第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ヤザン隊は、ニューディサイズ本体に立ち向かう。
パイロットの技量を。機体性能を。
圧倒的な数の暴力が踏みにじる。









劇場版 GQuuuuuuX第二部 回天の宇宙~エンドゲーム6

人間の目は一度にいくつの個体を識別できるだろう。

ひとつ、ふたつと数えるならともかく、集団を一瞥しただけでそれが何体いるのかをどこまで判別可能なのだろう。

 

ロべルトの目には、ニューディサイズの本隊は無数の集団に見える。

いや、そんなはずはない。

すでに、敵の数は、アーガマから連絡を受けている。たしか……50前後のはずだ。

 

だが、これだけの数のモビルスーツが集団で動くのを見たのは、独立戦争後、一度もない。

独立戦争のころだって、連邦のモビルスーツ投入はほとんど末期になってからだったから、おそらくはソロモン戦とルナツー戦くらいだろう。

 

「おう! いいねえ。」

ヤザンがふざけた調子で言った。

「いいか、ロベルト、アポリー。落とされんなよ。そいでもって、落とされそうだったら相手を落としても構わねえ!

命あっての物種だからよ!」

 

くそがっ!

ロベルトはうめいた。

少なくともこの隊長の下なら、脅えずに死んでいけそうだ。

 

 

------------

 

 

「エイ型の可変機。3機一組で来ます。」

トッシュ・クレイは言った。

隊長機は元ティターンズのパイロットだ。年齢からして戦争経験組のはずだが…反応が鈍い。

「おそらくは足止めでしょう。わたしが相手をしますので、本隊はこのままソドンに。」

 

トッシュ・クレイの機体は、軽キャノン改だ。

彼は前回、対艦攻撃仕様のゼク・アイン隊と陽動部隊を率いてソドンを攻撃している。

結果は初めて、クランのモビルスーツ2機を大破に追い込んだものの、ソドンそのものには大した損害を与えられていない。

その罰、ということなのだろう。

今回の出撃では旧型機を押し付けられた。

 

これで、可変機3機を落とせるとは思わない。

だが、引き付けておくだけなら、トッシュ・クレイにはなんとかやってのける自信はある。

 

だが。

 

「全戦力で押しつぶせ!」

一番やってはいけない命令を、隊長は下した。

 

向こうも別に3機でこちらの本隊を潰せるとは思っていないだろう。

やることは時間稼ぎだ。

 

本隊の攻撃目標が、ソドンであることはバレてしまった。

ならば、クランの作戦としては、ここでニューディサイズの攻撃隊を足止めしつつ、ほかの艦からの増援をまつ。

その間、ソドンは後退しつつ、ほかの艦を前面に推しだしてカバーさせる。

 

そうなってしまえば、戦いは膠着してしまう。

 

クランのパイロットの質の高さは、恐るべきものがあったし、ニューディサイズ隊は、艦艇を同伴していない。

弾薬や推進剤の補充はできないのだ。

ある程度、消耗すれば撤退せざるを得ない。

 

あとはどの程度、クランのモビルスーツに損害を与えられるかだが。

 

 

トッシュ・クレイはバーニアをふかした。

ゼク・アインに比べると反応自体が遅いような気がする。

マグネットコーティングを活かせるほどのパイロットは本当はニュータイプを含めたごくごく一部のパイロットだけだと言うが……。

 

放ったビームを散開したハンブラビが鮮やかにかわす。

 

構わず突っ込んだ。

ガクン!

 

なにかが軽キャノン改に絡まり、制御を失わせた。

3機のハンブラビが広げた網。

それに引っかかったのだ。

 

凄まじい電気ショック。

 

ゼク・アインならともかく、軽キャノン改が耐えられるものではなかった。

 

“制御バーニヤ60%損傷、左腕マニュピレーター動作不能、メインスラスター反応なし……”

 

ビームライフルもその手を離れてしまっている。

 

トッシュ・クレイはニヤッと笑って、軽キャノン改を漂うままに任せた。

 

――戦場ではこういう生き残り方もあるのだ。

 

 

---------------

 

 

「ヤツらを釣り上げろっ!」

ヤザンは吠えた。

進路をかえたヤザン隊を追うように、ニューディサイズ本隊はその進行方向をかえた。

 

とはいえ、加速力に勝る可変機においつけるはずもない。

 

しかも、その編成は最新のゼク・アインから軽キャノン、はてはザクまでバラバラだった。

 

当然その推力にも差がある。

 

ゼク・アインを先頭に、最後尾にザクが。

 

その隊列は機体別に分かれて、細長いものになりつつある。

 

 

突如、先頭のゼク・アインの頭部が砕け散った。

 

ゼク・アインは戦闘中のダメージコントロールにも優れた機体だ。大きなダメージを負ってもただちに爆散することはない。

だがそれでもモビルスーツの頭は単なるメインカメラではない。カメラもふくめた様々なセンサー類がそこに統合されている。

頭部を失っては戦闘の継続は不可能だ。

 

「さ、サイコミュだ! ビット攻撃だ!

散開しろ!」

 

隊長の命令で、隊列は更に混乱する。

だが、副隊長はやや冷静だった。

 

「これは狙撃です! 長距離狙撃。

スナイパーは左上方イチハチヒトマル方向。」

「げ、迎撃せよ!」

 

モビルスーツ隊の半数、先頭にいたゼク・アインが狙撃手を探して、方向転換する。だが後列まではその指示は届いていない。

 

 

隊列の混乱に乗じたハンブラビが反転して、襲いかかる。

ゼク・アインの一機の片腕がふきとばされた。

 

さらに後方から、新たなガンダムタイプがジャズのメロディとともに現れた。

 

 

---------------

 

 

「本隊は、クランのモビルスーツと交戦中。

これを圧倒しつつあり。」

 

アーガマに向かって侵攻中のコッドは、本部からの連絡にチラリと目をやった。

 

“圧倒まではどうかな?

とにかく、ソドンにたどり着かないことには話にならない。”

 

「コッド大尉!! 前方にアーガマのモビルスーツが。2機です。

どちらもサイコミュ兵器を積んだ新型と思われます!!」

 

「そいつらは俺が引き受けた。各員はそのままアーガマへ!

まだアーガマには、ジークアクスとガンダムもどき、それにハンマーを使う可変機がいるはずだ。

まともに相手をせずに、まずアーガマを沈めろ。それですべてが終わる。」

 

コッド隊のメンバーたちはジャミトフが連れてきた元ティターンズではなく、エイノーの理想に賛同して集まった者たちだ。

パイロットとしての腕もいい。

 

あとは俺がこいつらを抑えておけば、勝機は見える。

 

敵の一機のショルダーバインダーがその背を離れた。

サイコミュで操られるそれは、ビット兵器となり、ビーム攻撃以外にも装備したブレードで直接攻撃をかけてくる。

だが。

 

「させるか!」

 

ショルダーバインダーをインコムのビームが貫く。

爆散。

もう一基も、コッドの部下のひとりが放ったビームに破壊される。

 

エネルギーキャップ式のビットは死角からの攻撃こそが最大限の効果を発揮する。

視認できる位置で分離してもそれは砲台が増えるだけだ。

 

「確かにおまえはすごいニュータイプ様なんだろうが!」

インコムを繰り出しながら、コッドは叫んだ。

「戦いには慣れてないようだなあ!」

 

もう一機の相手。頭部のアンテナがとんがり帽子を被ったように見えるが、腰部に装着したユニットから何かを射出した。

肉眼では捕捉できないほどの極薄の金属片。

 

それは、鋭い刃物となり、圏内に侵入するものを切り刻む。

 

先だって、ソドンを襲ったトッシュ・クレイ隊のミサイル飽和攻撃を防いだのがこの兵器だ。

だが、なぜここで?

モビルスーツにも損傷は与えられるだろう。

だが、一対多の戦闘で撹乱に使うならともかく、この状況で使用する意味は――??

 

「堕ちろ! とんがり帽子!!」

 

死角からの致命の一撃。だが。

 

インコムが。

 

――作動しないだと!?

 

コッドは目を見開いた。

 

何が起こったのか。かれは瞬時に理解した。

そうか。あの花弁でインコムのケーブルを切断したのか。

 

「面白いな、とんがり帽子!!」

コッドは笑った。

否応無しに心の内に滾るものがある。

「実に面白い! だが勝負はこれからだ。」

 

 

 

 

 




同時進行の戦いを描き切れる力量はないのに、そうなってしまいました。まずい!
次は月面か、はたまたぺズン内部か。

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