ニューディサイズ、アン・ムラサメ。
そしてクランのメンバーたち。
彼らは何を思い、何に賭けるのか。
ブレイブ・コッド大尉は、ガンダムマークⅤのシートに腰を落ち着けた。
すでにニューディサイズ各隊は発進シークエンスにはいっている。
「ジョッシュは、クランの可変機2機と交戦したが互いに損傷なし。そのまま、エアーズにむかうとの事だ。」
「ガスをもったまま、ですか。ぞっとしますね。」
トッシュ・クレイ大尉が言った
たまたま隣り同士にいるため、モビルスーツを触れ合わせることで内密の会話ができる。
バスクたち旧ティターンズには聞かせられない話である。
「わたしが、クランのパイロットならば、ガスボンベのみを破壊して、モビルスーツは相手にせずに早々に立ち去りますが。」
「そのまで知恵の回るものがいなかったんだろう。」
コッドはそう返した。
「そうしてもらえれば、ジョッシュ隊もペズン制圧を諦めてこちらに合流できる。ある意味、理想的にクラン艦隊に戦力を集中できることになる。」
「まったく。敵も味方も無能ばかり、ということですか。」
呆れたことに、このときまだニューディサイズは、ジョッシュ隊が毒ガスボンベをすべて破壊されたことを知らない。
混乱からなんとか隊を集結させたジョッシュは、ペズンに報告を行ったのだが、バスクはクランの可変機を取り逃したことに怒り、ロクに話を聞こうとしなかったのだ。
結果、ジョッシュたちは通常兵器のみで、エアーズ制圧作戦を続行している。
「ところで、アーガマの抑えをよろしくお願いしますよ。このタイミングだと、ジョッシュたちを迎撃した可変機も間に合いそうです。」
「任せておけ。」
コッドは自信に溢れている……という程ではない。
これまでのデータなら、おそらく出てくるのは、ビット兵器を搭載した新型、それに実弾兵器に特化した基地制圧タイプだ。水陸両用機のゾックを宇宙用に改装した機体もいる。
それにおそらくは、可変機が間に合う。
コッドの隊は彼のガンダムマークⅤとゼク・アイン五機だ。
モビルスーツ数とパイロットの腕を考慮すればまずは互角だろう。
「それよりもソドンにむかうおまえの隊のほうが気がかりなんだがな……」
「私の隊、ではありませんよ。指揮はバスクが連れてきたパイロットがとります。」
コッドとクレイも、もともとエイノー提督と志を共にしたメンバーだ。エイノーが病床にあるうちに決戦をしかけるジャミトフたちに手放しで賛成しているわけではない。
だが。
とにかく戦いに勝つことが先決だ。
ソドンの搭載モビルスーツに変化がなければ、巨大な鉄球を使う新型、それにサイコミュ兵器を搭載した新型2機。エイに似た可変機構をもつ新型も3機いる。
ほかにもガンダムタイプの新型ジークアクスや抜群の射撃の腕をもつガンダムもどきもいるはずだ。
油断ならない陣営ではあるが。そこを50機を超えるモビルスーツで襲うのだ。
いくらなんでも数で押しつぶせるだろう。
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「じゃあ、マシュー、マリラ。
遊びに行ってくるね。」
赤毛の少女は明るくそう言って、床を蹴った。
小柄な体がふわりと舞い上がり、モビルスーツがさらに鎧を着込んだような異形――ゼク・ツヴァイの巨体に向かう。
「無事に帰って来るんだぞ!
いいか、体や機体に異変を感じたら、直ぐに遊びはやめて帰還するんだ。」
「わかってる! マシューはいっつも心配するんだから!」
明るく手を振るアンの前でコクピットが閉じた。
“ゼク・ツヴァイ、ゼク・ツヴァイ、発進します。”
「バスクは、ゼク・ツヴァイをどこの攻撃に当てるつもりなんだい?」
マリラが言った。しょっちゅうしかめっ面の女科学者の顔は、今日はいっそう険しい。
「わからん。本隊とは別に動かすらしい。」
「ゼク・ツヴァイの火力とアンの腕ならどんな戦艦でも一瞬で沈められる。」
マニラはだが他に気がかりかことがあるようだった。
「この前……ゼロが言ってたことは本当かね?」
「ゼロ・ムラサメが、か?」
「そうだよ。アンに『遊んでもいなくならない友だち』に会わせてやるって。」
「アンの遊びは、モビルスーツの戦闘で、友だちはその対戦相手だ。」
マシューは首を振った。
「たしかにムラサメ研究所の強化人間……ドゥー、トロワ、フォウならアンとも互角に戦えるだろう。
それに、ニュータイプのエースたちなら。
だがアンが落とせなければ、それは相手がアンを落としてしまうだけのことだ。
いずれにしても同じ相手と二度と遊べることはない。」
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「ヤザン・ゲーブル! 発進シークエンス!
発進後はソドンの防衛に回ってください。」
別にそんなつもりはないのだろうが、エマ・シーンの声はいやに冷たく、叱責されているように響く。
「おい、俺たちがいなくてもアーガマは大丈夫なのか!?」
ヤザンはコクピットからエマに怒鳴り返した。
「クワトロの旦那とジュドーはうまくやったみたいだが、帰投にはまだ時間がかかる。
アムロの腕はわかっちゃいるが、あの機体じゃあ火力不足だ。
ジークアクスも基本装備はビームライフルとサーベルだけだろ。
フォウは不安定だし、ココは、ありゃあ、もともと戦いに出すのは無理なヒトだぜ?」
「すでに、ペズンからのモビルスーツ隊の発進は確認しています。」
発進間近のパイロットに長々と会話する時間はないものだが、エマは冷たいほどに事務的な口調は改めずに、一応説明をはじめた。
ヤザン・ゲーブルという男に無理やり、頭ごなしの命令などできない――ということだ。
「敵は2つの隊に別れています。
ひとつは、50機を越える大部隊でこちらはソドンに向かうと思われます。
もうひとつは、6機からなる小部隊です。これはこの前に遭遇したインコムを使うガンダムタイプとゼク・アインからなる部隊です。
この部隊はおそらく、アーガマを強襲すると思われます。」
「……と思われる、か。まあ確定は出来ないにしろなんか根拠はあるのか?」
「はい……」
ハンブラビのコクピットのサブモニターが映像を結ぶ。
「この部隊は対モビルスーツ戦に特化した仕様です。とくに対艦用兵器は全く装備しておりません。
艦そのものに固定の武装をもたないアーガマ攻略に適した装備だと思われます。」
絶対はない。
だが、エマ……いやモビルスーツ部隊指揮官のブライトの予想は当たっているように思えた。
ならば確かに、ヤザン隊はソドンの援護に回るべきだ。
直衛にはアルビオンのバニング隊が出てくれるだろうから、早い段階で迎撃できる。
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「重巡アレキサンドリア、ガトー少佐殿!」
ブライトからの連絡に、ガトーは苦笑いを浮かべた。
彼としては、軍を引退した身なのだ。
連邦軍のブライトから階級名で呼ばれたくはない。
「呼び捨てでけっこうだ、ブライト中尉殿。」
「……そのことはまた話をしましょう。ディープストライカーの準備はよろしいですか?」
「もちろんだ。敵の本体が動き出したようだな。二手に別れたようだがどちらを叩く?」
「どちらでもありません。
ガトー少佐は、ペズンへの攻撃をお願いします。
おそらくやつらはすべてのモビルスーツを出しています。
前回は、迎撃の心配があったので、宙港と対空兵器の部分破壊だけでしたが、今回はモビルスーツ発着口と思われる部分を片端から破壊をお願いします、」
「うまくすれば、攻撃にでたモビルスーツ隊の一部をぺズン防衛のために帰らせねばならなくなるか……だが、かえって背水の陣となって、士気が上がるかもしれんぞ?」
「そこは賭け、です。
ですが、自分たちが傘にかかって攻め立てるだけの存在でないことを教えてやらねばなりません。」
「……了解した。発進のタイミングは?」
「こちらのモビルスーツが向こうの本隊と接触後、ただちに。」
ブライトは次々と命令をくだす。
「ダリル、イオ、きみたちも発進準備だ。
ヤザン隊と合流して敵本隊を迎撃してくれ。」
「迎撃……ですか?」
割と常識人のダリルは思わず聞き返した。
「ソドンの防衛ではなくて?」
「ソドンに接触する前に叩けるだけ叩くんだ。
接近させてしまえば数で押しつぶされる。」
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「いい指揮をするな、あのブライトという若僧は。」
アルビオンのブリッジでドレンはつぶやいた。
なにしろ、元首が自ら戦場に乗り込んでいるし、クラバのルールで、ジオン軍は直接モビルスーツ戦闘には参加できないわで、彼はあまりやれる事がない。
せめて、バニング隊をエアーズ市の防衛に、との考えもよぎったがやめておいて正解だった。
ニューディサイズはおそらく全戦力をぶつけに来ている。
戦力をさけば、そこから崩れる。
逆にこれをしのぎきれれば勝機は大いに高くなる。
「重巡アレキサンドリア、に通達……いやガディ・キンゼー艦長に丁重に依頼せよ。艦を前進、ソドンの直衛に当たってくれ。
単純に火力だけなら、この艦隊の中でも最も優れている。」
忘れたフリをしてますが、アーガマには、ハマーンのキュベレイがいて、ソドンのシャリア・ブルはたぶんインコム付きのゲルググに乗ってます。
シーマのガンダムガーベラもたぶんソドンにいます。
(ちょっと積みすぎかな?)