第13話 鼓動   作:ATARU 2025

180 / 303
書いてる本人にもわからないことが起きてます。
このお話のラスボスはどうもララァになるっぽいです!!!





第27話 決戦~世界を歪めるもの

アーガマに戻ったクワトロは、休息時間を与えられた。

とはいえ、それはパイロットとしてのクワトロ・バジーナであって、エゥーゴの重要人物としてのクワトロはそうもいかない。

 

ブリッジには彼の帰還に合わせて、アルビオン艦長ドレンやアレキサンドリアのガディ・キンゼーも集まっている。

主だった士官たちもだ。

なせかハマーンもちゃっかりと参加しているが、これはブレックスからエゥーゴを任せると言われている以上、一応の面目はたつ。

同時に、まったくの民間人でありながら参加しているアンキーは、一応、今回の戦いの発案者であるので、これも当然だろう。

後方待機のはずのリリーマルレーンからは、シャリア・ブルとシーマ・ガラハウも顔を見せている。

 

参加していないのは、ソドンの面々くらいだったが、曲がりなりにも戦闘中の艦隊幹部が全員ひとつところに集まるわけにはいかない。

 

「いまのところ上手くいってはおりますな。」

ジオン側からは「艦隊司令官」ということになっているドレンがそう言った。

艦隊としては直接攻撃には参加しない。

また、お忍びとはいえ、ソドンには彼のはるか上位者も存在するので、彼のやることは意外と少ない。

モビルスーツの運用は、ブライトという若い連邦士官がこなしていた。ドレンから見てもなかなか見事なものだった。

 

「幸運が重なっているだけだ。油断はできんな、ドレン閣下。」

クワトロは言った。

 

「運も実力のうちでしょう。」

ドレンはクワトロに、どう対していいのかまだ若干、迷うところがある。

彼は、ジオンの伝説的な英雄であり、ドレンの元上官でもある。

だが、わざわざ偽名を名乗ってその正体を隠しているようでもあり……

 

「いくつかの偶然がこちらを後押ししてくれていることは感じるな。」

ガディ・キンゼーが言った。

連邦の設計案により、ジオンが建造した重巡アレキサンドリアの艦長であり、もともと思想的な立場は、ニューディサイズに近い。

新造艦アーガマが、エゥーゴの影響下にあるため、その監視のためにアーガマと同行しているうちに今回の騒動にも巻き込まれている。

「我々がもっとも困るのは実は、やつらに相手にされずに、ペズンに引きこもられることだ。

要塞を攻略し、占拠するような人員はないからな。」

 

「だが、アンキーのクランバトル宣言と、わたしたちがクランバトルルールを遵守して戦っているせいで、ニューディサイズはこちらを舐めている。

不用意な小出しの攻撃をなんども繰り返しているわけだが、むこうとしては撃墜された機体がほとんどない以上、『負けている』という意識すら持ちにくい。」

クワトロが補足する。

 

アンキーは、わたしの手柄だ、と言わんばかりに胸をはったが、はたしてそこまで読んだうえで、あの演説をぶったのか。

シーマ・ガラハウの冷たい視線に気がついたアンキーはみるみる肩を落とした。

 

「それでも、繰り返し波状攻撃を仕掛けられれば、数で劣るこちらは機体のメンテが追いつかなくなります。

パイロットの疲労も蓄積されるでしょう。

しかし、アルテイシア元首が月面都市に対してかなり強引な交渉を成功させたおかげで、攻撃はいったん中断されております。

これは大きな成果かと。」

ブライトがクワトロを見ながら言った。

 

「しかし、ソドンにアルテイシア様が乗っていることはこれで、バレてしまったわけですからね。」

シャリア・ブルが言う。

「正規軍の艦隊による攻撃ではないとはいえ、ジオンがニューディサイズに対する敵対行動をとったことは、明白になりました。」

 

「それは『なにをいまさら』の部分だぞ、シャリア・ブル……閣下。」

クワトロは不敵な笑みを浮かべた。

「彼女がソム・エドワウの偽名でクランバトルに潜り込んだことは、おそらくもうバレている。

ニューディサイズがソドンを狙って執拗に攻撃をしかけてきたのはそのためだ、と考えると辻褄があう。

それに、ジオンにとってニューディサイズの存在が邪魔なのも当たり前だ。

ほとんど、資金面のつながりはなかったとはいえ、ペズンはもともとはジオン所属のモビルスーツ開発工廠だったのだ。

条約違反の地球連邦の、しかもその反乱軍などに居座ってもらうことがありがたいはずはない。」

 

「では、こちらが打つべき次の一手は?。」

 

一同は顔を見合せた。

このように統一性のない小出しの攻撃を断続的に退け続けることで、ニューディサイズのモビルスーツをすべて稼働不能に出来れば、紛れもなく勝利だが、そこまで相手が愚かだとは思えない。

 

ハマーンが手を挙げた。

「むこうの戦力増強が絶たれたいまこそ、こちらは戦力を強化すべきだろうと思うが。」

自信たっぷりな口調だったが、アンキーに睨まれた。

 

もちろん、いくつかの偶然が転がればジオンの指導者にでもなったであろう胆力の持ち主であるハマーンは小悪党の視線などビクともしない。

 

「アンキー。あなたに力を貸して欲しいのだが。」

 

「はっ!?

わたしはこの戦いを通じてクランバトルのそのものの質の高さを世に知らしめたいんだ。

いまさら。有象無象の兵を集めて、数で対抗する気は毛頭ない。」

 

「有象無象でなければよいのだな?」

 

「あとは無論、クランバトルの選手として登録されていることが条件だよ。」

 

「そこらは、実際はあなたの権力でどうにでもなるんだろう?」

 

アンキーの唇がヒクヒクと動いた。

 

「多少の無理は効くがね。ルールを曲げてまで参加させたいパイロットがいるのか?」

 

「いるとも!」

 

「誰だね、そいつは。」

 

顔を伏せたハマーンが、クックックと笑い声を上げた。

ゆっくり顔を上げながら、親指で自分を指さした。

 

「このわたしだ!!」

 

「ふ、ふざけるな! なんでおまえが!」

 

「そりゃ、いい案じゃないか!」

 

身を乗り出してきたジオンの女佐官に、アンキーの顔がひきつる。

シーマ・ガラハウ。

元海兵隊。いまはジオン公王府直属シーマ艦隊の指揮官である。

 

「わたしもクランバトルとやらに登録してもらおうか。見てるだけなのはウンザリしてきたんだ。部下も全員とは言わん。わたしだけでいい。もし、ジオンの軍人であると具合が悪いなら、たったいま除隊させてもらおう!」

 

アンキーは助けを求めるようにブリッジをを見回した。

たしかに、ハマーンとシーマは、戦力的にはプラスになる――だがそれは、彼女のコントロールがまったくきかない戦力を作ってしまうことになるのだ。

そしてまた、エゥーゴの代表であるハマーンと、ジオンの高官であるシーマを参加させることは、ペズン討伐を「クランバトルだけの力」でやりとげるという目標に傷がつく。

 

「シャリア・ブル! シャリアのダンナ!

どうもジオンの軍人さんたちが無茶苦茶を言うんだ。なんとか止めて……」

 

「ふむ」

シャリア・ブルは、口元に手を当てて考え込んだ。

この男ならなんとか場を収めてくれる……

アンキーは期待したのだが。

 

「その手がありましたか。なら私も軍を一時離脱します。事務手続きはラシット艦長にお願いするといたしましょう。」

 

 

-------------

 

 

 

 

 

ラシットはソドンの艦長席で少し身震いをした。

 

「大丈夫ですか? ラシット艦長。」

金髪の髪をした美しきジオンの元首は、心配そうにそう尋ねた。

 

「いえ……少し、考えすぎているかもしれません、陛下。」

ラシットは正直に答えた。

「また、誰かからとんでもない無茶ぶりをされそうな予感がしたのです。」

 

「それは良くないですね。」

アルテイシアは眉をひそめた。

「もし、そのようなことがあったら、直接わたしに相談してください。」

 

いや、シャリア・ブル司令がどんな無茶を言ってきたとしてもあなたよりはマシです!

ラシットは心の中でだけ深いため息をついた。

相談もせずにモビルスーツで出撃、謀殺を狙った敵モビルスーツ隊を自ら蹴散らして、エアーズを始めとする月面都市群とペズンの関係を分断させてきた国家元首には、相談するだけムダだろうと言う気がしたのだ。

 

ソドンのブリッジには、まだ戦闘の匂いが残っていた。

 

それは実際の臭気というよりも、身体の奥に残る緊張のようなものだ。

 

ブリッジのドアが開き、アムロが入ってきた。

赤毛の少女、マチュともうひとり。

黒髪をお団子に結んだ美女を連れている。

ララァ――ココ・シャロンだけはパイロットスーツではない。

ふわりとしたワンピースのような服をきていた。

すそがひるがえり、アルテイシアのとなりに立つ。

 

「ご無事で。」

 

「運が良かっただけよ。ニューディサイズの愚かしさにずいぶんと助けられたわ。

あそこで、ハイザックの襲撃がなければ、エアーズを離反させるなんてことはとても出来なかったでしょう。」

 

それから、アムロの方を向いた。

 

「アムロ、マチュ。わたしのいない留守にゼク・アインと戦ってくれたそうね。」

 

「ええ、まあ、なんとか。」

 

その様子をアルテイシアは訝しんだ。

 

「なにか気になることでも?」

 

「いえ、その……」

アムロは口ごもった。

 

ココ・シャロンは面白そうにそれを見つめる、

 

「引き続き、ソドンがニューディサイズの攻撃目標になる可能性が高いです。その……ココ・シャロンさんとフォウ・ムラサメを後方のアーガマに移しては、と。」

 

ココ・シャロンの瞳が、わずかに細められた。

 

「……わたしが、危険だから?」

 

「あなたはたぶん、すごいニュータイプなんでしょうけど、戦いをするひとではない。」

 

アムロは言葉を選びながら答える。

本当は、彼女を早くクワトロにあわせて、二人の間のわだかまりをとっとと解消させてやりたいからなのだが、アルテイシアをはじめとするソドンのクルーたちは、ココ・シャロンがクワトロの想い人であることを知らない。

そのことをここで言い出したら、さぞかしやっかいなことになるのは、わりと朴念仁のアムロにも理解できた。

 

アルテイシアは、ふたりの様子に微妙な違和感を覚えつつも、静かに問いかける。

 

「ココ・シャロン。あなた自身はどう思うの?」

 

「さあ」

 

ココは柔らかく笑った。

 

「ただの厄介な体質かもしれませんけど。宇宙に出ると、妙に勘が冴えるものですから。そのカンがわたしにアムロとともに戦えと言っているのです。」

 

アムロは小さく息を吐く。

 

「ソドンは危険です。

今後もニューディサイズはここを狙ってくる。」

 

「あなたが傍にいればだいぶマシになるのよ、アムロ。」

 

アルテイシアは少し考え込み、ラシットの方をちらりと見たあと、再びココを見る。

 

ココは、ブリッジの窓の向こう――

そこにいるはずの“誰か”を見ているような目をしてから、微笑む。

 

「ここにいたほうが、いい気がするんです。

理由はうまく説明できませんけど……そういう時って、だいたい当たるんですよ」

 

アルテイシアは、わずかに口元を緩めた。

 

「直感、というわけね」

 

「はい。ジオンの元首に言うのも変ですけど」

 

マチュがアムロのほうを盗み見る。

 

(……ララァだって、言えないよね)

 

アムロは黙って頷いた。

 

「たしかにいくらニュータイプ能力に優れているからと言って、軍人にむかない人だっているわ。」

 

アルテイシアが静かに言う。

 

「あなたをアーガマに移すのはわたしも考えたのだけれど……でもアーガマも今回の攻撃で狙われた。

どこにいても危険ならば、わたしとアムロにあなたを守らせてほしい。」

 

「御心のままに。」

 

ココは優雅に片膝をついて、礼をとった。

アルテイシアからは見えない角度でその目が悪戯を楽しむように笑っているのを、アムロだけがとらえた。

 

 

 

 

 

 




一応、GQuuuuuuXが13話以降も続いたら……という妄想で始まったこの二次創作ですが、27話まで来てしまいましたので、次回からタイトルを変えます。
最終話を劇場版で公開したことにします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。