第13話 鼓動   作:ATARU 2025

174 / 303
月面都市エアーズへ。
アーガマへ。
戦力で勝るニューディサイズは次々と強襲を行う。
対してアーガマは、強化人間のドゥーとトロワを発進させた!





第27話 決戦~アーガマの戦い

「女狐め、が!」

禿頭にサングラスの大男が歯ぎしりするように言った。

「クラバだと!! 賭けだと!?

ふざけるな。我々をなんだと思っている!

我らの崇高なる使命を。」

 

マイクのスイッチを入れて叫ぶ。

 

「ブレイブ・コッド大尉!

発進準備はどうか?」

 

「出来ている。」

もともとは血気盛んなプレイブだが、バスクへの態度は冷ややかだ。

彼はジャミトフが連れてきた人材ではない。

もともとのニューデイサイズの思想……分裂しかかった連邦軍から私欲にはしる一派を断罪し、軍を刷新する――

そのような考えを持って集まったものたちのひとりである。

御輿として、エイノー提督を担いだにせよ、ジャミトフやバスクから命令をうける言われはない。

 

そもそもプレイブたちが、立ち上がろうとしたその目的がティターンズの排除だったのである。

 

そのティターンズから命令をうけている。

 

矛盾を押し殺して、プレイブは命令を受けた。

 

ガンダムマークⅤとハイザック7機をもって後方のアーガマを急襲せよ。

 

アンキーのノリノリの演説は、意図しないことだが、ニューディサイズの戦力を分断してしまう効果を生んだ。

 

 

 

そしてまた。

 

「なに!? アルテイシアが月面のエアーズに現れた、だと?」

「はい。自らモビルスーツに乗り込んで護衛の三機とともに来訪したそうです。」

「市長はなにをやっている! なぜジオンの首魁を逮捕せんのだっ!」

 

出来るわけがないだろう。

と、怒鳴りつけられた部下は思った。

彼はもともとティターンズの人間で、ティターンズとジャミトフが完全に失脚したあと、仕方なしにニューディサイズに参加したクチてあった。

頑迷な地球至上主義であったが、バスク・オムという人物を好んでつかえているわけではない。

 

月面都市が濃淡はあれ、自治権をもっているのは、そもそもジオン公国がそう承認したからだ。

そのジオンの元首を逮捕?

 

不可能だ。

 

だが彼の上官は暴走を続ける。

 

「グラナダ近くのアナハイムの工場にこちらに納品予定のハイザックがあるはずだ。パイロットも送ってある。それをエアーズに向かわせろ。」

「エアーズ市街で戦闘を行わせるつもりですか!?」

「かまわん。なにをやっても責任をとるのは、ジオンだ。あるいはひよってアルテイシアを逮捕しなかった市長だ。」

「ジオンは、あくまで『連邦の内紛』だからこちらに手を出さなかったのです。」

 

バスクより少し頭の回る部下の声は悲鳴に近い。

 

「そんなことをすれば、ジオンは正規軍をだしてこちらを潰しにかかります。」

「アタマさえ叩いてしまえばそれはない。」

 

ムダな自信にあふれた男は胸を張った。

 

「アルテイシアがいなければ、ジオンはダイクン派、ザビ家派、共和派で内紛を始める。ペズンどころではない。」

 

かくして、月面の工場でペズンへの移送待ちだったハイザック6機は、ソドン攻撃ではなく、エアーズ市へ向かうこととなる。

 

-------------

 

 

アーガマ。

 

モビルスーツの運用テスト艦であり、戦闘艦ではない。

と、無理やり位置づけられていながら、デラーズ紛争に続き、戦闘に巻き込まれっばなし、新鋭艦である。

 

「敵モビルスーツ接近します。

これは……ハイザックです。

ハイザック7機、ほか未確認機1機。」

オペレーターを務めるエマの叫びに、アンキーはいやな顔をした。

 

「なんで」

 

「あんたが、変な演説をかますからだろうが!」

ヘンケンが返した。

「あれをきいたらまず、演説したやつをぶん殴りたくなる。」

 

「いや、それはもともと奴らの戦力を分散させるために、あおったんだから計算済みなんだが」

 

アンキーの言葉にブリッジにいたものは、あんぐり口を開けた。

 

「だがなんで、こっちに向かってくる数がそれだけなんだ? たかだか8機のモビルスーツじゃアーガマはおとせんぞ。」

 

 

「アンキー。アーガマはモビルスーツのテスト艦だ。構造としてはソドンの流れを汲む強襲上陸艦だが、武装はほとんど持っていない。

搭載モビルスーツもアムロやマチュはソドンへ移動。クワトロ大尉とニャアンも偵察でここを離れている。

おまけにハイザックは先だって教導舞台から配備が始まった新鋭機だ!」

 

「月面都市が供給してるのは旧式のザクがほとんどだと考えていましたが、ハイザックがいるとなると、アナハイムも一枚かんでいることは間違いありません。」

ブライト中尉が言った。

 

「そこはまあ、うちの子たちがよしなにやるよ。」

白衣の「狂」のつく女科学者――ゼロ・ムラサメが言った。

「機種が識別できない一機が気になるけどね。まあ、ドゥーとトロワの肩慣らしにはちょうどいい。」

 

「……だそうだが。」

ブライトはコクピットに待機している二人に話しかけた。

「出られるか?」

 

「質問は無意味だ。指揮官はただ命令すればいい。」

「フッフッフっ……戦いだ、戦いだ、戦いだあ!!」

 

 

----------------

 

 

「敵、距離二万。ハイザック部隊、散開してきます。」

 

エマの声は冷静だったが、その背後で表示される光点の動きは、明らかに“慣れた軍隊”のそれだった。

 

「ミノフスキー粒子、急速散布!

未確認機は?」

 

「……来ます。速い!」

 

一瞬、モニターが白く弾けた。

 

ハイザックの編隊の背後、まるで影のように現れた白と蒼の機影。 流線型の装甲、背部に展開された不気味なユニット。

 

「ガンダム……?」

 

誰かが呟いた。

 

「ツインアイとV字のアンテナがあればなんでもガンダム、というわけじゃないわよ。」

ゼロ・ムラサメが、楽しげに唇を歪める。

「でもまああれは“狩る側”のガンダムよ。マークⅡの改修型のようね。おそらくは隊長機。」

 

 

アーガマの出撃カタパルトから宇宙へ。

 

二機のモビルスーツが放たれる。

 

ドゥーのサイコガンダムR。

彼女がかつてイズマコロニーで使用したサイコガンダムを通常のモビルスーツサイズにまで縮小、再構成したものである。

内蔵された多数のメガ粒子砲やIフィールドは取り外されているが、その分、俊敏な動きが可能だ。

 

トロワのヘビーアームズ。

全身に敷き詰められた実弾兵器が、静かに照準を合わせていた。散開したハイザックをロックオンしていく。

 

「命令を確認するよ。」

ドゥーの声は緊張の欠片もない。

「こいつらは殲滅でよいの? それとも少し残す?」

 

「ゼロのこどもたち!」

アンキーはマイクを手に取ると叫んだ。

「これはクランバトルなんだ。故意に命をとるのは反則だよ!?」

 

「了解」

トロワは短く答え、すでに引き金に指をかけている。

「機体を行動不能にすることを最優先する。」

 

 

 

 

 

 




ここでニューディサイズが、アーガマにゼク・ツヴァイとゼク・アインをぜんぶ投入してればまあ違ってくるんでしょうが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。