンクサーバーをちらっと見たが、「天然100メロメロメロン」しか選べるドリンクが無いのをみて諦めた。

「で、どこにいるんです?」

 

「クワトロ大尉なら、アンキーさんたちとブリーフィングルームよ。公王府直属艦隊のシャリア・ブル司令官とシーマ・ガラハウが来てるのよ。アンキーさんに確認したい事があるって。」

 

「わかりました。ぼくもいくんですね?」

 

「え、いや、あ、勘違いしないで。あなたに会いたがってるのはココ・シャロン。」

 

「なんでまた」

 

「それは本人にきいて!

まったく! ただでさえ忙しいのに。

アストナージさん! ハンブラビはリリーマルレーンに格納スペースを開けてもらったわ!

ヤザン大尉! ロべルトとアポリーを連れてハンブラビで直接移動してください。 ああ、それと」

 

モニターは通信先を切り替えられたらしく、唐突に消えた。

 

「じゃあ。カミーユ。きみはいま一歩の踏み込みを。

ジュドーは遠距離射撃の精度。ここら辺に気をつけて。またあとでね!」

 

 

-------------

 

 

シャリア・ブル准将は、目の前の女性を見つめた。

直接会うのは久しぶりである。

最初に会ったのはサイド6イズマコロニーだ。

そのときは、クランの中でもだいぶ格下。それこそ偶然手に入れたガンダムクァックスを試合に使わねばならぬほどの零細クランだったのだが、その後の活躍はたいしたものだった。

 

正式にクランバトルを「競技」として認めているのはサイド6だけではあるのだが、そこの理事会にもちゃっかり席を連ねている。

 

「大佐…になられたそうで。」

アンキーの視線は、シャリア・ブルを見ていない。その隣に立つ女偉丈夫を見ている。

 

「おおっ!」

こんな笑顔を部下の海兵隊以外にシーマがみせることはまずない。

「おまえもずいぶん出世したんだな。」

 

「からかわんで下さい、姐御。」

アンキーは珍しくムキになって言い返した。

 

「で? クランを集めて、テロリストを鎮圧して。それでどうなる? なにが変わる。」

 

「正規軍人が『たかが見せ物』の選手に圧倒されるんだ。バカバカしくて正規軍なんて維持したくなくなりませんかね?」

アンキーの口元はいつものニヤニヤという笑いが張り付いていたが、その唇は震えていた。

「正規軍が無くなれば少なくとも万の兵士が衝突する大規模な軍事行動はとれなくなる。

巻き込まれて、亡くなる無辜の市民もいなくなる。」

 

「それでも争いは起きる。世の中なんてこっちもあっちも正義同士のぶつかりあいだ。

殴り合いでしか決着がつけられないことは絶対に出てくる。

そのときに戦争がなければ、今度は本当に無差別の殺し合いになるぞ?」

 

「だからそこで、クラバを。」

アンキーは言った。

「それぞれの条件を賭けてクランバトルを。

いくらルールに守られたって人死は出ますが、戦争よりははるかに少ない。」

 

「…うまくいくとは思えん。」

シーマはパチンと扇子を鳴らした。

「まあ、でも面白そうだからやってみろ。

シャリア・ブル閣下? そちらの用事は?」

 

シャリア・ブルはため息をついた。

アンキーがクランバトルのトップランカーを集めてのトーナメント。その影に隠れてなにをしようとしているのか。

それを問いただすつもりであったのだが。

 

「ああ。わかりました。

もういいです。」

 

「よし! これにて一件落着!!」

クワトロの隣に座ったハマーンが立ち上がって呵呵と笑った。

これはこれで「指導者」の意味を履き違えている。

 

「ポメラニアンズはどうする? ソドン、アルビオンは途中で合流されるから、準備が出来次第発進するぞ?」

 

「ここで言い出しっぺが降りろって?」

アンキーは鼻をならした。

「冗談じゃないよ! わたしらは特等席で見物させてもらうのさ。

クランバトルの時代の到来を!!」

 

 

 




次回は「夢の回廊」。
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